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三話
しおりを挟む新世界の街中。人が流れる様に歩いている。人の人数も尋常ではない。
「祭りでもやっているのか?」
俺は人の流れに身を任せ歩き出す。あらゆるものが未知、建物から置いてあるもの、人々が持っているもの全てに興味を引かれる。
「すごいな」
素直にその言葉が出た。
「ダメだ、情報を集めなければ」
だが見渡す限り、全て未知。正直、見ているだけでは情報は集まらないと感じていた。そんな中、わかった事が一つだけあった。周りから、ちらほら聞こえてくる人の声、言語が一緒だったのだ。
言語が一緒なのは助かる。言語が違うと聞きたい事があっても聞けないからな。
だが、それ以外の情報は集まる気がしない。やはり、誰かに聞くしかない。
「聞き込みしてみるか」
人生初の聞き込み。それが異世界となれば流石の俺も緊張する。
俺は恐る恐るだが、そう悟らせない様に気を張りながら声をかける。
「あの……」
歩いている人に声をかけるが、見向きもせず風の様に去って行った。
「まぁこんな事もあるか」
その後、何人もの人間に何度もトライするが全く捕まらない。殆どの人間が俺を声に反応すらしなかった。
「こいつら、絶対俺の事無視してるだろ!それに何だあの耳には付けているものは、俺を無視する意思表示のつもりか?クソが!やっと通じたと思ったら目逸らしてどっか行きやがるしこの世界の奴らはクソ過ぎたるだな!クソ!」
結局、情報は何も集まらずブツブツ文句を言っていた。そんなところに、ある光景が視界に入った。
「ねぇ、お姉さん高校生?何してるの?暇だったら遊ばない?」
俺が出て来た様な人気の無い路地で三人の男が少女を取り囲んでいる。
「何だ?もめてんのか?」
周りの近くを歩いている人間が気づいているかは分からないが、その光景に見向きもしない。
「仕方ないな」
俺はさっきまでの苛立ちを抑え、やむを得なく助けることにする。
「おいそこ男」
俺は三人組の男達に声をかけるが、応答せず少女に声をかけ続ける。
またしても無視…か
俺は再度、強めの口調で声をかける。
「おい!そこの男!」
「あん?俺たち?」
ようやく、反応した男達。少し面倒くさそうな態度を見せる。
「嫌がっているのが分からないか。何が原因で揉めているのか分からないが、少女を解放してやれ」
「何あんた、この子の知り合い……て、そんな訳ないか」
男達は俺の服装を確認するとクスクスと笑いながら言う。
「なぁコスプレの兄ちゃん、悪い事はいわねぇから帰りな。ここはそういう事をする所じゃないからさ。」
コスプレという知らない単語の意味を一瞬考えたが、さっぱりわからない。だがそれは後回しだ。俺は男達が引き下がる気がない事を確認する。
下がる気は無い…か。なら。
俺は男達へ殺気を送った。自国でガラの悪い奴らに絡まれた時、だいたいこれで解決するのだが、引き下がる様子はなく、逆に突っかかって来た。
「あん?!何だテメーその目は?」
ガゼルの殺気は、魔獣をも怯ませるほどのものだ。それを耐え、それどろこか睨み返して来る。
へぇ、なかなかやるな
そう思った。
だが、実際は全然違う。男達はガゼルの送る殺気に気づいていないだけなのだ。男達にはただ俺が睨んでいる様にしか見えていない。
「だからなんだその目は」
男の一人がガゼルの胸ぐらに摑みかかる。
「……」
めんどくさいな。さすがに異世界で手荒な真似はしたくない。騒ぎになっても困る。
ガゼルは魔法を行使する事を決める。
あまり、この魔法得意じゃないんだよなぁ。
俺は胸ぐらを掴んでいる男に催眠魔法をかけた。ガゼルの瞳が薄っすらと輝く。
「あっ…あれ……」
ガゼルと同じ様に男の瞳が輝き、男の意識が遠のいていく。これが催眠にかかったという印だ。その事に他の男達は全く気づいていない。
「帰るぞ…」
「えっ?おっおい!」
虚ろな瞳の男は突然帰りだす。いきなりの行動に他の男も少し動揺するが、あとを追った。
その場には俺と少女だけになった。
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