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反撃③
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「お前が何を言っているのかは分からないが、俺がお前を選ぶ事はない。お前のような女には……ユシールやマクウェルが丁度良いのではないか?あぁ、そうだったな。お前はマクウェル=ルーラントとの婚約が決まったのだったな?本当にこれ以上ないと言う程のお似合いの2人だな。おめでとう。」
ーうわぁ…流石は王弟殿下だ。本当に…笑顔さえ恐ろしいー
「それじゃあ…シルフィーがエレーナに手を出した所を見た─と言う…マクウェルもが…嘘をついていたと言う事なのか?」
ユシール王子は、フラフラとした足取りで後退り、力なく椅子に腰を下ろした。
「それに関しては僕が説明します。」
それに答えたのは、リンデル様の反対側に立っていた──
「…アーロン…何で……」
エレーナの双子の弟であるアーロンの発言に、エレーナはより一層顔色を悪くした。
「以前、シルフィーが押し倒してエレーナが怪我をした─と、マクウェル様は言っていましたね?あの時、僕も見ていたんです。マクウェル様には、シルフィーが押し倒したように見えたかもしれませんが、僕には…エレーナが自分で倒れたように見えました。いえ、断言できます。アレは、姉─エレーナの自作自演です。」
「……」
「それと、つい先日のエレーナの怪我ですが、エレーナがハイネルの本邸でシルフィーに会って突き飛ばされたと言っているようですが、それは有り得ない事です。身内の恥ずかしい話ですが…お祖父様─先代のハイネル伯爵は、シルフィーを…嫌っています。ですから、シルフィーがハイネルの本邸に行く事、入る事は絶対にないのです。僕達の住む別邸にでさえ、お祖父様はシルフィーが来る事を良くは思っていませんからね。」
「先代のハイネル伯爵が…どうしてだ?」
マクウェル様も知らなかったようで、本当に驚いているようだ。
「キリクスに100年ぶりにハイネルの色を持った女の子が誕生し、これからも王家との繋がりが深くなると喜んでいたそうですが、魔力がなくなり、その上ハイネルの色を失ったシルフィーを……お祖父様は“役立たず”と…切り捨てたんですよ。しかも、シルフィーの亡くなった母の事も、“役立たずを生んで死んだ役立たず”と言って、ハイネル領内にお墓すら建てる事を拒否したんです。未だに祖父の力が強いので、伯父である現伯爵もシルフィーの事は受け入れてはいません。」
「そんな…」
「ですから、ハイネル邸で、シルフィーがエレーナに怪我をさせたなんて事は絶対にないんです。シルフィー…こんな話をして…ごめんね?」
何故か、私よりも泣きそうな顔をしてアーロンが私に謝って来る。それに、私の横に座っている王弟殿下が、私の手を優しく握ってくれている。
そんな2人の優しさが、とても嬉しくて、お祖父様の話を耳にしても少しも苦しくはならなかった。
「アーロン、私は大丈夫よ。だから、気にしないでね。」
「───エレーナが…」
少しの沈黙の後、ポツリとマクウェル様が口を開いた。
「エレーナが、シルフィーから手紙をもらって、会う約束をしていたのに…いつも何の連絡もなく破られると。入園式の日も約束を破られて…それで歩いて来たって。いつも“平民は─”と言われると。それも…嘘だったのか?」
「それは──でも、マクウェル様も見たでしょう?シルフィーから私宛の手紙を!」
ー手紙?ー
勿論、今迄直接エレーナ宛に書いた手紙なんてない。必ずアヤメさんを通していたから。なのに、マクウェル様はその手紙を見たと?
「その手紙は、ここにあるよ。はい、シルフィー。この手紙は、本当にシルフィーが書いてエレーナに宛てた物なの?」
そう言って、アーロンが制服の内ポケットから5通の手紙を手渡して来た。
チラリとエレーナに視線を向けると、エレーナはまだ余裕な感じで立っている。どうやら、この手紙については自信があるようだ。
こんな状況になってもまだ、エレーナは自分の非を認めようとせず、私を陥れようとしている。
リンデル様とアーロンは、私を信じて行動してくれた。
ならば、私も…やるしかない。
手渡された手紙を確認する。
ーやっぱりねー
「王弟殿下、手紙に関して…キリクスが関わって来るので、契約が必要になります。」
「分かった。魔法による契約をさせよう。それが嫌と言う者は、今すぐこの部屋から出て行け。」
王弟殿下が魔法で契約書を出現させながら告げるが、誰一人この部屋から出て行く事はなかった。
「契約内容は二つのみ。一つ、今から話す内容は一切の口外禁止。二つ、それを破った場合は処罰を下す。以上だ。」
そして、その契約書にそれぞれが魔力を流しながらサインをした。最後に王弟殿下がサインをした後、契約書が淡く光った後消えてなくなった。
魔法による契約書は、契約が調うと、王城内にある専用の保管室へと自動で飛ばされる為、今サインをした契約書も、そこに飛ばされたのだろう。
「では、この手紙について、私から説明させていただきます。」
ーエレーナ、覚悟……しなさいー
ーうわぁ…流石は王弟殿下だ。本当に…笑顔さえ恐ろしいー
「それじゃあ…シルフィーがエレーナに手を出した所を見た─と言う…マクウェルもが…嘘をついていたと言う事なのか?」
ユシール王子は、フラフラとした足取りで後退り、力なく椅子に腰を下ろした。
「それに関しては僕が説明します。」
それに答えたのは、リンデル様の反対側に立っていた──
「…アーロン…何で……」
エレーナの双子の弟であるアーロンの発言に、エレーナはより一層顔色を悪くした。
「以前、シルフィーが押し倒してエレーナが怪我をした─と、マクウェル様は言っていましたね?あの時、僕も見ていたんです。マクウェル様には、シルフィーが押し倒したように見えたかもしれませんが、僕には…エレーナが自分で倒れたように見えました。いえ、断言できます。アレは、姉─エレーナの自作自演です。」
「……」
「それと、つい先日のエレーナの怪我ですが、エレーナがハイネルの本邸でシルフィーに会って突き飛ばされたと言っているようですが、それは有り得ない事です。身内の恥ずかしい話ですが…お祖父様─先代のハイネル伯爵は、シルフィーを…嫌っています。ですから、シルフィーがハイネルの本邸に行く事、入る事は絶対にないのです。僕達の住む別邸にでさえ、お祖父様はシルフィーが来る事を良くは思っていませんからね。」
「先代のハイネル伯爵が…どうしてだ?」
マクウェル様も知らなかったようで、本当に驚いているようだ。
「キリクスに100年ぶりにハイネルの色を持った女の子が誕生し、これからも王家との繋がりが深くなると喜んでいたそうですが、魔力がなくなり、その上ハイネルの色を失ったシルフィーを……お祖父様は“役立たず”と…切り捨てたんですよ。しかも、シルフィーの亡くなった母の事も、“役立たずを生んで死んだ役立たず”と言って、ハイネル領内にお墓すら建てる事を拒否したんです。未だに祖父の力が強いので、伯父である現伯爵もシルフィーの事は受け入れてはいません。」
「そんな…」
「ですから、ハイネル邸で、シルフィーがエレーナに怪我をさせたなんて事は絶対にないんです。シルフィー…こんな話をして…ごめんね?」
何故か、私よりも泣きそうな顔をしてアーロンが私に謝って来る。それに、私の横に座っている王弟殿下が、私の手を優しく握ってくれている。
そんな2人の優しさが、とても嬉しくて、お祖父様の話を耳にしても少しも苦しくはならなかった。
「アーロン、私は大丈夫よ。だから、気にしないでね。」
「───エレーナが…」
少しの沈黙の後、ポツリとマクウェル様が口を開いた。
「エレーナが、シルフィーから手紙をもらって、会う約束をしていたのに…いつも何の連絡もなく破られると。入園式の日も約束を破られて…それで歩いて来たって。いつも“平民は─”と言われると。それも…嘘だったのか?」
「それは──でも、マクウェル様も見たでしょう?シルフィーから私宛の手紙を!」
ー手紙?ー
勿論、今迄直接エレーナ宛に書いた手紙なんてない。必ずアヤメさんを通していたから。なのに、マクウェル様はその手紙を見たと?
「その手紙は、ここにあるよ。はい、シルフィー。この手紙は、本当にシルフィーが書いてエレーナに宛てた物なの?」
そう言って、アーロンが制服の内ポケットから5通の手紙を手渡して来た。
チラリとエレーナに視線を向けると、エレーナはまだ余裕な感じで立っている。どうやら、この手紙については自信があるようだ。
こんな状況になってもまだ、エレーナは自分の非を認めようとせず、私を陥れようとしている。
リンデル様とアーロンは、私を信じて行動してくれた。
ならば、私も…やるしかない。
手渡された手紙を確認する。
ーやっぱりねー
「王弟殿下、手紙に関して…キリクスが関わって来るので、契約が必要になります。」
「分かった。魔法による契約をさせよう。それが嫌と言う者は、今すぐこの部屋から出て行け。」
王弟殿下が魔法で契約書を出現させながら告げるが、誰一人この部屋から出て行く事はなかった。
「契約内容は二つのみ。一つ、今から話す内容は一切の口外禁止。二つ、それを破った場合は処罰を下す。以上だ。」
そして、その契約書にそれぞれが魔力を流しながらサインをした。最後に王弟殿下がサインをした後、契約書が淡く光った後消えてなくなった。
魔法による契約書は、契約が調うと、王城内にある専用の保管室へと自動で飛ばされる為、今サインをした契約書も、そこに飛ばされたのだろう。
「では、この手紙について、私から説明させていただきます。」
ーエレーナ、覚悟……しなさいー
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