モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
97 / 123
第三章ーリスと氷の騎士ー

初めてのお誘い①

しおりを挟む
あれから一週間程経ったある日、本当にお茶のお誘いの手紙が届いた。場所はコルネスト公爵邸。

“お互い騎士の婚約者と言う事で、身分など気にせず服装も軽いモノで来て下さいね”

とあった為、ドレスではなくキレイ目のワンピースを着ている。ルナさんとリディさんが朝から張り切って、平凡な私をちょっと可愛いね?位のレベルに仕上げてくれました。



「うわぁ…カルザイン侯爵邸の大きさにも驚いたけど、公爵ともなると、また更に凄いんですね。」

ルナさんと共に馬車に乗りやって来たコルネスト公爵邸。門を潜り抜け、馬車のまま更に奥へと進んで行く。左右対称に大きな木が等間隔に並んでいて、その中央に噴水がある。そこを左側に迂回をして更に奥へ進むと、大きなお城が現れた。

「カルザイン侯爵家は“武”ですから、侯爵邸としては質素な方なんです。それに、コルネスト公爵家は、この国の成り立ちから続いている名家ですからね。」

ーそんなに凄い家柄だったの!?もっと早く知りたかった!ー

「前もって知ってしまうと、ハル様が萎縮するのではないか─と思って黙っていました。すみません。」

「ゔっ─」

そんな事言われて先に謝られたら、これ以上は何も言えないし…その通りだから…更に何も言えないよね!?

「そうですね…。緊張はするけど、ここ迄来たら…後は如何に今日のお茶を楽しむかを考えます!」

グッと握り拳を作って決意表明?をしていると、馬車が静かに停車した。











「「「「いらっしゃいませ。」」」」

ーふぁいっ!?ー

馬車を降りた途端に、玄関前にズラリと並んだ使用人達のお出迎えの多さと声に驚いた。

え!?何?このお出迎えは。私は平民だから、家令の1人位のお出迎えかな?何て思ってたんですけど!?

チラリと斜め後ろに居るルナさんに視線を向けると、ルナさんも少し顔を引き攣らせて、左右に首を軽く振った。どうやら、ルナさんにとっても予想外のお出迎えのようです。

「ハルさん…だね?ようこそいらっしゃい。」

ルナさんと困惑していると、年配の男性が笑顔で私の近く迄やって来た。

「あの…はい。ハルと申します。今日は、お招きいただいてありがとうございます。」

ペコリと頭を下げて挨拶をする。

「私はこの邸の当主─フォルカス=コルネストだ。」

ー公爵様本人っ!!??ー

ギョッとして固まる。

え?何で??何で当主がお出迎え!?あれ?誘ってくれたのは…クラウディア様じゃなかったっけ!?

「お父様!何故お父様が私より先にハルさんに挨拶をされていますの!?」

頭の中がパニックになっているところで、ようやくクラウディア様がやって来た。

「いやー、ハルさんにはどうしても会っておきたかったから、ずっと待っていたんだよ。」

「え??」

本当に意味が分からなくなって、ついつい口から声が出てしまった。

「先ずは謝罪だな。聖女の件では、ハルさんに負担を掛けてしまって申し訳無かった。私達の力が及ばず、老害タヌキどもを止められなかった。しかし、その事で、パルヴァンが動いてくれたお陰で、その老害タヌキどもを追いやれた事には、とても感謝している。ありがとう。何かお詫びやお礼ができればなぁ─と思っているのだが…。」

「謝罪はもう、あの時に色んな人達から受け取りましたから。それに、結果論としてアレは私にとっても…必要な事だったと思っているので、もう気にしないで下さい。老害タヌキ?の方達に関しては、王太后様のお陰だと思うので、お礼も必要ありませんから。」

「ふむ。本当にハルさんは…欲が無いと言うか……お詫びもお礼も無理強いするものではないからね。仕方無い。これから先、何か困った事があったら頼ってもらおうか。いつでも力になるから。それと、これから娘─クラウディアと仲良くしてもらえると、親としても嬉しい。」

「はい。何か困った時は迷わずに頼らせていただきます。それに、私の方こそ、仲良くしていただけたら嬉しいです。宜しくお願いします。」

「まぁ!ハルさん!私の方こそ宜しくお願いしますわ!それじゃあ、部屋に案内するわね。お父様、お茶をしている間は、部屋には入って来ないで下さいね!」

「はいはい。」

ー仲の良い父娘だなぁー

そんな2人のやりとりを見て、ホッコリした気持ちになったのと同時に、またゼンさんに会いに行こう─と思いながらクラウディア様の後をついて行った。







クラウディア様の部屋に行くと、そこにはすでにアリアナ様が椅子に座っていて、改めて3人で挨拶を交してから私も椅子に座った。



「では、結婚式はパルヴァンで挙げるのね?」

「はい。ルイス様やルーチェ様が、“カルザイン”の事は気しなくて良いと言ってくれて、エディオルさんがそれじゃあパルヴァンで─と言ってくれたので…。」

「ハルさんにとっては…第二の故郷ですものね?良かったですわね。」

クラウディア様もアリアナ様も、優しく笑ってくれる。

ーよし!この2人になら!!ー

「あの!一つ…訊いても良いですか!?」




しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで

恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」  男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。  ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。  それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。  クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。  そんなルドに振り回されるクリス。  こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。 ※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます ※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません ※一部変更&数話追加してます(11/24現在) ※※小説家になろうで完結まで掲載 改稿して投稿していきます

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

処理中です...