超能力者の異世界生活!

ヒデト

文字の大きさ
6 / 16

蜘蛛!

しおりを挟む
扉を開き中へ入る。
「父上。全員揃いました。」
「そうか。」
部屋の奥には王様が座っていた。
あれが王様か、貫禄あるな。
王様の前へ行き、全員膝をつく。クロはおどおどしながら真似をする。
「よく来てくれた。私はこの国の王のザラスだ。話は聞いていると思うが、現在の状況も踏まえてもう一度説明しておく。今、この国ではバラスパイダーが異常発生している。そして普段大人しいはずのこの生物が獰猛になり国民を襲いまくっている。我が国の兵も予想以上に獰猛となったバラスパイダーにかなりの人数がやられてしまっている。まだ何人かの兵はいるが、この兵たちが出払ってしまうと国の守りが薄くなり、国民を守りきれなくなる。そこで冒険者の力を借りてこの状況を打破しようと考え、君たちに来てもらった。」
「任せてください。我々が原因を突き止め、解決してみせますよ!」
「うん、期待している。兵の調査でバラスパイダーがどこから湧いているのか分かっている。君達には明日、早朝からその場所へ向かってもらいたい。あんなは息子たちにさせる。息子達と君達、この十人で解決してもらいたい。それと報酬だが、二百金貨用意してある。これを五人で山分けしてもらう。つまり、一人四十金貨だ。」
「四十金貨?!まじかよ!」
「ここまでが今回の依頼の詳しい内容になる。何か質問はあるかね。」
「……。」
「無いようだな。では、明日に備えて休んでくれ。下がっていいぞ。」
「はい。失礼します。」
みんな立ち上がり、王室を出て行く。
「では、明日は早いので各自部屋で明日に備えて休んでくれ。ニーナ、ちゃんと案内するんだぞ。」
「はい。」
すぐニーナに部屋へ案内された。
「ここがあなた達の部屋よ。この部屋、好きに使ってくれていいからね。」
「ああ、ありがとう。」
「明日は部屋まで迎えに行くから。」
「了解。あと、風呂ってあったりする?」
「お風呂はその扉を開けてすぐよ。もし大浴場がいいなら案内するけど。」
「いや、これでいいよ。」
扉を開け、確認する。
「じゃあまた明日。」
「ああ。」
ニーナが出て行き、俺は部屋の中を見て回る。部屋には大きいベッドが一つに机にソファーそして壁際には見た事のない置物がいくつか置いてある。
部屋を一通り見た後、明日は早いという事だったから風呂に入ってすぐ布団に入った。ベッドは一つしかなかったがそのベッドは二人で寝るにもでか過ぎるくらいの大きさだった。


翌朝、まだ夜が明けきっていない五時頃だろうかノックの音とクロの名を呼ぶ声が聞こえた。ニーナが迎えに来たようだ。俺はグッと伸びをし、体を起こす。
「どうぞ。」
ニーナが慌てた様子で入ってきた。
「ごめん寝坊した。急いで準備して、もうみんな集まってる。」
「えっまじ!?」
俺とアリスは跳ね起き、慌てて準備する。
「アリスはここで待ってろ。」
「えっ?僕も行く。」
「いいか、今から危ないところへ行く。アリスをつれて行って、守る事が出来るならつれて行ってもいいが、悪いからアリスを絶対に守ると保証出来ない。だからお前はここで待つんだ。いいな?」
「…うん。」
アリスは少し残念そうに頷く。そしてクロとニーナは急いで集合場所へ向かう。
「ニーナ!何してるんだ。」
「すっすいません。兄さん。」
王子の一人がニーナを怒鳴りつける。
「まあまあ、これで全員ね。まずは自己紹介しましょうか。即席のパーティーだから息が合うとは思わないけど、得意な魔法とかは知っといた方が役割分担しやすいでしょ。」
「そうだな。」
「まずは言い出しっぺの私から。私は第一王女のエティア。得意な魔法は植物を操る自然魔法よ。殺傷は低いから前衛には向かないかな。で、こっちに居るのか私の連れてきた冒険者のウッドよ。」
エティアがクロより少し大きい小太りの男を指す。
「ウッドだ。冒険者ランクは四。得意な魔法は巨大化だ。」
「巨大化?!」
周りがざわつく。

何だ、巨大化ってそんなにすごいのか?

「見せてやるよ。」
そう言うと、ウッドは呪文を詠唱する。
ウッドの足元に魔法陣が出てきて光り出す。そして身体がズズズッと大きくなる。やがて魔法陣が消え、巨大化が止まる。
「すごい!」
自慢気に立つウッドを周りのみんなが驚いた様子で見る中、クロはポカンとしていた。

うん、大きくなったけど…。

クロの中では魔法は綺麗で派手なものだと思っている。だから、クロの中で巨大化と言う魔法は地味な魔法であまり好きではないのだ。そして、思ったよりも大きくならなかったことにも拍子抜けしていた。

「前衛は俺に任せろ。」

そういうウッドの言葉に全員納得しているようだった。そして次に第一王子、ラリッシュ。第二王子、ソルク。第二王女、ティラ、と言う順に口を開く。基本的に王子たちが自然魔法による身体強化魔法。王女たちが自然魔法よるサポート系の魔法を使うみたいだ。そして少しの風魔法が使えるらしい。次に第一王子が連れてきた冒険者ラードは冒険者ランク四、光魔法による鎖を操る魔法を使う。第二王子が連れてきたジンは冒険者ランク四、身体強化魔法を使うゴリゴリの剣士だ。第二王女が連れてきたセントは冒険者ランク三、炎と土属性の遠距離魔法を得意とする魔法使いだ。そしてついにクロの番がやってきた。

「俺はクロ。雷属性の魔法を使う。それで冒険者ランクはえっと…一です。」
「は?冒険者ランク一?」
「ニーナ、なんでこんな奴連れてきたんだ。」
第一王子に強い口調で言う。そして周りの冒険者たちはクロを見下すように見ていた。
「彼は冒険者ランクは低いですが、彼の使う魔法はかなりの物です。彼は絶対に役に立ちます。」
「そこまで言うなら構わんが、死んでも知らんぞ。」
「とりあえず、これで全員の自己紹介も終わりね。じゃーフォーメーション決めて、任務開始と行きましょう。」

フォーメーションは前衛に第一、第二王子、ウッドにラード、ジン。後衛に第一、第二王女、そして第三王女のニーナとセント。クロも後衛になった。

「足引っ張るなよ。」そう言い、冒険者たちはクロに身体をぶつける。

こいつら、今に見てろ。

国を出てすぐに複数のバラスパイダーがクロたちに襲いかかってくる。それをウッドたち前衛が剣を振り薙ぎ払っていく。後衛は魔法でバラスパイダーの動きを止めサポートする。即席のパーティーにしては中々息が合っていて順調に進んでいた。だが、進むにつれバラスパイダーの数はどんどん増えて前衛だけでは処理しきれなくなってくる。
「くそっ!きりがねー!」
後衛も遠距離魔法で攻撃に参加する。
「スパークショット!!」
クロも電撃を飛ばし攻撃する。バラスパイダーはクロの攻撃一発で焼ける。
バラスパイダー、大した事ないな。
「くっ!」
ウッドが一撃でバラスパイダーを倒すクロを見て、イラつく。ウッドは一人でどんどん進んで行く。
「ウッド!前に出過ぎた!孤立してるぞ!」
「うるせーよ!」
聞く耳を持たず、一人でどんどん進む。そして完全にパーティーから離れ見失う。パーティーはウッド探しながら慎重に進む。
「ウッド!」
呼びかけるが反応がない。と、次の瞬間「うわーー!」とウッドの悲鳴が聞こえた。
「ウッド!」
パーティーは急いで悲鳴のした方へ向かう。すると、突然前衛が足を止める。
なんだ?
奥の方から足音が聞こえ、影が近づいてくる。そしてパーティーの前に姿を現わす。それは普通のバラスパイダーとは比にならない大きさだった。十メートルはあろうバラスパイダーだった。その口には血が付いていた。
「引くぞ!走れ!」
パーティーは一斉に走った。そんな中ラードだけが立ち止まっていた。
「こんな奴、俺が!」
十メートル級バラスパイダーに攻撃していた。
「ラードよせ!」
ラードは得意光魔法を繰り出す。「光の鎖よ!拘束せろ!」その魔法は当たりはしたが全く効かず、簡単に拘束を破る。
「嘘だろ?!」
バラスパイダーは糸を吐き、逆にラードを拘束する。そしてラード頭に食らいついた。血しぶきをあげ、骨を噛み砕く音を立てる。その間にパーティーは逃げ、大きな木の陰に隠れた。
「なんだよあれ?」
セントが声を荒げて言う。
「あれはキングバラスパイダーだ!」
「キングバラスパイダー?」
「ああ。バラスパイダーの中にたまに以上に成長する個体がいる。それをキングバラスパイダーと言うんだ。」
「いや、あれはキングバラスパイダーじゃない。」
「は?」
「確か、ジンの言う通りバラスパイダーの以上成長した個体をキングバラスパイダーという。だが、キングバラスパイダーの全長は五から六メートルだ。あれは少なくとも十メートルはあった。あれはジャイアンキングバラスパイダーだ。」
「ジャイアンキングバラスパイダー?そんなの聞いたことないぞ!」
「ジャイアンキングバラスパイダーは滅多に現れない。ギルドの掲示板にもほとんど張り出されない危険種だ。まさか、あいつが現れるなんて。」
「危険種?そんなのどうしろっていうんだ。」
「……。」
「俺は降りる!こんな所で死にたくない!」
「おい!待て!」
逃げ出すセントを止めるが止まらなかった。
「で、どうするんだ一人逃げちまったけど?俺も流石に勝てるとは思わないんだが…」
「……方法はある。俺たちエルフの王族には昔から受け継がれている魔法が存在するそれを当てる事が出来れば奴を倒せるはずだ。」
「ほう。」
「だが、この魔法は俺たちエルフ全員必要な上に呪文詠唱に一分ほどかかる。」
「一分か…」
「セントが逃げてしまったから、ジンとクロお前の二人に時間稼ぎしてもらわなければならない。」
「二人であいつを一分か、他のバラスパイダーもいるし絶望的だな。…わかった。時間稼ぎ、引き受けよう。」
「え?」
「なんだ?」
「いや、俺も引き受けます。」
「それじゃ俺がデカ物を引き受ける。」
「クロは普通のバラスパイダーを頼む。」
「ああ、わかった。」
クロは動揺していた。あまりに大きすぎる蜘蛛の出現に加え、息もかなり上がっていたためあまり話を聞いていなかった。だが、自分が普通のバラスパイダーを近づけさせないようにするのだけはわかった。
「では、この作戦でいこう。」
パーティーは戦いやすい場所を見つけ、ジャイアンキングバラスパイダーを誘い込む事にした。
「では作戦を開始する。」
パーティーが一斉に動き出す。するとジンがクロの肩を叩く。
「自己紹介の時は悪かったな。これが終わったら一緒に酒でも飲もう。」
「ああ。」
ジンはそう言い去る。
おいおい、それは死亡フラグだろ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。  転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。  「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。  これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。  原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

処理中です...