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王子と側近達
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それからは早かった。
「まえもって、入寮の手続きの準備をしてたの?一体、どんな理由にしたの?」
と訊きたくなる程に。
入寮の許可がおり、あの日から3日後には、私も寮生活を始めていた。
第一王子の婚約者候補と言う事で、侍女専用の部屋と小さいキッチンのある比較的大きい部屋を充てがわれた。
第一王子の婚約者には絶対にならないけど、こう言うメリット?なところは、ありがたく使わせてもらいます。
******
「メルヴィルが、自分から動くようになったんだ。」
新学期が始まり、2ヶ月程経ったある日の放課後。
グレイシーとエルド様とリオと私の4人で、学園近くのカフェでお茶をしている時に、エルド様が思い出したように話し出した。
「前までは、他人から言われてから動いてたけど、今は自分から動くようになった。と言っても…ようやくか─と言うのが俺の気持ちだけどね。」
と、エルド様は肩を竦める。
「ようやく、普通の第一歩を踏み出した─と言う事か?」
「──リオ、言い方!それに、誰かに聞かれたら…不敬罪よ?」
「そう言いながらも、フェリシティも顔が笑ってるからね?」
ふふっ─と、グレイシーも笑っている。
「まぁ…あのまま変わらないよりはマシだろうけどね。」
第一王子が変わろうとしているのは、本当の事なんだろう。ただ、あれから第一王子と会って話をしたのは一度だけ。それも、候補者3人(私とミンディ様とテレッサ様)とのお茶会の席での事だった。
ティアリーナ様も、そろそろ王妃教育が終了する─と、その時に同じ2年生でもあるテレッサ様が言っていた。
ティアリーナ様とテレッサ様は、第一王子より1年早く学園を卒業する。婚約者決定迄の1年は…どうするんだろう?
「このまま、メルヴィルも成長してくれると良いけど…。」
エルド様は、そのまま口を噤む。
エルド様も、分かっているんだろう。
第一王子メルヴィルは、立太子できないかもしれない──と。
二つ年下の第二王子ジュリアス。
幼い頃は病弱で、地方にある離宮に居を移して生活をしている。8歳になる頃には体も丈夫になり、離宮生活をしながらその地の民達と触れ合いながら生活を送っているそうだ。そのせいか、まだまだ若い王子ではあるが、政治に明るい─と聞いた事がある。
そして、これは、私達婚約者候補の5人と、側近候補の4人だけにしか知らされていない事で──
もし、第一王子メルヴィルが立太子しなかった場合、側近候補の4人は本人達に問題がなければ、第二王子の側近に充てがわれる事になるのだ。勿論、本人達に問題があれば側近からは外されるし、希望があれば第一王子の元に留まる事はできるそうだが─。
第一王子が立太子しない場合、今空いている“公爵”を賜るか、高位貴族に婿入りするか─。どちらにせよ、そこに付いていくメリットは無いに等しい。だから、この4人は、第二王子が立太子した場合、そちらに付く事になるだろうと思う。
そんな事もあり、側近候補4人の第一王子を見る目は、他の人達よりも厳しいものがあるのかもしれない。
ーでも、第一王子が立太子されてもされなくても、ティアリーナ様が居るから大丈夫そうだよねー
兎に角、婚約者候補の5人と側近候補の4人は、王妃陛下の元、ガッツリと監視、把握されている。あの王妃陛下だ。きっと、最善を選んでくれるだろう。
ティアリーナ様の王妃教育が終了した─と、エルド様から聞いたのは、それから1週間後の事だった。
*****❋
それからも、穏やかな日々が続いた。
「義母や妹、質の良い使用人達が居ない生活って、本当に平和で良いわね。」
「本当にそうですね!ストレスが無いって、良いですね!」
ココも毎日笑顔だ。
寮の食堂に行けば、美味しいご飯が食べられる。キッチン付きの部屋だから、ココと一緒にお菓子も作られる。
学園に行けば、グレイシーとリオとエルド様と楽しく過ごす事ができている。
第一王子がチラチラと視線を向けて来る事は─無視をしている。
“暴言吐き”の次は“構ってちゃん”ですか?要りませんからね?
リオはと言うと──
『勿論、フェリがメルヴィルの婚約者候補である間は、フェリが不利になるような事はしない。幼馴染みの範囲を超えるつもりもない。でも─。』
そう言っていた通り、教室で話をするだけだ。決して私と2人きりになるような事もしない。あくまでも、留学生と、世話役の私と言う付き合い方を徹底している。
「あれ?私、告白?されたよね??」
と、逆に訊きたくなる位のアッサリとした対応を取られていて、寧ろ私の方が変に意識をしてしまっているようで──
ーあ、コレも計算のうちでは?ー
と、何だかリオの思い通りにいっているような気がして、腹立たしいやら悔しいやら……それでも、そうやってリオに振り回されている?自分は、嫌ではないな─と思っている。
「まえもって、入寮の手続きの準備をしてたの?一体、どんな理由にしたの?」
と訊きたくなる程に。
入寮の許可がおり、あの日から3日後には、私も寮生活を始めていた。
第一王子の婚約者候補と言う事で、侍女専用の部屋と小さいキッチンのある比較的大きい部屋を充てがわれた。
第一王子の婚約者には絶対にならないけど、こう言うメリット?なところは、ありがたく使わせてもらいます。
******
「メルヴィルが、自分から動くようになったんだ。」
新学期が始まり、2ヶ月程経ったある日の放課後。
グレイシーとエルド様とリオと私の4人で、学園近くのカフェでお茶をしている時に、エルド様が思い出したように話し出した。
「前までは、他人から言われてから動いてたけど、今は自分から動くようになった。と言っても…ようやくか─と言うのが俺の気持ちだけどね。」
と、エルド様は肩を竦める。
「ようやく、普通の第一歩を踏み出した─と言う事か?」
「──リオ、言い方!それに、誰かに聞かれたら…不敬罪よ?」
「そう言いながらも、フェリシティも顔が笑ってるからね?」
ふふっ─と、グレイシーも笑っている。
「まぁ…あのまま変わらないよりはマシだろうけどね。」
第一王子が変わろうとしているのは、本当の事なんだろう。ただ、あれから第一王子と会って話をしたのは一度だけ。それも、候補者3人(私とミンディ様とテレッサ様)とのお茶会の席での事だった。
ティアリーナ様も、そろそろ王妃教育が終了する─と、その時に同じ2年生でもあるテレッサ様が言っていた。
ティアリーナ様とテレッサ様は、第一王子より1年早く学園を卒業する。婚約者決定迄の1年は…どうするんだろう?
「このまま、メルヴィルも成長してくれると良いけど…。」
エルド様は、そのまま口を噤む。
エルド様も、分かっているんだろう。
第一王子メルヴィルは、立太子できないかもしれない──と。
二つ年下の第二王子ジュリアス。
幼い頃は病弱で、地方にある離宮に居を移して生活をしている。8歳になる頃には体も丈夫になり、離宮生活をしながらその地の民達と触れ合いながら生活を送っているそうだ。そのせいか、まだまだ若い王子ではあるが、政治に明るい─と聞いた事がある。
そして、これは、私達婚約者候補の5人と、側近候補の4人だけにしか知らされていない事で──
もし、第一王子メルヴィルが立太子しなかった場合、側近候補の4人は本人達に問題がなければ、第二王子の側近に充てがわれる事になるのだ。勿論、本人達に問題があれば側近からは外されるし、希望があれば第一王子の元に留まる事はできるそうだが─。
第一王子が立太子しない場合、今空いている“公爵”を賜るか、高位貴族に婿入りするか─。どちらにせよ、そこに付いていくメリットは無いに等しい。だから、この4人は、第二王子が立太子した場合、そちらに付く事になるだろうと思う。
そんな事もあり、側近候補4人の第一王子を見る目は、他の人達よりも厳しいものがあるのかもしれない。
ーでも、第一王子が立太子されてもされなくても、ティアリーナ様が居るから大丈夫そうだよねー
兎に角、婚約者候補の5人と側近候補の4人は、王妃陛下の元、ガッツリと監視、把握されている。あの王妃陛下だ。きっと、最善を選んでくれるだろう。
ティアリーナ様の王妃教育が終了した─と、エルド様から聞いたのは、それから1週間後の事だった。
*****❋
それからも、穏やかな日々が続いた。
「義母や妹、質の良い使用人達が居ない生活って、本当に平和で良いわね。」
「本当にそうですね!ストレスが無いって、良いですね!」
ココも毎日笑顔だ。
寮の食堂に行けば、美味しいご飯が食べられる。キッチン付きの部屋だから、ココと一緒にお菓子も作られる。
学園に行けば、グレイシーとリオとエルド様と楽しく過ごす事ができている。
第一王子がチラチラと視線を向けて来る事は─無視をしている。
“暴言吐き”の次は“構ってちゃん”ですか?要りませんからね?
リオはと言うと──
『勿論、フェリがメルヴィルの婚約者候補である間は、フェリが不利になるような事はしない。幼馴染みの範囲を超えるつもりもない。でも─。』
そう言っていた通り、教室で話をするだけだ。決して私と2人きりになるような事もしない。あくまでも、留学生と、世話役の私と言う付き合い方を徹底している。
「あれ?私、告白?されたよね??」
と、逆に訊きたくなる位のアッサリとした対応を取られていて、寧ろ私の方が変に意識をしてしまっているようで──
ーあ、コレも計算のうちでは?ー
と、何だかリオの思い通りにいっているような気がして、腹立たしいやら悔しいやら……それでも、そうやってリオに振り回されている?自分は、嫌ではないな─と思っている。
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