追放された幼女(ロリ)賢者は、青年と静かに暮らしたいのに

怪ジーン

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第四章 レイン自治領の危機と聖霊王

三話 幼女、合流する

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 レイン自治領に住んでいた人々は、街から少し離れた小高い丘から未だに消えることのない燃え盛る街を見て項垂れていた。
アカツキ達は、そんな心中を察して助けた人々に声をかけて励ます。
しかし、住民達のショックは大きい。
レイン帝国が崩壊して、力を合わせて復興させてきた街を再び壊されたのだ。
まるで賽の河原で石を積むのを鬼に邪魔されたようで、心が折れるのも無理はなかった。

 そんな最中、此方に向かってくる一台の豪華絢爛な馬車と、別の方角からやってくる馬に乗った集団。街のある方角とは違うので、連中とは違う可能性はあるものの、アカツキ達は警戒して身構える。

「あ、アカツキ様!?」

 先頭を切って走ってきた馬の上には見覚えのある女性がいた。体は、煤と灰にまみれ返り血も所々に付着しているが、その佇まいは高貴な身分を思わせる。
それもそのはず、彼女は元レイン帝国のお姫様で現レイン自治領トップのレベッカであった。
彼女とアカツキは、それほど知った仲ではないものの、ヴァレッタの親友でもあり、且つ何度かルスカに同行して三国会議にて出会っていた。

「レベッカ様でしたか。その姿は!?」
「そうですか……この人達はアカツキ様が……。お恥ずかしい限りですが、自警団を率いて抵抗したのですが、残念ながらこの有り様で」

 彼女には最早、姫であるがゆえに以前のちょっと鼻に付くような態度は見受けられなくなっていた。その自ら浴びた返り血の多さが、彼女をレイン自治領のトップとして申し分がないことを証明している。

「アカツキ、あの馬車に乗っているのって……」

 流星に声をかけられ馬車の方へと振り向くと、窓から顔を出して手を振るルスカの姿があった。


◇◇◇


「アカツキ!!」

 馬車の扉を開くと胸に飛び込んできたルスカをがっちりと抱き締める。
二人は互いに、その温もりを確かめるようにしばらく抱き合っていた。

 そんな微笑ましい空気も、すぐに吹き飛ぶ知らせが届く。レベッカの部下が街の様子を確認して戻ってきたのである。

「誰も居ないですって!?」

 レベッカの言葉にアカツキ達も驚く。間違いなくアカツキ達は、レイン自治領で襲撃者を撃退してきた。しかし、レベッカの部下の男曰く、襲撃者らしい者はおらず、街に残っていたのは襲われた住民ばかりだという。
襲撃者の一人でも捕らえて、情報を聞き出すというレベッカの魂胆は的を外れてしまった。

「そうです、ルスカ。来る途中、お嬢様を見かけませんでしたか? 子供達を連れているはずですから、それほど早く──会ったのですね!?」

 ヴァレッタの事を聞いたルスカの表情が一気に曇ったのを見て、アカツキは察したくないものを察してしまった。中々、安否を切り出さないルスカにアカツキの表情もどんよりと曇り始める。

「ヴァレッタは……」

 ようやく、始めたルスカの話を聞いてアカツキや流星、それにレベッカまでも顔面が蒼白になる。

「ひでぇ……」
「子供達が……それにお嬢様も……私は、旦那様にどんな顔をすれば……」
「アカツキ様のせいではありませんわ。全てはこのレベッカの不徳のなすところ……」

 逃げる住民に紛れて一時グランツリーへ避難に向かったと聞いたのは、不幸中の幸いであった。

 アカツキは、丘の上から見えるレイン自治領に向かって目を瞑り黙祷を捧げる。流星やルスカもアカツキに倣うのであった。


◇◇◇


 レベッカは丘の上に避難していた住民を連れて、グランツ王国に向かった。いくら思い入れのある地でも、粉骨砕身で復興に望んでいたレベッカも「捨てるしかないわ」と言い残すほど心が折れていた。

「私達も、一度グランツ王国に戻りましょう。ルスカ、彼らに関しては国単位で当たる必要があると思います。このローレライの秘密……ある程度話さなくてはなりませんね」
「仕方ないのじゃ。グランツ王国やグルメール王国の協力があれば魔石も集まりやすいやもしれんしの」

 ルスカが乗って来た馬車に全員乗り込む。アカツキの隣には流星、対面にはキャシーとハーミー、アカツキの膝の上にはルスカ、頭の上には小型犬の大きさになったガロンが鎮座している。

「なんか、のけ者みたいで寂しいなぁ……」

 そう呟いて一人御者をするタツロウは、空を見上げながら馬車を出発させるのであった。


◇◇◇


 グランツ王国の境界線では、早くも難民となったレイン自治領の住民の受け入れが始まっていた。

「タツロウさん、止めてください!!」

 止まった馬車から降りたアカツキは、溢れかえる人の波を掻き分けながら、順番待ちをしていた女性に声をかける。

「お嬢様!」

 それは、もちろんヴァレッタであった。ヴァレッタは振り返りアカツキの顔を見るなり、緊張の糸が解けてポロポロと涙を流し始める。
そして、人の目を気にすることなくアカツキの胸に飛び込み号泣するのであった。
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