異世界で守護竜になりました

みん

文字の大きさ
32 / 46

31 招かれざる客①

しおりを挟む
*カイルス視点*


交流会1日目は穏やかな雰囲気だった。
マシロは最初は緊張していたようだったが、参加者達と会話をしていくうちに笑顔が増え、途中からは楽しそうにしていた。
中には、マシロに息子を紹介して縁を持とうとする者や、近付こうとする騎士爵の者達が居たが、それらは尽くキースが笑顔で牽制していた。忘れがちだが、キースは一番若い上にマシロの前ではへにょへにょになっているが、獣人でありながら竜騎士になった実力者だ。本気になれば、この会場に居る若手の竜人の竜騎士よりもレベルは上だろう。そんなキースが浮かべるのが、圧の掛かった笑顔だ。若手の騎士や普通の貴族にはよく効いている。キースは、自分が守護竜の側衛だとは知らないうちから、自分や親すらも竜人だと知らなかったマシロに執着していた。マシロとキースが主従関係になってから、2人は2人だけの絆で結ばれているのが分かる。不思議な事に、そんな2人の距離の近さに不快感は無い。寧ろ、マシロの近くにキースが居る事で安心している。守護竜と側衛の関係は、本当に不思議なものだなと思う。

だからこそ、白竜であろうがなんであろうが、本当にジャスミーヌが守護竜だと言う事は有り得ないと言える。ただただ、白竜だと言うだけで、彼女にはマシロの様な、形容し難い空気は纏っていない。騎士としても惹かれるような強さも無い。白竜で公爵となって傲慢になっただけだ。女性としての魅力も感じない。今更俺に近付いて来られても迷惑なだけだ。

『ズルズル引き伸ばしても無視しても、あの手のタイプは執拗いし調子に乗るから、さっさと片付けよう』

と、皆の意見が一致したのは有り難かった。




******


『今日中に、リシャールにこれを届けてくれる?』
『それなら、俺が届けよう。丁度、離宮に戻る予定だったから』
『それじゃあ、宜しくお願いしますね』

交流会2日目の途中で、マシロから頼み事をされ、俺は鷲になって直ぐに離宮へと向かった。


バサッ──   バサッ──

離宮に向かう者は限られている。入宮を許可された者か、招待された者しか入る事ができないからだ。だから、本来なら、今離宮に向かっているのは俺だけの筈が、俺の後ろから誰かが付いて来ている。

ー本当に、予想通りの動きをしてくれるなー

本来なら警戒して警告を出すところだが、今回はこのまま離宮へと向かう。どこまでも愚かだ。

暫く飛び続け離宮に辿り着くと、俺はまた人の姿へと戻り、そのまま離宮の門へと向かう。

「カイルス様!」
「………ハイエット公爵、何故ここに?」

ジャスミーヌ=ハイエット。俺の後を付けていた人物だ。自分が何をしでかしたのか、理解しているだろうか?

「カイルス様と話がしたいと、マシロ様にお願いしたのに全く聞き入れていただけなくて。だから、こうして追って来たの。ここでなら、2人だけでゆっくりお話ができるでしょう?」
「先ず、側衛キースから名呼びは失礼だと言われてませんでしたか?」
「あら、ごめんなさい。まだまだ幼い子だから、ついつい名呼びしてしまうの。今は本人が居ないから許して下さる?」
「次からは気を付けて下さい。そして、私はハイエット公爵と話す事は何もありませんから、このまま本宮の方にお戻り下さい」

交流会の途中て、挨拶もせずに帰る事は無礼な行いだ。許可無く離宮に踏み入った事も見逃す事はできない。

「私の裏切りを怒っているのなら謝るわ。公爵家の息子に声を掛けられたら、断る事ができなかった……分かってくれるかしら?」

謝ると言いながら、それは謝罪ではなく、ただの言い訳でしかない。

「話はそれだけですか?私からは、何も話す事はありませんから、このまま戻って下さい」
「カイルス!待って!私は、ずっとカイルスの事を──」

パシッ───

俺の手を掴もうとするジャスミーヌの手を払い除ける。

「例え公爵であっても、名前で呼ぶのは止めて欲しい。私には、もう婚約者が居るので、私に触れるのも止めて欲しい。こうして2人きりになる事も、金輪際止めて欲しい。ご理解いただけましたか?」
「婚約者……まさか………」
「そうです。公表はまだですが、マシロと婚約しました。竜王陛下と大神官の承認を得て」
「大神官!?」

普通の婚約、婚姻は竜王の許可があれば成立するが、俺とマシロの婚約には大神官の許可も出た。それは、聖女ユマ様がマシロの母親だからだ。この2人から許可を得た婚約だから、例え公爵が意義を申し立てようとも覆る事は無い。

「でも、カイルスは私の事が好きだったから、大切にしてくれてたんでしょう?婚約は…仕方無いとしても、貴族同士でお互いが良ければ、関係を持つ事は許されるでしょう?」

それはいつの時代の貴族だ?子供が出来難い竜人の貴族は、確かに妾を持つ事が当たり前の時代もあったが、今はそうではない。それが当たり前だったとしても、ジャスミーヌはお断りだし、マシロだけで良い。俺が一緒に居たいと思うのはマシロだけだ。


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】

藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。 そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。 記憶を抱えたまま、幼い頃に――。 どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、 結末は変わらない。 何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。 それでも私は今日も微笑む。 過去を知るのは、私だけ。 もう一度、大切な人たちと過ごすために。 もう一度、恋をするために。 「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」 十一度目の人生。 これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。

【完結】あなたの『番』は埋葬されました。

月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。 「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」 なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか? 「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」 そうでなければ―――― 「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」 男は、わたしの言葉を強く否定します。 「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」 否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。 「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」 「お断りします」 この男の愛など、わたしは必要としていません。 そう断っても、彼は聞いてくれません。 だから――――実験を、してみることにしました。 一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。 「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」 そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。 「あなたの『番』は埋葬されました」、と。 設定はふわっと。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!

屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。 どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。 そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。 そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。 望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。 心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが! ※あらすじは時々書き直します!

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
面食いで愛人のいる侯爵に伯爵令嬢であり女流作家のアンリが身を守るため変装して嫁いだが、その後、王弟殿下と知り合って・・

処理中です...