転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu

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2章 臨時冒険者登録試験

第49話 急成長

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 「雷の槍サンダースピアー

 上空より雷が飛来し、痛みより感電の影響か、飛び立つ寸前から一転、地面に項垂れるレッドウイングリザード。

 初撃が当たったのは大きい。Eランクダンジョンのときに、この場合を想定して「拳銃射撃術」を上げるではなく、「命中率上昇」を取得していたことが活きている。

 感電までできたのもデカい。
 これはジョブ「書記」がMPこそ少ないがステータスは『知力型』だったのも大きいだろう。

 とはいえ、耐久力に圧倒的な差があり、蜥蜴よろしく再生力があるので、持久戦はできない。機先は制した。

   ―畳み掛けるなら今―


水波アクアウェーブ。」
  ジュッジュワー ジュ~

 蒸し熱いほどの水蒸気が上がる。

 本来は相手を水圧で押し返す殺傷力は低いが機動力を奪える「魔法使い」の2で覚えるエレメンタリー(火、水、土、風)魔術の範囲攻撃。
 
 だが、目的はこの大量の水蒸気をおこす『気化熱』でレッドウイングリザードの体力を奪うことだ。
 本来変温動物の紅蜥蜴《リザード》は体温が著しく減ると動けなくなるのだ。

 相手が大きく、すぐに水蒸気になるので水圧はかからずビクともしないが、それでいい。
 初手を取られ、一方的になっているがポテンシャルは十分な相手だ。立て直されて攻撃されないように魔力が続く限り攻撃する。


―「魔法使い」ジョブレベル2で取得できるジョブスキル。
 これがこのダンジョンの攻略開始から2日目の夜に作成した、最初の赤のスキルブック。
 これこそが、試験終わりまでまだ日数がある中、宣言を優先してダンジョンボスに挑んだ理由だ。

 グレイトリザード中心の安定した狩りに変わり、急激なレベルアップを果たしたその夜、手応えがあるなかで、満を持してのジョブスキル解禁を期待して候補を確認すると予想の遥か上の結果だった。

「嘘だろ、ジョブレベル1だけでなく、2まで解禁されているだとっ!! と、いうかジョブスキルはレベルで分けられていて、一律なんだな」

 前日は最大MP77で候補に上がらず、「剛力」を取得したが、ジョブレベル1の解禁が何と80だったのだ。お、惜しいっ。
 とはいえ、HPやMPをかなり消費するジョブスキルを取得しては翌日からのグレイトリザード狩りの効率が落ちていたので、結局「剛力」を取得していたような気もする。
 それでもなんだか損した気分になるのは貧乏性なのだろうか?

 話を戻すと、グレイトリザード狩りが効率化され、レベルが一日で7上がったことで、最大MPが100で解禁されるジョブレベル2のスキルも作成できるようになっていた。
 どうやら、この世界には通常スキルには格があるようだが、ジョブにはないようで「魔法使い」も「書記」も他も、レベル毎でしか差がなかった。

 職業に貴賎なしってか、本当かよ?
 書記の低レベル帯なんて超常感なんて、そんなないからな! 妙な怒りは置いといて、戦略を練る。

 魔法使いジョブレベル1は火、水、土、風の単体攻撃魔法だったが、相手がデカくて強力なのでダメージ狙いではなく体全体から気化熱を奪うために範囲攻撃の2を作成した。

 翌日には、さらにジョブレベル3が解禁。
 水魔法は攻撃速度が遅く、かつ上空に逃げられると手元から出る攻撃では失敗する可能性を考慮して、上空から飛来して攻撃速度の早い「魔法使い」のジョブレベル3で取得するエクストラ(雷、氷、光、闇)の単体攻撃魔法を取得した。  ―
              

 今回はその中でも、感電による麻痺狙いで雷魔法で先制攻撃し、続いて弱点の水魔法で一気に弱らせることに成功はした。

 しかし、まだだ。
 変温動物は水にさらされても死ぬわけではなく、動かなくなり、体力の温存をはかるだけだ。
 外傷はというと、翼を雷の槍で多少貫いただけ。
 蜥蜴は再生能力が高く、この程度ではすぐに回復されてしまう。

 レベルアップとソーマのポーションによってMPが底上げされたとはいえ、すぐに致命傷を与えられない水魔法も撃てなくなる。
 そうなれば、時間をかけて回復したレッドウイングリザードに蹂躪されてしまうだろう。

 つまり今、この戦いに終止符を打つ決定打が必要だ。
 動かなくなっているレッドウイングリザードを確認し、魔導具袋からマナポーションを一つ取り出して、一気に飲む。

「本当は間をおかずの2本服用は厳禁なんだけどな。全く、前世の栄養ドリンクかよ」

 これからあの巨体に向かっていくのだ、遠間から撃っていた先程とは違う。臆しないように、減らず口を叩き、剣を握りしめる。

 そうして、俺はこの戦いに、また試験にケリをつけるべく、走り出した。
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