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みん

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第2章ー魔道士ー

拒否権無し

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「聞いてない!」
「何が?」


私が“助手の提案を、お受けします”と手紙を飛ばした日の夕方には、“ありがとう”と言うお礼の言葉と共に、これからの流れについて、簡単なスケジュールが書かれた返事がルシエント様から飛ばされて来た。
その、返事の早さに驚いたのは勿論の事、その手紙に書かれていたスケジュールには……更に驚かされた。

この国─モランドル王国は、1年が12ヶ月あり、季節が三つ─“すいこう”、“しゅこう”、“はくこう”─ある。そして、翠の候の季節から新年度が始まる為、学校もそれに合わせて3ヶ月後から新年度がスタートする。
そう。今から3ヶ月後に、ルシエント様が講師に着任すると共に、私も助手として学園へ─となる為

ーその1ヶ月前位には王都に行かないといけないかな?ー

なんて考えていたけれど───

“学園に行く迄にしなければならない事があるから、1週間後に迎えを遣るから、王都に移って来て欲しい。こちらでの住まいや生活については、こちらで全て用意するから、必要なモノだけ持って来てもらえれば良い。”


「1週間で王都に来い─なんて、聞いてない!」

「えっ!?ナディア、1週間後には王都に行くの!?何で?早過ぎない!?」

「ルシエント様からの手紙には、“しなければならない事があるから”としか書いてないから……」

ちなみに、城付きの魔道士になるリゼットは、就任の1週間前に、王城敷地内にある魔道士棟に引っ越し予定だ。
そのリゼットよりもはるかに早くに……私の方が先に王都に行く事になってしまった……。しかも、お迎え付き。

ーこれ、もう拒否権無いヤツだよね!?ー

いや、受けた以上、拒否なんてしないけど…何だか…上手い具合に転がされてるような…気もしなくもない。
侯爵令嬢アドリーヌだった頃は、もう少し上手く立ち回れていたけど…平民生活も長くなると、貴族特有の駆け引きなんかも忘れるようだ。
兎に角、この1週間で今の仕事の引き継ぎや身の周りの整理をしなければ─と、その日から忙しい日々を過ごす事となった。








******


「お迎えにあがりました。荷物は……これだけ…ですか?」

ルシエント様の手紙に書いてあった通り、1週間後に迎えの馬車がやって来た。
その中から私よりも若いだろう、使用人らしき女の子が出て来た。
そして、私の荷物が少し大き目の鞄が一つだけ─な事に、少し驚いた様子だった。
荷物なんて、貴重品と当面の着替えさえあれば問題無いし、必要なモノがあれば買えば良いから、荷物は必要最低限なモノしか用意をしなかったのだ。でも、これは、平民としては一般的な考えだ。ソレを驚く─と言う事は、この使用人らしき女の子は貴族の令嬢なのかもしれない。男爵や子爵などの爵位が低い家の令嬢が、高位爵位の家で使用人や侍女をしているのはよくある事だ。

この領地から王都までは3日。その間、平民の私と、この女の子とは2人きりになるけど……

ー何事も無ければいいけどねー

と思いながら、私は迎えの馬車に乗り込んだ。









******


領地を出てから3日目のお昼頃、ようやく王都入りする事ができた。予定通りの時間だったようで、「お昼はルシエント様が用意してお待ちしているので、このまま指定された場所に向かいます。」と、御者の人に言われ、そのまま休む事なく馬車を走らせた。


そうして、王都入りしてから1時間程して辿り着いたのは───

「──────何で??」

まさかまさかの…………王城だった。







「ナディア嬢、よく来てくれたね!取り敢えず……お疲れ様。」

「────ありがとう…ございます…」

たっぷり間があったのは、許して下さい。ほんのささやかな……抗議の気持ちです。

「あー…王城だと緊張してる?」

「緊張は……してなくもありませんが、色々と騙されたような気分には…なっています。」

「ははっ─、君は本当に…ハッキリ言うね。普通の令嬢なら、喜ぶところだけど。」

確かに。イケメンに呼ばれて王城─令嬢達からすれば、憧れのシチュエーションなのかもしれないけど─


道中から、─な事の連続だった。

迎えに来てくれていた女の子─ネリー─は、ルシエント伯爵家の使用人で、予想通りの男爵令嬢だった。
このネリー、私が平民なのが気に食わなかったようだ。王都に来る途中で、2回ルシエント様が手配してくれていた宿に泊まったのだけど──「こちらが、ナディア様の泊まる部屋になります。」と案内されたのが、使用人部屋だった。まぁ、使用人部屋と言っても、平民からすれば広くて綺麗な部屋に変わりないから、私が普通の平民なら、その部屋が使用人部屋とは気付かなかっただろう。でも、私には前世の記憶があったから気付いたのだ。気付いたところで、使用人部屋であっても特に困る事もなかったから、私は素直にその部屋で過ごしたけど──

使用人としては、だろう。



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