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お友達を紹介します
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久しぶりの馬車の乗り心地は、お世辞にも良いとは言えなかった。クッションのない座面からは、石畳の些細な段差が大げさになって伝わってくる。
それもそのはず。いつもはゆっくりと走るプリッチャーさんが、飛んでしまうのではないかという勢いで走ってくれているのだ。
いつも馬車に乗っているレナトさんでさえ、馬車が揺れるたびに顔をしかめて身をよじっている。
「お、おい! もう少し丁寧に走れって!」
『うるさいわね。そんな軟弱じゃあ、あたし以外が引く馬車になんて乗れないわよ』
二人はお互いの言葉がわかっていないはずなのに、不思議と会話が成立していた。こういうのを見ていると、思わずにやけてしまう。
「フクラ先生! 何笑ってんだよ。先生だって体痛いだろ?」
「わたしは大丈夫です。でもプリッチャーさん。無理はしないでください。ケガをしたら大変です」
『急いでいるのでしょう? 大丈夫。わたしはもともと速く走るのが大好きなんだから』
プリッチャーさんは多少息が乱れていたものの、まだ余裕がありそうだった。
わたしは手元の小瓶が落ちないように、しっかり握りしめた。中には途中で買ったミルクが入っている。
「もうすぐエアカイトに着くぞ。正面に留めていいのか?」
「いえ、手前で降ろしてください。一応、気づかれないようにしようと思います」
『わかったわ』
レナトさんが手綱を引く前に、プリッチャーさんは馬車を端に寄せて止まった。
さすがプリッチャーさん。わたしが午後いっぱい使った道のりを、ものの一時間で走り抜いてしまった。
「ありがとうございます。ここからはわたし一人で大丈夫です」
「そういうわけにはいかねぇよ。一人じゃ危ないだろ」
危ないからこそ、レナトさんたちを巻き込みたくない――といっても聞かなそうだ。
「レナトさんたちはいざというときのために、馬車をすぐに動かせるように準備しておいてください。バレないように、なるべく静かに」
「ああ、なるほど。確かに逃げるのにプリッチャーの足は必要だな。よし。任せとけ」
騙すような形になったのを心の中で謝りながら、わたしは一人で細い路地へと入った。月明かりすら届かないその路地は、エアカイトの裏側へと繋がっている。
見取り図を作るために何度も確認した。そこには廃棄食材の一時置き場がある。ネズミさんたちの餌場だ。ゴランドさんが殺鼠剤を使うとしたらそこだろう。
全て杞憂だったら、わたしが急いで来たのが無駄になる。そうあって欲しいと願いながら、わたしは走った。
目立たないようにランタンの輝度は絞ってある。知っている場所を走るのには十分だ。
金属でできた桶が見えた。わたしの腰ぐらいの高さの大きな桶だ。そこに廃棄を入れることになっている。
「あれは……?」
その桶のすぐ近くに、わたしとそう変わらない大きさの影が横たわっていた。
明らかにネズミの大きさじゃない。
「大丈夫ですか!?」
駆け寄ると、それは人間だった。後ろでまとめた長く黒い髪は、暗闇の中でもわかるくらい艶やかだ。背中まで広がる大きな襟のついた服を着ている。町中では見かけない珍しい服だ。
「異世界の服装……? どうして異世界人がこんなところに?」
いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。わたしはその異世界人のお姉さんの顔が見える方に立った。
お姉さんは身長ほどの長さのある布袋と、ランタンの明かりでもわかるくらい色の悪い大根を抱いて、眠るように目をつぶっている。
わたしはお姉さんの肩をゆすった。
「意識はありますか? 何があったんですか?」
お姉さんは薄っすらと目を開けた。意識はありそうだけれど、反応が悪い。
『そこの食いもんを食ったと思ったら、いきなり倒れたんだ』
聞き覚えのあるしわがれた声が、背後から聞こえた。
「アジンさんですか?」
ランタンをかざすと、水が引くように小さな影たちが暗闇へと引っ込んでいった。
「待ってください! ネズミさんたちの中には、そこの物を食べてしまった人はいませんか?」
ランタンを置き、倒れているお姉さんの口にミルクを少し流し込んだ。ミルクを飲み込んでいるのが確認できたので、流し込む量を少し増やす。
そうしている間に、ランタンの横に一匹のネズミさんが姿を見せた。片目に傷がある。アジンさんだ。
『食ったやつはいねぇよ。妙な臭いがしてたから躊躇してた。そしたら、いきなりそいつが現れてそのざまだ。それなのに喰うようなやつは、今日になる前に死んでる』
「みんな無事ならよかったです。じゃあ被害者はこの人だけですね」
異世界人がせき込んだので、ミルクを流し込むのをやめた。
「苦しいかもしれないですけど、吐いてください。全部」
そう説明しても、意識がもうろうとした人にできるはずがない。わかっていたので、わたしはお姉さんの口に手を突っ込み、喉の奥をついた。
『うぉえ……!』
吐き出し始めたので、下を向かせて背中をさすってさらに促す。
そんな様子を眺めていたアジンさんが呟いた。
『なぁ、何があったんだ? 俺たちは安心して生きていけるんじゃなかったのか?』
どう返せばいいのかわからなかった。おおよその見当はついているけれど、それを簡単に伝えることはできない。まだ推測でしかないからだ。
わたしが答えられないでいると、アジンさんは吐いているお姉さんに目線を移した。
『そいつがそんなになったのは、毒ってやつのせいなんだろう? 人間が俺たちを殺すために使うやつだ。間抜な奴はそれで死んでいく』
「それは……」
『俺は間抜になるところだったってことだろ! 人間なんて信用するんじゃなかった。そっちがその気なら、俺たちだって黙っちゃいない!』
「ダメです!」
吐ききって咳きこんだお姉さんを横向きに寝かせた。すぐにでも医者に見せたいけれど、アジンさんたちを放っておくわけにもいかない。
「異種間契約の人間側の不履行は重罪です。人間がゴランドさんを裁くので、アジンさんたちが復讐する必要はありません」
『知ったことか! 俺たちに噛まれると、人間は病気になるんだろう? 俺たちを舐めたらどうなるか、人間に教えてやるんだ! あんたは俺たちの味方だと思ってる。噛む気はねぇから、そいつを連れてさっさと消えてくれ』
アジンさんが四つん這いになり、背中を見せた。
「消えません!」
わたしが叫ぶと、アジンさんは首だけで振り返り、残っている方の目を光らせた。
『人間の味方をするっていうのか? そうだよな。あんたも人間だもんな』
「違います! わたしはネズミさんたちを守りたいから、アジンさんを止めるんです」
わたしが立ち上がると、アジンさんは完全にこちらを向いて、後ずさった。
『なに言ってんだ? 守るけど邪魔するなんて、筋が通らねぇ』
「アジンさん。あなたたちが人間を襲えば、敵対生物群として扱われてしまうかもしれません。そうなれば、国を挙げてここのネズミさんたちは駆除されてしまいます。人間の町に住むアジンさんたちなら、人間の恐ろしさくらいわかりますよね?」
『そいつは……そうかもしれねぇが、それくらいの覚悟はできてんだ!』
「申し訳ないですけど、その覚悟。見過ごすわけにはいきません」
暗闇に身を隠されてしまったら、捕まえるのは困難だ。わたしは集中し、アジンさんにしっかりと狙いを定めて――
「おいおい。どうして翻訳術師の小娘がこんなとこにいるんだ?」
ねっとりとした重たい声が、後ろから聞こえた。
聞き覚えがある声だ。髭を抜くブチっという音が、聞こえたような気がした。
「ゴランドさんですか?」
わたしがアジンさんから目を離さずに訊ねると、「いかにも」と返ってきた。
「ここは俺の店の裏だ。いても不思議ではないだろう? まぁいい。せっかく会えたんだ。礼を言っておこうか。あんたのおかげでネズミどもを一掃できそうだ。奴らは毒をなかなか喰わんが、安全な餌場なら別だろうよ」
ゴランドさんは詰まりかけの排水溝のような、気色悪い笑い声をあげた。
『あいつ!』
アジンさんが駆け出した。
「ダメです!」
わたしはアジンさんを背中から鷲掴みにした。アジンさんから注意をそらさなくて正解だった。
『離せやい!』
アジンさんが体をひねってわたしの手を噛んだ。体の小ささからは想像できないくらい、痛い。噛まれたところからは、血がにじんでいた。
でもわたしは手を離さなかった。
「おっと。まだ生き残っているネズミがいたか。ま、全滅させられるとは思ってなかったがな」
ゴランドさんの横に、大柄の男が二人立っている。ランタンを持っていたけれど、それだけが仕事でないのは、見てすぐにわかった。
男たちは薄い鉄を棒状に丸めたチャンバラと呼ばれる武器を握っていたのだ。
冒険者でも雇ったのだろうか。
わたしはアジンさんを胸元へと抱き寄せて、立ち上がった。
「一匹だけではありません。ネズミさんたちはみんな無事です」
ゴランドさんは顔をしかめた。
「そいつは不愉快だな。やはり畜生は人の苦労を知らんからいかん」
「ゴランドさん。あなたは自分が何をしたのかわかっていますか?」
「当然だ。害獣を駆除しようとした。ただそれだけだろう。何か問題があるか?」
「今朝がた契約した内容を忘れたんですか? 異種間契約を人間側が違反するのは重罪です」
「ああ、知っている。なぜ畜生側に有利な法になっているのか、まったくもって理解できんがな。まぁ、どうせ畜生は通報できん。小娘一人を始末すればいいだけの話だ」
ゴランドさんの左に立っていた人が、わたしに向かって歩いてくる。
わたしはそれを無視して、髭を抜くゴランドさんをじっと睨みつけた。
「あなたがしたことは、人間の信用を地に落とす最低な行為です」
「畜生なんぞに信用されてなんになる? 人間の敵を駆除しようとしたのだから、感謝されてもいいと思うのだがね」
歩いてきた男が舌なめずりしたのが、音でわかった。もう手が届くところまで、男は来ている。
軽く腕を振るだけで、男の持つチャンバラはわたしの体を叩くだろう。
空気が動くのを感じた。
「がっ……!」
聞こえたのは男のうめき声だ。アジンさんはわたしの腕から逃げていないし、わたしだって何もしていない。
男の方に目を向けて見えたのは、たなびく大きな襟だった。
異世界人のお姉さんが大きく踏み込み、男の顔を殴りつけるように手をまっすぐ伸ばしていたのだ。
『大根が腐っていてよかったね。新鮮だったら死んでいたよ』
清流のような爽やかな声だった。女の子が異世界人なのは間違いないようで、翻訳術を介して言葉が伝わってくる。
異世界人が手を降ろすと、男が倒れた。
異世界人が突き出したであろう大根は、白い部分のほとんどが砕けて無くなっていた。
「手伝ってくださるんですか?」
『さっき助けてくれたでしょ? 最初は殺す気かと思ったけど』
異世界人の女の子は口元を押さえてえずいた。
わたしたちの会話を遮るように、パチパチと音が聞こえた。ゴランドさんがゆっくりと拍手をしたのだ。
「なるほど。小娘にもボディーガードを雇うくらいの頭はあるようだな」
「ボディーガード? 何か勘違いしているようですね」
わたしの声に答えるように、お姉さんが『うん?』とかわいく唸った。
『ねぇ。あのおじさんの言ってることがわかるの? わたしには全然わからないんだけど』
「そういうものなので心配しないでください。目の前の問題が解決したら、詳しく説明してあげます」
『そういうものって……まぁいいや。あなたが逃げる時間を稼げばいいの?』
「いいえ」
わたしはゴランドさんを指差した。
「あのおじさんを捕まえるんです」
ゴランドさんが大きな声で笑った。
「何を言い出すかと思えば。小娘二人に何ができる? 不意打ちでなければ大の男には歯が立たんだろうよ」
ゴランドさんの右側にいた男が前に出て、チャンバラで反対の手の平を叩いた。
耳が痛くなるような乾いた音が、狭い路地に響く。威嚇だろうか。
異世界人のお姉さんには全く効いていないようで、落ち着いた様子で抱いていた布袋の紐を解いている。
袋から出てきたのは、片方だけに刃のついた細身の剣だった。似たようなものを、何度か目にしたことがある。
「カタナ……?」
異世界の剣だ。見たことあるカタナの中では一番長い。わたしの身長くらいありそうだ。
長さよりも目を引くのは、その切っ先だった。先端部分の手の平ひとつ分くらいだけ強く反っていて、代わりに他はまっすぐになっている。
お姉さんが水平に構えると、切っ先だけが上を向いた。
『うっ、吐き気が……。悪いけど、急ぎで終わらせるね』
お姉さんが散歩でも始めるように、軽く一歩踏み出した。
男とお姉さんの距離は馬車一個分くらい。チャンバラやカタナで届く距離ではない。
そう思っていたのだけれど、男の持つチャンバラが跳ね橋のように真っ二つに割れた。
「な、なんだぁ?」
男はチャンバラの断面を確認した。目の前にカタナの切っ先があるのだけれど、それに気づいていないようだ。
『バームクーヘンみたいにやわらかいね。危うく体を貫くところだったよ』
女の子はただカタナを突き出しただけ……だと思う。少なくともわたしにはそう見えた。
男はやっと目の前のカタナに気付いたのか、両手を上げた。二つになったチャンバラが石畳に落ちて、甲高い音を鳴らす。
「ま、待て! 俺は雇われただけなんだ!」
男の両手は震えている。
お姉さんがちらりとこちらを見て首を傾げたので、わたしは男に向かって足を進めた。
「関わるつもりがないなら、立ち去ってください。ゴランドさんを捕まえるのに協力してくださるのなら、そちらの方が助かりますが」
わたしが言い終わる頃には、男は背中を見せて走り出していた。
それを見送るゴランドさんの背中が、とても間抜けに見えた。
「もう終わりです。ゴランドさん」
わたしは進路をゴランドさんへと変えた。
ゴランドさんもさっき男のように、逃げることはできたはずだ。でもそうせずに、ゆっくりと振り向いた。
「ま、待ってくれ! レストランを守りたかっただけなんだ! 農家だって虫を殺したりするだろう?」
ゴランドさんは情けなく両手を突き出し、身振りでわたしに止まるよう要求してきた。
もちろんわたしは止まらない。
「どんな理由があろうと、約束をたがえることは許されません。ましてやあなたは、騙すために契約を行った」
手の届きそうなところまで行くと、ゴランドさんが尻餅をついた。大きく一歩踏み出せば、柔らかそうなお腹に足が届きそうだ。
「あなたのしたことは、人間と他の生き物の関係を壊す大罪です。その罪の重さを監獄でたっぷり教えてもらってください」
そう言ってやったのはいいものの、急いで出てきたので拘束できる道具は持ってきていない。
ぱっと思いついたのは、カタナを包んでいた布を借りることだ。長さがあるのでロープのように――
「馬鹿め! 油断したな!」
わたしの意識が背後に向いてしまっていたのを、ゴランドさんの声が教えてくれた。
いつの間にか、ゴランドさんが懐から何かを取り出していた。腰に剣を携えていたから、最初はそれを抜いたのかと思った。
でも違う。もっと小さかった。手の平くらいの大きさで、暗闇でも光る黒い金属の塊だ。
わたしはそれの名前を知っている。
チャカ――異世界から持ち込まれた、小さな弾を撃ちだす武器だ。
目の前で空間が爆ぜるような衝撃が起きた。強い光に目がくらむ。
「はっは! まずは一人!」
「何がですか?」
チャカから飛び出した弾丸は、間違いなくわたしに向けて放たれた。でもわたしには届いていない。
ゴランドさんは目を丸くして、わたしの胸の前で制止する弾丸を見つめていた。
「な、何をしたんだ!」
「風の精霊さんが守ってくれたんです。チャカの弾がまっすぐ飛ぶのは、全部空気の力ですから」
わたしは近くを漂っている精霊さんにお礼を言った。姿は見えないけれど、なんとなく気配を感じることはできる。
ゴランドさんのチャカは大きく震えていて、もうわたしをまともに狙えていない。
「ば、バカな! お前みたいな小娘が、精霊を使役などできるはずがない!」
「そうですね。わたしは使役なんてしていません」
精霊さんにお願いして、弾丸を少しだけゴランドさんへと近づけてもらった。
「わたしは風の精霊さんともお友達なんです。翻訳術は生き物以外ともお話しできるんですよ」
わたしは指でチャカの形を作った。そして指先を宙に浮いている弾に当てる。
「チャカの原理をそのまま再現して貰えば、こんなことだってできるんです」
指で作ったチャカはゴランドさんの頭をまっすぐ捉えている。親指をゆっくりと立ててから、勢いよく倒すと――
空気が爆ぜて、思わず目をつぶってしまう程の大きな音が鳴った。
座っていたゴランドさんの体が、ゆっくりと倒れる。白目をむいていたけれど、ただ気を失っただけだ。
だって弾丸は射出されずに、宙に浮いたままなのだから。精霊さんには音を鳴らしてもらっただけで、わたしは撃つふりをしただけだ。
「拘束する手間が省けましたね。でも一応、手くらいは結んでおいたほうがいいでしょうか」
袋を借りようと思って振り向くと、異世界人のお姉さんは口元に笑みを浮かべえてこちらを見ていた。
「あ――」
まずは手伝ってくれたお礼を言おうと思ったのだけれど、わたしが口を開くと同時にお姉さんの体から力が抜けた。
「あぶなっ……!」
急いで駆け寄ったけれど、間に合わなくてお姉さんは石畳に倒れた。精霊さんが風でクッションを作ってくれたので、ケガはしていないはずだ。
「大丈夫ですか?」
わたしが体を支えて起こすと、お姉さんは脱力したまま口に手を当てて――
『き、気持ち悪……』
ギリギリ聞こえる声で、そう呟いた。
それもそのはず。いつもはゆっくりと走るプリッチャーさんが、飛んでしまうのではないかという勢いで走ってくれているのだ。
いつも馬車に乗っているレナトさんでさえ、馬車が揺れるたびに顔をしかめて身をよじっている。
「お、おい! もう少し丁寧に走れって!」
『うるさいわね。そんな軟弱じゃあ、あたし以外が引く馬車になんて乗れないわよ』
二人はお互いの言葉がわかっていないはずなのに、不思議と会話が成立していた。こういうのを見ていると、思わずにやけてしまう。
「フクラ先生! 何笑ってんだよ。先生だって体痛いだろ?」
「わたしは大丈夫です。でもプリッチャーさん。無理はしないでください。ケガをしたら大変です」
『急いでいるのでしょう? 大丈夫。わたしはもともと速く走るのが大好きなんだから』
プリッチャーさんは多少息が乱れていたものの、まだ余裕がありそうだった。
わたしは手元の小瓶が落ちないように、しっかり握りしめた。中には途中で買ったミルクが入っている。
「もうすぐエアカイトに着くぞ。正面に留めていいのか?」
「いえ、手前で降ろしてください。一応、気づかれないようにしようと思います」
『わかったわ』
レナトさんが手綱を引く前に、プリッチャーさんは馬車を端に寄せて止まった。
さすがプリッチャーさん。わたしが午後いっぱい使った道のりを、ものの一時間で走り抜いてしまった。
「ありがとうございます。ここからはわたし一人で大丈夫です」
「そういうわけにはいかねぇよ。一人じゃ危ないだろ」
危ないからこそ、レナトさんたちを巻き込みたくない――といっても聞かなそうだ。
「レナトさんたちはいざというときのために、馬車をすぐに動かせるように準備しておいてください。バレないように、なるべく静かに」
「ああ、なるほど。確かに逃げるのにプリッチャーの足は必要だな。よし。任せとけ」
騙すような形になったのを心の中で謝りながら、わたしは一人で細い路地へと入った。月明かりすら届かないその路地は、エアカイトの裏側へと繋がっている。
見取り図を作るために何度も確認した。そこには廃棄食材の一時置き場がある。ネズミさんたちの餌場だ。ゴランドさんが殺鼠剤を使うとしたらそこだろう。
全て杞憂だったら、わたしが急いで来たのが無駄になる。そうあって欲しいと願いながら、わたしは走った。
目立たないようにランタンの輝度は絞ってある。知っている場所を走るのには十分だ。
金属でできた桶が見えた。わたしの腰ぐらいの高さの大きな桶だ。そこに廃棄を入れることになっている。
「あれは……?」
その桶のすぐ近くに、わたしとそう変わらない大きさの影が横たわっていた。
明らかにネズミの大きさじゃない。
「大丈夫ですか!?」
駆け寄ると、それは人間だった。後ろでまとめた長く黒い髪は、暗闇の中でもわかるくらい艶やかだ。背中まで広がる大きな襟のついた服を着ている。町中では見かけない珍しい服だ。
「異世界の服装……? どうして異世界人がこんなところに?」
いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。わたしはその異世界人のお姉さんの顔が見える方に立った。
お姉さんは身長ほどの長さのある布袋と、ランタンの明かりでもわかるくらい色の悪い大根を抱いて、眠るように目をつぶっている。
わたしはお姉さんの肩をゆすった。
「意識はありますか? 何があったんですか?」
お姉さんは薄っすらと目を開けた。意識はありそうだけれど、反応が悪い。
『そこの食いもんを食ったと思ったら、いきなり倒れたんだ』
聞き覚えのあるしわがれた声が、背後から聞こえた。
「アジンさんですか?」
ランタンをかざすと、水が引くように小さな影たちが暗闇へと引っ込んでいった。
「待ってください! ネズミさんたちの中には、そこの物を食べてしまった人はいませんか?」
ランタンを置き、倒れているお姉さんの口にミルクを少し流し込んだ。ミルクを飲み込んでいるのが確認できたので、流し込む量を少し増やす。
そうしている間に、ランタンの横に一匹のネズミさんが姿を見せた。片目に傷がある。アジンさんだ。
『食ったやつはいねぇよ。妙な臭いがしてたから躊躇してた。そしたら、いきなりそいつが現れてそのざまだ。それなのに喰うようなやつは、今日になる前に死んでる』
「みんな無事ならよかったです。じゃあ被害者はこの人だけですね」
異世界人がせき込んだので、ミルクを流し込むのをやめた。
「苦しいかもしれないですけど、吐いてください。全部」
そう説明しても、意識がもうろうとした人にできるはずがない。わかっていたので、わたしはお姉さんの口に手を突っ込み、喉の奥をついた。
『うぉえ……!』
吐き出し始めたので、下を向かせて背中をさすってさらに促す。
そんな様子を眺めていたアジンさんが呟いた。
『なぁ、何があったんだ? 俺たちは安心して生きていけるんじゃなかったのか?』
どう返せばいいのかわからなかった。おおよその見当はついているけれど、それを簡単に伝えることはできない。まだ推測でしかないからだ。
わたしが答えられないでいると、アジンさんは吐いているお姉さんに目線を移した。
『そいつがそんなになったのは、毒ってやつのせいなんだろう? 人間が俺たちを殺すために使うやつだ。間抜な奴はそれで死んでいく』
「それは……」
『俺は間抜になるところだったってことだろ! 人間なんて信用するんじゃなかった。そっちがその気なら、俺たちだって黙っちゃいない!』
「ダメです!」
吐ききって咳きこんだお姉さんを横向きに寝かせた。すぐにでも医者に見せたいけれど、アジンさんたちを放っておくわけにもいかない。
「異種間契約の人間側の不履行は重罪です。人間がゴランドさんを裁くので、アジンさんたちが復讐する必要はありません」
『知ったことか! 俺たちに噛まれると、人間は病気になるんだろう? 俺たちを舐めたらどうなるか、人間に教えてやるんだ! あんたは俺たちの味方だと思ってる。噛む気はねぇから、そいつを連れてさっさと消えてくれ』
アジンさんが四つん這いになり、背中を見せた。
「消えません!」
わたしが叫ぶと、アジンさんは首だけで振り返り、残っている方の目を光らせた。
『人間の味方をするっていうのか? そうだよな。あんたも人間だもんな』
「違います! わたしはネズミさんたちを守りたいから、アジンさんを止めるんです」
わたしが立ち上がると、アジンさんは完全にこちらを向いて、後ずさった。
『なに言ってんだ? 守るけど邪魔するなんて、筋が通らねぇ』
「アジンさん。あなたたちが人間を襲えば、敵対生物群として扱われてしまうかもしれません。そうなれば、国を挙げてここのネズミさんたちは駆除されてしまいます。人間の町に住むアジンさんたちなら、人間の恐ろしさくらいわかりますよね?」
『そいつは……そうかもしれねぇが、それくらいの覚悟はできてんだ!』
「申し訳ないですけど、その覚悟。見過ごすわけにはいきません」
暗闇に身を隠されてしまったら、捕まえるのは困難だ。わたしは集中し、アジンさんにしっかりと狙いを定めて――
「おいおい。どうして翻訳術師の小娘がこんなとこにいるんだ?」
ねっとりとした重たい声が、後ろから聞こえた。
聞き覚えがある声だ。髭を抜くブチっという音が、聞こえたような気がした。
「ゴランドさんですか?」
わたしがアジンさんから目を離さずに訊ねると、「いかにも」と返ってきた。
「ここは俺の店の裏だ。いても不思議ではないだろう? まぁいい。せっかく会えたんだ。礼を言っておこうか。あんたのおかげでネズミどもを一掃できそうだ。奴らは毒をなかなか喰わんが、安全な餌場なら別だろうよ」
ゴランドさんは詰まりかけの排水溝のような、気色悪い笑い声をあげた。
『あいつ!』
アジンさんが駆け出した。
「ダメです!」
わたしはアジンさんを背中から鷲掴みにした。アジンさんから注意をそらさなくて正解だった。
『離せやい!』
アジンさんが体をひねってわたしの手を噛んだ。体の小ささからは想像できないくらい、痛い。噛まれたところからは、血がにじんでいた。
でもわたしは手を離さなかった。
「おっと。まだ生き残っているネズミがいたか。ま、全滅させられるとは思ってなかったがな」
ゴランドさんの横に、大柄の男が二人立っている。ランタンを持っていたけれど、それだけが仕事でないのは、見てすぐにわかった。
男たちは薄い鉄を棒状に丸めたチャンバラと呼ばれる武器を握っていたのだ。
冒険者でも雇ったのだろうか。
わたしはアジンさんを胸元へと抱き寄せて、立ち上がった。
「一匹だけではありません。ネズミさんたちはみんな無事です」
ゴランドさんは顔をしかめた。
「そいつは不愉快だな。やはり畜生は人の苦労を知らんからいかん」
「ゴランドさん。あなたは自分が何をしたのかわかっていますか?」
「当然だ。害獣を駆除しようとした。ただそれだけだろう。何か問題があるか?」
「今朝がた契約した内容を忘れたんですか? 異種間契約を人間側が違反するのは重罪です」
「ああ、知っている。なぜ畜生側に有利な法になっているのか、まったくもって理解できんがな。まぁ、どうせ畜生は通報できん。小娘一人を始末すればいいだけの話だ」
ゴランドさんの左に立っていた人が、わたしに向かって歩いてくる。
わたしはそれを無視して、髭を抜くゴランドさんをじっと睨みつけた。
「あなたがしたことは、人間の信用を地に落とす最低な行為です」
「畜生なんぞに信用されてなんになる? 人間の敵を駆除しようとしたのだから、感謝されてもいいと思うのだがね」
歩いてきた男が舌なめずりしたのが、音でわかった。もう手が届くところまで、男は来ている。
軽く腕を振るだけで、男の持つチャンバラはわたしの体を叩くだろう。
空気が動くのを感じた。
「がっ……!」
聞こえたのは男のうめき声だ。アジンさんはわたしの腕から逃げていないし、わたしだって何もしていない。
男の方に目を向けて見えたのは、たなびく大きな襟だった。
異世界人のお姉さんが大きく踏み込み、男の顔を殴りつけるように手をまっすぐ伸ばしていたのだ。
『大根が腐っていてよかったね。新鮮だったら死んでいたよ』
清流のような爽やかな声だった。女の子が異世界人なのは間違いないようで、翻訳術を介して言葉が伝わってくる。
異世界人が手を降ろすと、男が倒れた。
異世界人が突き出したであろう大根は、白い部分のほとんどが砕けて無くなっていた。
「手伝ってくださるんですか?」
『さっき助けてくれたでしょ? 最初は殺す気かと思ったけど』
異世界人の女の子は口元を押さえてえずいた。
わたしたちの会話を遮るように、パチパチと音が聞こえた。ゴランドさんがゆっくりと拍手をしたのだ。
「なるほど。小娘にもボディーガードを雇うくらいの頭はあるようだな」
「ボディーガード? 何か勘違いしているようですね」
わたしの声に答えるように、お姉さんが『うん?』とかわいく唸った。
『ねぇ。あのおじさんの言ってることがわかるの? わたしには全然わからないんだけど』
「そういうものなので心配しないでください。目の前の問題が解決したら、詳しく説明してあげます」
『そういうものって……まぁいいや。あなたが逃げる時間を稼げばいいの?』
「いいえ」
わたしはゴランドさんを指差した。
「あのおじさんを捕まえるんです」
ゴランドさんが大きな声で笑った。
「何を言い出すかと思えば。小娘二人に何ができる? 不意打ちでなければ大の男には歯が立たんだろうよ」
ゴランドさんの右側にいた男が前に出て、チャンバラで反対の手の平を叩いた。
耳が痛くなるような乾いた音が、狭い路地に響く。威嚇だろうか。
異世界人のお姉さんには全く効いていないようで、落ち着いた様子で抱いていた布袋の紐を解いている。
袋から出てきたのは、片方だけに刃のついた細身の剣だった。似たようなものを、何度か目にしたことがある。
「カタナ……?」
異世界の剣だ。見たことあるカタナの中では一番長い。わたしの身長くらいありそうだ。
長さよりも目を引くのは、その切っ先だった。先端部分の手の平ひとつ分くらいだけ強く反っていて、代わりに他はまっすぐになっている。
お姉さんが水平に構えると、切っ先だけが上を向いた。
『うっ、吐き気が……。悪いけど、急ぎで終わらせるね』
お姉さんが散歩でも始めるように、軽く一歩踏み出した。
男とお姉さんの距離は馬車一個分くらい。チャンバラやカタナで届く距離ではない。
そう思っていたのだけれど、男の持つチャンバラが跳ね橋のように真っ二つに割れた。
「な、なんだぁ?」
男はチャンバラの断面を確認した。目の前にカタナの切っ先があるのだけれど、それに気づいていないようだ。
『バームクーヘンみたいにやわらかいね。危うく体を貫くところだったよ』
女の子はただカタナを突き出しただけ……だと思う。少なくともわたしにはそう見えた。
男はやっと目の前のカタナに気付いたのか、両手を上げた。二つになったチャンバラが石畳に落ちて、甲高い音を鳴らす。
「ま、待て! 俺は雇われただけなんだ!」
男の両手は震えている。
お姉さんがちらりとこちらを見て首を傾げたので、わたしは男に向かって足を進めた。
「関わるつもりがないなら、立ち去ってください。ゴランドさんを捕まえるのに協力してくださるのなら、そちらの方が助かりますが」
わたしが言い終わる頃には、男は背中を見せて走り出していた。
それを見送るゴランドさんの背中が、とても間抜けに見えた。
「もう終わりです。ゴランドさん」
わたしは進路をゴランドさんへと変えた。
ゴランドさんもさっき男のように、逃げることはできたはずだ。でもそうせずに、ゆっくりと振り向いた。
「ま、待ってくれ! レストランを守りたかっただけなんだ! 農家だって虫を殺したりするだろう?」
ゴランドさんは情けなく両手を突き出し、身振りでわたしに止まるよう要求してきた。
もちろんわたしは止まらない。
「どんな理由があろうと、約束をたがえることは許されません。ましてやあなたは、騙すために契約を行った」
手の届きそうなところまで行くと、ゴランドさんが尻餅をついた。大きく一歩踏み出せば、柔らかそうなお腹に足が届きそうだ。
「あなたのしたことは、人間と他の生き物の関係を壊す大罪です。その罪の重さを監獄でたっぷり教えてもらってください」
そう言ってやったのはいいものの、急いで出てきたので拘束できる道具は持ってきていない。
ぱっと思いついたのは、カタナを包んでいた布を借りることだ。長さがあるのでロープのように――
「馬鹿め! 油断したな!」
わたしの意識が背後に向いてしまっていたのを、ゴランドさんの声が教えてくれた。
いつの間にか、ゴランドさんが懐から何かを取り出していた。腰に剣を携えていたから、最初はそれを抜いたのかと思った。
でも違う。もっと小さかった。手の平くらいの大きさで、暗闇でも光る黒い金属の塊だ。
わたしはそれの名前を知っている。
チャカ――異世界から持ち込まれた、小さな弾を撃ちだす武器だ。
目の前で空間が爆ぜるような衝撃が起きた。強い光に目がくらむ。
「はっは! まずは一人!」
「何がですか?」
チャカから飛び出した弾丸は、間違いなくわたしに向けて放たれた。でもわたしには届いていない。
ゴランドさんは目を丸くして、わたしの胸の前で制止する弾丸を見つめていた。
「な、何をしたんだ!」
「風の精霊さんが守ってくれたんです。チャカの弾がまっすぐ飛ぶのは、全部空気の力ですから」
わたしは近くを漂っている精霊さんにお礼を言った。姿は見えないけれど、なんとなく気配を感じることはできる。
ゴランドさんのチャカは大きく震えていて、もうわたしをまともに狙えていない。
「ば、バカな! お前みたいな小娘が、精霊を使役などできるはずがない!」
「そうですね。わたしは使役なんてしていません」
精霊さんにお願いして、弾丸を少しだけゴランドさんへと近づけてもらった。
「わたしは風の精霊さんともお友達なんです。翻訳術は生き物以外ともお話しできるんですよ」
わたしは指でチャカの形を作った。そして指先を宙に浮いている弾に当てる。
「チャカの原理をそのまま再現して貰えば、こんなことだってできるんです」
指で作ったチャカはゴランドさんの頭をまっすぐ捉えている。親指をゆっくりと立ててから、勢いよく倒すと――
空気が爆ぜて、思わず目をつぶってしまう程の大きな音が鳴った。
座っていたゴランドさんの体が、ゆっくりと倒れる。白目をむいていたけれど、ただ気を失っただけだ。
だって弾丸は射出されずに、宙に浮いたままなのだから。精霊さんには音を鳴らしてもらっただけで、わたしは撃つふりをしただけだ。
「拘束する手間が省けましたね。でも一応、手くらいは結んでおいたほうがいいでしょうか」
袋を借りようと思って振り向くと、異世界人のお姉さんは口元に笑みを浮かべえてこちらを見ていた。
「あ――」
まずは手伝ってくれたお礼を言おうと思ったのだけれど、わたしが口を開くと同時にお姉さんの体から力が抜けた。
「あぶなっ……!」
急いで駆け寄ったけれど、間に合わなくてお姉さんは石畳に倒れた。精霊さんが風でクッションを作ってくれたので、ケガはしていないはずだ。
「大丈夫ですか?」
わたしが体を支えて起こすと、お姉さんは脱力したまま口に手を当てて――
『き、気持ち悪……』
ギリギリ聞こえる声で、そう呟いた。
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