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一章
四角い箱
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《これより個体名`神谷夏樹`の解析を行います》
聞き覚えのない声が頭に響く。
「ここは、どこだ……」
俺は確か、さっき雪崩に巻き込まれて……。
ダメだ、思い出せない。
《神谷夏樹、異称`ファシス=アリュシーヌ`帝国`ルイーヌ`出身》
人間……? いや、機械音のような声が聞こえる。
そして今わかることは、直径約3mの正方形の部屋にただ1人立っているということ……。1人?
「おいっ、他の2人……いや周りにいた皆はどうした!!」
《そのようなコメントにはお答えできません》
いかにも定型文のような返しだ。
《私は貴方様のために作られたプログラム、閣下のご命令にのみ従います》
「……貴方様? プログラム? 閣下? 何を言っているんだ」
《話が逸れたようです、解析を続けます》
「解析解析って、お前は一体何がしたいんだ」
流石に俺もこの非科学的な状況を前にして冷静にはいられない。
《それはですね……。危ない、言ってしまうところでした》
「お前、天然だろ」
少し声の主の頰が赤くなったような気がした。
《軌命`17`職業`剣士`得意ソーサリー`闇光`》
プログラムとやらは、俺の質問は誤魔化してそれからもなにやらブツブツと唱えていった。
《……全ての解析が終了しました。続いて、転送を行います》
……転送? どういうことだ。
これは最近流行りの転生ってやつか?
頭をフル回転させて今までの現象を飲み込んだ。
とりあえず、これから俺の身に何かが起こるらしい。
それは、死んだ人間が必ず通るモノなのか……それとも?
「なんとなく状況は理解した。これからお前は何をするんだ?」
《その質問にはお答えしましょう》
……何がNGなのかがイマイチわからない。
《これより貴方様を`ユファンダル`の帝国ルイーヌに転送します》
《肉体はそのまま、しかし貴方様の記憶はリセットされることとなります》
……ユファンダル? ルイーヌ? いろいろ突っ込みたいがその前に最も聞かなければならないものがあった。
「記憶はリセット? どーゆー意味だ」
《言葉の通りです。私は貴方様の記憶をリセットします》
俺は確かな憤りを覚え、大きく声を荒げた。
「ふざけんな!! お前に何の権利がある!」
《時期にわかります。無駄話もこの辺にして、最終段階へと移りましょう》
機械音がそう告げると同時に、俺の体は見えない糸のようなモノに縛られたような感覚がした。
……体が、全く動かない。
心の中で「くっ!」と発するも、当然口から音は出ない。
《座標`43917`固定。出力上昇》
体が熱くなる。
《転送開始》
縛りが解けると、体が四方八方に引き裂かれる感覚に陥った。
すぐさま空間に歪みのようなものが生まれ、そして俺を吸い込んだ。
俺は意識が途切れる最後まで、機械音の聞こえる方を睨み続けた……。
聞き覚えのない声が頭に響く。
「ここは、どこだ……」
俺は確か、さっき雪崩に巻き込まれて……。
ダメだ、思い出せない。
《神谷夏樹、異称`ファシス=アリュシーヌ`帝国`ルイーヌ`出身》
人間……? いや、機械音のような声が聞こえる。
そして今わかることは、直径約3mの正方形の部屋にただ1人立っているということ……。1人?
「おいっ、他の2人……いや周りにいた皆はどうした!!」
《そのようなコメントにはお答えできません》
いかにも定型文のような返しだ。
《私は貴方様のために作られたプログラム、閣下のご命令にのみ従います》
「……貴方様? プログラム? 閣下? 何を言っているんだ」
《話が逸れたようです、解析を続けます》
「解析解析って、お前は一体何がしたいんだ」
流石に俺もこの非科学的な状況を前にして冷静にはいられない。
《それはですね……。危ない、言ってしまうところでした》
「お前、天然だろ」
少し声の主の頰が赤くなったような気がした。
《軌命`17`職業`剣士`得意ソーサリー`闇光`》
プログラムとやらは、俺の質問は誤魔化してそれからもなにやらブツブツと唱えていった。
《……全ての解析が終了しました。続いて、転送を行います》
……転送? どういうことだ。
これは最近流行りの転生ってやつか?
頭をフル回転させて今までの現象を飲み込んだ。
とりあえず、これから俺の身に何かが起こるらしい。
それは、死んだ人間が必ず通るモノなのか……それとも?
「なんとなく状況は理解した。これからお前は何をするんだ?」
《その質問にはお答えしましょう》
……何がNGなのかがイマイチわからない。
《これより貴方様を`ユファンダル`の帝国ルイーヌに転送します》
《肉体はそのまま、しかし貴方様の記憶はリセットされることとなります》
……ユファンダル? ルイーヌ? いろいろ突っ込みたいがその前に最も聞かなければならないものがあった。
「記憶はリセット? どーゆー意味だ」
《言葉の通りです。私は貴方様の記憶をリセットします》
俺は確かな憤りを覚え、大きく声を荒げた。
「ふざけんな!! お前に何の権利がある!」
《時期にわかります。無駄話もこの辺にして、最終段階へと移りましょう》
機械音がそう告げると同時に、俺の体は見えない糸のようなモノに縛られたような感覚がした。
……体が、全く動かない。
心の中で「くっ!」と発するも、当然口から音は出ない。
《座標`43917`固定。出力上昇》
体が熱くなる。
《転送開始》
縛りが解けると、体が四方八方に引き裂かれる感覚に陥った。
すぐさま空間に歪みのようなものが生まれ、そして俺を吸い込んだ。
俺は意識が途切れる最後まで、機械音の聞こえる方を睨み続けた……。
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