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記憶
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お祖父様から、条件付きで武術や剣術を習う許可がおり、現当主であるお父様からも許可がおりた。
それからの日々は、本当に大変だった。どうしても魔力に頼る事ができない分、力をつけなければいけないし、魔力で攻撃された時の対処法も学ばなければならなかった。
それと平行して、ケイトからは侍女としての仕事をみっちり叩き込まれた。
「違います!」
「やり直しです!」
ケイトも…本当に容赦無かった。
マクウェル様との婚約の話しが出た後、お祖父様が言っていた通り、マクウェル様は一度隣国へと帰って行った。
帰る前にレオグル様と共に挨拶に来たらしいのだけど、丁度私は街に買い物に出ていた為会えなかった。買い物から帰って来た時─
「シルフィー、帰って来るのが遅かったのね。隣国に帰る前に、マクウェル様が来てたのよ。会えなくて残念だったわね。」
“残念だったわね”と言いながら、何となく嬉しそう?な顔をするエレーナ。そんなに牽制?しなくても…私がマクウェル様の婚約者になる事は…ないと思うけど。それでも─
ー最後に会えなかったのは残念だったなー
寂しい思いには蓋をした──
訳ではない。そんな哀愁漂う暇も深窓の乙女になる事すらできなかった。
お祖父様からの武術や剣術の指導が始まり、うじうじする暇もなかった。普段、私にはとても優しいお祖父様だけど、武術の指導となると180度一転する。孫の私にも勿論容赦がなかった。
ーいや、容赦なんてされても困るけどー
それでも、流石はキリクスの血をひいているな─と実感する程、武術や剣術の動きは体がスッ反応する。それに、厳しくとも楽しいと思う気持ちの方が大きかった。
ー魔力が殆ど無くても傷物の私でも、誰かの為に役に立てるかもしれないー
そう思うだけで、明るい気持ちになる事ができた。
相変わらず、表情豊かではないけど。
この国では、18歳になると貴族の子達は社交デビューをする決まりになっている。
その前の3年間─15歳から17歳─の間、王都にある学園に通う事になる。その3年で、学業は勿論の事社交について学んだり、領地運営についても学べる。余程の理由がない限りは、貴族であれば通わなくてはいけないのだ。
私も…然り……
そして、その学園に入園する迄後1年─私が14歳の誕生日を迎える数日前に、3年ぶりにレオグル様とマクウェル様が邸にやって来ると連絡が来た。
ーまた、3年前と同じように…私にも笑ってくれるだろうか?ー
少し不安な気持ちもあったけど、早く会いたいな─と、会う事を楽しみに過ごした。
「レオ、久し振りだな。また元気に会えて嬉しいよ。」
「ジュードも元気そうだな。」
3年ぶりの再会に、お祖父様とレオグル様は軽く抱擁を交わす。そして、その2人の横には─
「シルフィー、エレーナ、アーロン、久し振りだね。」
と、以前よりもぐんと背が伸びていて、長い髪は後ろで束ねられていて、顔も少し大人びた感じで──
「元気だった?」
そして、以前と変わらず、私にも笑顔を向けてくれるマクウェル様が居た。
トクン─
あぁ─やっぱり、この笑顔を見ると胸が騒ぎだしてしまう。
ふと、体に違和感を抱く。
ーあれ?ー
と思った時には、足元がぐらつくような感覚になって─
「シルフィー!?」
少し焦ったような顔をしたマクウェル様が、私の方に手を伸ばして来るのが見えたのが最後、私は意識を失った。
『それじゃあ、今度は僕が見付ける番ね?』
『分かった。今度は私が隠れる番ね!』
あの子が、『いーち、にー、さーん、』と数を数えだし、私は隠れる場所に駆け出した。
いや、私にとって、隠れる場所は何処でも良いのだ。私の能力について、あの子は知らないから、この勝負は私の勝ちだよね─?
私が、能力を使ってその場所にしゃがみこんだ。
どれ位時間が経ったのか…その時間が長くも短くも感じられた。
『まだかなぁ?』
見付かりたくないけど、見付けて欲しいような…少し寂しい気持ちになって、立ち上がって辺りを見渡すと、少し遠くの方からあの子がキョロキョロしながらこっちに来るのが見えた。
『良かった。ちゃんと探してくれてた。』
ホッとして、またしゃがみこもうした時、視界の隅─あの子の居る場所から更に奥に、誰かが居るのが見えた。
その次の瞬間、その人が、あの子に向かって矢を向けているのが分かった。
『***ー!!』
あの子の元へと走り出す。
『え?ルー?』
あの子はまだ、私にも後ろの人にも気付いていない。
後少しで、あの子に辿り着くと言う所で、後ろに居た人がその矢を放った。
ドスッ─
『───つ!!』
鈍い音と共に激痛が走る。
『ルー!?』
そのあまりの激痛に、その場に倒れる。
『え?なんで?ルー?どうして…どこから??』
『──げて…』
『え?』
矢を放った人が、あの子の後ろにまだ居るのが見えた。
ー逃げてー
そして、私は動けないから、なんとか激痛に耐えながら能力を発動させる。それと同時にどこから現れたのか…
『***様、遅くなってすみません!今すぐここから離れます。私にしっかり掴まっていて下さい!』
『いやだ!!』
ーいいからー
お願い、そのまま逃げて────
そこで、プツリと意識が途切れた。
それからの日々は、本当に大変だった。どうしても魔力に頼る事ができない分、力をつけなければいけないし、魔力で攻撃された時の対処法も学ばなければならなかった。
それと平行して、ケイトからは侍女としての仕事をみっちり叩き込まれた。
「違います!」
「やり直しです!」
ケイトも…本当に容赦無かった。
マクウェル様との婚約の話しが出た後、お祖父様が言っていた通り、マクウェル様は一度隣国へと帰って行った。
帰る前にレオグル様と共に挨拶に来たらしいのだけど、丁度私は街に買い物に出ていた為会えなかった。買い物から帰って来た時─
「シルフィー、帰って来るのが遅かったのね。隣国に帰る前に、マクウェル様が来てたのよ。会えなくて残念だったわね。」
“残念だったわね”と言いながら、何となく嬉しそう?な顔をするエレーナ。そんなに牽制?しなくても…私がマクウェル様の婚約者になる事は…ないと思うけど。それでも─
ー最後に会えなかったのは残念だったなー
寂しい思いには蓋をした──
訳ではない。そんな哀愁漂う暇も深窓の乙女になる事すらできなかった。
お祖父様からの武術や剣術の指導が始まり、うじうじする暇もなかった。普段、私にはとても優しいお祖父様だけど、武術の指導となると180度一転する。孫の私にも勿論容赦がなかった。
ーいや、容赦なんてされても困るけどー
それでも、流石はキリクスの血をひいているな─と実感する程、武術や剣術の動きは体がスッ反応する。それに、厳しくとも楽しいと思う気持ちの方が大きかった。
ー魔力が殆ど無くても傷物の私でも、誰かの為に役に立てるかもしれないー
そう思うだけで、明るい気持ちになる事ができた。
相変わらず、表情豊かではないけど。
この国では、18歳になると貴族の子達は社交デビューをする決まりになっている。
その前の3年間─15歳から17歳─の間、王都にある学園に通う事になる。その3年で、学業は勿論の事社交について学んだり、領地運営についても学べる。余程の理由がない限りは、貴族であれば通わなくてはいけないのだ。
私も…然り……
そして、その学園に入園する迄後1年─私が14歳の誕生日を迎える数日前に、3年ぶりにレオグル様とマクウェル様が邸にやって来ると連絡が来た。
ーまた、3年前と同じように…私にも笑ってくれるだろうか?ー
少し不安な気持ちもあったけど、早く会いたいな─と、会う事を楽しみに過ごした。
「レオ、久し振りだな。また元気に会えて嬉しいよ。」
「ジュードも元気そうだな。」
3年ぶりの再会に、お祖父様とレオグル様は軽く抱擁を交わす。そして、その2人の横には─
「シルフィー、エレーナ、アーロン、久し振りだね。」
と、以前よりもぐんと背が伸びていて、長い髪は後ろで束ねられていて、顔も少し大人びた感じで──
「元気だった?」
そして、以前と変わらず、私にも笑顔を向けてくれるマクウェル様が居た。
トクン─
あぁ─やっぱり、この笑顔を見ると胸が騒ぎだしてしまう。
ふと、体に違和感を抱く。
ーあれ?ー
と思った時には、足元がぐらつくような感覚になって─
「シルフィー!?」
少し焦ったような顔をしたマクウェル様が、私の方に手を伸ばして来るのが見えたのが最後、私は意識を失った。
『それじゃあ、今度は僕が見付ける番ね?』
『分かった。今度は私が隠れる番ね!』
あの子が、『いーち、にー、さーん、』と数を数えだし、私は隠れる場所に駆け出した。
いや、私にとって、隠れる場所は何処でも良いのだ。私の能力について、あの子は知らないから、この勝負は私の勝ちだよね─?
私が、能力を使ってその場所にしゃがみこんだ。
どれ位時間が経ったのか…その時間が長くも短くも感じられた。
『まだかなぁ?』
見付かりたくないけど、見付けて欲しいような…少し寂しい気持ちになって、立ち上がって辺りを見渡すと、少し遠くの方からあの子がキョロキョロしながらこっちに来るのが見えた。
『良かった。ちゃんと探してくれてた。』
ホッとして、またしゃがみこもうした時、視界の隅─あの子の居る場所から更に奥に、誰かが居るのが見えた。
その次の瞬間、その人が、あの子に向かって矢を向けているのが分かった。
『***ー!!』
あの子の元へと走り出す。
『え?ルー?』
あの子はまだ、私にも後ろの人にも気付いていない。
後少しで、あの子に辿り着くと言う所で、後ろに居た人がその矢を放った。
ドスッ─
『───つ!!』
鈍い音と共に激痛が走る。
『ルー!?』
そのあまりの激痛に、その場に倒れる。
『え?なんで?ルー?どうして…どこから??』
『──げて…』
『え?』
矢を放った人が、あの子の後ろにまだ居るのが見えた。
ー逃げてー
そして、私は動けないから、なんとか激痛に耐えながら能力を発動させる。それと同時にどこから現れたのか…
『***様、遅くなってすみません!今すぐここから離れます。私にしっかり掴まっていて下さい!』
『いやだ!!』
ーいいからー
お願い、そのまま逃げて────
そこで、プツリと意識が途切れた。
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