傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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新生徒会役員

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2年生の生活も後3ヶ月─

来年度の生徒会役員の発表が行われる事になった。その発表とともに、その日から引き継ぎが行われる為、暫くの間は新旧の役員が生徒会室で集まる事となる。





「新たに加わるのは、エレーナ嬢とアーロンだ。平民だが、二人共に成績はトップクラスをキープしているし、先生方の覚えも良い。貴族社会において、平民からの意見も大切にしたいと思って、この2人を役員に入れる事にした。」

ユシール王子がそう言うと、横に居るエレーナとアーロンに笑顔を向ける。

「皆様の役に立てるように、精一杯務めさせていただきます。宜しくお願いします。」

「僕も、皆様の足を引っ張らないように頑張りますので、宜しくお願いします。」

エレーナとアーロンが頭を下げて挨拶をする。

それから、来年度も引き続き役員に残るメンバーが挨拶をして、その日はお開きとなった。







それから1ヶ月後─


「ベルフォーネ嬢、今日もシルフィーは来ていないのですか?」

皆が生徒会室を出て行き、ベルフォーネとマーカスだけになった時に、ユシールがベルフォーネに問い掛けた。

「シルは、今日は大事な用があって来ていませんわ。」

「ふんっ─シルフィーは…最近はよく学園を休んでいるそうですね?何かそんなに…忙しい事が?」

「ユシール王子には関係のない事ですわ。学園を休んでいる事は、私は勿論の事、学園長の許可も得ておりますから。」

ベルフォーネがニッコリと微笑むと、ユシールは眉間に皺を寄せて黙り込む。学園長が許可をしていると言うのなら、それ以上ユシールが口を挟む事ができないからだ。

「それなら仕方無いけど…学生としての本文を忘れていなければ良いですね?」

と、今度はユシールがニッコリと微笑む。

「ふふっ。ユシール王子に心配されずとも、シルなら大丈夫ですわ。お気遣い、ありがとうございます。それでは、私もこれで失礼致します。」

ベルフォーネは、ユシールに軽く頭を下げてから生徒会室から出て行った。






それとすれ違うかのように、生徒会室へと2人の生徒がやって来た。

「ユシール殿下、どうでしたか?」

そうユシールに尋ねるのは、マクウェルだった。

「あぁ、やはり、シルフィーは今日学園を休んでいるらしい。は、本当かもしれないな。」

「そんな…シルフィーが…」

ユシールとマクウェルの2人の会話を聞いて、顔色を悪くするのはエレーナ。

「学園長の許可を得ていると言っていたが、アレは、王太子兄上の婚約者である自分の侍女がを隠そうとしているだけだろう。でなければ、侍女のシルフィーがこんなにもちょくちょく、ベルフォーネ嬢から離れる事なんてないだろう。」

「でも…」

「エレーナは優し過ぎる。例え従姉妹だとしても…昔の様に優しかったシルフィーは…もう居ないんだ。」

目を潤ませて俯くエレーナに、マクウェルはそっと寄り添って慰める。

「本当は、ベルフォーネ嬢を退任させてマクウェルも生徒会役員に入れたかったのだが…その件に関しては生徒会顧問である叔父上に反対されたんだ。すまない。」

「いえ、分かっていますから。私は…Bクラスですから。」

そう。生徒会役員は、本来はAクラスから選ばれる。今回、平民でありBクラスのエレーナとアーロンが選ばれたのは異例中の異例。ただ、学園は、デビューする前に平民との交流を計る事ができる場であり、将来貴族として守るべき民を直接知る事ができる場所でもある。それならば、その平民からも生徒会役員を選出してみようか─と言う事で、試みられる事になったのだ。
そして、その平民のトップがアーロン、次席がエレーナだった。

「マクウェル、安心しろ。エレーナは守ってあげるし、弟のアーロンも居るから大丈夫だろう。」

「ユシール殿下、ありがとうございます。」







そんな会話を交している3人が居る部屋の隣の部屋には、マーカス=リンデルが居た。引き継ぎの為の資料を作成していたのだが、その3人の会話が嫌でも耳に入って来た為、その会話を聞いてしまったのだが…。

ーあのシルフィー=キリクスが、噂通りだと?ー

有り得ない。この3人は…本当に信じているのだろうか?確か、エレーナ嬢は平民であるが、シルフィー嬢の従姉妹で、マクウェル様は幼馴染みだった筈。誰よりもシルフィー嬢の事を知っているだろうに…。

ーいや─あのエレーナのせいか?ー

彼女が入園してから、シルフィー嬢の噂が急激に広まった。私には、それは違和感でしかなかった。ユシール殿下も、最初の頃はそんな噂話─と、一蹴されていたのに。
何となくだが、顧問である王弟殿下も、色々把握しながら見ている─私達を試しているような気がしている。

ユシール殿下は、気付いているのだろうか?未だに、動く素振りもない。敢えて、私から進言するつもりもないが…。

思案しているうちに、隣の部屋が静かになった。3人とも部屋から出て行ったのだろう。

「私は私で…色々動いてみるか…」

そう呟いてから、私は引き継ぎの為の資料作りを再開した。






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