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陽真と樹
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*梶原陽真視点*
『はるま!』
最後に、あの笑顔で俺の名前を呼んだのはいつだっただろう?
小学1、2年の頃迄はよく一緒に遊んでいた。3年生位から少しずつ距離ができて、中学に入った時には殆ど口もきかなくなっていた。
サッカー部だった俺は、兎に角モテた。色んな女の子と付き合ったりもした。そんな、部活を引退したある日──
「隣のクラスの望月さんって、可愛いよな?俺、声掛けてみようかな」
ーはぁ?こいつ、何言ってんだ?杏子は俺のだから!ー
それから、俺はそいつを牽制するように杏子を俺の側に置くようにした。
「杏子」
と呼べば、嫌そうな顔を向けて来る杏子。照れ隠しか?俺が声を掛けてるのに、素直にもっと嬉しそうにすれば良いのに。
何より腹が立ったのは、西高を受けると思っていたのに、実は東高だったと言う事。たまたま、あんこと先生が話しているのを耳にして東高だったと知り、俺も慌てて進路を変更した。
ー俺から離れるとか……有り得ないだろう?ー
俺のモノだと解らせる為にも、高校生になってからはサッカー部のマネージャーをさせた。
『なぁ、陽真は何で、そんなにも望月さんに執着してるの?』
と訊いて来たのは誰だったか──。
『俺が執着?違うよ。あんこがいつも独りで居るから、幼馴染みの俺が側に置いてやってるだけだ』
その時はまだ、自分では気付いてなかったからそんな事を言ったけど、今になって思えば、俺は────
「──きょうこ!!」
光り輝く中で、必死に杏子に手を伸ばしたのに、目の前に居た筈の杏子が居なくなった。その変わりに、俺の腕にしがみついている彩香が居た。
ーお前のせいで!ー
と、叫びそうになるのをグッと我慢した。ここで、彩香を怒鳴ったところで何も変わらないからだ。兎に角、杏子を探さないといけないと思っていたのに、それからは色々と大変だった。
まさか、自分が異世界転移をするとは………それに、“剣士”。魔力無しとは少し残念だけど、剣士も悪くはない。チートなお陰で、剣を振るうのは簡単であり、楽しかった。
杏子の事は心配だったけど、探す事は任せる以外の選択肢はなかった。杏子はいつも独りだった。だから、俺はアイツを側に置いて守りたかった。
「あぁ、そうか。俺は…杏子が好きだったのか…」
杏子が何処に居るのか分からない。でも、もし杏子もこの世界に居るなら、今度こそ俺がこの世界で、剣を持ってアイツを守っていってやろう。
そう思いながら、俺は今日も訓練場へと向かった。
*深沢樹視点*
『なぁ、陽真は何で、そんなにも望月さんに執着してるの?』
と、俺は一度、陽真に訊いた事がある。
『俺が執着?違うよ。あんこがいつも独りで居るから、幼馴染みの俺が側に置いてやってるだけだ。』
ーあ、コイツ、イタいやつだー
梶原陽真。学年一のイケメンで、サッカーでもエースポジョンのハイスペかと思ったけど、中身は違うようで……それはそれで、何となく面白いヤツなのかもしれない──と、その時はそう思っていた。それが───
ただのクズだった。
被害者?は、陽真の幼馴染みの望月杏子。陽真の幼馴染みでサッカー部のマネージャー。マネージャーは彼女の他にも3人居たが、その3人よりも気の利く良いマネージャーだった。と言うか、他の3人は男目当てで入部して来ただけで、まともにマネージャーとしての仕事はあまりしていなかった。それでも、3人とも可愛くて人気のある子達だったから、先輩達も誰も彼女達に文句を言う事はなかった。そんな中、望月さんだけは黙々とキッチリと仕事をこなしていた。
望月さんは、いつも独りで居て表情は少し暗い。原因は陽真だ。陽真は、自分がモテている自覚はあるけど、その事によって望月さんが苛められていると言う事には全く気付いていない。それとなく、陽真に「望月さんとの距離感おかしくないか?少し離れた方が良くないか?」と言ってみたが、「おかしくない。」の一言で終わった。そんなに好きなら─と思ったが、望月さんと付き合うわけでもないし、相変わらずコロコロと彼女も変わって行く状況。ただただ執着だけが酷くなっていく。これがまた、無自覚の執着だから余計に質が悪い。かと言って、俺が何とかしたところで、陽真も、こいつの取り巻きの女子も逆ギレしそうで、俺も望月さんには何もする事はなかったから、俺も同罪だったのかもしれない。
死に直面した俺達は、召喚された事で助かった。
“自分の行いは自分に返って来る”
兎に角、助けてもらったのだ。
魔物や魔獣なんて物語の中だけの話だと思っていた。そんな相手に戦うのは、勿論怖い。でも、俺には魔力があってレベルだって最上級。精一杯頑張って、この世界に恩を返さなければいけない──返したいと思う。
心配していた望月さんの無事も確認できたし、彼女が2歳年上になっていて驚きはしたが、以前よりも明るくなっていて良かったなと思う。
まだ、陽真と大森がどう出て来るかは分からないけど、多分……大丈夫だろう。
ーこの世界ででは、望月さんとは友達として付き合えていけたら良いけどー
と思いながら寝たその日。
俺は、淡い赤色の光に包まれた夢を視た。
❋最後も見えて来たので、明日以後も可能な限り、1日2話投稿でいこうと思っています。宜しくお願いします❋
『はるま!』
最後に、あの笑顔で俺の名前を呼んだのはいつだっただろう?
小学1、2年の頃迄はよく一緒に遊んでいた。3年生位から少しずつ距離ができて、中学に入った時には殆ど口もきかなくなっていた。
サッカー部だった俺は、兎に角モテた。色んな女の子と付き合ったりもした。そんな、部活を引退したある日──
「隣のクラスの望月さんって、可愛いよな?俺、声掛けてみようかな」
ーはぁ?こいつ、何言ってんだ?杏子は俺のだから!ー
それから、俺はそいつを牽制するように杏子を俺の側に置くようにした。
「杏子」
と呼べば、嫌そうな顔を向けて来る杏子。照れ隠しか?俺が声を掛けてるのに、素直にもっと嬉しそうにすれば良いのに。
何より腹が立ったのは、西高を受けると思っていたのに、実は東高だったと言う事。たまたま、あんこと先生が話しているのを耳にして東高だったと知り、俺も慌てて進路を変更した。
ー俺から離れるとか……有り得ないだろう?ー
俺のモノだと解らせる為にも、高校生になってからはサッカー部のマネージャーをさせた。
『なぁ、陽真は何で、そんなにも望月さんに執着してるの?』
と訊いて来たのは誰だったか──。
『俺が執着?違うよ。あんこがいつも独りで居るから、幼馴染みの俺が側に置いてやってるだけだ』
その時はまだ、自分では気付いてなかったからそんな事を言ったけど、今になって思えば、俺は────
「──きょうこ!!」
光り輝く中で、必死に杏子に手を伸ばしたのに、目の前に居た筈の杏子が居なくなった。その変わりに、俺の腕にしがみついている彩香が居た。
ーお前のせいで!ー
と、叫びそうになるのをグッと我慢した。ここで、彩香を怒鳴ったところで何も変わらないからだ。兎に角、杏子を探さないといけないと思っていたのに、それからは色々と大変だった。
まさか、自分が異世界転移をするとは………それに、“剣士”。魔力無しとは少し残念だけど、剣士も悪くはない。チートなお陰で、剣を振るうのは簡単であり、楽しかった。
杏子の事は心配だったけど、探す事は任せる以外の選択肢はなかった。杏子はいつも独りだった。だから、俺はアイツを側に置いて守りたかった。
「あぁ、そうか。俺は…杏子が好きだったのか…」
杏子が何処に居るのか分からない。でも、もし杏子もこの世界に居るなら、今度こそ俺がこの世界で、剣を持ってアイツを守っていってやろう。
そう思いながら、俺は今日も訓練場へと向かった。
*深沢樹視点*
『なぁ、陽真は何で、そんなにも望月さんに執着してるの?』
と、俺は一度、陽真に訊いた事がある。
『俺が執着?違うよ。あんこがいつも独りで居るから、幼馴染みの俺が側に置いてやってるだけだ。』
ーあ、コイツ、イタいやつだー
梶原陽真。学年一のイケメンで、サッカーでもエースポジョンのハイスペかと思ったけど、中身は違うようで……それはそれで、何となく面白いヤツなのかもしれない──と、その時はそう思っていた。それが───
ただのクズだった。
被害者?は、陽真の幼馴染みの望月杏子。陽真の幼馴染みでサッカー部のマネージャー。マネージャーは彼女の他にも3人居たが、その3人よりも気の利く良いマネージャーだった。と言うか、他の3人は男目当てで入部して来ただけで、まともにマネージャーとしての仕事はあまりしていなかった。それでも、3人とも可愛くて人気のある子達だったから、先輩達も誰も彼女達に文句を言う事はなかった。そんな中、望月さんだけは黙々とキッチリと仕事をこなしていた。
望月さんは、いつも独りで居て表情は少し暗い。原因は陽真だ。陽真は、自分がモテている自覚はあるけど、その事によって望月さんが苛められていると言う事には全く気付いていない。それとなく、陽真に「望月さんとの距離感おかしくないか?少し離れた方が良くないか?」と言ってみたが、「おかしくない。」の一言で終わった。そんなに好きなら─と思ったが、望月さんと付き合うわけでもないし、相変わらずコロコロと彼女も変わって行く状況。ただただ執着だけが酷くなっていく。これがまた、無自覚の執着だから余計に質が悪い。かと言って、俺が何とかしたところで、陽真も、こいつの取り巻きの女子も逆ギレしそうで、俺も望月さんには何もする事はなかったから、俺も同罪だったのかもしれない。
死に直面した俺達は、召喚された事で助かった。
“自分の行いは自分に返って来る”
兎に角、助けてもらったのだ。
魔物や魔獣なんて物語の中だけの話だと思っていた。そんな相手に戦うのは、勿論怖い。でも、俺には魔力があってレベルだって最上級。精一杯頑張って、この世界に恩を返さなければいけない──返したいと思う。
心配していた望月さんの無事も確認できたし、彼女が2歳年上になっていて驚きはしたが、以前よりも明るくなっていて良かったなと思う。
まだ、陽真と大森がどう出て来るかは分からないけど、多分……大丈夫だろう。
ーこの世界ででは、望月さんとは友達として付き合えていけたら良いけどー
と思いながら寝たその日。
俺は、淡い赤色の光に包まれた夢を視た。
❋最後も見えて来たので、明日以後も可能な限り、1日2話投稿でいこうと思っています。宜しくお願いします❋
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