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始まり
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エレーナ達の入園式迄後3日と言う日、キリクス邸にアヤメさんとアーロンがやって来た。
「アヤ──叔母様、アーロン、お久し振りです。」
「シルフィー、本当に久し振りだね。」
「アーロン、遅くなったけど、入園おめでとう。やっぱり、アーロンは騎士コースに進むのかしら?」
「そうだよ。因みに、エレーナは魔法学を選択すると言っていたから、学園ではシルフィーにはあまり会えないかもしれないね。」
「エレーナが…魔法学を…」
てっきり、エレーナは淑女コースを選ぶかと思っていたけど…
「シルフィー、久し振りね。元気そうで良かったわ。今日は、エレーナが来れなくてごめんなさいね。朝からお腹が痛いと言って…。」
そう。今日は3人で来ると言っていたのだが、エレーナが体調が悪いと言う事で来なかったのだ。
「それは仕方無いわ。それに…また学園でも会えると思うしね。さぁ、叔母様、アーロン今日はゆっくりお話ししましょう。」
「「ありがとう!」」
こうして、私達3人は久し振りにゆっくりと色んな話をした。
そして、いよいよ迎えた入園式の日。
“本当は、私が一緒に登園して、エレーナとアーロンの案内ができれば良かったんだけど、生徒会役員であるベルフォーネ様達の手伝いもあり、案内ができなくてごめんなさい”
と、手紙を送っておいた。
受け付けで場所の説明もあるし、所々に案内係も居るから迷う事はないだろうけど。少し気にはなりつつも、私はベルフォーネ様と一緒に早目に登園し、入園式の準備をした。
そうして、滞り無く入園式も終わり新入生達は各々のクラスへと移動して行き、生徒会役員と私のようにお手伝いをしているメンバーで、入園式の後片付けをした。
「後片付け、お疲れ様。入園式も無事に終わったのも、お前達の完璧な準備のお陰でもある。それで、学園長からの差し入れを食堂に用意してあるから、食べてから帰ってくれ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
生徒会顧問である王弟殿下から言われて、後片付けの後は食堂に移動して打ち上げをして、今日は解散となった。
「ベル様、これから直接王城でよろしかったですか?」
「それで良くてよ。」
今日は午前中で終わる予定だった為、午後からは王太子殿下との…イチャラブタイムなのだ。勿論、王太子殿下からのお誘いである。
ー相変わらず仲がヨロシイ事で何よりですー
うんうん─と、独り頷いていると
「シルフィー!」
名前を呼ばれて立ち止まる。この声は─ソロソロと声をした方へと体を向ける。
「…マクウェル様。」
そこには、制服を着たマクウェル様が居た。
「お久し振りです。」
「あぁ…久し振りだね。えっと…少し、話しても?」
私はチラリとベルフォーネ様に視線をうつす。
「シル、私の事は気にしなくて良いわ。先に馬車に乗って待っていますわ。」
「アルダートン嬢、ありがとうございます。」
マクウェル様がベルフォーネ様にお礼を言うと、ベルフォーネ様は先に馬車へと乗り込んだ。
「シルフィーは、春休みの間は…忙しかったの?」
「そうですね。ベルフォーネ様の付き添いで、ほぼ毎日入園式の準備などで学園に来てましたから。」
ー空いていた2日は、王弟殿下に治療をしてもらっていたしー
「そう…か…。それなら…仕方無いか?」
ーん?仕方無い?ー
「それはどう言う──」
「でも、今日位は約束を守るべきじゃなかったのか?」
「─約束?」
ー誰と誰の、何の約束だろうか?ー
「忙しくて忘れてた?」
マクウェル様は、怒ってはいないけど困ったような顔をしている。
「えっと…約束…とは?」
「今日、エレーナが馬車ではなくて、歩いて学園迄来ていたんだ。途中で、私が馬車で通り掛かったから、そこから一緒に学園迄乗せて来たんだけど…。」
「歩いて?何故そんな…」
いくら平民だからと言っても、アヤメさんがそんな事をさせる筈はないし…アーロンはどうしたんだろう?
「シルフィー、本当に忘れていたのか?シルフィーが、入園式の日は迎えに行くから一緒に行きましょう─とエレーナ達と約束していたんだろう?それなのに、シルフィーが来ないから、時間も時間だからと。途中会った時に一緒に行けるようにと歩いて行く事にしたって。」
ー……………………は?ー
表情を変える事なく、声も出さなかった事は、自分で自分を褒めたいと思う。だって、そんな約束なんてしていない。寧ろ、一緒に行けないと手紙を出したのだ。それは、アヤメさんから“気にしないで”と言う返事ももらっているから確かだ。
何も答えない私に、マクウェル様は何を思ったのか…はぁ─と、深い溜め息を吐いた。
「シルフィーの事だから、エレーナの勘違いかとも思ったんだけど…こうも続くと、忙しかったからでは…済まないと思うよ?エレーナ、悲しんでいたから、今度会った時は素直に謝った方が良いよ。」
ー続くとは?何故、私がエレーナに謝らないといけないの?ー
意味の分からない事だらけで、私はマクウェル様には何一つ返事をする事ができなかった。
ーこれは…アヤメさんと話し合う必要がある…よね?ー
と、その日のうちにアヤメさんに手紙を書いた。
「アヤ──叔母様、アーロン、お久し振りです。」
「シルフィー、本当に久し振りだね。」
「アーロン、遅くなったけど、入園おめでとう。やっぱり、アーロンは騎士コースに進むのかしら?」
「そうだよ。因みに、エレーナは魔法学を選択すると言っていたから、学園ではシルフィーにはあまり会えないかもしれないね。」
「エレーナが…魔法学を…」
てっきり、エレーナは淑女コースを選ぶかと思っていたけど…
「シルフィー、久し振りね。元気そうで良かったわ。今日は、エレーナが来れなくてごめんなさいね。朝からお腹が痛いと言って…。」
そう。今日は3人で来ると言っていたのだが、エレーナが体調が悪いと言う事で来なかったのだ。
「それは仕方無いわ。それに…また学園でも会えると思うしね。さぁ、叔母様、アーロン今日はゆっくりお話ししましょう。」
「「ありがとう!」」
こうして、私達3人は久し振りにゆっくりと色んな話をした。
そして、いよいよ迎えた入園式の日。
“本当は、私が一緒に登園して、エレーナとアーロンの案内ができれば良かったんだけど、生徒会役員であるベルフォーネ様達の手伝いもあり、案内ができなくてごめんなさい”
と、手紙を送っておいた。
受け付けで場所の説明もあるし、所々に案内係も居るから迷う事はないだろうけど。少し気にはなりつつも、私はベルフォーネ様と一緒に早目に登園し、入園式の準備をした。
そうして、滞り無く入園式も終わり新入生達は各々のクラスへと移動して行き、生徒会役員と私のようにお手伝いをしているメンバーで、入園式の後片付けをした。
「後片付け、お疲れ様。入園式も無事に終わったのも、お前達の完璧な準備のお陰でもある。それで、学園長からの差し入れを食堂に用意してあるから、食べてから帰ってくれ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
生徒会顧問である王弟殿下から言われて、後片付けの後は食堂に移動して打ち上げをして、今日は解散となった。
「ベル様、これから直接王城でよろしかったですか?」
「それで良くてよ。」
今日は午前中で終わる予定だった為、午後からは王太子殿下との…イチャラブタイムなのだ。勿論、王太子殿下からのお誘いである。
ー相変わらず仲がヨロシイ事で何よりですー
うんうん─と、独り頷いていると
「シルフィー!」
名前を呼ばれて立ち止まる。この声は─ソロソロと声をした方へと体を向ける。
「…マクウェル様。」
そこには、制服を着たマクウェル様が居た。
「お久し振りです。」
「あぁ…久し振りだね。えっと…少し、話しても?」
私はチラリとベルフォーネ様に視線をうつす。
「シル、私の事は気にしなくて良いわ。先に馬車に乗って待っていますわ。」
「アルダートン嬢、ありがとうございます。」
マクウェル様がベルフォーネ様にお礼を言うと、ベルフォーネ様は先に馬車へと乗り込んだ。
「シルフィーは、春休みの間は…忙しかったの?」
「そうですね。ベルフォーネ様の付き添いで、ほぼ毎日入園式の準備などで学園に来てましたから。」
ー空いていた2日は、王弟殿下に治療をしてもらっていたしー
「そう…か…。それなら…仕方無いか?」
ーん?仕方無い?ー
「それはどう言う──」
「でも、今日位は約束を守るべきじゃなかったのか?」
「─約束?」
ー誰と誰の、何の約束だろうか?ー
「忙しくて忘れてた?」
マクウェル様は、怒ってはいないけど困ったような顔をしている。
「えっと…約束…とは?」
「今日、エレーナが馬車ではなくて、歩いて学園迄来ていたんだ。途中で、私が馬車で通り掛かったから、そこから一緒に学園迄乗せて来たんだけど…。」
「歩いて?何故そんな…」
いくら平民だからと言っても、アヤメさんがそんな事をさせる筈はないし…アーロンはどうしたんだろう?
「シルフィー、本当に忘れていたのか?シルフィーが、入園式の日は迎えに行くから一緒に行きましょう─とエレーナ達と約束していたんだろう?それなのに、シルフィーが来ないから、時間も時間だからと。途中会った時に一緒に行けるようにと歩いて行く事にしたって。」
ー……………………は?ー
表情を変える事なく、声も出さなかった事は、自分で自分を褒めたいと思う。だって、そんな約束なんてしていない。寧ろ、一緒に行けないと手紙を出したのだ。それは、アヤメさんから“気にしないで”と言う返事ももらっているから確かだ。
何も答えない私に、マクウェル様は何を思ったのか…はぁ─と、深い溜め息を吐いた。
「シルフィーの事だから、エレーナの勘違いかとも思ったんだけど…こうも続くと、忙しかったからでは…済まないと思うよ?エレーナ、悲しんでいたから、今度会った時は素直に謝った方が良いよ。」
ー続くとは?何故、私がエレーナに謝らないといけないの?ー
意味の分からない事だらけで、私はマクウェル様には何一つ返事をする事ができなかった。
ーこれは…アヤメさんと話し合う必要がある…よね?ー
と、その日のうちにアヤメさんに手紙を書いた。
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