超能力者の異世界生活!

ヒデト

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特訓!

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街に戻ったクロたちはひとまず解散し、狩はまた明日にする事にした。

「とりあえず、今日はここまでにしよう。また明日だな」

「はい。明日もギルドで待っていればいいですか?」

「そうだな、明日は今日より早く出たいから少し早めに来てくれ。」

「わかりました。」

そう言うと、ネロは少し頭を下げ去って行った。

「今からは自由行動にするから」

クロはお小遣いと銀貨二枚をアリスとミラに渡した。

「……。」

アリスもミラもキョトンとしていた。何これ、と言わんばかりにクロを見つめた。

「お小遣い。これで二人とも好きな物買ってくるといいよ。」

「僕、こんなのいらないよ。」

「えっ?」

「僕、別に欲しいものない。何もいらない。」

「何で、一つくらいあるだろ。今無くても街に行けばできるかもしれないだろ。」

「いいの。僕、お兄ちゃんが居れば何もいらない。」

「……。」

かーー!

何て嬉しい事言ってくれるんだ!顔が緩んじまうぜ。

クロはにやけそうになるのをグッと堪えた。

「まぁ、一応持ってろ。何か必要になるかもしれないから。」

「…うん、わかった。」

アリスは銀貨を渋々受け取る。

「はい、ミラも。」

「……。」

「ほら。」

「もしかして、私もですか。」

「そうだよ。」

「私は結構です。私はあなた様の奴隷です。お金など奴隷の私はには必要ありません。」

「……。」

奴隷なのだから、多少心を閉ざしている物だとは思っていたが、クロは想像以上に病んでいると感じた。

「これは最初に言っとくべきだったな。」

「……。」

「俺は確かに、ミラをオークションで買った。だが俺は、お前を奴隷とは思っていない。買った目的……まぁ、目的があった訳じゃない。ただ、勢いでと言うのか本音だ。俺の育った国では奴隷と言う制度がない。だから奴隷だからとか言われてもわからん。俺の中に奴隷はこうだ、と言う概念もない訳だ。だから、俺の側に居たくないと思うなら、他に帰る場所があるなら帰ってもいい。だが、行く当てが無いならお前を買った責任として面倒は見る。お前は今、俺をご主人様と思っているだろう。そんな風に思わなくていい。頼りになるお兄ちゃんくらいに思ってくれればいいだ。」

「…はい。」

ミラは返事をしたが結局お金は受け取らなかった。

恐らくさっきの話は理解していないだろう。クロもこれで分かるとは思っていなかった。
奴隷だった者が、いきなり『お前はもう奴隷じゃない』と言って簡単に理解も納得もできるわけがない。
ミラがどのくらいの間、奴隷だったのかはわからない。こう言う問題は奴隷だった期間が長ければ長いほど解決に時間がかかる。

クロはゆっくりミラの自分は奴隷という認識を変えて行く事にした。


自由行動にする予定だったが、結局二人ともクロから離れなかった。
クロは自由行動を理由に一人になろうとしたが目論見が外れた。
クロが一人になってしようとしていた事、それは魔法の特訓だ。
何度かゴブリン討伐へ行ったがクロがちゃんと戦えてたかと言うと、正直怪しい。
流石に、この事に対して何も思わないほど鈍感ではない。


強くなるしかない。


だが、剣術は教えてくれるような知り合いはクロにはいない。その他の戦い方、立ち回りも含めた戦闘技術は依頼の数をこなすしかない。
やはり、能力の代わりである魔法しかないのだ。


一人で特訓しようとしていた理由に関しては大した理由ではない。余りに貧相な魔法しか使えない自分を見られたくなかっただけなのだ。


クロたちはギルドで少し休んだ後、街の直ぐ外、門の前くらいの所で魔法の特訓を始める。

まずは水魔法。

「水よ!」

ジョバジョバと音を立て出てくる。やたら水量だけが多い射程の短い水鉄砲。だがこれは少し工夫すればマシな魔法になるはずだ。逆に水量の多い水を五メートル飛ばすことが出来る。水量が多い。それは水の出る蛇口部分が大きいからだ。もしその蛇口を小さくする事が出来れば射程は伸び、威力も上がるはずだ。

「えっと、こうかなぁ」

クロは頭の中で蛇口を小さくのをイメージする。すると水の出る魔法がスーッ小さくなる。

おっ!

一瞬成功を期待した。が、出て来たのはチョロチョロとまるでオシッコの様な水。射程は一メートルあるかないか、魔法陣も小さくなったが、それに比例し水量と減ってしまっている。

「おい~!俺じゃ使えないだろう」

それかな何度もトライするが、水量の多いだけ射程五メートルの水鉄砲か、水量も少ない射程も短い水鉄砲。しか出なかった。前者の状態から強引に蛇口を小さくしようとすると魔法陣が不安定になり、割れてしまう。結局成功には至らず、諦める。

次に光魔法に挑戦する。

だがこれは何も期待できない。ニーナと特訓していた時も米粒ほどの光しか出せていない。

「光よ!」

やはり、指先が気持ち光っている程度。魔力を身体から吐き出す様に踏ん張っても米粒が豆になる程度の変化しか起きない。イメージするのはクリ○ンの太陽○。悪くないイメージだと自分では思っている。

「うーん。納得いかん」

魔法を発動する上で大切なのは魔力のコントロールとイメージ。
魔力コントロールも個人的には自信がある。魔法とは超能力の親戚みたいなもの。超能力の才能がある自分が魔力コントロールが下手なわけがない。
そして、高校生待まで拗らせている現在進行形の中二病。イメージ……というか妄想は得意中の得意。
魔法がまともに発動しないのはどう考えてもおかしい。


と言っても、これはただの自論だ。どこかに問題があるのだろう。呪文が悪いのかもしれない。魔力コントロールが出来てないのかとしれない。もしかしたら、得意と自負するイメージが不十分なのかもしれない。何にしても何処かに問題あるのは確かだ。
だが、今までの人生挫折無く生きてきたクロは全く納得できない。

「あーもークソ!クソクソクソクソ!!!」

水魔法も光魔法も全くクロ。癇癪を起こし気味、親におもちゃを買ってもらえなかった子供がだだをこねている様だ。だが、二人存在を思い出したクロは必死に取り繕い、視線を二人の方へ向ける。
アリスはクロと同じ様に魔法の特訓をしている。さっきの姿を見られていないようで少し安心するが、魔法がちゃんと使えているアリスに嫉妬とは言わないが、少し妬んでしまう。だが、アリスは子供。子供を妬むなど情け無いなんてものではない。クロは複雑そうに視線をアリスへむける。
そしてクロは次にミラに視線を向ける。クロの近く、芝生にチョコンと座り、こちらを見つめていた。クロは「うっ」と声を漏らす。

「もしかして、ずっと見てた?」

「はい」

普通に答えるミラ。クロは恥ずかしさに押しつぶされそうだ。魔法が使えず癇癪を起こし、自分より小さな子供に妬みの視線を向けるところを見られた。保護者としての威厳もクソもない。好きな女の子に野糞しているのを見られるくらい恥ずかい。クロは真っ赤になった顔を両手で覆う。自分でも「乙女か!」と言いたくなる。

うわーーー!!!見られた!見られた!見られた!

だがクロは「はっ」とする。

いや、待て!ポーカーフェイスだ。何もないように装うんだ。

クロは顔から手を離し、スッと何事もなかったかのように真顔になる。チラッと横目でミラの様子を見ると、何も気にしていない様子。クロは上手く誤魔化せたと思った。
だが、側から見たらかなり不自然。ミラは無反応だったが街の門に立つ衛兵は「アイツ何やってるんだ?」とこぼしていた。クロはそれに気づくことはない。そのまま、クロはアリスに声をかける。

「すごいなアリス。完璧に魔法使えてるな」

「そうかなぁ。でも僕、もっと強くなる。お兄ちゃんの役に立てるように頑張るよ」

「頼もしいな。一緒に頑張っていこう」

「うん」

頼もしい。本当に頼もしい。
アリスは今の時点で十分役に立っている。役に立っていないのは俺だ。クロは気合いを入れ直す。クロは魔法の特訓をやめ、剣を振った。
クロが唯一まともに使える強化魔法。この魔法を強化することにしたのだ。この魔法の強化の仕方は自分の身体能力×何倍というふうになっている。具体的に何倍というのはわからないが、簡単な掛け算だ。どちらかの数字を大きくしてやればいい。魔法コントロールが怪しいクロは自分の肉体を鍛える方を選んだのだ。

「あーあ、重たい」

気合いを入れ直した割にぶつぶつ文句を言う。



それから日が流れ、行く日も行く日もゴブリン狩り。最初は一匹。そして二匹、三匹とクロ達は四人で倒せる様になってきた。ネロのドジはあまり減っている様には思わないが、かなりチームワークも良くなり、成長したように思う。だが、所詮ゴブリン。いくら倒しても報酬は少ない。冒険用宿舎も安値で泊まれる期間も終え、通常金額になっている。所持金はなかなか厳しい状態、このままの生活をしているとあと二日あたりで金が底をつく。

「これは深刻な問題だ」

酒場で四人、パーティー会議を開いていた。

「このままでは我々はホームレスになってしまう」

クロは腕を組み深刻そうな声を演じる。その演技からはあまり深刻さは感じられない。

「ホームレス?」

「こっちの話だ。このままじゃ、本当にまずい。ゴブリンは三体までは問題なく倒せる様になったが、ゴブリン狩りだけじゃ収入が全然足りない。ネロ隊員、お前はどうかね?」

「はい。私もこのままじゃ少しまずいです。」

「という事だ。この状態を打破しなければ我々は住む場所を失ってしまう。という事で、新しい報酬のいいクエストを受けようと思っているのだが異論はないかね」

「はい」

「よろしい」

呑気なやりとり、誰一人クロの喋り方に突っ込む者がいない。

「それと少し問題があってだね。私はギアウルフとゴブリンしか姿の知っているモンスターがいない。なので、ネロ隊員。我々でも勝てるゴブリンより報酬の良い依頼を選んでもらいたい。いいかね」

「はい」

クロ達は掲示板へ行き、クロ達にもこなす事が出来る依頼を探す。
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