贈るコトバ

I am DOG

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滅亡

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 俺は受験勉強から逃げるようになった。勉強だけでなく、全てにやる気が出なくなった。励ましてくれる人も最初は多かったけど、徐々に減っていった。いつの間にか、友人からのメールも途絶えていた――。

 学校に来なかった俺を心配して、先生が自宅まで来てくれた。

 正直、迷惑だと思った。

 当然、会うことすらしなかった。

 でも、しつこいくらいに関わってきた。


 朝、昼休み、放課後、夜……時間を変えて何回も来た。それだけじゃない。電話やメール、手紙……動画なんかも送ってきたこともあった。

 女性が送り付ける動画なんかに興味があったわけではないが、たまたま俺の指が再生の△マークに触れたことで、パンドラのはこは開いてしまった。

 先生は泣いていた。
 中年女性特有の分厚い化粧が、まるで土石流のように崩れ落ちていた。

『君が立ち直るまで絶対に諦めないからね。発明王エジソンだって二万回も実験したのよ。でも、彼はその二万回を失敗だとは言わなかった。二万通りの上手くいかない方法を見つけたって自慢げに語ったという話、聞いたことあるでしょ。たとえ一歩ずつでも、私は君に近づくからね、覚悟してね』

 俺は白熱電球扱いかよ。卒業まであと四ヶ月だろ? 二万回はどう計算しても無理だ……ぷぷっ、でもこの妖怪ならやりそうな気がする。

 俺も先生と同じく、一歩ずつでも立ち直る覚悟を決めた。



 俺が学校に戻った頃も、彼のカラオケ通いはまだ続いていた。

 ほんと最低だな。仲間が死んで、俺も傷ついてこんなになっているのに。皆がバラバラになってしまったってのに、そんな幸せそうな歌を歌いやがって。


 次の日、彼が領収書を持ってきた。

 カラオケ代の半分を慰謝料として請求してきた。

 当然、喧嘩になった。

 幼馴染のそいつと喧嘩をするのは初めてだったけど、負けるはずも、負けてやる理由もなかった。

 そいつは、仰向けに倒れたまま泣いていた。いつまでも声をあげて泣き続けていた――。
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