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お出掛け
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初めてもらった花は、赤色のカーネーション。
今迄もらったどんな物よりも、何故かキラキラと輝いて見えて、どれだけ見ていても顔が自然と笑ってしまっていた。
されど、花である。どれだけ気を使っていたとしても、萎れてしまう。
「花びらを使って、栞でも作りますか?」
と、ライラの提案で、その赤色のカーネーションの花びらを使って、栞を作った。本を読む事が好きな私にとっては、いつでも目にする事ができるモノなので、とっても嬉しい─から、いつもよりもテンションが上がっていたんだろう。いつもの私なら、そんな考えには至らなかっただろう。
ー殿下に、お礼をしようー
問題は“何を”だ。
クズ親ではあるが、体裁を気にしまくる親からは、毎月きちんとお小遣いも支給されている。“伯爵令嬢たる品位を保て”と言うような手紙を添えて。
ー品位を保てていないのは、リンディだけど?ー
と、手紙に書いて送り付けてみようか?と、何度思っただろうか?じゃなくて、兎に角、手持ちのお金はあるから、それなりの物は買えるだろう。
食べ物─は、相手は王太子。色々と制限があったりするから難しいよね?
アクセサリー類は、以ての外だ。親しい間柄ではないのだから。
ハンカチ─は、気楽で選びがちだけど、それはそれで意外とヤバそうだよね。ハンカチは、女性が婚約者に贈る物の代表作でもある。無いとは思うけど、それで勘違いする令嬢がいたら、それこそ厄介だ。
ライラにも相談した結果、街で色々見て回って決めては?と言う事になり、私はライラと一緒に街へ出掛ける事にした。
寮生活をしている生徒も、外出に関しては比較的自由だ。当日であっても、申請書を提出すれば外出ができる。門限は5時。今日は学校が休みで時間はたっぷりある為、ランチも外で食べる事にして、お昼前には寮を出た。
学校の近くには、学生向けのお店が多い。文具屋さんは勿論の事、比較的安い服を売っているお店もある。寮に入る時に、親に持たされた私服が…ピンクだらけだった。何の嫌がらせかと、溜め息さえも出なかったけど、今では私の好きな色の服が買えるのだ。今日も、後で服も見てみよう。
「取り敢えずは……少しお店を見て回って、人で混む前にどこかでランチにしよう!ライラも、見たい物があったら遠慮なく言ってね」
「分かったわ。」
お出掛けの時は、主従関係のエヴィとライラではなく、友達として来る事にしている為、今のライラは本来のタメ口に戻っている。ライラは人間じゃなくて、精霊だけど……。
「はー…久し振りの買い物は楽しいね。」
「ふふっ。キラキラ笑顔のエヴィは、久し振りに見たわ。」
無事、殿下へのお礼の品も買えて、ついでに学校で使う文具をいくつか購入した後、少し早目のランチを取る為にカフェへとやって来た。
「自分の好きな物を買えるって…本当に楽しいんだもの。」
そう言うと、ライラも笑ってくれる。
あの親達の目が無い日々は、本当に楽しい。リンディの行動など、少し気掛かりな事もあるけど、基本は穏やかな日々を送れている。
「それじゃあ、午後も色々見て回る為にも、ここでしっかり食べなきゃね!」
ニッコリ笑うライラ。普段は、あまりライラが食事をしているところは見ないけど、お店に来ると「何処に入ってるの!?」と、突っ込みたくなる程の量を食べる。特に、甘い物が好きなようで、ホールサイズのケーキをケロリと平らげてまう。
「基本、精霊は食事をしなくても良いんだけど、甘い物は別よね。」
なんだそうだ。精霊には性別も無いらしが、ライラはきっと女の子に違いない─と、私はコッソリ思っている。
それから、2人とも違うメニューを頼み、お互い少しずつ交換して食べ、食後のデザートを食べている時だった。
「エヴィ?」
あまり聞きたくない─聞こえる筈が無いと思っていた声で名前を呼ばれた。持っていたフォークを置いて、声のした方へと顔を向ける。
「リン……ディ……」
そこには、やっぱりリンディが居た。それも……自身の両サイドに男の子を伴って。
光の魔力持ちのリンディに付けられた護衛─では無い?護衛だと……ある意味距離が近過ぎる。婚約者……でもないよね?決まったとは聞いてないし、失礼な事この上ないが、公爵や候爵の令息にも…見えない。高位貴族の令息なら、婚約者であっても、人前でこれ程の距離で接する事は無いだろう。でも…友達の距離でもないよね?少し戸惑ってしまい、言葉が続いて出ずにいると
「コレが、リンディ嬢の双子の姉のエヴィ嬢?」
ー“コレ”って何!?あぁ……光の魔力持ち信者かー
「まぁ、“コレ”だなんて…言わないで?これでも私の姉なの。」
コレ呼ばわりして来た男の子の服を少し引っ張って、うるっとさせた目で、リンディがその男の子を窘めると、その反対側に居る男の子が「リンディ嬢は本当に優しいね」と、リンディの髪を撫でている。
ーえ?これ、何を見せられてるの??ー
今迄もらったどんな物よりも、何故かキラキラと輝いて見えて、どれだけ見ていても顔が自然と笑ってしまっていた。
されど、花である。どれだけ気を使っていたとしても、萎れてしまう。
「花びらを使って、栞でも作りますか?」
と、ライラの提案で、その赤色のカーネーションの花びらを使って、栞を作った。本を読む事が好きな私にとっては、いつでも目にする事ができるモノなので、とっても嬉しい─から、いつもよりもテンションが上がっていたんだろう。いつもの私なら、そんな考えには至らなかっただろう。
ー殿下に、お礼をしようー
問題は“何を”だ。
クズ親ではあるが、体裁を気にしまくる親からは、毎月きちんとお小遣いも支給されている。“伯爵令嬢たる品位を保て”と言うような手紙を添えて。
ー品位を保てていないのは、リンディだけど?ー
と、手紙に書いて送り付けてみようか?と、何度思っただろうか?じゃなくて、兎に角、手持ちのお金はあるから、それなりの物は買えるだろう。
食べ物─は、相手は王太子。色々と制限があったりするから難しいよね?
アクセサリー類は、以ての外だ。親しい間柄ではないのだから。
ハンカチ─は、気楽で選びがちだけど、それはそれで意外とヤバそうだよね。ハンカチは、女性が婚約者に贈る物の代表作でもある。無いとは思うけど、それで勘違いする令嬢がいたら、それこそ厄介だ。
ライラにも相談した結果、街で色々見て回って決めては?と言う事になり、私はライラと一緒に街へ出掛ける事にした。
寮生活をしている生徒も、外出に関しては比較的自由だ。当日であっても、申請書を提出すれば外出ができる。門限は5時。今日は学校が休みで時間はたっぷりある為、ランチも外で食べる事にして、お昼前には寮を出た。
学校の近くには、学生向けのお店が多い。文具屋さんは勿論の事、比較的安い服を売っているお店もある。寮に入る時に、親に持たされた私服が…ピンクだらけだった。何の嫌がらせかと、溜め息さえも出なかったけど、今では私の好きな色の服が買えるのだ。今日も、後で服も見てみよう。
「取り敢えずは……少しお店を見て回って、人で混む前にどこかでランチにしよう!ライラも、見たい物があったら遠慮なく言ってね」
「分かったわ。」
お出掛けの時は、主従関係のエヴィとライラではなく、友達として来る事にしている為、今のライラは本来のタメ口に戻っている。ライラは人間じゃなくて、精霊だけど……。
「はー…久し振りの買い物は楽しいね。」
「ふふっ。キラキラ笑顔のエヴィは、久し振りに見たわ。」
無事、殿下へのお礼の品も買えて、ついでに学校で使う文具をいくつか購入した後、少し早目のランチを取る為にカフェへとやって来た。
「自分の好きな物を買えるって…本当に楽しいんだもの。」
そう言うと、ライラも笑ってくれる。
あの親達の目が無い日々は、本当に楽しい。リンディの行動など、少し気掛かりな事もあるけど、基本は穏やかな日々を送れている。
「それじゃあ、午後も色々見て回る為にも、ここでしっかり食べなきゃね!」
ニッコリ笑うライラ。普段は、あまりライラが食事をしているところは見ないけど、お店に来ると「何処に入ってるの!?」と、突っ込みたくなる程の量を食べる。特に、甘い物が好きなようで、ホールサイズのケーキをケロリと平らげてまう。
「基本、精霊は食事をしなくても良いんだけど、甘い物は別よね。」
なんだそうだ。精霊には性別も無いらしが、ライラはきっと女の子に違いない─と、私はコッソリ思っている。
それから、2人とも違うメニューを頼み、お互い少しずつ交換して食べ、食後のデザートを食べている時だった。
「エヴィ?」
あまり聞きたくない─聞こえる筈が無いと思っていた声で名前を呼ばれた。持っていたフォークを置いて、声のした方へと顔を向ける。
「リン……ディ……」
そこには、やっぱりリンディが居た。それも……自身の両サイドに男の子を伴って。
光の魔力持ちのリンディに付けられた護衛─では無い?護衛だと……ある意味距離が近過ぎる。婚約者……でもないよね?決まったとは聞いてないし、失礼な事この上ないが、公爵や候爵の令息にも…見えない。高位貴族の令息なら、婚約者であっても、人前でこれ程の距離で接する事は無いだろう。でも…友達の距離でもないよね?少し戸惑ってしまい、言葉が続いて出ずにいると
「コレが、リンディ嬢の双子の姉のエヴィ嬢?」
ー“コレ”って何!?あぁ……光の魔力持ち信者かー
「まぁ、“コレ”だなんて…言わないで?これでも私の姉なの。」
コレ呼ばわりして来た男の子の服を少し引っ張って、うるっとさせた目で、リンディがその男の子を窘めると、その反対側に居る男の子が「リンディ嬢は本当に優しいね」と、リンディの髪を撫でている。
ーえ?これ、何を見せられてるの??ー
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