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1 プロローグ
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私は、鳥井茉白。
この世界では“マシロ”と呼ばれている。
日本で生まれて、母と2人の母子家庭で育った私は、生活が大変だったけど幸せに暮らしていた。そんな生活が一変したのは、私が大学1年生の夏だった。乗っていたバスが転落事故に遭い母が行方不明になった。それでも、私は母との約束を守る為に大学に通い続けながら母が帰って来る事を待ち続けた。
そんな時に私を支えてくれたのが、留学生の“フィン=バーナード”だった。フィンは優しくて、いつも私の事を気に掛けてくれて、私もそんなフィンを頼りにするようになっていた。だから、フィンが大学2年の夏に、自国に帰国すると聞いた時は悲しかった。『茉白を迎えに来ても良いか?』と訊かれた時は、正直に言うと嬉しかったけど、私は『待てない』と答えた。母が行方不明で1日1日の生活が大変で、未来の事なんて不確かな約束などできないから。そうして、私の淡い恋心は育つ前に終わりを迎えた──筈だった。
それが、大学4年の夏に日本ではない場所に召喚され、その召喚先は鬱蒼とした森の中で、おまけに誰も居なかった。夜になり月が2つ現れた時の衝撃は、今でもハッキリと覚えている。
そして、そこからが本当の地獄だった。彷徨い続けてようやく人と出会えた!と思えば、言葉は全く通じないし、首に拘束具を着けられて声が出せなくなり、そのまま捕らえられて“売り物”として地下牢に放り込まれた。
ろくな食事は与えられず、時には体罰を受ける事もあった。
その地下牢から出られた──と思えば、見た事も無い魔獣に襲われそうになって、死も覚悟した。
その時に、私を助けてくれたのは獣人と呼ばれる人達だった。
ライオン獣人のリオナ=ヴァルトールさん
リス獣人のルパート=ヴァルトールさん
竜騎士で鷲獣人のカイルス=サリアスさん
この3人には、本当に感謝してもし切れない。この3人が居なければ、私はあの森で死んでいただろう。未だに、その時の恩を返せていないから、いつか必ず返せたら──と思っている。
それから、色んな人達の助けを借りながらこの世界での生活を始めた頃に、これまた衝撃の事実が次々と判明して行った。
私をこの世界に召喚したのが、フィン=バーナード改め“フィンレー=コペルオン”だった。オールステニア王国の魔道騎士。私を身勝手に召喚した挙句、召喚が失敗したと思って私をちゃんと探さなかったそうだ。それなのに、私と再会した時に『会いたかった』と言われたけど、身勝手に召喚されて放置されたのに、私がフィンを受け入れられる訳が無い。なのに、フィンの婚約者であるオールステニア王国の王女に妬まれ命を狙われた。その王女から逃げる為に竜王国に来た。そして、そこでレナルド=サンフォルトさんと出会って、3年前に行方不明になっていた母と再会する事ができた──のは本当に嬉しかったけど、その母が、まさかの聖女!“救国の聖女”と“戦闘の聖女”と呼ばれるチートな聖女だった。おまけに、私の父親“イーデン=ウィンストン”が竜人で、私も竜人だと言う事が判明。更に、私は呪われているのか、その父親の番“ベレニス=ウィンストン”から、またまた命を狙われる事になった。
それは、魔王国も絡んでの大事になったけど、魔王国の王子“プラータ”の助けもあって、ウィンストン夫妻を捕らえる事ができたと同時に、私が100年間不在だった白竜で“西の守護竜”だと言う事も判明した。守護竜とは、竜王国にとってはとても重要な存在でもあり、これ以上の攻撃は無いだろう─と思っていたけど、ベレニスさんは竜王“バージル”さんからの再三の忠告を無視して、私と母である聖女由茉に手を出した。
勿論、ベレニスさんだけではなく、イーデンさんも捕らえられ処罰を受けた。どんな処罰を受けたのかは、私には詳しくは知らされていないし、訊こうともしなかった。ただ、『もう二度と私と会う事は無い』と言う事だった。
ーそれを聞いてホッとしたー
何て思うのだから、私は薄情なのかもしれない。育ててもらってはないし、父親を求めた事も無いけど、イーデンさんは私の実の父親だった。『お父さん』と呼んだ事も無い。同じだった竜力も全く違うモノになったし、見た目も全く違うから、他人が見ても父娘には見えなかった。
“リシャール”
イーデンさんとベレニスさんの子供で、私の異母弟。彼の容姿はベレニスさんとよく似ているけど、めちゃくちゃ良い子だ。自分は何も悪くないのに、親の罪の償いを乞うて来た程だ。罪を償ってもらう為に身元を引き取った訳ではなかったけど、存在意義が必要ならば──と、リシャールには、私の西領の運営の手伝いをしてもらう事にした。領地運営なんて、私にはサッパリだから。
そうして、私は西の守護竜として西の離宮に住まう事になった。
竜人になってから2年にもならず、竜化しても1mにも満たない子竜。飛行は何とかマシにはなったけど、まだまだ竜力を上手く使えるようにはなっていない。
ー守護竜の威厳は何処に?ー
『可愛い子竜姿で、十分補填できてます。マシロ様が居るだけで、癒やしと浄化は発揮されてますから!』
と、私を褒めるしかしない側衛の“キース”は、相変わらずだ。癒やしと言うなら、隼姿のキースの方が癒やしだと思う。白竜の私の影響を受けて、真っ白の隼になったキースはとても綺麗で可愛い。
聖女であるお母さんは、聖女としての務めを果たす為、怪我や病気の人達の治療をしている。その傍らには、“レナルド=サンフォルト”さんが居る事が嬉しい今日この頃。お母さんには、これからは私の事は気にせず幸せになってもらいたい。
「マシロ様、おはようございます。朝食の準備をしても大丈夫ですか?」
朝食の準備をしにやって来たのは、侍女長のイネス(さん付けで呼ぶと怒られる)。
「お願いします」
ーさて、今日も1日頑張ろう!ー
❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋
“置き場”に、聖女達のif話を投稿しました。時間がある時にでも、覗いていただければ幸いです。
(,,ᴗ ̫ᴗ,,)ꕤ*.゚
この世界では“マシロ”と呼ばれている。
日本で生まれて、母と2人の母子家庭で育った私は、生活が大変だったけど幸せに暮らしていた。そんな生活が一変したのは、私が大学1年生の夏だった。乗っていたバスが転落事故に遭い母が行方不明になった。それでも、私は母との約束を守る為に大学に通い続けながら母が帰って来る事を待ち続けた。
そんな時に私を支えてくれたのが、留学生の“フィン=バーナード”だった。フィンは優しくて、いつも私の事を気に掛けてくれて、私もそんなフィンを頼りにするようになっていた。だから、フィンが大学2年の夏に、自国に帰国すると聞いた時は悲しかった。『茉白を迎えに来ても良いか?』と訊かれた時は、正直に言うと嬉しかったけど、私は『待てない』と答えた。母が行方不明で1日1日の生活が大変で、未来の事なんて不確かな約束などできないから。そうして、私の淡い恋心は育つ前に終わりを迎えた──筈だった。
それが、大学4年の夏に日本ではない場所に召喚され、その召喚先は鬱蒼とした森の中で、おまけに誰も居なかった。夜になり月が2つ現れた時の衝撃は、今でもハッキリと覚えている。
そして、そこからが本当の地獄だった。彷徨い続けてようやく人と出会えた!と思えば、言葉は全く通じないし、首に拘束具を着けられて声が出せなくなり、そのまま捕らえられて“売り物”として地下牢に放り込まれた。
ろくな食事は与えられず、時には体罰を受ける事もあった。
その地下牢から出られた──と思えば、見た事も無い魔獣に襲われそうになって、死も覚悟した。
その時に、私を助けてくれたのは獣人と呼ばれる人達だった。
ライオン獣人のリオナ=ヴァルトールさん
リス獣人のルパート=ヴァルトールさん
竜騎士で鷲獣人のカイルス=サリアスさん
この3人には、本当に感謝してもし切れない。この3人が居なければ、私はあの森で死んでいただろう。未だに、その時の恩を返せていないから、いつか必ず返せたら──と思っている。
それから、色んな人達の助けを借りながらこの世界での生活を始めた頃に、これまた衝撃の事実が次々と判明して行った。
私をこの世界に召喚したのが、フィン=バーナード改め“フィンレー=コペルオン”だった。オールステニア王国の魔道騎士。私を身勝手に召喚した挙句、召喚が失敗したと思って私をちゃんと探さなかったそうだ。それなのに、私と再会した時に『会いたかった』と言われたけど、身勝手に召喚されて放置されたのに、私がフィンを受け入れられる訳が無い。なのに、フィンの婚約者であるオールステニア王国の王女に妬まれ命を狙われた。その王女から逃げる為に竜王国に来た。そして、そこでレナルド=サンフォルトさんと出会って、3年前に行方不明になっていた母と再会する事ができた──のは本当に嬉しかったけど、その母が、まさかの聖女!“救国の聖女”と“戦闘の聖女”と呼ばれるチートな聖女だった。おまけに、私の父親“イーデン=ウィンストン”が竜人で、私も竜人だと言う事が判明。更に、私は呪われているのか、その父親の番“ベレニス=ウィンストン”から、またまた命を狙われる事になった。
それは、魔王国も絡んでの大事になったけど、魔王国の王子“プラータ”の助けもあって、ウィンストン夫妻を捕らえる事ができたと同時に、私が100年間不在だった白竜で“西の守護竜”だと言う事も判明した。守護竜とは、竜王国にとってはとても重要な存在でもあり、これ以上の攻撃は無いだろう─と思っていたけど、ベレニスさんは竜王“バージル”さんからの再三の忠告を無視して、私と母である聖女由茉に手を出した。
勿論、ベレニスさんだけではなく、イーデンさんも捕らえられ処罰を受けた。どんな処罰を受けたのかは、私には詳しくは知らされていないし、訊こうともしなかった。ただ、『もう二度と私と会う事は無い』と言う事だった。
ーそれを聞いてホッとしたー
何て思うのだから、私は薄情なのかもしれない。育ててもらってはないし、父親を求めた事も無いけど、イーデンさんは私の実の父親だった。『お父さん』と呼んだ事も無い。同じだった竜力も全く違うモノになったし、見た目も全く違うから、他人が見ても父娘には見えなかった。
“リシャール”
イーデンさんとベレニスさんの子供で、私の異母弟。彼の容姿はベレニスさんとよく似ているけど、めちゃくちゃ良い子だ。自分は何も悪くないのに、親の罪の償いを乞うて来た程だ。罪を償ってもらう為に身元を引き取った訳ではなかったけど、存在意義が必要ならば──と、リシャールには、私の西領の運営の手伝いをしてもらう事にした。領地運営なんて、私にはサッパリだから。
そうして、私は西の守護竜として西の離宮に住まう事になった。
竜人になってから2年にもならず、竜化しても1mにも満たない子竜。飛行は何とかマシにはなったけど、まだまだ竜力を上手く使えるようにはなっていない。
ー守護竜の威厳は何処に?ー
『可愛い子竜姿で、十分補填できてます。マシロ様が居るだけで、癒やしと浄化は発揮されてますから!』
と、私を褒めるしかしない側衛の“キース”は、相変わらずだ。癒やしと言うなら、隼姿のキースの方が癒やしだと思う。白竜の私の影響を受けて、真っ白の隼になったキースはとても綺麗で可愛い。
聖女であるお母さんは、聖女としての務めを果たす為、怪我や病気の人達の治療をしている。その傍らには、“レナルド=サンフォルト”さんが居る事が嬉しい今日この頃。お母さんには、これからは私の事は気にせず幸せになってもらいたい。
「マシロ様、おはようございます。朝食の準備をしても大丈夫ですか?」
朝食の準備をしにやって来たのは、侍女長のイネス(さん付けで呼ぶと怒られる)。
「お願いします」
ーさて、今日も1日頑張ろう!ー
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