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余話
宮原 咲
しおりを挟む乙女ゲームは二次元だからこそ面白い。
「まさか、自分達が聖女召喚に遭うとはね…。」
「確かに、イケメンが揃ってるけど。推しも居るけど。じゃあ、実際恋愛できるか?って言われると…」
「「「ないわーっ」」」
美樹と千尋と3人で笑った。
「それよりもよ!ハルちゃんって可愛いよね!」
「うんうん。アレは本当に勿体無いよね!」
「日本に還る迄に、少しでも自信がつけばねぇ…。うん、ハルの為にも少しでも早く浄化しよう!完璧に!!それで、日本に還ったらハルを可愛がりまくろう!」
「ふふっ。ミヤ、欲望丸出しだからね?でも、その考えには賛成するわ。早く浄化して、皆で彼氏の元に…還ろうね。」
後でハルに言われた“RPGだと思ってました”発言には、本当に笑ってしまった。
「ハル!!!」
声を出して目を覚ました。
冬だと言うのに、寝汗が酷かった。
日本に還って来てから、体調が悪い時によくみるようになった夢──手を伸ばすのに届かない。何か叫んでいるのに聞こえない。私の左手は、何も掴めなかった。
日本に還る為に魔法陣の真ん中に、4人で手を繋いで立っていた。それなのに、ハルの手が離れて──
気が付いた時には、大学の新校舎に3人だけで立っていたのだ。私の左手は、ハルの手を握ってはいなかった。
私だけじゃなくて、千尋も美樹もそれから暫くは…笑えなかった。あんなに還りたがっていたハル。色んな事に我慢して、頑張っていたハル。私達とは違う場所に飛ばされた?と思い、あちこち色んな手を使って調べてみたけど、ハルらしい情報や何か関わりのありそうな事件は見付ける事はできなかった。
その上、悠介の浮気だ。
「はぁ…私、日本に還って来た意味…あったのかなぁ?」
警察としの誇りは持っている。
でも……聖女として旅をしていた時は、本当に身も心も満たされていた。今では、何かが物足りないと感じる。
「また…あっちの世界に戻れたら───」
そんな有り得ない事を考えてしまっていた。
そんな有り得ない願いをしたからか、ある日、ひょっこりとハル─琴音が現れた。
驚きついでに、何と、琴音があのエディオル=カルザインが好きだとか、新たに聖女が来たやら…。
そして、素直に、向こうの世界に戻りたいと言う琴音が、とても羨ましいと思った。そんな私の気持ちに、千尋と美樹は気付いていたんだろう。
琴音が向こうの世界に戻る為の魔法陣を展開させたのと同時に、美樹と千尋に物理的に背中を押されて、そのまま魔法陣の中へと飛び込んでしまった。
「えっ!?ちょっ…何で!?」
「咲、聞こえてる?」
「千尋!美樹!これは…どう言う事!?」
「咲、女はね─」
ー女は?ー
「「愛されて、追われてなんぼよ!!」」
「はぁ──────っ!?」
あの2人はアホだったのね!アホ──だったけど、私の一番の理解者でもあった。
色々あったけど、無事にこの世界に来れた事、ハルと一緒に居られる事は正直─嬉しかった。
一人還れなかったハルも大変だっただろうけど、ゼンさんを始め、色んな人に愛されて護られていると言う事が分かって安心した。
それからの日々は、本当に楽しくて充実した日々だった。
「もう、子供達は寝てしまったのか?」
「ルト。えぇ、子達はさっき寝たばかりよ?」
私とルトとの間には、3ヶ月前に双子の子供が生まれていた。
兄王子のリオンと、妹姫のサクラ。
ーはいはい、“サクラなんて、ベタだね!”って突っ込んだ人、私自身がそう思っているから、もう突っ込まないでね!ー
「そうか。ミーは疲れてないか?」
「ええ、私は疲れてはいないわ。ルトも…お茶でも用意するわね。」
「ありがとう。」
ルトは、いつも私を気遣ってくれる。些細な事でも“ありがとう”と笑ってくれる。
お茶を淹れて、そのままルトの横に腰を下ろして寄り添うと
「──うっ……」
と小さく呻いて顔を赤くする。結婚してする事もして子供も居るのに、未だに直ぐに顔を赤くするのだ。
ー本当に可愛い人よねー
ゲームの画面越しだけでは分からなかった、攻略者─ランバルト=ウォーランド。ゲーム通りに立派な国王になるだろう。ゲーム通りではなかったのは…恋愛面ではヘタレだったって事。でも、そこが…今では可愛いと思う処だ。
ーいや、ハルにした事だけは許さないけどねー
「んんっ──しかし、ハル殿の子が、まさかの魔法使いとは…エディオルも大変だな。」
「どうでしょうね?もう、エディオルさんも慣れてるでしょう。それに、ハルとリュウとパルヴァンが居れば、何の問題も無いんじゃないかしら?」
「あー…それもそうか──くくっ…本当に…色んな事が起こるモノだな。」
「そうですね。有り得ない事が起こり過ぎて、何に驚いて良いのか分からないわね──ふふっ。」
勿論、私がここに居る事も普通ではないのだ。
「ルト、私、この世界に戻って来て…良かった。そして、ルトと結婚して…本当に良かったと思っているわ。私は、今、とても幸せよ。ありがとう。」
ルトの目をしっかりと見つめながら伝える。
「──────ミー、私の方こそ…私を選んでくれて…ありがとう。ミー、愛してる。」
ルトは嬉し泣きしながら、私に優しくキスをして、優しく抱きしめてくれた。
美樹、千尋、あの時、私の背中を押してくれてありがとう。
私は今、とっても幸せだ────
我が子リオンが、ハルの子ヴィオラにまさかの一目惚れとか…親としては…色々複雑だわ───
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