31 / 46
30 浄化の攻撃
しおりを挟む
「何て事だ!魔獣を倒す為に、周りの者達まで攻撃するとは、それでも守護竜か!?」
「何を言ってるの?見てから言ってくれる?」
「何を見ろと───なっ!?」
私が攻撃するのを、ニヤニヤしながら見ていたくせに。人が大勢居る所に魔獣が現れると、簡単に攻撃する事はできない。魔獣だけではなく、周りに居る人達を巻き込んでしまうからだ。でも、それは一般的な人の話だ。
「私は守護竜なの。側衛に選ばれて受け入れられた守護竜なの。西の守護竜は“浄化の守護竜”だと言う事は知っているよね?」
「も……勿論だ………」
「魔獣や魔物は、浄化の攻撃で消滅させる事ができるの。でも、攻撃と言っても浄化は浄化だから、普通の人達にとっては攻撃にはならないの。言っている意味、分かる?」
「な…………」
そう。浄化の攻撃は、魔物や魔獣のように穢れた魔力を浄化するだけで、そうでは無い人に当たっても『あれ?何だか風が強いわね』程度にしか感じないらしい。これが、西の守護竜だけが扱う事ができる攻撃の一つなんだそうだ。何となく、お母さんにも扱えそうな気がするけど。
だから、オルトロスはその場に倒れているけど、周りに居る人達は怪我をする事なくその場に立っている。
「私の事を良く思ってない人が居ると把握していたから、態と隙を作っていたの」
「は?態と……」
「おまけに、また魔族が絡んでいると情報を得ていたから、きっと、どこかで魔獣が現れるんだろうなぁ…と思っていたの」
「…………」
その情報は、2日前にプラータが報せてくれたのだ。
『どうやら、人身売買に関わっていたキーラン=ベルナンドとも繋がっていたようで、コルダー公爵が魔獣を1頭飼っているらしい。で、調べてみたら、そのコルダー公爵が、その魔獣を使って何かを企んでいるようだった。おそらく───』
この交流会に魔獣を出現させ、私を陥れようとするんだろうと。コルダー公爵は、私がまだ浄化どころか竜力を上手く扱えないと思っていたんだろう。
私への竜力の扱い方や浄化の訓練が、どんなに大変だったのか………知らないからね。本当に容赦の無い訓練だった。おまけに、お母さんからのスパルタもあった。スポ根だった。お陰で、私はもう、いつでも浄化に行ける状態になっている。ただ、私がまだ子竜だから、飛行距離を考慮する必要があると言う事で、まだ行っていないだけなのだ。
「わ……私は何も知らな──」
「何も知らない─とは言わせないからね」
「プラータ」
今日は動きがある──と言う事で、プラータもこの交流会に潜り込んでいたのだ。
「コルダー公爵邸で、契約書を見付けたよ」
「なっ!」
プラータが手に持っているのは、魔獣オルトロスを買った時に交わした契約書だった。そこには、“コルダー公爵”と“キーラン=ベルナンド”2人のサインがあった。勿論、魔獣の売買も禁止されているから、違法売買で犯罪の証拠となる。
「その魔獣を使って貴族を襲わせて、守護竜に手を出そうとした。奪爵だけでは済まないだろうね」
「ひっ────」
基本、プラータは可愛い容姿をしていて、庇護欲をそそられる事もあるけど、何故か、笑顔の時のプラータは背中がゾクゾクする。
「魔族と魔獣が関わっているから、このままこのブタ──公爵を竜王陛下の所に連れて行って良い?」
「うん……大丈夫。宜しくお願いします」
ー今、“豚”って言い切ってから言い直したよね?ー
「戒めの拘束」
「何だ!?これは───」
ー“戒めの拘束”何度見ても凄いよねー
薔薇の蔦の様なモノが、コルダー公爵の体に絡みついていく。あんなにも小柄で無害な魔法使いから生み出された、攻げ──拘束魔法だなんて思えない。
「それじゃあ、マシロ、また改めてゆっくりお茶でもしよう」
「うん。分かったわ。楽しみに待ってるね」
その時に見たプラータの笑顔は、普通に可愛らしい笑顔だった。
*プラータ視点*
「これで、ダミアンと繋がっていた者達全員を捕らえる事ができました」
「マシロの交流会でやらかすとはな……コルダー、守護竜に手を出したのだから、マトモな最期を迎えられると思うな」
「………」
このブタは、もう既に声を出せる力すら残っていない。戒めの拘束に絡め取られて、王城に来る迄の間暴れまくっていたから、かなりの竜力を失った。『暴れる程竜力が失われる』と、忠告する事をスッカリ忘れていたのだ。
「私のお気に入りに手を出したのだから、その分の代償はキッチリ払ってもらいますよ。このブタ─コルダーも、私が預かっても?」
「今回は竜人だから、どんな状態になっても返してもらえれば大丈夫だ」
「それにしても、守護竜としてのマシロの成長は凄いですね。まさか、既に浄化の攻撃ができるとは…本当に驚きました」
「“あの親にしてこの子あり”だろう?この先も楽しみだ」
これでまだ子竜だと言うのだから、竜王の言う通り、これからマシロがどう成長するのか楽しみだ。
「これ以上、マシロに手を出す者が出ない事を祈りますよ」
ー出たところで、その者は終わりだろうけどー
❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋
誤字報告、ありがとうございます。
「何を言ってるの?見てから言ってくれる?」
「何を見ろと───なっ!?」
私が攻撃するのを、ニヤニヤしながら見ていたくせに。人が大勢居る所に魔獣が現れると、簡単に攻撃する事はできない。魔獣だけではなく、周りに居る人達を巻き込んでしまうからだ。でも、それは一般的な人の話だ。
「私は守護竜なの。側衛に選ばれて受け入れられた守護竜なの。西の守護竜は“浄化の守護竜”だと言う事は知っているよね?」
「も……勿論だ………」
「魔獣や魔物は、浄化の攻撃で消滅させる事ができるの。でも、攻撃と言っても浄化は浄化だから、普通の人達にとっては攻撃にはならないの。言っている意味、分かる?」
「な…………」
そう。浄化の攻撃は、魔物や魔獣のように穢れた魔力を浄化するだけで、そうでは無い人に当たっても『あれ?何だか風が強いわね』程度にしか感じないらしい。これが、西の守護竜だけが扱う事ができる攻撃の一つなんだそうだ。何となく、お母さんにも扱えそうな気がするけど。
だから、オルトロスはその場に倒れているけど、周りに居る人達は怪我をする事なくその場に立っている。
「私の事を良く思ってない人が居ると把握していたから、態と隙を作っていたの」
「は?態と……」
「おまけに、また魔族が絡んでいると情報を得ていたから、きっと、どこかで魔獣が現れるんだろうなぁ…と思っていたの」
「…………」
その情報は、2日前にプラータが報せてくれたのだ。
『どうやら、人身売買に関わっていたキーラン=ベルナンドとも繋がっていたようで、コルダー公爵が魔獣を1頭飼っているらしい。で、調べてみたら、そのコルダー公爵が、その魔獣を使って何かを企んでいるようだった。おそらく───』
この交流会に魔獣を出現させ、私を陥れようとするんだろうと。コルダー公爵は、私がまだ浄化どころか竜力を上手く扱えないと思っていたんだろう。
私への竜力の扱い方や浄化の訓練が、どんなに大変だったのか………知らないからね。本当に容赦の無い訓練だった。おまけに、お母さんからのスパルタもあった。スポ根だった。お陰で、私はもう、いつでも浄化に行ける状態になっている。ただ、私がまだ子竜だから、飛行距離を考慮する必要があると言う事で、まだ行っていないだけなのだ。
「わ……私は何も知らな──」
「何も知らない─とは言わせないからね」
「プラータ」
今日は動きがある──と言う事で、プラータもこの交流会に潜り込んでいたのだ。
「コルダー公爵邸で、契約書を見付けたよ」
「なっ!」
プラータが手に持っているのは、魔獣オルトロスを買った時に交わした契約書だった。そこには、“コルダー公爵”と“キーラン=ベルナンド”2人のサインがあった。勿論、魔獣の売買も禁止されているから、違法売買で犯罪の証拠となる。
「その魔獣を使って貴族を襲わせて、守護竜に手を出そうとした。奪爵だけでは済まないだろうね」
「ひっ────」
基本、プラータは可愛い容姿をしていて、庇護欲をそそられる事もあるけど、何故か、笑顔の時のプラータは背中がゾクゾクする。
「魔族と魔獣が関わっているから、このままこのブタ──公爵を竜王陛下の所に連れて行って良い?」
「うん……大丈夫。宜しくお願いします」
ー今、“豚”って言い切ってから言い直したよね?ー
「戒めの拘束」
「何だ!?これは───」
ー“戒めの拘束”何度見ても凄いよねー
薔薇の蔦の様なモノが、コルダー公爵の体に絡みついていく。あんなにも小柄で無害な魔法使いから生み出された、攻げ──拘束魔法だなんて思えない。
「それじゃあ、マシロ、また改めてゆっくりお茶でもしよう」
「うん。分かったわ。楽しみに待ってるね」
その時に見たプラータの笑顔は、普通に可愛らしい笑顔だった。
*プラータ視点*
「これで、ダミアンと繋がっていた者達全員を捕らえる事ができました」
「マシロの交流会でやらかすとはな……コルダー、守護竜に手を出したのだから、マトモな最期を迎えられると思うな」
「………」
このブタは、もう既に声を出せる力すら残っていない。戒めの拘束に絡め取られて、王城に来る迄の間暴れまくっていたから、かなりの竜力を失った。『暴れる程竜力が失われる』と、忠告する事をスッカリ忘れていたのだ。
「私のお気に入りに手を出したのだから、その分の代償はキッチリ払ってもらいますよ。このブタ─コルダーも、私が預かっても?」
「今回は竜人だから、どんな状態になっても返してもらえれば大丈夫だ」
「それにしても、守護竜としてのマシロの成長は凄いですね。まさか、既に浄化の攻撃ができるとは…本当に驚きました」
「“あの親にしてこの子あり”だろう?この先も楽しみだ」
これでまだ子竜だと言うのだから、竜王の言う通り、これからマシロがどう成長するのか楽しみだ。
「これ以上、マシロに手を出す者が出ない事を祈りますよ」
ー出たところで、その者は終わりだろうけどー
❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋
誤字報告、ありがとうございます。
260
あなたにおすすめの小説
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~
白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。
国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。
幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。
いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。
これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!
屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。
どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。
そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。
そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。
望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。
心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが!
※あらすじは時々書き直します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる