前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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穴への訪問者

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(穴の住処には訪問者が訪れていた)

「お久しぶりですね!」と住民のハーフドワーフのドマスに声をかける者がいた。


「あぁ久しぶりだなぁ1年ぶりか?ドワーフ共和国の祭りの度にありがとうな!!ドワーフ達はどうだったよ?」


「そうですね。ドワーフの皆さんは無事でしたよ。貴方のお父様は大活躍していましたよ!!貴方もたまには会いに行ったらいかがですか?ここにいる皆さんは元気そうですか?」


「もちろん、全員元気だぞ!お前のお陰でここで皆が生活できてるよ!本当にフェルには感謝している。父の件は追々考えるよ。」

「私はアドバイスしただけですよ!エルフの国にも手を出さないように再三忠告をしたので大丈夫でしょう。もし何かあったらいつでも連絡してくださいね?」

「あぁもちろんだ。」

「そういや、彼がいないですが?」
キョロキョロと探すが見つからない。いつもなら大騒ぎをして勝手に姿を見せるのだが···


「あぁぁ、、、あいつはちょっとやらかしてな、謝りに行かせている最中だ。」


「謝りに?私の従兄弟くんは実力はあるけれど感情的になりやすいですからね~いつ帰ってきますか?」


「わからねぇ、またやらかしてないといいんだが······」
ドマスは中々帰ってこないルネ(ハーフエルフ)に、またやらかしたのではないかと思っていた。アイツは本来実力があるのにも関わらず弱い。自分の力に固執し、周りが見えないから···心配で胃が痛かった。


「そうですか。彼がいないと結界を張る人がいないでしょ?見張りが大変なのではないですか?私が数日程度なら結界張ってあげましょう!」

「ほんとか?ありがてぇ!S級冒険者のフェルに任せて悪いな。」

「そんなことありませんよ。私は外にテントを張りますので、失礼しますね!」


ドワーフ共和国にいたハイエルフとライオン獣人が穴へ訪問に来たのだった。実は数年前2人はこの場所を作った時に知識と力を貸していた。たまたま従兄弟の行方を捜索している時にこの場所を発見して以来、訳ありの者ばかりが暮らすこの場所へは度々訪問し、手土産を渡し魔物の討伐の手伝いなどを行ってきた。
さらにこのハイエルフは王族の末端に席を持っているため国での発言がそれなり強い。それらを権限を利用し、この場所を守っていた。
あの従兄弟くんは本当に何をやっているのだか、、、まだまだ若造で問題ばかり起こすから同族に殺されかけるのですよ、、、私が間に入らなかったら、、、少し成長したとおもったのですが、ブツブツと考えながら穴の外に出ると···

「遅かったな!従兄弟はどうた?元気してたか?」とライオン獣人のライオスが聞いた。


「それが何かをやったらしくて謝りに行っているそうです。少しの間この辺りに結界を張ってあげたいのですがいいですか?」

「あぁ?良いに決まってるだろ!数日くらいゆっくりしてもバチは当たらないだろう!鉱山都市は大変だったからな。」


「本当ですね。まさか仕事が終わって会いに行こうとしたら子供達がいないなんて·····せっかくお菓子や洋服を準備したのにショックですよ。」
まあここにいる者たちへ配れたからいいのですがねぇ···

「俺も驚いたぜ!逃げるようにいなくなったからな。ガハハハこんなに嫌われたのは初めてだ。まあでも暫くはお前と久しぶりに冒険できるのは楽しみだな!!!」

「まあそれもそうですね!子供達を探しながらゆっくり冒険しましょう!きっと見つけないとギルマスと魔族君がうるさいでしょうからね。」  

「あぁアイツがあんなに食に興味を持つなんて驚いたぜ!何も食べなくてもいい身体なのになぁ~あの時はすげぇ食ってたな。」

2人とも魔族の食いっぷりに驚いていた。普段人間の食べ物は嗜む程度しか食べないあの男がたくさん食べるのを初めてみたからだった。


「そうですね。私もまた食べたいです。」

それからハイエルフとライオン獣人は結界を張ったり、魔物の討伐をしながら時折2人は子供達の話で盛り上がった。
それだけドワーフの宿での出来事は印象深いものだった···



ハイエルフとライオン獣人、魔族の3人は鉱山都市での指名依頼を終えた後に子供達に会おうと思っていた。
空き時間を利用し、お菓子や洋服を手土産に準備するほど楽しみにしていたのだが居なくなっていたのだった。
なぜかそれが物凄くショックだった···
普段なら何とも思わないが、物凄く落ち込んだ。

また『会いたい』と3人は意見が一致し、暫く冒険者をやりながら子供達を探す事になった。 
いつもはソロ冒険者として世界各地を周っているが、今回チームを組むことになった。
何度も一緒にチームを組んでいるライオン獣人のライオスとハイエルフのフェルの2人なら慣れたもので気が楽である。

「私も一緒に探したかったな~」と魔族の男はボソッと呟きながら、次の指名依頼へ向かって行った。

早く子供達に会って美味しいご飯を作ってもらいたいと思いながらチームを組んだのだが、まさかもうすぐ会えるなんて思っても見なかった。
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