【完結】北川君の好きな人

ずー子

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おまけ(受視点のデート編)

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 北川君と「恋人として」お付き合いを始めて、色々新しい発見があった。友達としてずっとそばにいたのに、まだこんなに知らないことが沢山あるなんてと、僕は驚いている。
「北川君、案外お喋りなんだね」
「お前が黙っていればな」
 彼はいつもクールだけど、僕の前では少しだけ表情が豊かになる気がする。それと、実はかわいいもの好きという意外な一面もあった。
「あ!この猫ちゃん、かわいい!」
「……そうか?」
 僕が手に取ったのは大きい黒猫のぬいぐるみだった。それを北川君は怪訝そうな顔で見ている。でも僕は知っているのだ。北川君がこっそりと猫グッズを集めていることを。だから僕はその猫を抱きしめて言った。
「うん!だってほら、この目とか北川君に似てるよ」
「……」
 すると、北川君の表情が少しだけ柔らかくなったような気がした。
「…可愛いな」
「でしょー!」
 思わず笑顔になる。だって北川君に似てる猫ちゃん可愛いんだもん!そう思ってニヤニヤしていると、北川君の顔が近づいてきて僕の頰に軽くキスをした。僕はびっくりして固まってしまう。
「……え?」
「…お前が」
「!?」
 不意打ちに落とされたキスに、僕の胸はばくばくしてる。北川君はそんなに人が好きなタイプには見えないし、ましてやスキンシップなんて絶対にしないタイプだと思っていたのに。
「……え、えっと」
「……」
 北川君は何も言わない。ただじっと僕を見つめているだけだ。僕は思わず目を逸らした。は、恥ずかし過ぎる…!
「……あ、あの……これはその……」
「嫌か?」
「い、嫌じゃないけど……」
 むしろ嬉しいけど……!でも、こんな急に距離感変わっちゃうと心の準備が出来てなくて困るっていうか……!
 僕が真っ赤になってもごもごしてると北川君はふっと笑った。
「……お前って本当に分かりやすいな」
「へ?」
 北川君は僕の手を引くと歩き出した。どこに行くんだろう?と思ったけど、僕はぬいぐるみを抱っこしたまま、彼の後を素直についていく。されるがままだった北川君は、付き合うようになってすごく変わった気がする。積極的と言うか、リードすると言うか。意識し始めてから、僕は些細なことでドキドキしてしまうようになってしまった。
「うち、来るだろ?」と言われたら、素直にうなづく。もうゲームだけじゃないって分かってるから、僕は赤くなる頬をぬいぐるみに埋めながら、小さく頷いたのだった。
***
「ひゃ…んん…そこ、や…♡」
 買ったばかりの大きな猫のぬいぐるみが、静かにこっちを見ている中、僕は北川君に後ろから抱きしめられていた。制服のシャツの中に手を入れて僕の胸を触っている。
「あ、あっ♡だめ、だってばぁ……っ!」
「……」
 北川君は何も言わない。ただ黙って僕の胸を撫で回しているだけだ。それなのに僕は感じてしまっている。なんで?どうして?と混乱していると、突然乳首を摘まれて僕はびくんと跳ねた。そのままくにくにと弄られて僕は涙目になって喘ぐことしかできない。
「やぁっ♡ち、くび、だめぇ……♡♡」
「嫌じゃないだろ?」
そう言って北川君は胸を触りながら僕を抱き寄せる。これも、付き合ってから知ったこと。北川君は想像以上にエッチが好き。
「ん、やぁ……あ……♡」
「ココを弄られるのが好きなくせに」
 そう言って北川君は僕の耳元で囁いた。その低くて色っぽい声にぞくりとしてしまう。エッチの時だけおしゃべりなのも、付き合うまで知らなかった。
「ちが、うもん……」
「違わないだろ」
 そう言って北川君は僕の耳を甘噛みした。僕は思わず声が出そうになるのを必死で抑える。
「声、我慢するな」
「やだぁ……はずかしいよぉ……」
 涙目になって訴えると北川君はまたため息をついた。
「……あまり煽るな、」
「えっ、あおる……?」
 僕がキョトンとすると、北川君は僕の顎を掴んで強引に口付けてきた。
「んん……っ!んむ……♡」
(あ、きすされてる)
 僕は抵抗しなかった。むしろ嬉しくて自分からも舌を伸ばして絡め合う。北川君の舌が僕の歯列をなぞり、上顎を舐めてくると背筋がぞくぞくする。気持ちいい。頭がぼーっとして何も考えられなくなってくる。
「んっ♡ふぁ……♡んんっ♡♡」
「はぁ……」
 長いキスの後ようやく唇を離すと、唾液がつぅっと伸びてぷつりと切れた。僕は北川君にもたれかかるようにして息を整える。
「はぁ……♡はぁ……♡」
「……」
 北川君は何も言わずに僕の体を仰向けにしてベッドに押し倒すと、首筋に顔を埋めてきた。強く吸われる感覚に思わず声が出てしまう。
「ひゃあんっ!♡あっ、だめぇっ♡♡」
「……っ」
 北川君は無言のまま手際よく僕の服を脱がせていく。抵抗しようにも力が入らないし、そもそも抵抗する理由もない。だって僕たちは恋人同士なんだから。
「あ、やだ、恥ずかしいよ……っ」
「……なら抵抗しろ」
 北川君はそう言うと僕の両手を掴んで頭の上で固定した。そしてまたキスされる。今度はさっきよりも深くて長いキスだ。舌を絡ませ合い唾液を交換するような激しいキスに頭がボーッとしてくる。
「んむ♡んん~っ♡♡」
「はぁ……っ」
(き、きもちいぃ……♡)
 僕は無意識のうちに自分からも舌を伸ばして絡め合っていた。キスが終わっても、僕はまだぼんやりしたままだった。北川君はそんな僕の体に手を這わせると言った。
「敏感だよな」
「え……?」
僕は首を傾げる。だってそれは……
「……お前が敏感なのは俺のキスのせいか」
「っ!!」
(き、気づかれてる……!)
 僕が真っ赤になって口をパクパクさせると、北川君はニヤリと笑っている。
 付き合ってから気づいたことの1つ。僕を好き放題している時、すごく機嫌がよくなるってこと。
「ま、待って……!」
「待たない」
 そう言って残りの服も全部脱がされてしまう。少しだけ乱暴になるのも余裕がないみたいで可愛いと思う。言ったら怒りそうだから言わないけど。
「ん……っ」
 首筋に吸い付かれて声が出てしまう。北川君はいつも僕の体に跡をつける。まるで自分のものだと主張するみたいに。それが嬉しいなんて、僕はおかしいのかもしれない。
 あまり言葉にしてくれないから、僕はもっと欲しがるし、勘違いしたり、落ち込んだり、傷ついたりしてしまうけど。こうして行動に示されると、ちゃんと愛されてるんだって安心できる。ちょっと強引で意地悪だけど、本当はいつも優しい。だから僕は安心して体を委ねることができる。
「あ……っ♡」  
 乳首を摘まれると甘い声が出てしまう。恥ずかしくて口を手で押さえようとすると、その手を掴まれてしまった。
「声、我慢するな」
「……だってぇ……」
「いいから聞かせろ」
 少し強引なくらいでちょうどいい。僕ばっかり北川君のこと好きみたいで不安になっちゃうこももあるけど、こうして求めて貰えると、お腹の中がふわふわして嬉しくてたまらない。
「ね…もう挿れて…?」
 恥ずかしいけど、このままだと僕ばかり気持ち良すぎて気絶しちゃう。そう思って、僕はそっと自分から足を開いてみせた。
「ちゃんと準備してきたから…ね?」
「っ……」
 北川君は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにゴムをつけるとゆっくりと挿れてきた。熱くて大きいのが僕の中に入ってくる感覚に、思わず背中を反らして仰け反った。
「あ……♡んんっ……!おっきいぃ……♡♡」
「煽るな……!」
 そう言うと一気に奥まで突かれた。
「ひゃあんっ!♡あっ、だめ、だってばぁ……っ!」
「くっ…よく締まる」
 そう言うとさらに激しく腰を打ち付けられた。パンッパンッという肌がぶつかる音が部屋に響く。その音さえも興奮材料になっていた。
「あ、だめ、だめぇ……っ!♡」
「はぁ……っ」
 北川君は僕の体をうつ伏せにして後ろから覆い被さってきた。そのまま体重をかけて押し潰すように突かれると、僕はシーツにしがみついて喘ぐことしかできない。
「あっ♡やぁっ♡おくまでくるぅう…♡」
 ぐっ、ぐっ!と僕の一番奥まで入ってくる感覚に、頭が真っ白になる。
「あっ♡ああっ♡だめっ♡いく、いっちゃぅぅうう♡♡」
「俺もだ…っ!」  
 そう言って激しく揺さぶられると僕はあっけなく達してしまった。それと同時に中に熱いものが注ぎ込まれる感覚があり、北川君も同時にイッたのだと分かった。ずるり、と引き抜かれたあとも僕の体はビクビクと痙攣していて力が入らない。そんな僕を抱き寄せる。荒い息で胸が上下するのを感じると、僕は幸せな気持ちになった。
「北川君……好き……」
 そう言ってぎゅっと抱きつくと、優しく頭を撫でられる感触がした。それが心地よくてウトウトしていると、不意に体を離される。
「あ……」
 思わず名残惜しそうな声を出してしまった僕に北川君はふっと笑うと僕の額にキスをした。それだけでもドキッとするくらいかっこいいと思う。
「風呂入るぞ」
「……うん!」
(幸せだなぁ…好きな人とこうしていられて…)
 そう思いながら、僕は北川君に手を引かれるままお風呂に向かう。
北川君は無口であまり話してくれなくて、でもいつも僕の話を聞いてくれていて。その距離感が心地よくて安心できるからつい甘えてしまう。
「北川君」
「なんだ?」
「……大好きだよ」
 僕が言うと北川君は少し驚いた顔をした後、小さく口元を綻ばせて「…俺も」と言った。
***
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