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第2章 ダンジョン嫌いニキ、裏方に戻る
第17話 俺はもう、楽になりたい
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「――はいっ、とうちゃーく!」
羽生田社長の間延びした声とともに、車が速度を落とす。
そのまま姫宮の家の前にぴたりと停まった。
後部座席のドアが開く音。
「ありがとうございましたっ」
姫宮がぺこりと頭を下げる。
今は配信中の気を張った笑顔ではなく、素の表情に近い。
少しだけ疲労の色が滲んでいるが、それでも彼女は軽やかに外へ出た。
ドアを閉める前に、こちらへ身を乗り出す。
「黒野さん、次回もよろしくお願いしますっ」
「っ……」
一瞬、言葉が喉で止まる。
次の試験。
それが、姫宮と肩を並べる最後の配信になるかもしれない。
胸の奥がわずかに重くなる。
「……ああ、こっちこそよろしくな」
できるだけいつも通りの声色で返す。
姫宮は満足そうに頷き、小さく手を振ってから家の方へ駆けていった。
玄関の灯りがつき、扉が閉まる。
それを確認してから、車は再び厳つい唸りをあげて動き出す。
バックミラーの中で、姫宮の家がゆっくりと遠ざかっていった。
住宅街は既に夜の静けさを帯び、窓からはぽつぽつ明かりが零れている。
フロントガラス越しに夜の街を見据え、社長が口を開いた。
「美空ちゃんの先生役は、もう終わりかな?」
「……何でわかるんですか」
問い返した自分の声が、思ったより硬かった。
羽生田社長は片肘を窓の縁に起きながら、こちらに流し目を送ってくる。
「んまー、黒野くんのことだから『これ以上は危険だ。それに、既に姫宮には一通り叩き込んだ。俺はもう、必要無い』とか考えてんでしょ」
「…………似てないです」
強がってそう返してみたものの、社長の言ったことは完全に図星だった。
次回の試験で、Dランク帯におけるアリスの評価は一通り完了する。
そこから、段階はCランクへ。
姫宮と交わした約束は「アリスの試験が終わるまで」配信を続けること。
だが、Cランク以上は話が違う。
姫宮の資質や頑張りは素直に認めるが、まだ挑める領域にない。
……そして。
「美空ちゃんなら大丈夫だと思うけどなあ。アリスもついてるし」
「違うんです」
「うん?」
「……もう、俺が限界なんですよ」
高難度ダンジョン特有の、圧迫感のようなもの。
魔力の濃度が高い空間に足を踏み入れた瞬間、俺の胸の奥がざわつく。
視界の外縁が暗くなる感覚に襲われ、音が遠のき、呼吸が浅くなる。
姫宮を守る、という次元の話ではない。
今の俺では、あの領域にどこまで耐えられるのかわからない。
限界は、確実に近づいている。
「そっか……最近は調子良さそうって思ってたんだけど、まだ完全じゃないか」
ため息交じりの社長の言葉に、俺はかぶりを振った。
「きっと、一生良くなりません。これは、俺が背負っていくべきものですから」
姫宮との配信を辞める。
アリスの試験は自分でやれるところまでやって、後は誰か……優秀な攻略者に協力を仰ぐ。
そこまで終わったら、俺は裏方に戻る。
それが、ここ数日で固まりつつある結論だった。
「……黒野くんは本当に、わかり易い子だね」
「そんなこと、聡子さん以外に言われたことないですよ」
言いながら、いつの間にか自分がむくれていることに気づく。
そして昔のように、社長を名前で読んでしまったことにも。
「あーっはっは! 当然よ。いくつから君を見てると思ってるの?」
社長は豪快に笑う。
そのハンドルを握る横顔に、妙な余裕があった。
こちらの沈黙や視線の揺れを、すべて織り込み済みだと言わんばかりだ。
「……かなわないですね、本当に」
小さく息を吐き、膝元に置いていたペットボトルを手に取る。
すっかり温くなったコーヒーを、喉に流し込んだ。
「俺はもう、裏方に戻ります。……そしてアリスを完成させたら、それでダンジョンからは遠ざかるつもりです」
自分の声が、やけに事務的に聞こえた。
まるで、ここに居ない誰かの退職願を読み上げているみたいだ。
羽生田社長は「ふうん」と息を吐きながら言う。
「一つだけ質問していい?」
社長の声音から、さっきまでの軽さが消える。
俺は自分の手元から視線を上げた。
「会社も辞めるつもり?」
この人は、本当に。
聞かれたくないことばかりを、狙いすましたかのように聞いてくる。
「……決めてません」
俺は間を置いて、そう答えた。
それは嘘ではないが、本心をぼかした言い方でもあった。
「決めてないってねえ。他にやりたいことがないなら、普通は辞めないもんだよ」
合理的な指摘だ。
転職先の当てもない。
起業する気もない。
ただ「辞めたい」という破滅的な衝動だけがある。
「……そうですね」
俺はたまらなくなって、社長から視線を逸らした。
窓に映る自分の顔は、思ったよりやつれているように見える。
「だけど……俺はもう、楽になりたい」
言葉にした途端、胸の奥がわずかに軋む。
「黒野くん、それは――」
社長が何かを言いかけた、その瞬間だった。
視界の端で、横道から影が伸びる。
街灯の明かりを吸い込むような、艶のない車体が、側道から滑り出してきた。
こちらの進行方向を正確に塞ぐ角度。
「社長、前っ!」
「っ――!?」
力強く踏み込まれるブレーキ。
衝撃とともに身体が前へ投げ出され、シートベルトが胸に食い込む。
タイヤがアスファルトを削り、甲高い悲鳴があがる。
衝突の寸前で、こちらの車が停止した。
「な、何よ……急に……!」
社長の声に混じる明確な動揺。
俺は即座にバックミラーへ視線を走らせる。
後方には同じ黒塗りの車が、退路を塞ぐようにぴたりと停まっていた。
「後ろにもいます」
「ええっ!?」
前後の車両のドアが、ほぼ同時に開く。
降りてきたのは、黒一色のスーツに身を包んだ男たち。
無駄のない足運びで左右に展開し、車体を取り囲んだ。
俺たちの逃走経路は、一瞬のうちに封鎖されてしまった。
――コン、コン。
運転席側の窓を、一定のリズムでノックする音。
社長が一瞬こちらを見る。
俺は小さく頷いて返事をした。
ウィンドウがゆっくりと下がる。
「こんばんは。羽生田聡子さん、黒野凍希さんですね」
黒服の男の一人が言った。
感情の抑揚を排した声音だ。
「我々にご同行願います。……社長がお呼びですので」
俺の頬に冷や汗が伝う。
何が起こっているのか理解が追いつかなかったが、俺は見逃さなかった。
男の襟元に付けられた、小さな金属バッジ。
炎を象った紋章の中央に刻まれた、歯車の意匠。
それは、業界最大手――『イグニス=ギア』の社章だ。
羽生田社長の間延びした声とともに、車が速度を落とす。
そのまま姫宮の家の前にぴたりと停まった。
後部座席のドアが開く音。
「ありがとうございましたっ」
姫宮がぺこりと頭を下げる。
今は配信中の気を張った笑顔ではなく、素の表情に近い。
少しだけ疲労の色が滲んでいるが、それでも彼女は軽やかに外へ出た。
ドアを閉める前に、こちらへ身を乗り出す。
「黒野さん、次回もよろしくお願いしますっ」
「っ……」
一瞬、言葉が喉で止まる。
次の試験。
それが、姫宮と肩を並べる最後の配信になるかもしれない。
胸の奥がわずかに重くなる。
「……ああ、こっちこそよろしくな」
できるだけいつも通りの声色で返す。
姫宮は満足そうに頷き、小さく手を振ってから家の方へ駆けていった。
玄関の灯りがつき、扉が閉まる。
それを確認してから、車は再び厳つい唸りをあげて動き出す。
バックミラーの中で、姫宮の家がゆっくりと遠ざかっていった。
住宅街は既に夜の静けさを帯び、窓からはぽつぽつ明かりが零れている。
フロントガラス越しに夜の街を見据え、社長が口を開いた。
「美空ちゃんの先生役は、もう終わりかな?」
「……何でわかるんですか」
問い返した自分の声が、思ったより硬かった。
羽生田社長は片肘を窓の縁に起きながら、こちらに流し目を送ってくる。
「んまー、黒野くんのことだから『これ以上は危険だ。それに、既に姫宮には一通り叩き込んだ。俺はもう、必要無い』とか考えてんでしょ」
「…………似てないです」
強がってそう返してみたものの、社長の言ったことは完全に図星だった。
次回の試験で、Dランク帯におけるアリスの評価は一通り完了する。
そこから、段階はCランクへ。
姫宮と交わした約束は「アリスの試験が終わるまで」配信を続けること。
だが、Cランク以上は話が違う。
姫宮の資質や頑張りは素直に認めるが、まだ挑める領域にない。
……そして。
「美空ちゃんなら大丈夫だと思うけどなあ。アリスもついてるし」
「違うんです」
「うん?」
「……もう、俺が限界なんですよ」
高難度ダンジョン特有の、圧迫感のようなもの。
魔力の濃度が高い空間に足を踏み入れた瞬間、俺の胸の奥がざわつく。
視界の外縁が暗くなる感覚に襲われ、音が遠のき、呼吸が浅くなる。
姫宮を守る、という次元の話ではない。
今の俺では、あの領域にどこまで耐えられるのかわからない。
限界は、確実に近づいている。
「そっか……最近は調子良さそうって思ってたんだけど、まだ完全じゃないか」
ため息交じりの社長の言葉に、俺はかぶりを振った。
「きっと、一生良くなりません。これは、俺が背負っていくべきものですから」
姫宮との配信を辞める。
アリスの試験は自分でやれるところまでやって、後は誰か……優秀な攻略者に協力を仰ぐ。
そこまで終わったら、俺は裏方に戻る。
それが、ここ数日で固まりつつある結論だった。
「……黒野くんは本当に、わかり易い子だね」
「そんなこと、聡子さん以外に言われたことないですよ」
言いながら、いつの間にか自分がむくれていることに気づく。
そして昔のように、社長を名前で読んでしまったことにも。
「あーっはっは! 当然よ。いくつから君を見てると思ってるの?」
社長は豪快に笑う。
そのハンドルを握る横顔に、妙な余裕があった。
こちらの沈黙や視線の揺れを、すべて織り込み済みだと言わんばかりだ。
「……かなわないですね、本当に」
小さく息を吐き、膝元に置いていたペットボトルを手に取る。
すっかり温くなったコーヒーを、喉に流し込んだ。
「俺はもう、裏方に戻ります。……そしてアリスを完成させたら、それでダンジョンからは遠ざかるつもりです」
自分の声が、やけに事務的に聞こえた。
まるで、ここに居ない誰かの退職願を読み上げているみたいだ。
羽生田社長は「ふうん」と息を吐きながら言う。
「一つだけ質問していい?」
社長の声音から、さっきまでの軽さが消える。
俺は自分の手元から視線を上げた。
「会社も辞めるつもり?」
この人は、本当に。
聞かれたくないことばかりを、狙いすましたかのように聞いてくる。
「……決めてません」
俺は間を置いて、そう答えた。
それは嘘ではないが、本心をぼかした言い方でもあった。
「決めてないってねえ。他にやりたいことがないなら、普通は辞めないもんだよ」
合理的な指摘だ。
転職先の当てもない。
起業する気もない。
ただ「辞めたい」という破滅的な衝動だけがある。
「……そうですね」
俺はたまらなくなって、社長から視線を逸らした。
窓に映る自分の顔は、思ったよりやつれているように見える。
「だけど……俺はもう、楽になりたい」
言葉にした途端、胸の奥がわずかに軋む。
「黒野くん、それは――」
社長が何かを言いかけた、その瞬間だった。
視界の端で、横道から影が伸びる。
街灯の明かりを吸い込むような、艶のない車体が、側道から滑り出してきた。
こちらの進行方向を正確に塞ぐ角度。
「社長、前っ!」
「っ――!?」
力強く踏み込まれるブレーキ。
衝撃とともに身体が前へ投げ出され、シートベルトが胸に食い込む。
タイヤがアスファルトを削り、甲高い悲鳴があがる。
衝突の寸前で、こちらの車が停止した。
「な、何よ……急に……!」
社長の声に混じる明確な動揺。
俺は即座にバックミラーへ視線を走らせる。
後方には同じ黒塗りの車が、退路を塞ぐようにぴたりと停まっていた。
「後ろにもいます」
「ええっ!?」
前後の車両のドアが、ほぼ同時に開く。
降りてきたのは、黒一色のスーツに身を包んだ男たち。
無駄のない足運びで左右に展開し、車体を取り囲んだ。
俺たちの逃走経路は、一瞬のうちに封鎖されてしまった。
――コン、コン。
運転席側の窓を、一定のリズムでノックする音。
社長が一瞬こちらを見る。
俺は小さく頷いて返事をした。
ウィンドウがゆっくりと下がる。
「こんばんは。羽生田聡子さん、黒野凍希さんですね」
黒服の男の一人が言った。
感情の抑揚を排した声音だ。
「我々にご同行願います。……社長がお呼びですので」
俺の頬に冷や汗が伝う。
何が起こっているのか理解が追いつかなかったが、俺は見逃さなかった。
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