超能力者の異世界生活!

ヒデト

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半獣人の少女!

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クロたちはギルドへ向かった。この街のギルドは酒場と一体化しており、冒険者用の宿舎もあるかなり大きなギルドだった。ギルドカードを持っていればある期間のみ安値で泊まる事が出来る。クロたちは一つ部屋を借り、荷物を置いて掲示板を見に行く。ここの掲示板はピーナッツのギルドの掲示板よりもかなりの量な依頼書があった。クロは掲示板を少し眺めて「これだ。」と星一のゴブリン討伐の依頼書を掲示板から剥がし取る。
「これで良いよな。」
「うん。」
クロが数ある中の依頼書からゴブリン討伐を選んだ理由、それは他の猛獣の姿を知らないからだ。だが、ゴブリンならアニメや漫画で見た事があるからある程度想像がつく。それだけの理由だ。
クロたちは街の北の森へ行き、ゴブリンを探し始める。
背かなに剣を重そうに携えて、ヨタヨタと歩く。そこに川で水を飲む緑色の小人の様な生き物を発見する。恐らくゴブリンだろう。クロたちは木の陰に隠れ、様子を伺う。
「一体みたいだな。アリスは後方支援を、ミラは俺たちが怪我をした時に治癒を頼む。」
クロはゴブリンに気づかれない様に強化魔法を使う。
「我が身を高めよ。」
クロは勢い良く木の陰から飛び出して斬りかかる。飛び出す時に小枝を踏み音を鳴らしてしまう。その音に反応しゴブリンがクロたちに気付く。ゴブリンは短刀を取り出した。クロは慣れない剣を力いっぱい振り回す。ブンブンと音を鳴らすクロの剣は全く当たらず、ゴブリンはそれを笑いながらかわし応戦する。
「くそー!当たんねー!!」
クロの強化された身体はパワーもスピードも完全に上回っていた。だが、剣を扱う技術、戦闘技術おいてゴブリンの方が圧倒的に上なのだ。
舐めてた。もっと弱いと思ってた。ギアウルフは簡単に倒せたから余裕と思ってた。けど、あの時は能力を使って倒しただけで、直接剣で倒した訳じゃない。錯覚してた。俺は弱い。今の俺は異世界に来たチート能力を持つ主人公のチート能力を封じられた状態なんだ。
クロはゴブリンに翻弄され、ゴブリンの短刀が頬を掠める。
するとアリスが「植物の拘束」木属性魔法を放つ。魔法はゴブリンを拘束し動きを止める。
「オラーー!」
動きを止めている隙にクロはゴブリンに斬りかかる。剣撃
はゴブリンの頭の天辺から身体を真っ二つにする。血しぶきを上げ、ゴブリンはばたりと倒れた。
「はぁ…。」
クロはその場に座り込んだ。クロの手には肉、骨を断つ感触が残った。ミラはそんなクロに無言で近づき、傷ついた箇所に手をかざす。かざした手は緑色の光を放ち、傷口はみるみる塞がっていき痛みが引いていく。
「これが治癒か。ありがとうな。」
「…。」
「冒険者、あまり良いもんじゃ無いな…。」


クロたちは今日はこのまま帰った。ギルドに戻り報酬を受け取る。ギルドには風呂が無かったから、ギルドの側で水浴びをする。クロはアリスとミラに先に浴びるように言い、クロ近くの物陰で見ないように待つ。
「お兄ちゃん、水浴びしないの?」
「俺はアリスたちの後で良いよ。」
「そう、一緒に浴びれば良いのに。」
例え十歳の子供だとしても流石な一緒に水浴びは良くないだろ。そして勘違いしてはいけない。俺はロリコンではない。十歳の女の子二人と旅をしている。これだけでロリコンだと思われるかもしれないが、神に誓って俺はロリコンではない。俺は小学生は最高だぜ!何て言う変態主人公ではない。そう、俺は胸の大きい大人の女性に興奮する変態だ。
クロは自分に言い聞かせる。
水浴びを終え、ギルドへ行き食事を摂る。
「今回の依頼で必要なものがわかった。それは戦闘経験と仲間だ。戦闘経験は数をこなすしかない。今は仲間だ。新しいメンバーがいる。俺一人じゃゴブリン一体まともに相手できない。」
「うん。」
アリスとミラは口をもぐもぐさせながら頷く。
はぁ、ニーナが仲間になってたら…でも、あいつ後衛だからな。前衛ができる奴が欲しいな。
「よし!」
クロたちは新しいメンバーを募集することにした。カウンターのお姉さんに紙をもらい募集内容を写真を見ながら書く。
 

パーティーメンバー募集!
新人冒険者三人パーティーです。
このパーティーに入ってくれる方、メンバー大募集中なので気軽に声をかけてください!


書いた紙をカウンターへ持って行き掲示板へ張り出してもらう。

「何しやがんだテメー!」
ギルド内に響き渡る大きな怒鳴り声が聞こえ、クロたちは声のする方へ目を向ける。
「すいません。すいません…。」
男の冒険者が女の冒険者を怒っていた。どうやら、女の方が男に飲み物をかけてしまったようだ。クロはその女性に目を奪われた。

あっあれは…。

彼女には獣の様な耳にフサフサの尻尾が生えていた。人間の身体にそれらが生えている。獣人では無くは半獣人だ。人間と獣人のハーフ。人間でも獣人でも無いこの世界では立場は微妙な存在だ。

「助けなくては…。」
クロはもめている場所へ行き、男の肩をポンッと叩いた。
「まぁ、ちょっと落ち着けよ。」
普段なら絶対に声をかけないであろう巨漢の冒険者に馴れ馴れしく声をかけていた。
「あ?!何だテメー、関係ない奴はすっこんでろ!」
ドンッ!
「ブフッ!!」
男はクロを殴りつけ、クロはベチンっ!と床に倒れこむ。
「いっ痛い!ぶった、親父にも打たれたこと無いのに!」
クロは頬を抑え、涙目で言う。
「くそ、白けたぜ!行くぞ!」
そう言うと男とその仲間たちはギルドを出て行く。

イッテー!マジでイテー!いきなり殴るなんてなんて奴だ。

「あの、ありがとうございました。」
「あっちょっと…。」
半獣人の女の子はお礼を言うと逃げる様に去っていった。
「あーイッテ…。」
クロが殴られたか所をさすっているとミラが無言で治癒してくれた。
「ありがとう」
「…。」
本当に無口な子だな。

クロたちはとりあえず今日は借りた部屋に戻った。部屋は10畳くらいの部屋でオンボロのベッド、机、イスが一つずつ置いてあった。クロとベッドに腰をかける。アリスはベッドに飛び込み初めてのベッドにはしゃぐ。だが、ミラはドアの前で立ち止まっていた。
「どうした?ミラだったな、こっちに来なよ。」
「いえ、私はここで良いです。」
「そう…。」
奴隷ってこういう風に言われてんのか……いや、なら尚更こっちに来させるべきだ!俺はミラを奴隷として扱ってつもりは無い!
「いや、やっぱりこっちに来い!アリスとミラでベッド使え。俺は床で良いから。」
「いえ、なら私が床で…。」
「いいから、これは命令だ。」
「…はい。」
とりあえず、ミラがこの状態に慣れるまで命令って言っとこう。
クロたちは明日に備え、早めに就寝する。クロは疲れていたのか昼前まで寝てしまった。起きるとアリスとミラはすでに起きていた。クロはすぐ準備をしてギルドへ行く。
「クロさん。」
ギルドに入るとカウンターのお姉さんが声をかけてくる。
「クロさんパーティーに入りたいって人がいるんですけど。」
「え?マジで、もう?」
お姉さんの後ろに誰かもう一人いた。
「ネロ・ザーニャさんです。」
「君は…。」
その人はギルドでもめていた半獣人の女の子だった。
「それじゃあ後はお任せします。」
「はい。ありがとうございます。」
クロたちと半獣人の女の子はとりあえず椅子に座って話をする。
「あ、あのネロ・ザーニャです。冒険者ランクは一です。」
「俺はクロ。で、こっちがアリス。それでこっちがミラ。よろしく、歓迎するよ。俺たちも冒険者ランク一だから敬語とかもいらないぞ。」
「はい。」
はいって敬語じゃん。まぁ、すぐには無理か。
「俺たちこれがゴブリン討伐行こうと思ってるんだけど。」
「はい、わかりました。」
「ネロは前衛、後衛?」
「私、ツイン・ダガーを使うので。」
「てことは前衛か。」
よかった、前衛で。
クロは早速森へ行き、ゴブリンを探す。そして一匹のゴブリンを見つけ、次はネロの戦闘レベルを見るためにわざと見つかる様に近づく。ゴブリンはすぐに気づきクロに短刀を持ち、襲いかかる。クロは襲いかかるゴブリンを受け止め、押し返す。
「ネロ!」
声と同時にネロは飛び出す。両手にダガーを持ち、身軽な動きと巧みな剣さばきでゴブリンを圧倒する。そしていとも簡単にゴブリンを仕留めた。
「はぁ、スゲー。」
クロは驚いていた。剣さばきもそうだが何より動き、彼女は強化魔法を使っていないのに使っている時の様な動きをした。
「今強化魔法使ってないよな。何でそんな動きが出来るんだ?」
「半獣人は人間よりも高い身体能力を持ってるんです。純粋の獣人はもっと高い身体能力を持っています。ですか獣人は人間よりも魔力量、魔法能力が低いんです。私は獣人と人間のハーフの半獣人、人間と獣人の能力を足して二で割った様な感じなんです。身体能力は人間以上獣人以下、魔法能力は獣人以上、人間以下なんです。」
「へえ、てことは獣人はもっと凄い動きするんだ。」
「はい。獣人はそのままの状態ですでに冒険者ランク二から三の戦闘レベルがあります。」
「何だそれ!とんでもねーな。まぁこれでネロの実力はわかった。これならもう一体増えても大丈夫そうだな。」

戦闘に余裕がある事を確認したクロたちはそのままゴブリン狩りを続けて事にした。そして再びゴブリンを探し、次は二体のゴブリンを発見する。クロがゴブリン一体抑えている間にネロが一体を倒し、そのあとクロが抑えているゴブリンを二人で倒す。という作戦とは呼びにくい方法を取ろうとしていた。
クロが突っ込む前にゴブリンたちはクロに気が付き、先手を打たれ襲いかかる。
「ネロ!」
「はい!…うわっ……!!」
そう言いネロが突っ込もうとした瞬間、ネロは石につまづいてこよろんでしまう。

えー!!こけた!!!

ネロに気を取られゴブリンへの反応が遅れるクロ。

くそっ!

そんなクロを庇おうとクロの前立つミラ。

「ミラ!何してんの!!」

クロはミラを抱き抱え剣が間に合わないと思い、ゴブリンを蹴り飛ばす。
「ミラ!危ないから下がってろ!」

そしてネロの方へ行ったゴブリンはアリスの風魔法「圧縮空気弾」で吹き飛ばす。

「一旦引くぞ!」

クロの掛け声で全員この場は逃げた。クロはアリスとミラを抱き抱え、全力で走る。ゴブリンたちはそれを追っては来なかった。
ある程度まで離れたクロたちは止まり、ゴブリンたちが追ってきていないことを確認し、その場に座り込む。
「はぁ、焦った。」
「ご、ごめんなさい!」
ネロは今にも無しそうな表情で謝る。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」
何度も謝るネロを見たクロは前にも同じ様な事があったのだろうと思った。そしてその度に罵倒されボロカスに言われたんだろ。そう思ったクロは。

「ドジっ子結構!!」

「えっ?」

罵倒されると思っていたネロは思いも寄らぬ言葉に驚きを隠せなかった。

「ドジっ子半獣人美少女。こんないいキャラした子に言うことはない!」

「何で…何でですか?私、大事な場面でドジしたのに…。」

「そうだな。でも、反省してるんだろ。そんな奴叱ってもしょうがないだろ。それにネロをどうこう言う資格ないと思うし。大事なのは次はどうするかだろ。ネロは今日どんなミスをした?」

「私は、大事な所で石につまづいてこけてしまいました。」

「じゃあ、今回の事で得た教訓は足元にも気をつけないといけないと言うことだ。生き物なんだ失敗はする。なら次は同じ失敗をしないように対策をする。そうして、ミスを減らしていけばいい。」

「はい!」
ネロは涙をこぼした。そして満面の笑みで返事をする。そして今日はこのまま街へ帰った。
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