【完結】北川君の好きな人

ずー子

文字の大きさ
1 / 5

本編

しおりを挟む
「北川君、かーえろ♡」
 僕は出来るだけ可愛らしい声を出して話しかける。兄さんだったら「今日も最高に可愛いぞ!千秋!」って悶絶してお小遣いとかくれるけど、クラスで一番寡黙でクールな北川君は一瞥すると、そのまま自分の席に戻ってしまう。
「ねーねー北川くーん」
「……」
 北川君は僕を無視するが、めげない僕は彼の目をじっと見る。
「ね、一緒に帰ろ?」
「……はぁ」
 呆れたのか諦めたのか、北川君はため息を付きながら立ち上がった。
「やった!北川君好きー」
「……帰るぞ」
 僕は北川君に抱きついてみるが、彼はもう慣れっこでそのまま歩き出した。
 北川君は寡黙でクールで一見ちょっと怖いけど、実は優しい。それに僕みたいなのに付き合ってくれるくらいノリがいいし、何より顔もいい。でも女の子にモテてるのは見たこと無いから不思議だ。近寄りがたいからかな。あ、彼女さんが居たことはリサーチ済みです。
「……ねぇねぇ、それでね、兄さんが」
 北川君と一緒に帰れるのは嬉しいけど、他愛の無い話しか出来なくて少し寂しい。たまに「それで?」とか相槌を打ってくれるから、聞いてくれてはいるんだろうけど。
「……ねぇってばー」
 北川君の腕に抱きつきながら反応を見るけど、全くの無視だ。兄さんの話をすると少しだけ機嫌が悪くなる気がする。ちぇっと思いながら腕から手を離すと、突然立ち止まったので僕はその背中にぶつかってしまう。
「わっ!もう!急に止まらないでよぉ…」
 僕が顔を上げると北川君は「…悪い」とだけ言って顔を背ける。北川君は無表情に見えるけど、よく見ると色々な表情があって可愛い。
「ねぇ、僕といるの楽しくない?」
 少し不安になってそう聞くと「……そんなことは無い」とぼそりと呟いた。
「ほんと?やった!ね、北川君の家行っていい?ゲームしよ!」
 僕は嬉しくなってぴょこぴょこ跳ねると、北川君は「……なら家に連絡しろ」と言った。いつも帰る時間が早いので怒られないのか心配だったけど、兄さんは仕事中だったみたいで返事はなかった。ま、いいか!
「帰るぞ」
「ああ!待って!北川君!」
 僕はまた北川君に置いて行かれそうになり、慌てて追いかけた。
「待ってよもー…!友達に対して扱いひどくない?」
「…友達とは思ってない」
「むぅ」
 僕は頰を膨らませて、北川君の腕をポカポカ叩く。
「もー!じゃあ僕は何なのさー?」
「………」
「……もう!」
 北川君はいつも素っ気ない。でもなんだかんだ優しい。頭もいい。博識って言うのかな?兄さんもめちゃめちゃ頭がよくて努力家でなんでもできる人だけど、北川君も負けてないと思う。それに、北川君は他の人みたいに、僕の見た目で判断しないし、格好いいねとか可愛いねって言わないし、僕を兄さんの弟って目で見ないから気が楽だ。
「…でも友達だよね?」
「違う」
「じゃあ何なのー?僕らさ、いっぱい遊んでるよね!それなのにそんな言い草なくない?!」
 僕は北川君に詰め寄る。無表情で無口だけど優しい彼ならきっと何か言ってくれるはずだ。なのに。
「煩い、千秋」
「むぎゅ!」
 僕があまりにも煩かったのか、北川君は大きな手で僕の両頬を掴む。
「むー!んぐー!」
 僕はじたばたするが、彼は離してくれなかった。そして暫くすると満足したのかやっと解放してくれた。
「ぷはっ…もう何するのさ!」
「……お前がうるさいからだ」
「だからってこんな乱暴なことしなくてもいいじゃん!」
 僕が涙目で訴えると、彼は少しバツが悪そうに目を逸らした。
「……悪かった」
「え?」
「だから、悪かった」
「あ……うん……」
 僕は何を謝られているのか分からずに、とりあえず頷いた。
「えっと、その……北川君?」
「……なんだ」
「僕さ、北川君の事好きだよ?友達として」
 僕がそう言うと彼はまた浮かない表情をして顔を逸らす。そして少し考えてから口を開いた。
「俺は……お前と友達になった覚えはない」
「え……?」
 そんなはずない。多分、いや、絶対僕がクラスで一番北川君と仲良しだ。それなのに彼は何を言っているんだろう?あ、もしかして…!
「親友ってことだね!嬉しいなぁ」
 僕は笑う。だって、今までそんな風に言ってくれる友達なんていなかったし!
「……違う」
「え?」
 北川君は僕を冷たく一瞥する。こういう時の視線は、いつだって刺すように鋭くて暗い。
「…まあいい。行くぞ」
「はーい」
 大きなため息をついてから歩き出した北川君に、僕は元気よく返事をする。なんだかんだで北川君は素直じゃないけど、僕と何かするのは嫌いじゃないんだと思う。本当に嫌だったら家に呼んでくれることもしないし、僕と一緒に休みの日に出かけたりなんてしない。僕の案が通った文化祭のメイド喫茶で一緒に゙メイドさんやってくれた時も、結構ノリノリだったし。すごい美人さんになってみんなめちゃめちゃ驚いていたのは秘密だ。お陰で僕のクラスは優勝して、巨大ケーキをみんなで分け合って食べた。
 素っ気ないけど今だって少しだけ歩幅の狭い僕に合わせて歩いてくれている。僕は北川君の、ぶっきらぼうだけど見返りを求めない優しさが好きだった。
(いつか、ちゃんと『友達』だって、認めてくれたらいいのにな)
 僕はそう思いながら、彼の隣を歩いた。この時は、まさかあんなことが起こるなんて思いもしなかった。
***
「へ…?今なんて…?」
 数日後、自称『北川君の大親友』の僕にとって、そのニュースはあまりにもショック過ぎた。
「いや、北川の恋人の話」
「それは知ってるよ?小学校の同級生でピアノがとっても上手い子だって」
 黒髪の勝ち気なカワイイ女の子だという話だ。高校進学の時に別れたと言うのも知ってる。ちなみに北川君は小学校の頃からあんな感じだから先生とかには好かれてなかったらしい。わかる気がする。そういうところがいいんだけど。
「やっぱり、千秋、知らないんだ」
「へ?」
 ぼんやりと僕の知らない小さい頃の北川君に思いを馳せていた僕は、突然話を振られて間抜けな声を出してしまった。
「最近で、何なら相手、男らしいぜ?」
「おとこ…?」
 確かに知らない。僕は北川君が女の子と付き合ってたって噂しか知らない。なにそれ。男同士って?そんなの聞いたことがない。
「ねえそれ、本当なの?」
「らしいぞ」
「誰情報なのさ!」
「いや、俺も人から聞いただけだから……」
「俺、インスタで写真見た」
「マジ?まだ残ってる?」
「これ、キスしてるんじゃないかって」
「えっぐ、よく撮ったな!」
「……そう」
 僕があからさまにがっかりした顔をしたからか、彼らは慌てて付け足すように言った。
「だからさ!千秋もそろそろ北川離れして、俺達ともっと遊ぼうぜ?」
「元気出せって!」
「な?」
「……うん」
 確かに、僕は友達がいない訳じゃない。でも、なんでだろう。なんでこんなにショックなんだろう。
「ねぇ、北川君ってさ……」
「あ!いた!おーい千秋ー!」
 僕が言いかけた時、教室のドアが開き誰かが僕を呼んだ。僕は返事をしてそちらに向かう。北川君は相変わらず、何の興味も関心もないですよって顔で黙々とスマホを触っていた。いつから?誰と?僕の知ってる人?聞きたいことはたくさんあるのに言葉が出てこない。モヤモヤだけが心の中に沈んでいく。横目でちょっと睨む。ふんだ。北川君なんて知らないもん。
***
 恋人がいるなら話は別だ。僕は彼にまとわりつくのを控えようと心に決めた。そう決意したのに、油断するとすぐに近くに行って抱きついてしまいそうで怖かった。北川君もきっと困っているはずだし、僕だって恋人持ちの人にベタベタするなんて最低だと思う。
「でもなぁ……」
 僕は教室の隅にある掃除用具入れの前で箒を片手に溜息をついていた。
「なんでこんなに憂鬱なんだろう…」
 夏が終わって秋になるみたいな、心地良い季節のはずなのに、僕の気持ちはモヤモヤするし、なんとなく授業も集中できない。
「何がだ?」
「ひゃっ!」
 突然背後から声を掛けられて、僕は思わず箒を落とした。
「き、北川君……」
 振り返るとそこにいたのは北川君で、何故かとても不機嫌そうな顔をしていた。僕は慌てて箒を拾いながら問う。
「えっと…どうしたの?何か用事?」
「ああ」
 彼は短く答えると僕の手から箒を奪って用具入れに押し込む。ぽかんとしたままの僕の手を掴んだ。
「え……?」
 そのまま引っ張られるがまま、僕は彼についていく。
「……あの、北川君?」
 僕が恐る恐る声を掛けると、彼は僕をじっと見つめて言った。
「……お前、最近俺を避けているだろ?」
「え?」
 僕は思わず立ち止まる。北川君も立ち止まり、僕の手を引いたまま振り返った。その顔は相変わらず無表情だけど、どこか寂しそうな顔に見えた気がした。
「そ、そんなことないよ!ただちょっと忙しかっただけで……」
「……嘘だな」
 彼は僕の言葉にかぶせるように言った。そしてまた歩き出す。僕も慌ててついて行く。
「嘘じゃないってば!」
 僕がそう言っても、彼は何も答えなかった。空き教室の扉を開けて中に入り、そのまま突き飛ばされた。
「ちょ……!」
 僕は床に倒れ込むが、すぐに起き上がって彼に詰め寄る。
「何するのさ!いきなり!」
「こうでもしないと避けるお前が悪い」
「だからってこんな……!」
 僕は言いかけて口を噤む。だって、目の前に北川君の顔があるんだもん。久々にこんな至近距離なんて、誰だってドキドキする。
「……ねぇ、なんでこんなことするの?」
 僕が俯きながら小さく言うと、彼は僕の顎を掴んで無理矢理目を合わせる。近いよ……!
「お前が俺の事を避けるからだろう?」
「別に、避けてないよ……」
 僕は目を逸らしながら答えるが、彼は許してくれないようだ。強く顎を掴まれて上を向かされる。
「北川君だって、僕に隠してることあるでしょ」
 僕は北川君を見上げて睨み返す。だって、僕だけ責められるのは納得いかないもん。
「隠してる?」
「そうだよ!恋人がいるんでしょ?それも、男の人の!」
 僕がそう言うと彼は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに無表情に戻った。そして僕の顎から手を離して言う。
「…どう思った?」
「え…っと」
「男同士だと知って、嫌になったか?」
 何かおかしい、と思ったけれど僕はそれがうまく言えない。ただ、2人きりで、問い詰められたようなこの体勢がなんとなくよくないことだけはわかった。
「べ、別にそんなことは問題じゃないと思う。同性同士とか、そんなことは問題じゃないよ…!」
 そう、そんなことは問題じゃない。僕が怒っているのは、僕が悲しんでいるのは、北川君が僕にそれを打ち明けてくれなかったことだ。
「ねぇ、北川君。僕はそんなに頼りない?なんで言ってくれなかったの?」
 僕がそう言うと、彼は驚いたように目を見開いた。そしてしばらく黙った後、小さく息をついて言った。
「別にそういう訳じゃない」
「じゃあどうして!?」
 思わず声が大きくなって、慌てて口を結ぶ。なんだか悲しくなってきた。心がぐちゃぐちゃで、うまく言えない。ずっとそう。
(僕は、どうしたかったんだろう)
 言ってくれなくて、友達だと思ってたのに、そんな大事なこと、他の人から聞きたくなかった。それもある。だけど。
 言葉がうまく出てこなくて、ぽろぽろと涙が溢れる。
 恋人ができた人にあんな風に近づくのは良くないって、僕だって分かってる。でも、それでも僕は北川君と一緒にいたい。
「……っ」
「千秋?」
 僕が泣いていることに気づいたのか、北川君はそっと指で僕の涙を拭った。
「……ごめん」
 僕は小さく謝ると、そのまま彼の手を振り払って逃げ出した。
「おい!」
(ああ……やっちゃったな……)
 走りながら思う。僕って本当にバカだ。なんであんなことしちゃったんだろう?北川君だってきっと困ってるはずだし、それに何よりこんな気持ち、友達に抱くなんておかしい。
「はぁ……」
 僕は自分の部屋に戻ってベッドに倒れ込むと、枕に顔を埋めて溜息をつく。北川君は今どうしてるかな。もう僕のことなんて嫌いになったかもしれない。そう思うとまた涙が出てきた。
(ああ嫌だな……こんな自分嫌いだよ…)
「明日ちゃんと顔見てお話出来るかな……」
 僕はそう呟いて目を閉じた。
*** 
 翌日。意気地なしの僕は、やっぱり北川君を避けることにした。クラスのみんながいる中で北川君から話しかけてくることはないし、これでいいんだ。うん、きっとそうだ。そう思っていたのだけど。
 ちら、と盗み見るように北川君を見る。彼はいつものように無表情で淡々と授業を受けていた。
「はぁ……」
 思わず溜息をつく。友達だと思っていた。何なら親友だとさえ思っていた。だけど。
(どうして僕、こんなモヤモヤしてるんだろう)
 昨日、北川君に急に強引に手を引かれて。至近距離で見つめられて。びっくりして涙出ちゃったけど、嫌とかじゃなくてただびっくりしちゃっただけで。僕、今まで友達にあんなに近づかれたことなかったからびっくりしたんだと思う。というかそうだと言いたい。うん、きっとそうに決まってる。
 あんなにドキドキしたの、初めてだった。思い出すだけで胸の鼓動が速くなって頬が熱くなる。
「はぁ……」
 また溜息をつく。なんかもうよくわかんなくなってきた。僕は机に突っ伏して目を閉じた。
 だってもし、この気持ちが友情じゃなかったら、気づいた時に失恋してるってことだもん。そんなの切なすぎる。
(早く帰りたいな…)
 あれだけ楽しかった学校も、今は一刻も早くお家に帰りたかった。
***
 なのに。
(先生のバカ!空気読んでよ…!)
 僕は北川君と共に資料を運ばさせられています。なんでだ!確かに前の僕なら喜んで運ぶけど!でも、今はそんな気分にはなれないでいる。
「えっと……」
 僕が恐る恐る隣を見ると、北川君は相変わらず無表情で前を向いて歩いている。
(気まずい……)
 僕はそう思いながらも彼の後をついて行く。すると突然彼が口を開いた。
「千秋」
「え?な、何?」
 急に名前を呼ばれて驚くと、北川君は相変わらずの無表情で僕を見る。言いたいことがあるんだろう?と促されているみたいで、僕は俯いてしまう。
(だって……何?僕、昨日あんなことしちゃったのに…)
「その……」
 僕はおずおずと口を開くが、なかなか言葉が出てこない。そんな僕を北川君はじっと見ている。その瞳からは何を考えているのか読み取れないけど、とりあえず怒っているわけではなさそうだし、怒っていたとしてもきっと僕の話は聞いてくれるんだろうなと思う。でもうまく言葉が出てこない。そんな僕が言葉を発する前に北川君は言った。
「悪かったな」
「……え?」
 思いがけない言葉に顔を上げる。
「お前を泣かせるつもりはなかった」
「っ!」
 一気に気持ちが昂って、また泣きそうになる。北川君はぶっきらぼうだけど、こう言うところが本当に優しくて、だから、僕は彼が好きだった。
「ごめん、僕こそ…」
 あ、また泣きそう。目が熱くて痛い。我慢しないと、だって。
 ちゃんと祝福しないとダメなのに。好きな人に好きな人ができて、想い合って付き合って、幸せなことなのに。
 僕は彼の友達なんだから。なのに。
「ちゃんと友達だから、恋人ができたこと、お祝いしないとダメなのに…ごめんね…僕、ダメな友達で…」
 北川君は驚いたように少しだけ目を見開いていた。うう、ドン引きさせてるけど、でももう、止められなかった。だって。
「好きになって、ごめんなさい…」
 ぽろぽろ涙が落ちる。ああもう、本当に嫌だ。北川君に嫌われたくないのに。でもきっともう手遅れだ。こんなの絶対ウザがられる。
 ふえーんと間抜けな声を上げて泣いていた僕が泣くのをやめたのは突然強い力で抱きしめられたからだ。バサバサと、僕の抱えていた資料が教室の床に飛び散る、
「!?」
 え、なになにって思っていたら、今度は唇に柔らかいものが触れた。
「んっ……!」
 びっくりして目を開けると、そこには北川君の顔があった。
「きっきききき北川く……!?」
 状況が理解できなくて混乱する僕を無視して彼は僕の体を抱きしめた。
「俺も好きだ」
「は?」
「だから、お前が好きだと言っている」
「え?は?」
 だって恋人いるって言ってたじゃん。僕があんぐりしていると、北川君はこう言った。
「あれは嘘だ」
「うそぉお!?」
 もう僕は情報量の多さに頭がパンクしそうだった。北川君は僕を好き?しかも恋人いるって話は嘘?なんで?どうして?
「…うるさい」
「むぐっ!」
 なんでなんで?と問う僕の口に北川君は強引にキスしてきた。
「ん……んん……」
「……っは、お前が悪い」
 北川君は息継ぎの合間にそう言うとまた僕にキスをした。僕はもう頭が真っ白で何も考えられない。ただ、僕は北川君から離れなくても良いんだって思ったら嬉しくて、僕はまたちょっと泣いた。
***
「んー…♡」
 そんなわけで僕の北川君断ちは1週間程度で終わりを告げた。僕の見た画像の相手は中学時代の悪友さんだと言った。『悪ノリでマックでキスするの?』って問い詰めたら『してない。未遂だ』と言ってそのまま人のいない教室でまたキスされてしまった。ご、強引。そのうち絶対教えてもらうんだ!とひそかに僕は心に決めている。
「はぁ……もう…♡」
 僕は今、北川君のお膝の上で後ろから抱きしめられている。何ならキスしながら胸とか触られてる。お家にお邪魔するのはいつものことだけど、みんな知ったらびっくりしちゃうかも。
「おい」
「ん~?」
 僕は北川君の手を掴んで自分の胸に持っていった。彼は少し驚いたような顔をしたけど、すぐに僕の乳首をつまんでコリコリし始めた。
「あっ♡んっ♡」
 僕がビクビクと体を震わせると、彼は耳元に口を寄せて言った。
「気持ちいいのか?」
「うんっ♡」
 僕がこくこくと頷くと、彼は満足そうに笑って言った。
「敏感」
「だってぇ……ん♡」
 僕が反論しようとすると、彼はまた強く僕の胸を揉んだ。
「……っあ♡」
 僕は体を震わせる。彼はそのまま指先で乳首を押し潰したりつまんだりする。その度にビクビクする僕を見て楽しんでいるようだ。でも僕だってやられっぱなしは悔しい。それに。
ゴリッと僕のお尻に当たる硬い感触。僕はそれの正体を知っている。
「ねぇ……北川君、これ」
「……うるさい。お前がエロいのが悪い」
「人のせいにしないで?んちゅ…♡」
 僕が抗議しようとすると、彼はまた僕の口を塞いだ。実はキス魔なのかな?まだまだ知らないことがあって、それを知って僕は嬉しくなってしまう。
「ちゅ……はぁ……♡」
 舌を入れられて口内を舐められる。僕の歯列をなぞるように舌が動いて、それから舌と舌を絡めるようにキスをされた。僕はされるがままになりながらも彼の首に腕を回して抱き着いた。
「んむ♡ちゅっ♡」
 お互いの唾液を交換するようなキスが続く。頭がボーッとするけどすごく気持ちいい。その間もずっと体を弄られていて、僕はもうすっかり出来上がってしまっていた。
「はぁ……あ、北川君……」
 僕がとろんとした目で彼を見ると、彼はまた僕の首筋に吸い付いた。そしてそのまま鎖骨まで下りてそこに強く噛みつく。
「痛っ……!」
 思わず声を上げるが、すぐに優しく舌で舐められる。
「ん……」
 僕は甘い吐息を漏らす。痛いのと気持ちいいのを交互にされて、この人らしいとさえ思う。冷たいけど優しい。興味ないってふりしてすごく強引。僕はそんな北川君に身を委ねるしかない。
「っはぁ……♡」
 やっと解放されたと思ったら今度は指先で乳首を転がされる。乳輪をなぞり、また先端を押し潰すように刺激され、その度に体がビクビクと震える。
「やめ…♡そんなとこ、やだ…♡」
 連動するように下半身も反応し、僕のそこはもうすっかり立ち上がっていた。女の子みたいに胸で感じてしまっていることに恥ずかしさを覚えるが、それ以上に快感の方が強かった。
「あ……♡」
 ズボンの上からでもわかるくらい大きくなったそれを優しく撫でられて思わず声が出る。彼はそんな僕を見て言った。
「可愛いな」
「っ!」
 耳元で囁かれた言葉に顔が熱くなるのを感じた。北川君は僕の反応を楽しむようにゆっくりと手を動かす。布越しとはいえ他人に触られるのは初めてで、その刺激に腰が引けてしまうけど、彼は逃してくれなかった。
「はぅ…それずるいよぉ…」
「何がだ?」
 好きな人に『可愛い』って言われたら、誰だって嬉しくなっちゃうでしょ?僕は恥ずかしさを誤魔化すようにふるふる首を振る。耳まで赤くなっている僕を北川君は愛おしそうに髪を撫でる。
「ねぇ、もう……」
「ん?」
 僕が切羽詰まった声を出すと北川君は優しく聞き返す。わかってるくせに!僕は少しムッとして彼の首筋に顔を埋める。
「いじわるしないでよ……ばか」
 僕が拗ねたように言うと彼はふっと笑った後、僕の耳にキスをした。そしてそのまま舌先で縁をなぞるように舐められて思わず声が出てしまう。
「ひゃあっ!」 
「悪い。浮かれてる」
 北川君はそう言いながら、硬くなったそれをお尻にグリグリ押し付けてくる。やってることは最低なのに、言葉にされると嬉しいとか思っちゃう僕は単純だ。
「北川君も浮かれてるの?」
 僕が聞くと、彼は少し間を置いて言った。
「……ああ」
 それだけ?と思ったけど、それ以上は教えてくれないらしい。でも何となくわかるよ。だってほら。こんなにドキドキしてるもん。僕たちお互いに緊張してるんだと思うとなんだか嬉しくて笑えてきた。僕の心臓の音だって北川君に聞こえてるんじゃないかなって思うくらいうるさいしね。恥ずかしい。
「ふふっ♡」
「……なんだ急に」
「なんでもないよ?」
 なんか、そう言うこと興味なさそうだったから、意外だった。なのにエッチな事する時、こんなにこう、ねちっこいと言うか、しつこいって言うか。
「ひゃんっ!」
「……集中しろ」
 グリッと強く僕のモノを握られて思わず声が出る。北川君は不機嫌そうな顔で僕を見た後、また手を動かし始めた。
「んぁっ♡だめっ……♡んんっ♡」
「俺も限界だ」
 北川君は僕のズボンを一気に脱がすと、直接触ってきた。ゆっくりと上下に動かされて体がビクビクと反応する。
「あっ♡んんぅ……やだぁ♡」
 恥ずかしさで涙が出そうになる。だけど北川君は止めてくれない。それどころかますます激しくしてくるものだから僕はすぐに達してしまった。
「んんっ~~~~っ!!」
 勢い良く出た白濁液が北川君の手を汚す。それを見た瞬間罪悪感に襲われたけど、同時に興奮している自分もいた。
「や、やだぁ…恥ずかしいよぉ…」
「……ふ」
 え、笑った?今北川君笑っ……
「えっ、え!?ちょっと待って何!?」
 北川君は僕の足を掴むと左右に広げる。そしてそのままお尻の穴に指先を這わせてきた。
「うそぉ……」
 そんなところに指入れられるなんて想像すらしたことなかったし、それよりも恥ずかしさの方が強くて涙が出そうになる。
(僕の身体、全部バレちゃうの…?)
「……痛かったら言え」
 僕が小さくコクンと首を振ると北川君の指がゆっくりと中に入ってきた。
「んっ……!」
 異物感に思わず声が出る。北川君は僕の反応を見ながら少しずつ指を動かし始めた。最初は違和感しかなかったけど、だんだん慣れてきたのか少し気持ちよくなってきた気がする。
「はぁ……ん♡」
「……良さそうだな」
 また笑われた気がする。今日の北川君はいつもより機嫌がいいみたい。笑う北川君とか貴重だし、もっと見ていたい。
「ねぇ…いいよ?」
 僕がそう言うと彼は驚いたように目を見開いた後、ちゅっと軽くキスしてくれた。それだけで嬉しくなる僕は単純だ。もっと僕を見てほしい。他の誰かじゃなくて僕だけを。北川君は僕の耳元に唇を寄せて囁いた。
「いいか?」
「…うん」
 こんなに甘やかされていいのかな?ってくらい、普段の北川君どこ行っちゃったの?ってくらい、優しくされて僕は戸惑ってしまう。だから応えられることは全部応えたくなって、僕は北川君の首に腕を回して自分からキスをした。目を少し見開いた顔がかわいく見えて僕はまた楽しい気持ちになった。この時の余裕を僕は後で嫌って程後悔する。
***
「んぁあああ…♡またイく…イっちゃ…やぁあああ…♡♡」
 もう何回イっちゃったのかわかんない。部屋にはその度に変えられたゴムがあちこちに散乱していて、それを視界に入れた僕はまた興奮してしまう。
「はぁ……ん♡も、もう出ないよぉ……」
「まだだ」
 北川君は、ベッドにへばりついてもう立てないってなってる僕のお尻を持ち上げると、また挿入してきた。
「あっ♡やだぁぁあ…♡♡」
 ゴムを付け替えた北川君のソレが僕のナカへと入り込んでくる。熱くて固くて、怖くなる。こんなにされるなんて思わなかった。逃げようと枕をぎゅっと抱きしめて、体を縮こませたのに、北川君は許してくれない。
「んおっ!?♡」
 ズドン♡とより深く挿入される。そしてそのまま腰を動かし始めた。
「あひっ♡あっ♡あんっ♡♡やぁああっ♡♡」
 激しい動きについていけず、僕はただ喘ぐことしか出来なかった。北川君はそんな僕に構うことなく腰を振り続ける。
「やだぁ……もう無理ぃい……」
「そうか」
 僕が泣き言を言うのに、彼はそれだけ言ってまた動き出した。今度はゆっくりとした動作で僕の中を擦るように動く。
「んぁっ……♡はぁ……♡んん~…♡♡」
 それダメだ、ゆっくりされるとより北川君を感じちゃって、気持ちよくて頭がボーッとしてくる。
「はぁ……ん♡」
(ダメ…こんなことされたらおかしくなる…♡)
「俺が怖いか?」
 ぼんやりした意識の中で声が聞こえる。
「ずっとこうしたかった。お前を組み敷いて、徹底的に犯して…」
 ぱちゅん、ぱん、ぱん。僕のお尻に北川君が腰を打ち付ける音が響く。
「あっ♡やっ……♡あんっ♡♡」
 僕を食らいつくすみたいに激しく動く腰の動きに、僕はもう喘ぐことしか出来ない。
「いつも俺の周りをウロチョロして……」
「っあっ♡あ、はぁっ……んんっ……♡」
 北川君が何か言っているみたいだけど何も聞こえない。ただ与えられる快楽に喘ぐことしかできない。
「俺は一人で静かに過ごしたかったのに、お前がいつも側にいるから、俺は……」
 北川君が何か言っているのに聞こえない。もっと声を聞かせて欲しいと思うのに、快楽に支配された僕の身体は言うことを聞かなくて。「やぁんっ♡あっ……♡」と甘い声を上げることしかできなかった。
「お前のそういうところが嫌いだった。俺は一人で居たかったのに、お前が居ないとイライラする。お前が他のやつに笑いかけているのを見るとイライラする。お前が触れる度に、俺がどれだけイライラしていたか、分かるか?」
 北川君が何か言っている。僕はもう頭がボーッとしていて何も考えられないままだ。
「はぅ…はふ…♡」
「…こっちを見ろ」
 北川君に顎を持ち上げられる。快楽に溺れきった僕はぼんやりとしたまま彼を見上げた。
「……は、ぁ……♡北川、くん……?」
 焦点の合わない目で彼を見るが、彼は僕を見ているようで見ていない。どこか遠くを見ているような目をしていた。
「俺はお前を友達だとは思わない」
「っ……」
 その言葉に僕は心が冷えていくのを感じた。そうだよね、北川君には僕なんて……
「少なくとも、俺は友達を抱く趣味はない」
「へ……?」
 一瞬意味が分からず目を瞬くが、すぐにその意味を理解する。つまり……?
「それって……」
 北川君は僕を見て言った。
「好きだ、千秋。ずっと好きだった」
「っ……!」
 信じられなかった。いつも素っ気なくて、僕ばっかり好きみたいだと思っていた。でもきっと嘘じゃない。
「本当に……?」
「ああ」
「……僕の事、ずっと好きでいてくれたの?」
 恐る恐る聞くと、彼は無言で頷いた。僕は思わず彼に抱きつこうとした。けど。
「あぁん…♡」
 ナカのそれがいいところに当たって、僕は思わず崩れ落ちてしまった。甘イキしてしまったのか体がビクビクと痙攣する。
「んぁあ……♡」
 僕の腰を掴んでいる彼の手が熱い。僕は、期待した眼差しで彼を見たけど、北川君はそれ以上何も言わなかった。ただじっと僕を見つめていて、その目はいつもの無表情とは違って熱っぽいものだった。
(北川君…興奮してくれてるんだ…♡)
 そう思った瞬間、胸がきゅんとした気がした。そして同時にお腹の奥の方がキュンとした。
「…あまり煽るな」
「あっ…♡」
「散々お前に振り回されてきたんだ、大人しく喘いでいろ」
「あんっ♡あっ、あっ、あぁんっ♡♡」
 今までとは違う激しい動きで責め立てられる。だめ……気持ちよすぎるよぉ……!こんなの初めて……!僕はもう何も考えられなくなってただただ喘いでいた。
「やだぁぁあ♡♡おかしくなるぅうう♡」
 もうずっとイってる気がする。頭が真っ白になって何も考えられない。ただ気持ちいいってことしか考えられなくて。
「はぁ……♡はーっ……♡んぁっ!?♡♡♡」
 突然乳首を摘まれてまた軽く達してしまった。
「…不用意に俺に近づいたことを後悔させてやるからな?」
 北川君が何か言っている。でももう分かんないよ…気持ちいいことしか考えられない…
「あ……ぁ……♡」
 北川君は僕の首筋に噛み付くと、そのまま強く吸い付いた。チクッとした痛みすら快楽に変わってしまう。僕はただ喘ぐことしかできなかった。
***
「……おい」
「んぅ……?」
 目が覚めると目の前に北川君の顔があった。どうやら気を失っていたらしい。あれ、僕何してたんだっけ……?確か北川君のお家でいちゃいちゃしてて、それから…
『好きだ、千秋』
「!!!!」
 思い出した!僕、エッチの最中に北川君に告白されて、嬉しすぎて気絶しちゃったんだ…
「うう……!」
 恥ずかしくて死にそうだ。何よりあの時の北川君だ。あんな余裕のない顔は初めてで、思い出すだけで顔が熱くなる。
(でも、嬉しかったな)
 あんな風に求められて嫌なわけがない。だって僕はずっと前から北川君の事が好きだったから。多分、こんな風に意識するより、もっとずっと前から。
「……起きたのか」
「あ、うん……」
 北川君が僕を見る。その目に射抜かれて顔が熱い。
「その…えっち、シちゃったね…」
 えへへって照れ笑いして誤魔化そうとするけど、恥ずかしくて死にそうだ。
「……そうだな」
「あはっ!えっと、その…これからもさ、仲良くしようね……?」
 僕はそう言って笑う。内心ビクビクだ。嫌われたらどうしようとか差し出がましいことしちゃっとか、学校で教室で、普通に接することが出来るのかなとか、僕の頭はぐるぐるしてた。
 だから、北川君は漫画やアニメの人殺しみたいな怖い顔をした後に、大きく、ウンザリしたぞってくらいのため息をついて、僕の頰を掴んだ。
「ふむぎゅ!」
「俺から離れられると思うなよ」
「ふぁい」
 ほっぺたが、北川君のせいでちぎりパンみたいになってる。でも僕は、その北川君の手の温度に安心している。
「……お前との時間は悪くない。だから俺から離れようとするな」
 そう言って僕の頰をムニムニする北川君に僕は嬉しくなって笑う。僕は知っている。北川君は、不器用なだけで、本当は思いやりがあって、優しい人だもん。
「んっ!」
「ぷっ…」
 僕が真面目な顔で頷くと、北川君も少しだけ笑ったような気がした。僕はやっぱりこの人のことが好きなんだって、胸の奥がふわふわして、ちょっとだけ、泣きそうになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海
BL
憧れを追って入学した学園にいたのは運命の番だった。 アルファがオメガをガブガブしてます。

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

俺たちが仲良し同棲カップルだなんて誰も信じません

おもちDX
BL
大ざっぱ騎士×神経質な美人文官 騎士のマーレーナと事務官のパテルは顔を合わせればバチバチと喧嘩しているのが、騎士団では日常の風景。 水と油のような性格の彼らだったが、プライベートではちょっと様子が違う。二人の秘密は――ラブラブ同棲カップルであること。 しかしある日、マーレーナに王女との婚約の話が持ち上がる。勝てないと思ったパテルは身を引こうとするが……? 拙作【惚れ薬の魔法が狼騎士にかかってしまったら】の世界観ですが、単作で楽しんでいただけます。

俺が番になりたくない理由

春瀬湖子
BL
大好きだから、進みたくて 大切だから、進めないー⋯ オメガの中岡蓮は、大学時代からアルファの大河内彰と付き合っていた。 穏やかに育み、もう8年目。 彰から何度も番になろうと言われているのだが、蓮はある不安からどうしても素直に頷く事が出来なくてー⋯? ※ゆるふわオメガバースです ※番になるとオメガは番のアルファしか受け付けなくなりますが、アルファにその縛りはない世界線です ※大島Q太様主催のTwitter企画「#溺愛アルファの巣作り」に参加している作品になります。 ※他サイト様にも投稿しております

既成事実さえあれば大丈夫

ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

処理中です...