追放された幼女(ロリ)賢者は、青年と静かに暮らしたいのに

怪ジーン

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第四章 レイン自治領の危機と聖霊王

七話 幼女、幼児嗜好主義者に怯える

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 ローレライ会議終了後、城の大広間にて用意された料理を囲み、しめやかなパーティーが行われていた。そこには、ホストとしてイミル女王は参加していたが、アカツキ達の姿は無かった。

 アカツキ達は、今後の予定を話合うために、アカツキとルスカに用意されていた部屋へと集まっていた。

「聖霊王の居場所じゃと?」
「はい。このガロンが言うには、魔石を持っているかもしれないと」
『魔石ハ聖霊ノ死骸ガ集マッタモノ。可能性ハ非常ニ高イ。シカシ、我々神獣ト聖霊王ハ仲ガ良クナイ。居場所ヲ知ラヌノダ』
「むうぅぅ……聖霊王、聖霊王か……」

 腕を胸の前で組み、ルスカは眉をハの字にする。どうも、乗り気ではないようだった。

「どうかしましたか?」
「聖霊王は、傲慢でのぉ。容易に力を貸すとは思えぬのじゃ。しかし、手がそれしかないとなると、文句も言えんの」

 ルスカは、地図を用意してもらい皆に分かるようにテーブルに広げる。航空地図等なく、手書きで描かれた地図は、あまり正確とはいえない。
しかし、ルスカが指し示した場所には関係がなかった。
そこは、グランツ王国の北、ドラクマへの入り口がある島から更に東、海の上。
地図には島すら描かれておらず、行く方法も山々が邪魔をしており、グランツ王国の北の海から迂回しなくてはならない場所であった。

「こんな所に聖霊王が?」
「いや、正確には居場所自身はワシにもわからぬ。ただ、ここにある小さな島には、聖霊王を祀っている人々が住んでいるのじゃ。あるいは、そこになら……」

 次の目的地が決まったタイミングで、部屋の扉がノックされる。弥生が扉を開くと、そこには先ほどの会議で協力を取り付けることが出来た、ザングル国の代表であるバッハと、腰の曲がった老人が立っていた。

「すまぬな、急に。水臭いではないか、協力すると言ったのに我らを除け者か。それで何を相談しておるのだ?」

 ここで邪険にすることも出来ず、アカツキは一先ず自分達の目的を話す。それは、巨大パペットによる山脈越え。しかし、その為には魔石とパペットの改修が必須だと言うことを。

「パペットじゃとおおおっ!!」
「うわっ、なんじゃ、お主は!?」

 腰の曲がった老人とは思えないスピードでアカツキに詰め寄ってくる。アカツキの足元にいたルスカは、アカツキと老人の間に挟まる格好になってしまった。

「し、失礼。私はナルホと申す。長年、ルスカ・シャウザードについて研究をしておってな。特にルスカ・シャウザードのパペットに関しては、ローレライいちを自負しておる」
「は、はぁ……」
「パペットの改修なぞ、面白そうなこと我輩としては黙っておれんかったのだ」

 その後、アカツキ達の言葉を遮るように、つらつらとルスカに関して話始めるナルホ。どれだけルスカの作ったパペットが素晴らしいか、どれだけその素晴らしいパペットを作ったルスカが素晴らしいかを延々と喋る。

 ルスカの顔がみるみる赤くなってくる。それは褒められて恥ずかしいのか、老人とアカツキの間で圧迫されて息苦しいのか。

「ええいっ! 邪魔じゃ!!」

 ルスカは狭苦しい中、腕を折り畳み握り拳を作ると、真上へと突き上げる。
拳の向かった場所は、ちょうどナルホの足の間。

「ぐほっ!!」

 悶絶したナルホは床へ這いつくばる。その場にいた男性全員がナルホの姿を見て居たたまれなくなる。

「な、ナルホ。大丈夫か? す、すまぬな、ナルホはルスカ・シャウザードのことになると見境が無くなるのでな。我輩もナルホからは散々聞かされて辟易しているのだ。何がルスカ・シャウザードだ、そんなわけわからぬ──ぐほっ!! な、何を……こ、こむす、め」

 ルスカのアッパーが、今度はバッハの股関へ突き刺さる。

「わけわからぬってなんじゃ!?」
「まぁまぁ、落ち着いて」

 アカツキは興奮したルスカを抱えるが、ルスカは納得いかぬと腕の中で暴れる。

「はい、ルスカ。あーん」
「あーん」

 ルスカの口元へイチゴの飴玉を差し出すと、ルスカは大人しくなりアカツキの指ごと咥える。

「そ、そうか……そなたの名もルスカと言うのか……同じ名前とは」

 ヨロヨロと股関を押さえながら立ち上がるバッハだが、足はプルプルとまだ震えている。

「あー、違いますよ、本人です」
「な、なに?」
「いえ、ですからこの子がルスカ・シャウザード本人ですって」

 その時、悶絶していたナルホの目が輝き急に立ち上がり「ルスカ・シャウザードおおおおー!!」と叫びながら抱きつこうとしてきた。

 アカツキの腕の中にいたルスカは、小さく「ひっ!」と悲鳴を上げる。悶絶中だったナルホの口元には涎が垂れ下がり、変態そのもの。

「いい加減にしてください」

 アカツキの背中からエイルの蔦が伸び、ナルホの進撃を止める。蔦に掴まれながらも、手足をもがくナルホの姿は狂気染みており、落ち着くまで十数分の時間を要するのだった。


◇◇◇


 落ち着きを取り戻したナルホと、バッハはルスカに対して謝罪をする。当のルスカは飴玉に夢中で聞いておらず、そっぽを向いていた。

「この度は、ルスカ様のご尊顔を拝謁出来て、このナルホ感激の余りに──」
「長い。長いですよ。二人ともそれくらいにして頭を上げてください」

 アカツキに言われて二人は顔を上げるも、ナルホの視線だけはルスカから全く外そうとしない。視線を感じてルスカは身震いする。

「ふぅ……話を戻しましょうか。ナルホさん、貴方はパペットの研究をしていると言ってましたね? 良ければドラクマへ行ってパペットの改修のお手伝いをお願い出来ませんか?」
「ふむ、バッハ様、よろしいですかな?」

 ナルホはバッハの許可を取ろうとするも、その視線は未だにルスカに向けられていた。

「うむ。このまま何もしないとなればザングル国の名折れ。存分に手伝って来い」
「それなら、ワシがパペットの仕組みを説明するのじゃ。ナルホとやら、ついて来るのじゃ」
「ルスカ様と二人きり……ルスカ様と二人きり……はぁはぁ」

 アカツキの腕から飛び降りたルスカは、すぐにアカツキをよじ登り首にしがみつくのであった。
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