(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

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打ち明ける②

「父と母─だったブルーム伯爵夫妻にも言ってませんが、私、実は闇の魔力持ちなんです」

「あ、高熱を出して、二属性あった魔力を失ってしまったのは本当の事だし、その後暫くは本当に“魔力無し”だったんです。でも…その…私、闇の精霊と仲良く?させてもらっていて、その闇の精霊が私を心配してくれて、闇の魔力を与えてくれたんです」

はい。目の前に居る2人が、同じ様な顔をして固まっている。似た者夫婦だな─と思いながら話を続けた。
話していくにつれて、アンカーソン様の顔色がどんどんと悪くなっていき、姉は困った様な顔をしている。
話して良いかどうか本人には確認していないから、実はライラが闇の精霊だと言う事は伏せておく事にした。

姉は全く気付いてはいなかったが、時折もらうベリーパイについても素直に話した。すると、これには姉は勿論の事、アンカーソン様も更に一層顔色を悪くした。

「エヴィ嬢は………それらの悪いモノを、アシェルやジェマ…その時一緒に居た私の口に入らないようにしていたと言う事なのか?」

「そうですね。私、その悪いモノに直接触れないと祓えないので、どうしてもソレを私が貰わないと駄目なんです。だから……いつもお姉様のモノを取ったりしてごめんなさい」

シュン─として謝ると

「エヴィが謝る必要なんてないわ!寧ろ、いつも私を助けてくれてありがとう。」
「そうだ、エヴィ嬢は何も悪くない!その…本当に、申し訳無かった!!」

姉からは、何故か少し怒り気味にお礼を言われ、アンカーソン様には机に額がぶつかる勢いで頭を下げて謝られた。それには、隣に座っている姉も驚いている。

「ジェマには言われていたんだ。エヴィ嬢は、ただ我儘を言っている訳ではないと。何か理由があるんだと。でも、私は……半信半疑で…」

頭を下げたままのアンカーソン様。それを、オロオロとして見守る姉と、ニヤニヤと嗤って見ている腹黒殿下。
アンカーソン様は必死に謝っているけど、私は別にアンカーソン様の小言を嫌だと思った事が……無いのだ。でも、きっとそれではアンカーソン様は納得しないだろう。

「アンカーソン様、取り敢えず頭を上げて下さい。公爵零息様に頭を下げられると、私の心臓が落ち着きません。それに、謝罪は受け取りますから」

ソロソロと顔を上げるアンカーソン様に、ホッとした顔をしている姉。

「どうしても私への行いが気に病むと言うなら、その分、これからはアンカーソン様がしっかりとお姉様を護って下さい。学校を卒業してしまえば、お姉様はアンカーソン公爵邸へと行ってしまいますから。色んなモノから、お姉様を護って、お姉様と一緒に幸せになって下さい」

「エヴィ……」
「エヴィ嬢、それは勿論だ。言われなくても、私はジェマを護るし幸せにする」

「ふふっ。それなら良かったです。お姉様の事、宜しくお願いします────

「───っ!?おに───っ!!??」

ガチャンッ─

「ブレイン様!?だっ…大丈夫ですか!?」

何故か、急に慌て出したアンカーソン様が、手元にあったティーカップを倒してしまい、紅茶が零れてしまった。そこは、水の魔力持ちの姉が、ササッと机を綺麗にして、改めて新しい紅茶を淹れ直した。姉の対応は、完璧である。

ーアンカーソン様…本当に…ホントウに!お姉様の事、ヨロシク頼みますよ!?ー

と、腹黒殿下の作る笑顔を思い出しながら、私はアンカーソン様に笑顔を向けた。







「ひょっとして…昨日の食事の最後に出て来たベリーパイにも、何か盛られていたの?だから、エヴィは、『私達は食べる事ができない』と言ったの?」

アンカーソン様が落ち着いた後、姉がポツリと呟いた。

「はい。お姉様と私のベリーパイにだけ……を盛られていたんです」

“媚薬”とは、言わない方が良いだろう。親が子に媚薬。お人好しで優しい姉は、きっと、自分に盛られた事よりも、実の親に盛られた私の事で傷付いてしまう。殿下もアンカーソン様も、そこに口を挟まないと言う事は、2人とも隠しているし、言わなくても良いと思っていると言う事だろう。それで良い。

「エヴィ…大丈夫?」

「お姉様、心配してくれて、ありがとうございます。全く傷付かなかったと言えは嘘になりますけど……今はスッキリしています。だから、大丈夫です」

「エヴィ。私は卒業すれば、ブレイン様の妻としてアンカーソン公爵邸へと移り住む事にはなるけど、私はこれからもずっとエヴィの姉だからね?いつでも会いに来てね?勿論、私もエヴィに会いに行くから」

「はい!会いに行きます!お姉様、大好きです!!」

お互い手を握り合って微笑んだ。





そんな2人な世界?の隣で───



「ブレイン。“おにいさま”と呼ばれて良かったなぁ?」

「ごふっ───なっ…何をっ……」

「言い繕っても無駄だぞ。まぁ……エヴィ本人は気付いていないだろうけど、顔が緩み過ぎだ」

「ゔっ────すみません。まさか、“おにいさま”呼びが、あそこまでするとは……思わなかったので……」

ーこれで、ブレインの弱点が、ジェマエヴィ義妹になったなー

と、少し遠い目になったアシェルハイドは、卒業後はみっちり鍛え上げてやろう─と、爽やかな笑顔を湛えた。




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