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望月杏子
しおりを挟むーあぁ……本当に……気持ち良いなぁー
尻尾が自然とユラユラと揺れてます。
今日は、レインさんの仕事がお休みの日の前日。レインさんのお休みの日の前日の夕食後は、「癒しが欲しい」と言うレインさんのご希望で、私はよく白狼になって、レインさんの膝の上に寝転んで──撫でられまくっている。
レインさんに撫でられるのが、本当に一番気持ち良いのだ。寧ろ、私の方が癒されている気がする。
「ルーナは、本当に毛並みがキレイだな。汚れたりしたら…どうするんだ?やっぱり、白狼の姿で水浴び?でもするのか?」
『あ、それ、私も最初の頃は驚いたんですけどね?私、ウンディーネ様の加護があるから、汚れないみたいなんです。んー……ルーナの身体に“水の膜”みたいなのが張られてる感じで、汚れとかが弾かれるみたいです。便利ですよね。』
それでも不思議な事に、“白狼姿でお風呂に入りたいなぁ”なんて望めば、普通にお風呂に入って泡まみれになりながら全身くまなく洗われたりもする。たまーに、使用人さんに手をワキワキされながら洗われるんだけど、これまた、泡に包まれると気持ち良くて、洗われながら寝落ちする─事もある。
ー白狼になると、どうしても本能に逆らい難くなるようですー
『便利と言えば、白狼になると裸?なんですけど、白狼から人間に戻ると、ちゃんと服を着てるんですよね。便利と言うか、こればっかりは本当に不思議ですね。』
一体どんな原理なんだろうか?現代科学?では絶対に解明できないよね?馬鹿の一つ覚えの様に“ファンタジーだからね!”としか言えない。
「それは、色々と不思議だな。でも、人間に戻った時に裸だと困るから……良かったな?」
『確かに!』
それから暫くお喋りした後、「そろそろ寝ようか」と言われ『そうですね』と答え、寝室へ行こうと、レインさんの膝上から降りようとすると
「今日は、キョウコと寝たいな。」
『────っ!?』
いつもなら、ルーナのまま抱きしめられて寝るんだけど─
『わっ…分かりました。』
ーふっ…夫婦だしね!全く問題無い…ですねー
恥ずかしい気持ちを落ち着かせながら、ポンッと杏子へと姿を変える。
「「あっ!!!」」
2人同時に声を上げる。
「えっと!違うんです!いや、違う事もないんですけど、違うんです!お風呂から出たら、この服しかなかったんです!」
そう。何故か、お風呂から出て寝夜着を着ようとすると、いつも着ているロングワンピースの様な寝夜着ではなく、膝上丈の少々薄手の生地の寝夜着が用意されていたのだ。
ー無い!絶対に無い!ー
と心の中で叫んだものの、「あ、今日はルーナで良い日だっけ?」と思い出し、それじゃあ大丈夫かと、この寝夜着を着てしまったのだ。すっかり忘れていた……。
「うゔ─すみません!こんな格好で────ひやぁっ!!」
申し訳無さ過ぎて、レインさんに謝って自室へと戻ろうとすると、レインさんにお姫様抱っこをされた。
ー何故だ!?ー
ビックリしてレインさんを見上げると
「何故謝るのか分からないし、何処に行くつもりだったんだ?これから行くのは──俺達の寝室だから。」
うっそりと微笑む、そのレインさんの薄紫色の瞳が、いつもより濃くなっている。そうなると……もう逃げられない訳で───
私も、この世界で幸せに過ごして行けそうです。
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