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ブレイン=アンカーソン
「今日の午後は、ジェマ嬢とデートだったな?」
「はい。ジェマが、薔薇が好きだと聞いたから、王城の薔薇を見せてあげたくて」
王城には、いくつかの庭園があり、王妃陛下が管理している庭園は、王妃陛下の許可がなければ立ち入る事はできないが、一般公開されている庭園については、入城できる者はいつでも立ち入る事ができる。他にも、来賓を饗すガゼボなどが配置された庭園もある。
今日、私─ブレイン=アンカーソンの婚約者ジェマと見に行くのは、その一般公開されている庭園だ。ジェマは薔薇が一番好きな花だそうだ。この一般公開されている庭園の一角に、色とりどりの薔薇が咲いているが、ジェマは一度も来た事がないらしい。父親であるブルーム伯爵は王城勤めの文官だ。その娘であるジェマなら、いつでも登城し見る事も可能なのだが──
ジェマは、前ブルーム伯爵夫人の子で、双子のリンディ嬢とエヴィ嬢と弟のサイラスとは母親が違う。そのせいで、弟妹達との扱いが違うようだ。
あの母親─ブルーム伯爵夫人は、光の魔力持ちのリンディ主義者。いつも、私とジェマの間に割り込んで来る。そのせいで、私がジェマに会いにブルーム邸に訪れても、いつもそこにはリンディ嬢が居て、ジェマと2人でゆっくり話をする事もできないのだ。だから、今日は久し振りに2人でゆっくり庭園を見て回れると思っていたのだが─────
「ブレイン様!」
「…………」
ジェマを迎える為に、アシェルの執務室で挨拶をした後、城門の方へと向かっている時に、リンディ嬢に声を掛けられた。
ー何故、このタイミングでこの場所に居るんだ?ー
内心、舌打ちしてしまいそうになるのを我慢して、声がした方へと振り返る。
「リンディ嬢。こんにちは。何か私に用事でも?」
王城内で伯爵令嬢でしかないリンディ嬢が、大声で公爵家嫡男である私を、私の許可無く名前呼びをして呼び止める。何とも不作法なご令嬢だ。同じ双子のエヴィ嬢は我儘ではあるが、私を呼び止める事は無い。寧ろ、私からは距離をとっている。『“ブレイン”と呼んでもらっても良い』と、何度かそれとなく言った事もあるが、今でも相変わらずエヴィ嬢は私の事だけは未だに“アンカーソン様”呼びのままである。
少し寂しい……何て思ってはいない───筈だ。
「すみません。特に用がある訳ではないんですけど……お見掛けしたので、つい声を掛けてしまいました」
申し訳無さそうに目を潤ませて私を見上げて来るリンディ嬢。庇護欲を掻き立てる様なその仕草。
ー嫌悪感しかない。これが、本当に、あのエヴィ嬢と双子の妹なのか?ー
されど、ジェマの妹である事には変わりはないから、それなりの対応をして来たが、それは間違いだったのかもしれない。エヴィ嬢とリンディ嬢、対応の仕方は、真逆だったかもしれない。
「特に用がないなら、私はこれで失礼する。今日は、これから、君の姉で私の婚約者のジェマと約束があるから」
「え?ジェ………お姉様?え?だって…お姉様は……」
と言い掛けて、リンディ嬢はハッとした後、口を噤んだ。
「ジェマが何か?」
「──いえっ……何も。その……失礼しました」
そう言って軽く頭を下げた後、リンディ嬢は城内の方へと走って行った。
今日のジェマも、安定に綺麗だ。
私よりも少し明るい金髪に、エメラルドグリーンの様な瞳はいつもキラキラと輝いている。その瞳が私を見つめてくる度に、ジェマに対しての愛しさが増していき──ある意味困る程だ。
ー薔薇の花に囲まれるジェマは、絵になるなぁー
なんて、幸せを噛み締めていると
「ブレイン様。少し……お話があるのですが………」
と、そこには、いつもの優しい笑顔ではなく、少し緊張したような顔をしたジェマが居た。
「ブレイン様は、本当に、エヴィの事を我儘だと思っているんですか?」
庭園内にあるベンチに、ジェマと横並びに座り、少し深呼吸をしてからジェマが話をし出した。
それは、ある程度アンカーソン家が調べて知っていた事と、知らなかった事もあった。
独りぼっちだったジェマを救ってくれたのがエヴィ嬢だった。エヴィ嬢も独りぼっちだった。
「エヴィは、自分の為の我儘は言わないんです。あの子が何か我儘を言う時は、必ず何かがあるんです。だから──」
「確かに、最初の頃は我儘な子だな─と思っていたけど……今は違う」
落ち着けば、それはとても簡単だった。エヴィ嬢は、いつも姉のジェマを優先して動いている。そのエヴィ嬢を、あのアシェルが微笑ましそうな顔で見ているのだ。それに、どんな事があっても誤解されたくないと、どんなご令嬢にも花の一輪も贈った事がなかったアシェルが、エヴィ嬢に赤色のカーネーションを贈った──と言う事は、アシェルも本気だと言う事だろう。
全くアシェルに気のない、地位や権力に全く興味の無いエヴィ嬢には申し訳無いが、おとなしく…アシェルに囚われてもらいたい。アシェルが初めて、自分から望んだモノだから。
「ジェマも気付いているだろう?殿下がエヴィ嬢を捕らえようとしているのを」
ジェマは、少し困ったような顔をして頷いた。
「エヴィ嬢には悪いけど、もう、エヴィ嬢はアシェルからは逃げられないと思う。だから─と言うか、私位の小言を言われる事にも慣れていってもらわないと……ね?」
ジェマにとって可愛い妹なら、私だって甘やかしてあげたい─とも思うが、甘やかすだけなら、他の者がしている。なら、1人位チクリと言う者が居ても良いだろう。アシェルが、共に立ちたいと思っている相手なのだから。
ジェマはパチッと瞠目した後、やっぱり少し困った様な顔をして笑った。
ーそれより、問題は──リンディ嬢の方だけどー
とは、ジェマには言わない方が良いだろう。
「はい。ジェマが、薔薇が好きだと聞いたから、王城の薔薇を見せてあげたくて」
王城には、いくつかの庭園があり、王妃陛下が管理している庭園は、王妃陛下の許可がなければ立ち入る事はできないが、一般公開されている庭園については、入城できる者はいつでも立ち入る事ができる。他にも、来賓を饗すガゼボなどが配置された庭園もある。
今日、私─ブレイン=アンカーソンの婚約者ジェマと見に行くのは、その一般公開されている庭園だ。ジェマは薔薇が一番好きな花だそうだ。この一般公開されている庭園の一角に、色とりどりの薔薇が咲いているが、ジェマは一度も来た事がないらしい。父親であるブルーム伯爵は王城勤めの文官だ。その娘であるジェマなら、いつでも登城し見る事も可能なのだが──
ジェマは、前ブルーム伯爵夫人の子で、双子のリンディ嬢とエヴィ嬢と弟のサイラスとは母親が違う。そのせいで、弟妹達との扱いが違うようだ。
あの母親─ブルーム伯爵夫人は、光の魔力持ちのリンディ主義者。いつも、私とジェマの間に割り込んで来る。そのせいで、私がジェマに会いにブルーム邸に訪れても、いつもそこにはリンディ嬢が居て、ジェマと2人でゆっくり話をする事もできないのだ。だから、今日は久し振りに2人でゆっくり庭園を見て回れると思っていたのだが─────
「ブレイン様!」
「…………」
ジェマを迎える為に、アシェルの執務室で挨拶をした後、城門の方へと向かっている時に、リンディ嬢に声を掛けられた。
ー何故、このタイミングでこの場所に居るんだ?ー
内心、舌打ちしてしまいそうになるのを我慢して、声がした方へと振り返る。
「リンディ嬢。こんにちは。何か私に用事でも?」
王城内で伯爵令嬢でしかないリンディ嬢が、大声で公爵家嫡男である私を、私の許可無く名前呼びをして呼び止める。何とも不作法なご令嬢だ。同じ双子のエヴィ嬢は我儘ではあるが、私を呼び止める事は無い。寧ろ、私からは距離をとっている。『“ブレイン”と呼んでもらっても良い』と、何度かそれとなく言った事もあるが、今でも相変わらずエヴィ嬢は私の事だけは未だに“アンカーソン様”呼びのままである。
少し寂しい……何て思ってはいない───筈だ。
「すみません。特に用がある訳ではないんですけど……お見掛けしたので、つい声を掛けてしまいました」
申し訳無さそうに目を潤ませて私を見上げて来るリンディ嬢。庇護欲を掻き立てる様なその仕草。
ー嫌悪感しかない。これが、本当に、あのエヴィ嬢と双子の妹なのか?ー
されど、ジェマの妹である事には変わりはないから、それなりの対応をして来たが、それは間違いだったのかもしれない。エヴィ嬢とリンディ嬢、対応の仕方は、真逆だったかもしれない。
「特に用がないなら、私はこれで失礼する。今日は、これから、君の姉で私の婚約者のジェマと約束があるから」
「え?ジェ………お姉様?え?だって…お姉様は……」
と言い掛けて、リンディ嬢はハッとした後、口を噤んだ。
「ジェマが何か?」
「──いえっ……何も。その……失礼しました」
そう言って軽く頭を下げた後、リンディ嬢は城内の方へと走って行った。
今日のジェマも、安定に綺麗だ。
私よりも少し明るい金髪に、エメラルドグリーンの様な瞳はいつもキラキラと輝いている。その瞳が私を見つめてくる度に、ジェマに対しての愛しさが増していき──ある意味困る程だ。
ー薔薇の花に囲まれるジェマは、絵になるなぁー
なんて、幸せを噛み締めていると
「ブレイン様。少し……お話があるのですが………」
と、そこには、いつもの優しい笑顔ではなく、少し緊張したような顔をしたジェマが居た。
「ブレイン様は、本当に、エヴィの事を我儘だと思っているんですか?」
庭園内にあるベンチに、ジェマと横並びに座り、少し深呼吸をしてからジェマが話をし出した。
それは、ある程度アンカーソン家が調べて知っていた事と、知らなかった事もあった。
独りぼっちだったジェマを救ってくれたのがエヴィ嬢だった。エヴィ嬢も独りぼっちだった。
「エヴィは、自分の為の我儘は言わないんです。あの子が何か我儘を言う時は、必ず何かがあるんです。だから──」
「確かに、最初の頃は我儘な子だな─と思っていたけど……今は違う」
落ち着けば、それはとても簡単だった。エヴィ嬢は、いつも姉のジェマを優先して動いている。そのエヴィ嬢を、あのアシェルが微笑ましそうな顔で見ているのだ。それに、どんな事があっても誤解されたくないと、どんなご令嬢にも花の一輪も贈った事がなかったアシェルが、エヴィ嬢に赤色のカーネーションを贈った──と言う事は、アシェルも本気だと言う事だろう。
全くアシェルに気のない、地位や権力に全く興味の無いエヴィ嬢には申し訳無いが、おとなしく…アシェルに囚われてもらいたい。アシェルが初めて、自分から望んだモノだから。
「ジェマも気付いているだろう?殿下がエヴィ嬢を捕らえようとしているのを」
ジェマは、少し困ったような顔をして頷いた。
「エヴィ嬢には悪いけど、もう、エヴィ嬢はアシェルからは逃げられないと思う。だから─と言うか、私位の小言を言われる事にも慣れていってもらわないと……ね?」
ジェマにとって可愛い妹なら、私だって甘やかしてあげたい─とも思うが、甘やかすだけなら、他の者がしている。なら、1人位チクリと言う者が居ても良いだろう。アシェルが、共に立ちたいと思っている相手なのだから。
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