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みん

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冬休み

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「エルダイン嬢、おはよう。」

「……おはようございます。」

「……ディラン、おはよう。」

「あぁ、エルド、オルコット嬢、おはよう。」

今日、学園に登園して教室に入ると、ディラン=カレイラ様が態々挨拶をしにやって来た。それも、何とも胡散くさ──コホン。綺麗な微笑みを浮かべて。

何故かは分からないけど、図書室で偶然会って挨拶を交した日以来、カレイラ様は何かと私達に話し掛けて来るようになった。相手は公爵の子息だ。伯爵令嬢でしかない私とグレイシーには、カレイラ様を無視する─と言う選択肢は無い。代わりに、エルド様がチクチクと口撃はしてくれるけど、それもこれもグレイシー基準なので、私の事まではカバーしてくれない。

ーうん。期待はしていなかったけどねー

「エルダイン嬢は、冬休みはどうするの?」

「─冬休み…ですか?」

これまた何故、そんな事を訊かれるのか全く分からない。
チラリと、視線だけでグレイシーを見ると、グレイシーとエルド様にフルフルと首を振られた。

「我が領地であるエルダインは、冬の間は雪が降って王都と領地を行き来するのは難しいので、学園が冬休みに入り次第、直ぐに領地に帰ります。」

学園の冬休みは1ヶ月程ある。その1ヶ月、何もせずタウンハウスで過ごす──何て事は有り得ないよね。
第一王子とのお茶会があったとしても、最近殆ど参加してなくても何も言われてないし、問題は無いだろうと思う。

「エルダイン領は、確か…冬は雪が積もったりするから、帰ると言う事は、学園が始まる迄は王都には戻って来ないと言う事?」

「………そうなると思います。」

そう言うと、カレイラ様は顎に手をあてて少し思案した後

「そう言えば、エルダイン領は、冬は冬で景色が綺麗だと聞いた事があるなぁ。」

「はい?何か…おっしゃいましたか?」

あまりにも小さな声だった為、何を言ったのか聞こえなかった。

「いや、何でもないよ。エルダイン領迄は距離があるからね。気を付けて帰って下さいね。」

と、ニッコリ微笑むカレイラ様の笑顔は…やっぱり何となく…裏があるよう見えて…素直に笑えない私がいた。







******

そんなこんなで、冬休みまで後1週間と言う日─


「まぁ!王妃教育や王子とのお茶会を無視して、領地に戻るですって!?」

“冬休みの間は、エルダイン領の邸で過ごします”と、義母に伝えると、目を釣り上げながら怒り出した。

「無視はしていません。王妃様からは許可を得ています。」

ー第一王子には何も言ってないけどー

でも、王妃様から許可を得ているのは本当だし、側近であるエルド様とカレイラ様は知っているから、第一王子の耳にも入っているだろう。

「あなた、最近は殆ど王妃教育を受けていないわよね?ひょっとして…もう、候補から外れてるんじゃないの?まぁ…それも仕方無い事ね。あなたのような、全く笑わない冷たい人間より、愛らしいベルの方が相応しいもの。兎に角、何もせずここに一月も居座られるよりはマシかもね。話しは分かったわ。好きにしなさい。ほら、もう下がっていいわよ。」

と、私に向けて追い払うように手を振り、その様子を見ていた、部屋に控えている使用人がニヤニヤした顔で部屋の扉を開けて

「お下がりください。」

と、退室を促して来た。

ー本当に…とっっても使用人よねー

私は義母に軽く頭を下げた後、その使用人を一瞥してからその部屋を出た。

そして、部屋へ向かう途中で、珍しく─いや、初めて?兄のシリルに呼び止められた。

「フェリシティは、冬の間は領地に戻るのか?」

「はい。王妃様にも許可をもらえましたから。」

「それで、その事は…殿下には?」

ー“殿下”とは、第一王子の事だよね?ー

「殿下には、直接は言ってませんが毎年の事ですし、特にお茶会や約束事はありませんから…。」

今迄だって、冬の間は領地からは出なかったし、特にその間にお茶会に誘われたりする事は一度もなかった。その上、ここ数年は特に…距離を置かれている。兄だって、それはよく知っているだろう。なんなら、義母のように“アナベルの方が、婚約者候補に相応しい”とか思ってるかもだよね。

「そうか…。足を止めて…悪かったな。じゃあ。」

兄はそれだけ言うと、自室の方へと歩いて行った。

ー結局、何が言いたかったんだろう?ー

そう思いながらも、私も自室へと足を向けた。





******

そうして、学園の2学期制の前期が無事に終わった翌日、私はココと2人で領地に帰る為に馬車に乗り込む。
そんな私達を見送ってくれるのは、カーソンだけである。

「馬車内で食べれる軽食を用意しました。それでは、お嬢様、道中お気を付けて。」

「カーソン、ありがとう。では、また一月後に。」

「はい、お待ちしております。ココ、お嬢様を頼みましたよ。」

「承知しております。」

軽く挨拶をした後、馬車は静かに走り出した。



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