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40 第二王女カミリア
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「元気そうで良かったです」
「ありがとうございます」
その日の午前中、オレンジ色のガーベラの花束をくれたのは、テオファーヌさん。いつもと同じサイズの小さな花束だけど、それが嬉しくて幸せな気持ちになる。
「今は時間がないから、これで失礼しますが、昼からの話には私も参加するようにと言われているから、また来ますね」
「あ、時間がないのにわざわざ来てもらって、すみません」
ーそっか、時間がないのは…残念だなぁー
「謝らないで下さいね。私がカミリア様に会いたくて来ただけだから」
「………え?」
「では、また後ほど」
テオファーヌさんは私の手を持ち上げて、手の甲に軽く口を付けてから部屋から出て行った。
「……え?………え???」
グリンッと視線をアンナさんとラウリーさんに向けると、2人はニコニコと微笑んでいた。
*テオファーヌ視点*
ー今日も安定の可愛さだったなー
『ありがとうございます』
いつも小さな花束で笑顔を向けてくれるカミリア様。一度、ブレスレットを贈ろうとして断られた。その断りようが凄いもので……
『そんな(高価な)物は受け取れません!すみません!本当に無理です!』
今にでも泣きそうで、倒れそうな程震えだして……それ以降、高価な物を贈る事は取り敢えず諦めた。それでも、カミリア様の笑顔が見たくて花束を贈っている。それも、大き過ぎると恐縮するだろうから、小さな花束を。あんな小さな花束なのに、毎回本当に嬉しそうに笑うカミリア様を愛おしいと思うようになったのは、いつからだったか?
ルテリアルで初めて見た時は、あまりの幼さに驚いた。スネフェリングに来てからは、ちゃんと食べているか?ちゃんと眠れているか?泣いてはいないか?と心配で気になって仕方無かった。
それが、一緒にお茶をするようになって、いつしか目が離せなくなって……
ー焦らずゆっくりいこうー
なんて思っていたのに────
******
『午後から、アマデュー様からカミリア様の今後についての話があるから、テオも参加するように』
と、宰相である兄上に言われていたから、予定の時間に言われていた部屋に行くと、そこに皇帝陛下、皇妃、皇太子、宰相、アマデュー様、オードリナ様とカミリア様がやって来た。錚々たる顔ぶれだ。
こんな場でカミリア様は緊張していないか?と心配していたが、オードリナ様のお陰で穏やかな顔をしていてホッとした自分と、そこには俺が居たかったと思う自分がいる。そんな事を考えていると、オードリナ様が話を始めたが、その話は驚きの連続だった。
第一王女ヘレンティナが、実はカティエ王妃とアンセルム大神官との子だった
そのヘレンティナ王女が、本当は魔力無しで、カミリア様から全てを奪っていた
カミリア様がエリアーヌ様の子で、白属性の魔力持ちだった
「アンセルムは禁忌に手を出した事で、大神官の位は剥奪されて死ぬまで幽閉。カティエの処罰に関してはこれから議論されるけど、今は王城の地下牢に入れられているわ」
「お母様がお母様じゃなくて……私が魔力持ち?でも…私は魔力なんて感じないのに……」
泣いてしまいそうなのを我慢しているような顔で、自分の手を見つめているカミリア様。色々と思いが追いつかないのだろう。
それに、確かに、今のカミリア様からも魔力は感じられない。
続いて、アマデュー様が話を続ける。
「ヘレンティナから全て取り戻して、それら全てはもうカミリア様に戻したのは確かだよ。後は、カミリア様が本当の自分を取り戻せば、その魔力も流れるようになる」
「本当の自分?」
どうやら、カミリア様にはまだ隠された何かがあるようだ。それは、ここに居るカミリア様と俺以外は知っているのだろう。兄上も驚いた様子はない。なら、何故俺がこの場に呼ばれたのか?
「ルテリアル王国は特殊な国でね。4大精霊に依って独立して護られていたから、色んな制限やルールがあるんだ」
ルテリアル王国には、一般的には知られていない事が色々あるようで、特に、王族に関しては色々な制限があるそうだ。その中でも、“王族はルテリアルから出てはならない”と言うものがあるそうだ。
「基本、4大精霊が護っているのはルテリアルの始祖ジュヌベールの血筋であって、ルテリアル王国ではないんだ。だから、ルテリアル王国の王族は、ルテリアルで一生を過ごす事になる。どんな事があってもね。でも、カミリア様に関しては、それに当てはまらない状況だったんだ」
ルテリアル王国に於いて、名前と言うのは何よりも大切にされると言う。言い換えれば“名に縛られる”と言う事だ。
「もし“カミリア”と言う名が、加護持ちだったエリアーヌ様が付けた名であれば、カミリア様もまた護られる存在で、ルテリアル王国から出る事はできなかっただろうけど……“カミリア”は、エリアーヌ様が付けた名ではなかったんだ」
“カミリア”は、本当の名ではないようだ──
「ありがとうございます」
その日の午前中、オレンジ色のガーベラの花束をくれたのは、テオファーヌさん。いつもと同じサイズの小さな花束だけど、それが嬉しくて幸せな気持ちになる。
「今は時間がないから、これで失礼しますが、昼からの話には私も参加するようにと言われているから、また来ますね」
「あ、時間がないのにわざわざ来てもらって、すみません」
ーそっか、時間がないのは…残念だなぁー
「謝らないで下さいね。私がカミリア様に会いたくて来ただけだから」
「………え?」
「では、また後ほど」
テオファーヌさんは私の手を持ち上げて、手の甲に軽く口を付けてから部屋から出て行った。
「……え?………え???」
グリンッと視線をアンナさんとラウリーさんに向けると、2人はニコニコと微笑んでいた。
*テオファーヌ視点*
ー今日も安定の可愛さだったなー
『ありがとうございます』
いつも小さな花束で笑顔を向けてくれるカミリア様。一度、ブレスレットを贈ろうとして断られた。その断りようが凄いもので……
『そんな(高価な)物は受け取れません!すみません!本当に無理です!』
今にでも泣きそうで、倒れそうな程震えだして……それ以降、高価な物を贈る事は取り敢えず諦めた。それでも、カミリア様の笑顔が見たくて花束を贈っている。それも、大き過ぎると恐縮するだろうから、小さな花束を。あんな小さな花束なのに、毎回本当に嬉しそうに笑うカミリア様を愛おしいと思うようになったのは、いつからだったか?
ルテリアルで初めて見た時は、あまりの幼さに驚いた。スネフェリングに来てからは、ちゃんと食べているか?ちゃんと眠れているか?泣いてはいないか?と心配で気になって仕方無かった。
それが、一緒にお茶をするようになって、いつしか目が離せなくなって……
ー焦らずゆっくりいこうー
なんて思っていたのに────
******
『午後から、アマデュー様からカミリア様の今後についての話があるから、テオも参加するように』
と、宰相である兄上に言われていたから、予定の時間に言われていた部屋に行くと、そこに皇帝陛下、皇妃、皇太子、宰相、アマデュー様、オードリナ様とカミリア様がやって来た。錚々たる顔ぶれだ。
こんな場でカミリア様は緊張していないか?と心配していたが、オードリナ様のお陰で穏やかな顔をしていてホッとした自分と、そこには俺が居たかったと思う自分がいる。そんな事を考えていると、オードリナ様が話を始めたが、その話は驚きの連続だった。
第一王女ヘレンティナが、実はカティエ王妃とアンセルム大神官との子だった
そのヘレンティナ王女が、本当は魔力無しで、カミリア様から全てを奪っていた
カミリア様がエリアーヌ様の子で、白属性の魔力持ちだった
「アンセルムは禁忌に手を出した事で、大神官の位は剥奪されて死ぬまで幽閉。カティエの処罰に関してはこれから議論されるけど、今は王城の地下牢に入れられているわ」
「お母様がお母様じゃなくて……私が魔力持ち?でも…私は魔力なんて感じないのに……」
泣いてしまいそうなのを我慢しているような顔で、自分の手を見つめているカミリア様。色々と思いが追いつかないのだろう。
それに、確かに、今のカミリア様からも魔力は感じられない。
続いて、アマデュー様が話を続ける。
「ヘレンティナから全て取り戻して、それら全てはもうカミリア様に戻したのは確かだよ。後は、カミリア様が本当の自分を取り戻せば、その魔力も流れるようになる」
「本当の自分?」
どうやら、カミリア様にはまだ隠された何かがあるようだ。それは、ここに居るカミリア様と俺以外は知っているのだろう。兄上も驚いた様子はない。なら、何故俺がこの場に呼ばれたのか?
「ルテリアル王国は特殊な国でね。4大精霊に依って独立して護られていたから、色んな制限やルールがあるんだ」
ルテリアル王国には、一般的には知られていない事が色々あるようで、特に、王族に関しては色々な制限があるそうだ。その中でも、“王族はルテリアルから出てはならない”と言うものがあるそうだ。
「基本、4大精霊が護っているのはルテリアルの始祖ジュヌベールの血筋であって、ルテリアル王国ではないんだ。だから、ルテリアル王国の王族は、ルテリアルで一生を過ごす事になる。どんな事があってもね。でも、カミリア様に関しては、それに当てはまらない状況だったんだ」
ルテリアル王国に於いて、名前と言うのは何よりも大切にされると言う。言い換えれば“名に縛られる”と言う事だ。
「もし“カミリア”と言う名が、加護持ちだったエリアーヌ様が付けた名であれば、カミリア様もまた護られる存在で、ルテリアル王国から出る事はできなかっただろうけど……“カミリア”は、エリアーヌ様が付けた名ではなかったんだ」
“カミリア”は、本当の名ではないようだ──
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―――『私の番には飼い主がいる』
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