この世界の幼女は最強ですか?~いいえ、それはあなたの娘だけです~

怪ジーン

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第二章 最強娘の学園生活

|魔法《アーツ》と|魔法使い《アーツメイジ》

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 一週間ほど過ぎればアリスちゃんも学園生活に慣れたのです。
熊五郎は留守番したりパパが馬車で運んでくれたりとまちまちでしたが、今のところアリスちゃんに意地悪してくる生徒は居ません。

 リリカちゃんも時々、様子を見に来てくれてとても心強いのです。

 授業は一年生の間は読み書きばかりで少し退屈なところもありますが、覚えた言葉をパパに披露するととても喜んでくれるのです。

 今日は初めての休日で、パパも日雇いとかいうお仕事がお休みなので、午後に友達と遊ぶ約束した時間まで家でお手伝いです。

 床を掃くのはアリスちゃんのお仕事で、パパがアリスちゃん用に作ってくれた小さな箒でせっせと掃いていたら、家の扉がノックされたのです。

「はい、どちら様です?」

 開けるとそこには大きな荷物を背負ったサラお姉ちゃんがいたのです。

「やっほー。タツロウは居る? アリスちゃんにもお土産あるよ」
「あ、実家から戻ったのか。サラ」

 庭で洗濯をしていたパパが顔を出し、サラお姉ちゃんを招き入れたのです。

「はい。アリスちゃん、お土産」

 サラお姉ちゃんは、折角掃いた床の上に背負っていたリュックを逆さまにして中身をドサドサと散りばめたのです。

 ちょっとだけアリスちゃんも腹が立ちましたが、サラお姉ちゃんが見せてくれたお土産に、それもすぐに吹き飛んだのです。

「すごい量の服だな。どうしたんだ、これ?」
「うん、私のお古で悪いけど、アリスちゃんって持ち服少ないじゃない? 無いよりはましかと思って持ってきた」

 サラお姉ちゃんが持ってきた服の殆どはキラキラとしていて、飾りや模様が一杯な服ばかりなのです。

「ほら、これとかアリスちゃんに似合いそうじゃない?」
 
 サラお姉ちゃんがアリスちゃんに服をあてがいます。かなり濃いめのピンク色のワンピースなのですが、布がツルツルしており光っているのです。

「いや似合うけど、そんな服何処で着る機会があるんだよ。パーティードレスだろ、それ? 学校に着ていけねぇよ」
「ええーっ? じゃあ、これは?」

 次に出してきたのは黒い服なのですが、手首や首もと胸元にじゃらじゃらと飾りがついているのです。

「いやぁ、アリスの場合、絶対どっかに引っかけるだろ。それ」

 またもやパパのお眼鏡に叶わず、サラお姉ちゃんはしぶしぶと引っ込めたのです。

「じゃあ、どんなのがいいのよ!」
「もっと動きやすい服とか無いのか?」

 サラお姉ちゃんは床に散らばった服を一枚一枚広げていきます。

「これとかは、どう?」
「短パンか。確かにアリスはスカートばかりだからな」
「じゃあ、上はこれを合わせて……。それじゃ着替えて来まーす!」

 そう言うとサラお姉ちゃんはスタコラとアリスちゃんを拐って寝室へと向かうのでした。

 短パンというものを初めて履いたアリスちゃん的には、パパに何て言われるかちょっぴり不安でしたが、お披露目してみるとパパは思っていた以上に喜んでくれたので、アリスちゃんも嬉しいです。

「おお。もっと男の子っぽくなると思っていたけど、よく似合っているよ」
「でへへへへ」

 思わず照れて笑っちゃうです。ピッタリとした青色の短パンは、とても動きやすいのでアリスちゃんも気に入りました。

「熊五郎に見せて来るです!」

 庭に向かい馬小屋で寝ている熊五郎を起こして、目の前で回って見せてみました。
しかし、熊五郎は半目のまま「腹へった」と言いまた寝てしまうので、つまんないです。

「パパー、遊びに行って来ていいです?」
「遅くならないようにな」
「ハイです! サラお姉ちゃん、ありがとうです!」

 集合場所の公園目指して一目散にアリスちゃんは走るのでした。





 翌日、一時間目が終わるとルナ先生がこんな事を言っていました。

「次の時間は魔法アーツについてのお勉強です。実際覚えるのは二年生からですが、今日はそんな二年生の授業を見学します」

 ルナ先生の言葉を聞いてクラスの子達が、ざわざわと騒ぎ始めたのです。アリスちゃんには、そんなに騒ぐ理由がわかりません。なので、隣の席のミーマちゃんに聞いてみました。

「皆、なんで騒いでいるです。それも嬉しそうに?」

 ミーマちゃんは初めアリスちゃんの質問にきょとんとしていましたが急に瞳を輝かせます。

「だって、だって魔法アーツだよ! あー、早く二年生にならないかなぁ!」

 どうやら皆まだ魔法アーツを使えないようです。アリスちゃんは、パパから教わって使えるのですが、どうも力加減というのがわからないのです。

「ハイです! 先生!」
「どうしたのアリステリアちゃん」
「アリスちゃんは魔法アーツを使えるですが?」

 すると一斉に皆此方に振り向くのです。

 口々に「羨ましい」とか「どうして?」とか飛び交います。先生が「静かに」との一言が出るまで続きました。

「アリステリアちゃん、誰に習ったの?」
「パパです」

 アリスちゃんの席までやって来てルナ先生は難しい顔をします。

「上手に扱える?」

 ルナ先生の質問にアリスちゃんは素直に首を横に振るしかありません。

「もしかして力加減出来ないとか?」

 首を縦に振りました。いつもアリスちゃんの魔法アーツは暴走しちゃうのです。

「わかったわ。それじゃ放課後少し残ってくれる?」

 アリスちゃんはルナ先生にそう言われちゃったのです。





 魔法アーツの授業の見学をしましたが、正直苦戦している子が殆どでした。
パパから教わった時と比べて事細かに教わっていましたが、上手くいかないようです。

 生徒の中にリリカちゃんを見つけましたが、やはり皆と同じでした。

 放課後になりルナ先生に呼ばれて一人でルナ先生の後をついていきます。
見学後、クラスの子達何人かから「教えてくれ」と頼まれたのですが、ルナ先生がそれを止めてくれました。
そして、絶対教えないようにと注意されちゃいました。

「お待たせ」

 ルナ先生に連れて来られたのは魔法アーツの授業で使用していた建物の中でした。
中には見たことのない先生達がいたのです。

「今からアリステリアちゃんには魔法アーツの特別授業をします。理由は、わかる?」
「暴走するからです?」
「半分当たりかな。これはアリステリアちゃんの為でもあります。上手く力加減が出来た方が嬉しいでしょ?」

 アリスちゃんは強く頷きます。基礎魔法ベースアーツは生活に使えるのです。つまり、パパのお手伝いをもっと出来るようになるということなのです。

 アリスちゃん、頑張ります。

 他の先生達がルナ先生とアリスちゃんを取り囲みます。

「さあ、アリステリアちゃん。まずは水の魔法アーツを使ってみてください」
「でも、先生。アリスちゃんが使うと……」
「大丈夫です。ここに居る先生方、そして私もだけど、役割は“魔法使いアーツメイジ”なの。ちゃんと力加減覚えないとね。お友達、傷つけたくないでしょう?」

 そう言ってルナ先生はにこりと微笑むのです。その笑みはアリスちゃんの不安を取り除いたのです。

「キュルト」

 両手を前に差し出して水の魔法アーツを使います。しかし、予想通りアリスちゃんの力は暴走したのです。
術者のアリスちゃんの周りを除いて建物内に水が一気に満たされていきます。

「アンソート!」

 咄嗟に先生方が魔法アーツを唱えます。聞いたことのない魔法アーツから、多分上級魔法ハイアーツだと思われます。

「アンソート!」

 ルナ先生も同じ魔法アーツを唱えます。するとルナ先生を中心に球体に覆われ、中に水が侵入してきません。

「アリステリアちゃん。想像して! 前に出した手の前に球体があると! 出来ましたか?」

 理由や理屈は分からないですが、アリスちゃんはやってみました。差し出した両手の先に球体を想像し、頷きます。

「出来たのなら、それを少しずつ少しずつ小さく小さくしていくように考えなさい!」

 不思議な感覚です。想像の産物のはずの球体は思ったように小さくなりません。気を抜くと球体の内側から反発されるのです。

「むむむ……っ」

 ゆっくりですが確実にほんの少しずつ小さくしていきます。少しも気が抜けません。

 徐々に小さくなるにつれ、建物内の水が少しずつ引いていくのですが、集中していてアリスちゃん自身は気づいていませんでした。

 かなりの時間をかけてですが、球体をアリスちゃんの拳大まで小さくすることが出来たのです。

「アリステリアちゃん、ゆっくり顔を此方に向けてみて」

 ルナ先生の言われたように顔を上げてみて驚きました。

 周りの暴走していた水は、一つの球体になり、そこから少しずつ緩やかに水が下に流れ落ちていたのです。

「これが本来のキュルトよ」

 安心したのか魔法アーツを解くと、その場に座って立てなくなってしまいました。
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