異世界召喚するはずが異世界に来てしまいました。

ヒデト

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二話

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辺りは真っ暗、歪む空間をぷかぷか漂う。超展開のはずなのに思ったより冷静だった。


「はぁ~。まさか、こんな事で人生が終了するとはな。王国一の戦士と言っても死ぬ時は呆気ないもんだ」


違う、冷静などではない。俺はただ、諦めていただけなのだ。

未練はある。だが、あまりの展開に脳が生きる為の思考を停止させたのだ。
こんな展開経験がない。だから考えたところでわかるわけもない。そう決めつけた。


「せめて、天国へ行けますように」


俺は歪む空間の中、拝んだ。数秒ほど拝んだところだ。目の前に光が見えた。


「おお!あれは天国への道か?拝んでみるもんだな」


どんどん光の方へ身体は進む。


「いざ、天国へ!」


俺は光の中に吸い込まれた。身体がスーッと舞い上がる様な感覚。天国到着。そう思った。


ドサッ!!


「イタっ!」


だが、そこは天国でもなんでもなかった。俺は生臭い臭いを放つゴミの山に埋まっていた。


「クッセ!」


俺は暴れる様にゴミの山から脱出する。


「どう見ても天国じゃねーな」


そこは少し汚い清潔感のない通路。俺は少し周りを見渡すと、通路の先はやたら明るかった。


「はぁ?!今夜だろ?」

召喚の儀式を行ったのは夜のはず、俺は空を見上げた。暗い空に星が輝く、夜である事は間違いない。俺は通路の先へ向かった。


そこは、新世界だった。

通る人達一人一人が俺に痛い視線をおくっているが、そンな事気にならないくらい、驚きの光景だった。


「待て、冷静に考えろ、俺はさっきまで儀式場にいて異世界から勇者を召喚しようとしていた。そこで俺は突如発生した黒い球に吸い込まれた……」


俺は少し固まる。


「うん?これって…俺が異世界に来てしまっているんじゃないのか?」


異世界から勇者を召喚するはずが現場の者を異世界に転移させている。これが現状。笑えない。
もちろん、この考えか正しいなんて保証はない。が、妙な確信があった。俺たちが使ったのは効果にかもしれないなどと記載する様なふざけた魔導書に記された魔法。それを八割しか完成していないのに使用したのだ。召喚ではなく転移させても不思議ではない。


「だから言ったんだよ大丈夫かって」


自分が生きている。それ自体は良かったが、今の現状から考えて、あのまま天国へ召されてしまった方が良かったのではないかと考えてしまう。


「はぁ、仕方ないな」


大きなため息を吐く。


「情報収集でもするかな」


俺はさっきいた路地へ戻り、今所持している者を確認する。
まずは相棒である剣。腰のポーチに入っている回復アイテムに非常食の豆。懐に入っている巾着には自国の金。このぐらいのものだろう。
異世界で遭難している事を考えると、あまりに少ない。さすがに、これだけだと不安でしょうがない。


「さすがに少ないな。それに、恐らくこの金は使えないだろうな」


元の世界にはたくさんの国がある。それと同じ数の金も存在する。元の世界でも、自国の金が使えない国が存在するのに異世界で自国の金が使えるわけがない。


「まぁ、持ち物はもういいか、それよりもだ」


俺はここに来てずっと思っていたことがある。


「この世界、魔力が存在してないんじゃないか?」


俺の世界では生物全てに魔力が備わっている。だが、この世界の生物には魔力が一切感じられない。俺と同種族であろう周りの者たちからも何も感じ取ることができないのだ。


「本当に魔力が存在しないのなら今の俺の手持ち以上にヤバいかもしれないな。魔獣でも出て来たら終わりだな。まぁ幸い、ここは治安も良さそうだし、人間種以外いない様に思う。同種族なら異世界人である俺でも頼めば少しくらい何が教えてくれるかもしれないしな。今すぐ集まる情報はこのくらいか。」


わかった事は、手持ちが少ないという事。魔力が存在しないかもしれないという事。そして、ここに居る人達は同種族だろうという事だ。


「街を少し歩くか」


俺は再び摩天楼の入り口に立つ。俺は息を呑む。ここから先は俺の全く知らない新世界。恐怖はある。だがこの状況、そんな事は言ってられない。


「いざ!」


俺は一歩踏み出した。

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