傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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契約

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「シルフィー、久し振りだね。」

「マクウェル様、お久し振りです。今日は来ていただき、ありがとうございます。本来であれば、私がご挨拶に──」

「そんな堅苦しい事言われると、寂しいんだけど?」

マクウェル様が困った様に笑う。

「マクウェル様は公爵家の子息様で、私は伯爵家の娘ですから…。」

「でも、私達は…いわば、幼馴染の様なモノだろう?それに──」

ー婚約者候補だろう?ー

と言いたいのだろうか?それでも、口に出さないと言う事は、マクウェル様にとっては、婚約者は私でなくてもエレーナでも良いと言う事…なのかもしれない。

「じゃあ、他に誰も居ない時だけね?」

と、口調を崩して話し掛けると

「ありがとう、シルフィー。」

と、マクウェル様はフワリと微笑んだ。



















それから一週間後─



私はお父様と一緒に、初めて王城へとやって来た。

「公には出来ないから、このままを使って、陛下の執務室迄行く。シルの事は私がフォローするから、私から離れないように。」

私はコクリと頷き、お父様と一緒に陛下の待つ執務室に向かった。
















「あぁ!其方がキリクスの娘か!ようやく会えたな!」

執務室に入った途端、目の前迄陛下がやって来て、握手をするように手を握られて上下にブンブンと揺さぶられた。

「陛下、ソレは、ご令嬢に対しての振る舞いではありません。今すぐに手をお離し下さい。」

そんな陛下を、薄っすら目を細めて窘める男性─宰相様…だろうか?

「ふん─お前は相変わらず堅い奴だなぁ。お前、そのうちに禿げるぞ?」

「陛下が軽過ぎるんです。」

ーえっと???ー

国王陛下って、こんなに軽い人なの?あれ?宰相様の方が上なの??

「はいはい、お2人ともそこまでにしてくれますか?私の可愛いシルフィーが困ってますからね?」

お父様までもがフレンドリーな感じだ。

「シルフィー、国王陛下と、宰相のヴォルクス=アルダートン公爵だ。」

「お初にお目に掛かります。オーティス=キリクスの娘、シルフィーと申します。」

「うんうん。ようやくオーティスの“宝”に会えたな。」

「宝…でございますか?」

陛下に“宝”と言われて、少し混乱していると

「オーティスが、よくシルフィー嬢の話しをしていたのですよ。亡き妻に似て可愛いやら可愛いやらと…。私の宝物だとね。」

ーソレ、恥ずかしいからね!!ー

チラリとお父様に視線を向けると、何故かドヤ顔をしていた。











そんな緩い挨拶から始まったお蔭で、緊張も和らいで国王陛下の執務室の椅子に落ち着いて座る事ができた。



「今迄ベルフォーネに付いていた侍女は、皆年配の者だったから、学園生活が始まるのを機に、一緒に学園に通える侍女を雇う事になった─と言う事が建前の理由になります。なので、表向きの雇い主は私─ヴォルクス=アルダートンですが、実際のシルフィー嬢の雇い主は国王陛下になります。故に、私と陛下の指示が異なる場合は、陛下の言に従って下さい。
王太子殿下とベルフォーネが一緒に居て、2人同時に危険に晒された時は、ベルフォーネを優先して下さい。それで王太子殿下に何かあったとしても、シルフィー嬢が咎を受ける事はありません。注意事項としては、コレだけですね。何か、質問はありますか?と言っても、実際やってみないと分からない事も分かりませんから、何か気になる事や分からない事があったら、その都度訊いて下さい。」

「分かりました。アルダートン公爵様、ありがとうございます。」

「じゃあ、シルフィー。この書類に目を通して、読み終わったら、ここに魔力を流しながらサインをしてくれるかな?」

「はい。」

お父様から手渡された3枚の書類に目を通していく。
3枚目の書類の下には、既に国王陛下自筆のサインがあり、その下にある空欄に私がサインをすれば契約完了となる。

普通の契約と違うところと言えば、そのサインをする時に使用するインク。そのインクは特殊な物で、お互い契約を結ぶ者本人が、そのインクに自分の魔力を流さないと書けない仕組みになっている。そして、魔力を流して契約を結んだ後も、その本人の魔力でしか書き換える事ができなくなる。
その上、この契約書に書かれた事を違反すると、何かしらの罰を受ける。

この契約書を読む限りでは、私は国王陛下には嘘をつく事ができない。コレに関しては、私だけではなく、“影の盾”となる者には必ず契約する事の一つなのだ。その為、キリクス一族は勿論の事、“影の盾”達は陛下を裏切る事は決してない。その契約を結んだ時点で、“影の盾”達は、国王陛下にとっては、最も信頼を置ける存在へとなるのだ。

そう。がある為、アヤメさんがシルフィーなら完璧にベルフォーネ様の冤罪を防げると言ったのだ。

だから、私が武術を修得して国王陛下と契約を交した事は、絶対にエレーナには知られてはいけない。
尤も、契約を交した事は機密事項であり、同じ“影の盾”以外では、今、この場に居る4人と、王太子殿下とベルフォーネ様だけにしか知らされる事はない。



そうして、無事に契約を交した後、別室にて王太子殿下とベルフォーネ様と会う事になった。


















“ツンツンデレ”



ベルフォーネ様と会い、お話しをしていて直ぐに、その意味が解った様な気がした。
















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