無口な彼が獣になったら、溺愛モードで困ってます

ずー子

文字の大きさ
14 / 27
第1章

14、気持ちいいこと、止められない

しおりを挟む
 大きな都から一本道、この国第二の文化都市は小さくとも農作物も取れ、文化水準も高く人々も穏やかだ。
なのでリアムは久々にのんびり一人で過ごすことにした。酒場で。
「ぷはぁ!おかわりおねがいしまーす!」
「お兄さんいい飲みっぷりだねぇ!はいよ!」
「ありがとうございまーす!」
 ジョッキを受け取るとぐいっと飲み干す。その様子を見ながらカウンター越しにマスターが豪快に笑う。
「おう兄ちゃん、なかなか良い飲みっぷりじゃねえか」
「どうも!いい店ですねここ」
 満面の笑みで答えるとマスターも嬉しそうに笑った。
「パブだからな。酒を飲まなきゃやってらんねぇさ」
 そう言いながらもマスターの手つきは鮮やかだ。あっという間に注文の品を準備するとリアムの前に置く。
「ほらよ、フィッシュアンドチップスだ」
「わあっ!美味しそう!」
 目を輝かせてかぶりつくとサクッと音がして口の中に旨味が広がる。あまりの美味しさに夢中で食べ進めているとマスターが話しかけてきた。
「ところで兄ちゃん、あんたどこから来たんだ?」
「ダンジョン攻略をしながら旅をしています。大きなところだと商業都市アルデバランにいました。あそこは賑やかで楽しい所ですよね」
「おう!アルデバランか、懐かしいな」
 懐かしむように目を細めるマスターにリアムは首を傾げた。
「何か思い出でもあるんですか?」
 すると彼は少し照れくさそうに言った。
「いやなに、ちょっと前まであそこにいる息子夫婦に会いに行っていたもんでな…」
「そうなんですね」
 ぐび!とリアムはまたビールを煽った。
「しかし、奇妙な疫病が流行ってたって聞いてな?念の為白先生に診てもらったが、まあなんてことはなかったが」
「へ!?病気!?」
「ん?なんだ、知らねぇのか?」
 マスターの言葉にリアムは青ざめる。
「そ、それってもしかして…月の周期で起こる呪いとかじゃありません?」
「あ?ああ、たしかそんな話も聞いたな」
 リアムは頭を抱えた。
(ジェラルドのだ…!)
「なんだ、兄ちゃん詳しいのかい?」
「えっ!?いや、まあその……」
 リアムは少し口ごもりながら答えたが結局観念したように溜息をついた後口を開いた。
「むしろ、よく分かってなくて…その、流行り病になった途端相手が優しくなったりとか、あるんですか…?」
 旅の一期一会ということもあって、リアムは目の前のマスターに相談することにした。するとマスターは目を丸くして言った。
「なんだ、お前さんそういう病気にかかってたのか?」
「あ、いや……その……」
 リアムはどう説明すればいいか分からず口籠る。その様子を見て察したように彼は言った。
「まあ、あれだ。俺が聞いた話だと、発症すると相手に対して……その、なんだ……」
「あ、いいんで!それ以上言わないでください」
 慌てて止めるとリアムはジョッキを一気に飲み干して言った。
「その、なっちゃう人って何か特徴とかあるんですか?」
「いや、特には聞いてないなあ。ただ、発症すると相手に対する感情が増すって話だ。愛情とか憎しみとか、まあそれは人によるが」
「え?」
 リアムは一瞬固まった後、再び頭を抱えた。
(それって……ジェラルドも僕に対してってこと!?)
 そう考えて顔が熱くなる。だがすぐに首を振った。
(いやいや!まさかそんなはずないよね!)
「お、おかわりください!あとフライドポテトも!」
「あいよ!食い盛りの兄ちゃんだねぇ!」
 マスターは笑いながら料理を作り始めた。それをぼんやりと眺めながらリアムは呟いた。
「本当にそうだったらいいのにね…ジェラルド」
***
「んぅ…」
 飲むと寝てしまうリアムをジェラルドが迎えに行った時には店はもう閉店していた。店主に聞くと酒場の2階が宿泊できるようになっており、そこで休むと言われたとジェラルドは二階へ向かった。
「リアム……」
 部屋へ入るとベッドに横になったまま眠っているリアムがいた。
「おい、起きろ」
 肩を揺すると小さく呻いて目を開けた。ぼんやりとした目でこちらを見上げる姿に思わずドキッとするが平静を装って言った。
「帰るぞ」
「……やだ」
「はあ?」
 予想外の返答に眉を顰めるとリアムはふにゃりと笑った。
「今夜はここで寝るの。ジェラルドも一緒に寝よ?」
「お前な……」
 呆れて溜息をつくとリアムは起き上がって抱きついてきた。そのまま押し倒される形になり慌てて押し退けようとするが、逆に強く抱き締められてしまう。
「……おい、離せ」
「やだ」
「いい加減にしろ」
 怒気を含んだ声で言うとようやく腕の力が緩んだので起き上がる。そして改めてリアムを見ると彼は俯いていた。よく見ると耳が赤くなっていることに気づく。その様子を見てジェラルドは溜息をついた後言った。
「……悪かった。だがお前をここに置いて行くわけにはいかない」
「どうして?」
 リアムは顔を上げてこちらを見た。その瞳には涙が浮かんでいる。
「どうしてって……」
 ジェラルドは言葉に詰まった。そして少し考えてから言った。
「……こんな誰でも入ってくれるような場所じゃ、いつ誰に何をされるか分からないだろう?」
 その言葉にリアムは小さく息を飲むと俯いた。その様子を見てジェラルドは溜息をつくと言った。
「……どうしてこう、警戒心がないんだろうなお前は」
 まだ酔っているのか、リアムはきょとんとした表情で見上げてくる。その様子に再び溜息をつくとジェラルドはリアムを抱き上げる。
「わっ…」
 リアムは驚いたような声を上げるが抵抗はしなかった。力のない腕を絡め、甘えるように身を任せてくる。その様子を見てジェラルドは目を細めた後、そのまま部屋を出た。
***
「んうっ…♡あうっ…♡」
 立ちバックで後ろから突かれる。部屋に入るなり魔法で清められたリアムは脱がされた服が部屋に散らかる中、必死に壁を掴む。
「ああっ♡そこっ♡ごりごりしないでぇ……♡」
「こんなに締め付けておいてよく言う」
 ジェラルドはリアムの腰を掴むと更に深く挿入する。
「あああっ♡」
「ほら、ここが良いんだろう?」
 耳元で囁かれ、びくりと肩が震える。そのまま耳を舐め上げられれば背筋にぞくりと快感が走った。それと同時に中のモノをきゅうっと締め付けてしまい思わず声を上げる。するとジェラルドは小さく笑いつつ腰を抱き寄せる。
「あぁ…よく締まる…お前は本当にどこもかしこも弱いな……」
 そう言いながらゆっくりと引き抜く。すると名残惜しいと言わんばかりに中が収縮し、それに気をよくしたのか今度は一気に貫かれる。
「ひぐっ!?」
 突然のことにリアムは目を見開き悲鳴を上げた。そのまま激しくピストンされ、結合部からはぐちゅりと水音が響く。その音を聞きながらリアムは必死に耐えていた。だがそれも長く続かない。やがて限界を迎えたのかリアムは身体を大きく仰け反らせると絶頂を迎えた。同時に中のモノを強く締め付けてしまいジェラルドもまた小さく声を漏らすと熱い飛沫を叩きつけた。
「はあ……♡はぁ……♡」
 リアムは息を整えると崩れ落ちそうになるがジェラルドの腕によって支えられる。そのままベッドに横たえられ覆い被さってくる。リアムはぼんやりとそれを見つめていた。
「お前の呪いはまだ解けてない。だからこうしてセックスしないといけない。そうだろ?」
 昼間の薬師の話を受けてジェラルドの導き出した答えだ。だが、渋々と言うよりはその目に嬉々とした光を宿し、しきり匂いを嗅いだり舐めたりとリアムを堪能する。
「ん…」
「ああ、酔うと忘れてしまうと言ってたな。なら、目覚めた時もまた同じ話をすればいい」
 ジェラルドの目は赤く爛々と輝いていた。リアムはその目を見つめながら静かに微笑む。
「……ん…」
 ジェラルドは返事の代わりに口付けをする。舌を絡めて口内を犯しながら再びゆるゆると腰を動かすとリアムは甘い声を上げる。その声に興奮を覚えつつジェラルドはピストンを再開したのだった。
***
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~

水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。 「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。 しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった! 「お前こそ俺の運命の番だ」 βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!? 勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。

零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。 鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。 ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。 「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、 「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。 互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。 他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、 両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。 フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。 丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。 他サイトでも公開しております。 表紙ロゴは零壱の著作物です。

【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった

ゆう
BL
俺ウェスは幼少期に魔王様に拾われた下級悪魔だ。 生まれてすぐ人との戦いに巻き込まれ、死を待つばかりだった自分を魔王様ーーディニス様が助けてくれた。 本当なら魔王様と話すことも叶わなかった卑しい俺を、ディニス様はとても可愛がってくれた。 だがそんなディニス様も俺が成長するにつれて距離を取り冷たくなっていく。自分の醜悪な見た目が原因か、あるいは知能の低さゆえか… どうにかしてディニス様の愛情を取り戻そうとするが上手くいかず、周りの魔族たちからも蔑まれる日々。 大好きなディニス様に冷たくされることが耐えきれず、せめて最後にもう一度微笑みかけてほしい…そう思った俺は彼のために勇者一行に挑むが…

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん<山野 石郎>改め【イシ】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中……俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない<覗く>という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

処理中です...