モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

ノア①

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「あ、本当にノアが居た。」

ネージュから、ノアが馬小屋に居ると聞いて、馬小屋までやって来た。

「えっと…ノア?触っても…良い?」

首を縦に振ってくれたって事は、大丈夫って事だよね?と思い、ノアの首辺りを撫でる。

「やっぱり、ノアの毛並みは綺麗だね。鬣はネージュみたいにフワフワ~」

ノアをモフモフしているのに、私の足元にチョコンと座っているネージュも、何だか嬉しそうに尻尾が揺れている。

ーそんなネージュが可愛い!ー

「?」

あれ?何だろう…ノアを触っていて、ふと気付く。

「あれ?ひょっとして…ノアって…魔獣?」

すると、ノアの耳がピクッと反応する。

『主、ノアから魔力を感じるのか?』

「ネージュは、ノアが魔獣って知ってたの?」

『魔獣と言っても、ノアの魔力はほんの僅かしかない故、近くに来る迄は気付かなかったがな。』

ほんの僅か─。確かにそんな感じだよね。ノア自身に集中してないと気付かない位だし…。ノアに乗った時は…エディオルさ─んに気を取られ過ぎて…ドキドキし過ぎて…気付かなかったって事…だよね…。

『どうした?主。顔が赤いぞ?』

「う゛っ…だっ大丈夫!気にしなくて良いよ!」

『?』

「んんっ。それで…ノアが魔獣なら…ひょっとしてお話ができたりする?」

ノアの目を見ながら問い掛ける。
ノアは、名前の通り、全身真っ黒。その瞳も黒色だけど、少し青みがかった黒な感じだ。

『ノアは、天馬の魔力が僅かに流れているんだが、僅か過ぎる故、人間とは会話ができぬようだ。我とはできるが…。』

「そうなんだ。お話ができたら、エディオルさんが喜びそうだよね。」

そう言うと、ノアが嬉しそうに目を細める。

『ノアが、“我が主─騎士を選んでくれてありがとう”と。』

「はい!?なっ…何でノアが知って─!?と言うか、“選んで”って…私の方こそ、私なんか選んでもらってすみません!な感じなんです!」

『主、落ち着こう?主も“なんか”ではないぞ?』

と、ネージュが私の手にスリッと顔を擦り付ける─そんなネージュが、やっぱり一番可愛い!

「へへっ。ネージュ、ありがとう!」

と、今度はネージュをワシャワシャと、遠慮無く撫で回した。

『やっぱり、会話─意志疎通が出きると言う事は、良いですね。羨ましいです─』

「ん?ネージュ、何か言った?」

『我は何も言っておらぬぞ?今喋ったのは…ノアだ』

「……え?」

ネージュと一緒にノアへと顔を向ける。

『え?私の声が…聞こえてますか?』

「え?聞こえてる…」

『『………』』

ーえ?何で?ー

普段冷静?なネージュも少し目を大きく見開いて、さっきまで揺れていた尻尾もピタリと止まっている。

ノアも彫刻ですか?並みに固まっている。

あれ?これ、またチートな私が何かやらかしたパターンですか?

「えっと…取り敢えず…声が聞こえるのがか、そうじゃないのか…判断する為に…エディオルさんを呼んで来るね?」

『そう…だな。先ずはそこからだな?我が呼んで来ようか?』

「あー、ミヤさんにね、“お昼前にハルがエディオルさんを呼びに行ってあげて”って言われたの。まだお昼前じゃないけど、本当に用事ができたから、私が呼びに行くよ。でも、邪魔になっちゃうかなぁ?大丈夫かなぁ?」

『あぁ─それなら大丈夫だ。一緒に居る最強執事も、主の迎えなら…してくれるだろうから。』

「“解放”!?」

ーえ?何?エディオルさんとゼンさんは、一体朝からどんな訓練?をしてるの!?ー

ギョッとなった私だけど

『主は何も気にしなくて良い。あれは、最強執事の…我が儘故だ─』

「我が儘!?」

ーえ?ゼンさんの我が儘って何!?更に意味が分からないんですけど!?ー

「えっと…ちょっと…全く意味が分からないけど、私が今行っても大丈夫って事だよね?うん。エディオルさんを迎えに行って来るね?ノアも、待っててね?」

『はい。ハル様、お願いします。』

ーあぁ、やっぱりハッキリ聞こえるー

そう思いながら、私はエディオルさんとゼンさんが居るパルヴァン敷地内の訓練所に向かった。









*****


「流石は近衛騎士だな─。第一なんかより手応えがあって面白い。」

「それはそれは、お褒めに預かり…光栄です。」

ー久し振りのゼン殿の指導は…本当にキツいなー

こっちは立っているのもやっとだと言うのに、ゼン殿は呼吸どころか髪の毛一本も乱れていない。本当に同じ人間なんだろうか?いつまで耐えられるだろうか…。と、これからの時間の事を考えていると、フッとゼン殿から威圧感が消えた。

「?」

不思議に思い、視線だけで辺りを見回すと

「あ、エディオルさん、ゼンさん、お疲れ様です。あの─今、そっちに行っても良いですか?」

俺達から少し離れた位置から、ハルが声を掛けて来た。

申し訳なさそうに、チョコンと立ってこちらを窺い見るハルが立っている。

ー本当に、安定して可愛いなー

「えぇ、大丈夫ですよ。」

ゼン殿も、さっきまでとは一転して優しい父親の様な顔になっている。

ーゼン殿も、ハルの前では“ただの親”って事だなー

そう思うと、自然と笑みが溢れて─


ゼン殿に軽く睨まれた─。








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