追放された幼女(ロリ)賢者は、青年と静かに暮らしたいのに

怪ジーン

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第四章 レイン自治領の危機と聖霊王

四話 三国会議、改めローレライ会議

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 これからの運命を示しているかのように、空はどんよりと曇り、小雨が降りだす。ヴァレッタと合流したアカツキ一行は、ルスカを含む子供たちと女性陣を馬車へと乗せ、アカツキ、流星、タツロウの三人は御者台に狭苦しく座る。
目的地は、グランツ王国の首都グランツリー。

 兵士に先導されて暗く落ち込む表情の難民達を横目に、アカツキ達の馬車が通りすぎる。それを見た全員が自分達が馬車で移動していることに心を痛めていた。

 しかし、それでもアカツキ達は急ぐ必要がある。話は一国レベルを超えており、ローレライ全土にまで及ぶ。

 グランツリーの門の前には人だかりが出来ており、一気に全員を入れる訳にはいかず、兵士がてんやわんやで対応にあたっていた。
それでも、アカツキ達は優先的に通そうとする兵士達。
難民の中には、そんなアカツキ達を見て「贔屓だ!」「オレたちも入れろ!」と罵声を浴びせるものや、石まで投げつけるもの迄現れた。

「……つっ!!」

 事情の知らない難民の投げた石がアカツキの頭に当たる。ルスカはそれを見て馬車から降りようとするが、直ぐ様アカツキが制止する。

「堪えてください、ルスカ。今、馬車の扉を開けたら子供達が危険です」
「ぐっ……」

 扉が閉まっているからこそ硬く頑強なイメージを心理的に与えているが、一度開けてしまうと容易く開く事を教えるもの。そうすれば、我も我もと雪崩れ込む可能性がある。

 城の前に着いた馬車は、あちこち凹みが見え豪華絢爛な馬車の見る影もない。
城に入れば、今や一般人であるヴァレッタと子供達は、他の侍女に別室を案内され、別れる。

「アカツキ様、ルスカ様、よくご無事で」

 玉座より降りて自らアカツキ達を出迎えるイミル女王。レイン自治領の惨状は、一足先に来ていたレベッカから話を聞いていたのだろう。

「イミル女王。一つ、お願いが御座います」

 畏まるアカツキを立たせて、イミル女王は小さく頷く。何となく、察していてはいたのだろう。三国会議の緊急開催を。
ただ、アカツキの提案は、もう少し規模の大きいものであった。

「グルメールだけでなく、ドゥワフ国ならびに各小国の代表にも集まってもらいたいのです。この問題は、レイン自治領や森エルフ、そしてグルメールだけの問題ではないので……」

 アカツキは、事の顛末を一部始終話す。不明であった襲撃者の正体、そしてその目的が、このローレライ全土の奪還にあるということを。
ただ、アカツキはルスカに関しては、黙っていた。元々、ドラクマに住んでいた自分の先祖が“食らうもの”の襲撃により、ローレライへと逃げ出し、元々ローレライに住んでいた者を追い出したことが事の始まりだと。
もし知れば、人々は自分を、自分のルーツを正当化しようとするだろう──“食らうもの”が中にいるルスカを非難して。
たとえ元凶が、ルメールという神にあったとしても……。

「グルメールの方には、私達の方からカホさんへ連絡する手段があるので問題ないです。ですから、イミル女王には他の国への手配をお願いします。難民の受け入れで大変でしょうけど」
「難民の方はわたくしがやりますわ。元々はレイン自治領の問題ですから」
「わかりました。すぐに各国へ使いを出しましょう。それと、ドラクマにいるアデルも呼び戻しましょう。恐らくモルク様も手を貸してくれるはず」
「それとワシからも頼みがあるのじゃ」

 ルスカが話に割って入ると、イミル女王は躊躇なく頷いてルスカの方へ視線を移す。

「アカツキから話を聞いたのじゃが、ここにいる森エルフのハーミーを連れて魔石の回収を頼みたいのじゃ。森エルフの住み処は燃やされたが、そろそろ鎮火しておるはず。ハーミーも良いな?」
「わ、私の方は構いません……今さら、残しておいても仕方のないことですから」
「それが終われば、ハーミーはリンドウの街へ行くといいのじゃ。彼処にはナーちゃん達もおるしの」

 イミル女王が各国に遣いを出すべく兵士達へ命令を跳ばす。そのうちの一人の兵士に促され、ハーミーは皆に一礼したあと退席していった。

「名称は、“ローレライ会議”とします。そして、代表は……ルスカ様、またお願い出来ますか?」

 正直今回ばかりは願い下げしたいルスカ。理由は、当然ルスカの中にある“食らうもの”の存在。かといって国のトップが会議の代表になれば、贔屓だと言われる。二つ返事で引き受けず、思い悩むルスカを見て、自然と視線はアカツキへと集まっていた。

「わ、私ですか!? 私は一般人ですよ!?」
「同時にルスカ様の保護者でもありますわ」

 レベッカの言葉に、その場にいた皆がうんうんと頷く。もちろん、ルスカ本人も。

「私にどうしろと……」
「な~に、心配いらんのじゃ。ワシが側についておるから大丈夫じゃ!」

 それなら初めからルスカで良いのでは──とはとても言える雰囲気ではなく、アカツキは肩を落としながら、しぶしぶ引き受けるのであった。
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