この世界の幼女は最強ですか?~いいえ、それはあなたの娘だけです~

怪ジーン

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第二章 最強娘の学園生活

入学初日からやらかしちゃったです

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 今日はアリスちゃんの入学初日とあって、パパに手を繋がれてマリアナ学園に向かったのです。
アリスちゃんとしては、熊五郎も連れて行きたかったのですが、パパに「ダメ」って言われちゃったです。

 熊五郎も熊五郎で学園が「アリスちゃんのような子供がたくさんいるところ」と説明したら、「少しくらい食べていいのか?」と言うので「ダメ」って言ったら「じゃあめんどうだから行かん」って言うんです。

 本当、我が儘です。

 昨日の夜にパパから色々言われたです。

「本気がどうのこうの」とか「怪我させちゃどうのこうの」って。
でも楽しみ過ぎて朝になったら忘れちゃったです。

 背中に背負ったピンクの小さなリュックにはリリカちゃんから貰った羽ペンとインクを詰め込んであるです。これでいっぱい文字を勉強するのも楽しみです。

「あれ、アリス。その人形持って来たのか?」

 パパはアリスちゃんのリュックに入ったパパ特製の猫の人形を指差して来たです。

「ダメですか?」
「そうだね。学校は勉強するところだから、人形は駄目だよ」

 ちょっと残念ですが、パパに人形を渡して持って帰って貰うことにするです。
パパは、この人形を見るたびに「呪われそうだな」っていつも言うのですが、アリスちゃんにはよく分かんないです。

「い、え…………ま、す」
「『家を建てます』だな」
「ざ……か、や、き……べ」
「『雑貨屋キュウベェ』だな」

 パパは、道すがら看板を見てアリスちゃんの読めない文字を教えてくれます。
でもやっぱりパパに褒められたいので、アリスちゃんが読める看板を探しちゃいます。

「パパ、あれは読めるです! 『おっパブ』って書いてあるです!!」

 パパはアリスちゃんを抱えて急に走り出したのです。合っていたのかパパに聞きますが、結局『おっパブ』なのか、あの看板が何なのか教えてくれないのです。





 学園に到着するとルナ先生が迎えてくれましたです。
パパから「手を出しちゃいけないよ」と言われました。
そうです、昨日の夜にパパに言われた事を思い出したのです。

「嫌な事があっても手を出さず我慢しなさい」って。どうしてアリスちゃんだけが……そう思いましたが、他の子はアリスちゃんほど強くないそうです。
弱いものイジメになるそうなので、アリスちゃんは「ハイっ!!」って元気に返事したです。

 アリスちゃんの手がパパからルナ先生に移った途端、急に悲しくなり思わずパパのズボンを掴み「いっちゃやだです」って言ってしまったです。
パパがちょっと困った顔をしちゃったので、すぐ放したですが。

「教室に入ったら自己紹介してね」

 ルナ先生に連れられて教室に向かうまで、アリスちゃんの胸はドキドキしっぱなしです。
今からでも手を振り切って、パパの元に駆け出したいところです。

「ここで、待っててね」

 ざわざわと声がする扉の前にアリスちゃんを立たせてルナ先生は教室の中に入っていきます。

「はい、皆、静かに! 今日は新しいお友達を紹介します。どうぞ入って来て」

 何故かアリスちゃん、一歩も動けません。それどころか手が震えています。
重くなった足を力を込めてやっと踏み出すのですが、扉を開いて中に入る時には体は硬くなり、頭の中は真っ白に。

「ぷぷ……っ、なんだ、あいつ手と足が一緒に出てるぜ」

 そんな言葉が耳に入って来るのですが、すぐに反対側の耳から通り抜けるのです。
緊張というらしいのですが、初めての経験なのでアリスちゃんにはどうすることも出来ませんです。

「あ、あ、ああああアリス、ちゃんです!」

 辛うじて声は出せましたが、誰かの「アリス・チャン?」という声がして、アリスちゃんは顔が熱くなってしまったです。

 生まれて初めて感じる感情に戸惑ってしまいます。これが“恥ずかしい”というのは後で知ったので、今はただただ肩が震えてしまいます。

「アリステリアちゃんよ。ほら、そこに座ってね」

 ルナ先生は自分の目の前の机と椅子を指差します。「はい……」と小さな声で返事するのがやっとでした。

「えーっと、皆に話があります! ほら、そこ静かに! アリステリアちゃんですが彼女の役割は“最強娘”というものです! それにより感情が昂ると力が制御出来なくなります。変なちょっかいをかけると自分に返って来ると思ってください! 怪我しますよ!!」

 ルナ先生の言葉にアリスちゃんの背中には何かがチクチクと突き刺さります。

「えーただの迷惑じゃんかぁ」
「どうして私たちのクラスなのぉ?」

 ひそひそとそんな声も聞こえてきて、もう今すぐにでも帰りたいです。
でもパパは我慢しろというので、アリスちゃんは頑張ります。





 ルナ先生が居なくなり、一時間目が始まるまでの間、クラスの子達はアリスちゃんにちょっかいをかけようとしたり、それをふざけながら止めようとしたりと好奇の視線に見られ、他の子の顔が見れないです。

「さっさと座れぇ!」

 今度はルナ先生とは違い男の先生が教室に入って来たです。
ルナ先生じゃなくてホッとしたのが分かります。

「あんた、何考えてんだぁ!!」

 突然廊下の外から聞き覚えのある声が響いて来たのです。教室の子供達もアリスちゃん自身も驚きました。
それは、パパの声だったのです。

「確かに、アリスの役割のこともあり他の子に怪我させないように目をかけてくれとは言った! しかし、あれでは腫れ物に触るなと言っているのと同じじゃないか!!」

 廊下に野次馬が集まり、アリスちゃんも気になってしまい廊下に出たのです。そこにはルナ先生に詰め寄るパパがいたのです。

「うちの子は役割以外、普通の子だ! あれでは心が傷つくとは思わないのか!」
「すいません! そんなつもりではなく他の子に警告を……」
「警告ってなんだ!? アリスは危険人物か何かか!! ふざけるな!」

 初めて見る怒鳴るパパに、自然と走り出していました。

「パパ! もういいよ! アリスちゃんが我慢すればいいだけです!」
「アリス……。違う、そうじゃない。我慢するというのは、あくまで手を出さないという意味だ。心まで我慢することは無いんだよ」

 難しいことはわからないです。でもパパが優しいのはわかったのです。アリスちゃんは思わず泣きながらパパに抱きつきました。

 その間、ルナ先生はパパに向かって「すいません、すいません」と何度も頭を下げていました。

「ルナ先生。謝る相手がちがうのでは?」

 いつの間にかパパとルナ先生の間に丸いマルイ学園長が割って入っていました。

「アリステリアちゃん、ごめんなさい。先生の言い方が間違っていたわ」

 しゃがみこみルナ先生が謝って来たのですが、この時アリスちゃんはパパと帰りたい想いで一杯で何も頭に入って来ませんでした。

「学園長さん。今日はアリスを連れて帰ります。明日、アリスを他の生徒が舐めないように手段を取るので。アリスの席を一番後ろにして横を空けるようにしておいてください。いいですね!」
「わかりました。今回は完全に此方の不手際です。申し訳ありません」

 こうして初日から早退とやらかしちゃったのです。
後から聞いた話だとパパはアリスちゃんが心配で、帰ったふりをしていたそうなのです。

 この日の夜、アリスちゃんはパパに一杯甘えちゃいました。
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