異世界で守護竜になりました

みん

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29 傲岸不遜

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ーもう、これ以上この2人と話す必要は無いよね?ー

「2人とも、この交流会を楽しんで下さいね」

と言って、その場を離れようとすると

「あの、一つお願いをしてもよろしいでしょうか?」

と、ジャスミーヌさんに行く先を塞がれた。これはこれで、かなり失礼な行動だ。この人、本当に公爵なの?ここにローゼさんやリオナさんが居たら、色んなモノをへし折られてると思う。

「そのお願いを必ず叶えるとは言えないけど、聞くだけなら聞くわ」
「マシ──守護竜様の護衛騎士であるカイルス様とのダンスをお許しいただけませんか?できれば、その後の時間もいただきたいのですが……」

私から少し離れた位置に居るカイルスさん達には聞こえないぐらいの声だ。すぐ側に居るキースには聞こえたようで、より一層笑みを深めた。どうやら、キースは怒りを抑えれば抑える程笑顔になるようだ。

「その願いは聞き入れられないわ。カイルスさんは私の護衛騎士で、今は任務中だから」
「でも、護衛騎士はカイルス様だけではなく、他にも2人も居るのだから、1人ぐらい抜けても問題ありませんでしょう?」
「問題ある、無いの話じゃないの。カイルスさんは今、プライベートではなく、仕事でここに居るから、婚約者でも妻でも無いハイエット公爵に付き合わせる必要が無い──と言う事です」
「なら、カイルス様が私の元婚約者で、これからの話をしたいと言えば、私が言いたい事はお分かりでしょう?」

にっこり微笑んでいるけど、私に圧を掛けているのは明らかだ。“自分の方が守護竜に相応しい”とでも思っているのか?私を見下すのも大概にして欲しい。そもそも、守護竜だから驕っても良いと思っている時点で、守護竜になる可能性が無いと言う事に気付いていない。

「それ以外に話が無いようなら、これで失礼するわ。この場で話すような内容ではないし、話す必要も無いから」
「その様な言い方───」
「ハイエット公爵、無礼が過ぎます。これ以上無礼な態度を取るなら、然るべき対応をさせていただきます」
「………申し訳……ありません………」

一応の謝罪を耳にはしたけど、私はそれに答える事はせずにその場を離れた。

それ以降は特に問題は無く、西領に関する話も聞けて有意義な時間を過ごす事ができた。私の就任と共に魔物や魔獣が目に見えて減少しているそうで、領民も安心して過ごす事ができていると喜んでいた。

これで、分かった事は主に二つ。
子竜な私に不信感を抱いていたいくつかの貴族は居たけど、殆どの貴族が私を受け入れていると言う事。
私を排除しようとしているのは、ハイエット公爵とコルダー公爵だけと言う事。
その二つが公爵だと言う事は残念だけど、公爵なのかもしれない。プライドだけは高そうな2人だから。
ジャスミーヌさんは、まだカイルスさんを諦めてはないだろうし、コルダー公爵がこのまま引き下がるとは思えない。この問題もキッチリ片付けておかないと、お母さんやリシャール達にも火の粉がかかるかもしれない。そうならない為にも、直ぐに片を付けよう。




取り敢えずは、2日目の交流会も特に大きな問題も無く時間が過ぎ去り、後は参加者を見送るだけとなった。
領内の問題も把握できたから、それらに関してはリシャール達と相談しなければいけない。

「今日中に、リシャールにこれを届けてくれる?」
「それなら、俺が届けよう。丁度、離宮に戻る予定だったから」
「それじゃあ、宜しくお願いしますね」

と、私はカイルスさんにお願いすると、カイルスさんはその場で獣化して離宮へと飛び立った。
鷲もまた1mあるかないかで、羽を広げると2m以上になる。

「……だよね……………」

はぁー……と、1人、ため息を吐きながら、二つの影を見送った。





「今日はありがとうございました」
「ゆっくりお話ができて良かったです」

「気を付けて帰って下さいね」
「お疲れ様でした」

私はキースと一緒に挨拶を交わしながら、参加者達を見送っている。手土産として、焼き菓子を配るのが基本なんだそうで、1人1人に手渡して行く。

「100年ぶりの守護竜が子竜で心配しましたが、大丈夫なようですね」
「コルダー公爵………」

見送り最後の人物は、コルダー公爵だった。

「魔物や魔獣の出現が減って何より……ですが、より安心して暮らせるように、守護竜様には一刻も早く浄化の力を完璧にしていただきたいものですな」
「…………」

ーお前の心根を浄化しようか?ー

「助言、ありがとう。でも心ぱ──」

「きゃあー!」
「うわぁー!」
「何事!?」

コルダー公爵の相手をしていると、参加者が馬車に乗り込んでいる辺りから悲鳴が聞こえ、そこに視線を向けると二つの頭を持った魔獣が居た。

「どうして、こんな所にオルトロスが!?やはり、この守護竜では抑えきれないと言う事か!?」

大袈裟に反応したのはコルダー公爵。失礼な物言いに、いい加減にイラッとする。

「本当に、よくも、私の領域内で好き勝手してくれますね……でも、本当に、隙を見せれば予想通りの事をしてくれるから、こっちは大助かりよ!」
「は?何を───」


コルダー公爵が何かを言い返そうとするのを遮るように、私はオルトロスに攻撃を放った。




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