傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

文字の大きさ
43 / 57

気付かないヒロイン

しおりを挟む
以降、私は生徒会室に行くのを止めた。エレーナが居るからだ。そのせいで、何故か役員でもないマクウェル様も時折生徒会室に訪れて来るらしい。
それに、王弟殿下とベルフォーネ様が、私をマクウェル様に会わせたくない─と、とても怒っているからと言うのもある。

「侍女兼護衛の私が守られてどうするのよ?」

苦笑するも、2人の優しがとても有難かった。

兎に角、今ではベルフォーネ様が生徒会の仕事をしている間は、私は一人図書室で本を読んだり勉強をしている。

そろそろ、ベルフォーネ様も終わる頃かな?と思い、席を立った時

「シルフィー嬢。お久し振りですね。」

「リンデル様。お久し振りでございます。」

マーカス=リンデル様は侯爵家の嫡男で、ユシール王子の側近の一人だ。きっと、私の事は良くは思っていないだろう。

「すみません。これからベルフォーネ様を迎えに行くので、これで失礼致します。」

軽く頭を下げてから歩みを進めると

「シルフィー嬢。エレーナ嬢には…気を付けた方が良い──」

リンデル様が静かな声で呟いた。

「え?」

「詳しくは分からないけど、最近はよくユシール殿下とマクウェル様と何か話し込んでいるんですよ。それが気になって。何も無ければ良いのですが…一応、シルフィー嬢には伝えておこうと思ってね。」

驚いた。てっきり、リンデル様はユシール王子やマクウェル様側だと思っていた。

「意外でしたか?まぁ…仕方ありませんけどね。」

肩を竦めながら笑うリンデル様。

「私は貴方の人柄を知っていますからね。あんなくだらない噂を信じる程馬鹿ではありませんよ。貴方はもっと、自分を誇って良いと─私は思います。それでは、引き止めてしまってすみません。失礼しますね。」

それだけ言うと、リンデル様は図書室から出て行った。

ーちゃんと、見てくれる人は見てくれているのねー

「あの3人が何か───」

ーひょっとしたら、アヤメさんが言っていた“断罪”の事かもしれないー

私はそう思いながら、私も図書室を後にした。














それから3日後、エレーナが怪我をして帰って来た─とアヤメさんから知らせがあった。
それと、その怪我の事で、ベルフォーネ様と私に何かしてくるかも─との事だった。




















*エレーナ視点*

何故?どうして!?

何故ストーリー通りにいかないの!?ラノベのあるあるで、ヒロインが断罪される─と言うのを避ける為に、マナーも勉強も頑張った。そのお陰で、平民として入園したけど成績もトップクラスをキープしている。先生達からも評価されているのに。

マクウェルとユシールは簡単に。あの2人は優し過ぎるのだ。少し涙を流せば何も疑わずにコロっと私を信じた。
傷痕の事もそうだ。私は、嘘は言っていない。本当の事も言っていないけど、勝手に解釈をしたのはマクウェルだ。私は何も悪くない。

2人の好感度を上げて、シルフィーを悪者にして…うまくいっている筈だったのに!



『それに…このエレーナの傷は…シルフィーみたいなが触れて良い傷ではない!君とは…違うんだ!』

マクウェルに言われて、気を失ったシルフィー。可哀想かな─なんて思ったりもしたけど…そんな気持ちも一瞬で消え失せた。

気を失ったシルフィーを、アシュレイが抱き上げて医務室へと運んで行ったから。その時のアシュレイの私を見る目は、明白あからさまに軽蔑の色をしていた。

何故、あそこでアシュレイが出て来たの?ゲームのストーリーでは、こんな早い段階でアシュレイとシルフィーが絡むなんて事はなかった。例え、生徒会顧問だったとしても、手伝いごときのシルフィーとアシュレイが仲良くなるなんて事はなかったのに。何故!?本当に、つくづくシルフィーは私の邪魔をして鬱陶しくて仕方無い。
このままだと、私はマクウェルとの婚約が決まってしまう。シルフィーを断罪するのに、1年も待っていられない!

よりは早いけど…しかないわね。」

ユシール、マクウェル、マーカス、アーロン。私の為にも…頑張ってもらうわよ?

「ふふっ─」

この時のエレーナは、アーロンは弟で、マーカス=リンデルはユシールの側近の一人だから、自分側の人間だと思っていた。漫画でもゲームでも、アーロンとマーカスはユシールの側に居たから、この世界ででも自分側の人間なんだと─。
そして、エレーナは、その間違いに気付く事がないままに更にを進めて行った。



















「ベルフォーネ=アルダートン、今日の放課後、生徒会室迄来てくれ。拒否権は無い─と思って欲しい。」

エレーナが怪我をした─と知らせが来た翌日、Aクラスの教室に居るユシール王子がベルフォーネ様に告げて来た。

「それは…王子としての命令ですの?」

「そう受け取ってもらって構わない。」

「承知致しましたわ。」

と、ベルフォーネ様は…それはそれは嬉しそうな笑顔で答えられました。








どうやら…アヤメさんの予想通り、動くようです。














しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

私を嫌っていた冷徹魔導士が魅了の魔法にかかった結果、なぜか私にだけ愛を囁く

魚谷
恋愛
「好きだ、愛している」 帝国の英雄である将軍ジュリアは、幼馴染で、眉目秀麗な冷血魔導ギルフォードに抱きしめられ、愛を囁かれる。 混乱しながらも、ジュリアは長らく疎遠だった美形魔導師に胸をときめかせてしまう。 ギルフォードにもジュリアと長らく疎遠だったのには理由があって……。 これは不器用な魔導師と、そんな彼との関係を修復したいと願う主人公が、お互いに失ったものを取り戻し、恋する物語

【完結】夫が私に魅了魔法をかけていたらしい

綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。 そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。 気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――? そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。 「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」   私が夫を愛するこの気持ちは偽り? それとも……。 *全17話で完結予定。

堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
第零騎士団諜報部潜入班のエレオノーラは男装して酒場に潜入していた。そこで第一騎士団団長のジルベルトとぶつかってしまい、胸を触られてしまうという事故によって女性とバレてしまう。 ジルベルトは責任をとると言ってエレオノーラに求婚し、エレオノーラも責任をとって婚約者を演じると言う。 エレオノーラはジルベルト好みの婚約者を演じようとするが、彼の前ではうまく演じることができない。またジルベルトもいろんな顔を持つ彼女が気になり始め、他の男が彼女に触れようとすると牽制し始める。 そんなちょっとズレてる二人が今日も任務を遂行します!! ――― 完結しました。 ※他サイトでも公開しております。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

【完結】竜王の息子のお世話係なのですが、気付いたら正妻候補になっていました

七鳳
恋愛
竜王が治める王国で、落ちこぼれのエルフである主人公は、次代の竜王となる王子の乳母として仕えることになる。わがままで甘えん坊な彼に振り回されながらも、成長を見守る日々。しかし、王族の結婚制度が明かされるにつれ、彼女の立場は次第に変化していく。  「お前は俺のものだろ?」  次第に強まる独占欲、そして彼の真意に気づいたとき、主人公の運命は大きく動き出す。異種族の壁を超えたロマンスが紡ぐ、ほのぼのファンタジー! ※恋愛系、女主人公で書くのが初めてです。変な表現などがあったらコメント、感想で教えてください。 ※全60話程度で完結の予定です。 ※いいね&お気に入り登録励みになります!

病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜

白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。 たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。 そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…? 傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。

処理中です...