15 / 61
第2章ー魔道士ー
拒否権無し
しおりを挟む
「聞いてない!」
「何が?」
私が“助手の提案を、お受けします”と手紙を飛ばした日の夕方には、“ありがとう”と言うお礼の言葉と共に、これからの流れについて、簡単なスケジュールが書かれた返事がルシエント様から飛ばされて来た。
その、返事の早さに驚いたのは勿論の事、その手紙に書かれていたスケジュールには……更に驚かされた。
この国─モランドル王国は、1年が12ヶ月あり、季節が三つ─“翠の候”、“朱の候”、“白の候”─ある。そして、翠の候の季節から新年度が始まる為、学校もそれに合わせて3ヶ月後から新年度がスタートする。
そう。今から3ヶ月後に、ルシエント様が講師に着任すると共に、私も助手として学園へ─となる為
ーその1ヶ月前位には王都に行かないといけないかな?ー
なんて考えていたけれど───
“学園に行く迄にしなければならない事があるから、1週間後に迎えを遣るから、王都に移って来て欲しい。こちらでの住まいや生活については、こちらで全て用意するから、必要なモノだけ持って来てもらえれば良い。”
「1週間で王都に来い─なんて、聞いてない!」
「えっ!?ナディア、1週間後には王都に行くの!?何で?早過ぎない!?」
「ルシエント様からの手紙には、“しなければならない事があるから”としか書いてないから……」
ちなみに、城付きの魔道士になるリゼットは、就任の1週間前に、王城敷地内にある魔道士棟に引っ越し予定だ。
そのリゼットよりもはるかに早くに……私の方が先に王都に行く事になってしまった……。しかも、お迎え付き。
ーこれ、もう拒否権無いヤツだよね!?ー
いや、受けた以上、拒否なんてしないけど…何だか…上手い具合に転がされてるような…気もしなくもない。
侯爵令嬢だった頃は、もう少し上手く立ち回れていたけど…平民生活も長くなると、貴族特有の駆け引きなんかも忘れるようだ。
兎に角、この1週間で今の仕事の引き継ぎや身の周りの整理をしなければ─と、その日から忙しい日々を過ごす事となった。
******
「お迎えにあがりました。荷物は……これだけ…ですか?」
ルシエント様の手紙に書いてあった通り、1週間後に迎えの馬車がやって来た。
その中から私よりも若いだろう、使用人らしき女の子が出て来た。
そして、私の荷物が少し大き目の鞄が一つだけ─な事に、少し驚いた様子だった。
荷物なんて、貴重品と当面の着替えさえあれば問題無いし、必要なモノがあれば買えば良いから、荷物は必要最低限なモノしか用意をしなかったのだ。でも、これは、平民としては一般的な考えだ。ソレを驚く─と言う事は、この使用人らしき女の子は貴族の令嬢なのかもしれない。男爵や子爵などの爵位が低い家の令嬢が、高位爵位の家で使用人や侍女をしているのはよくある事だ。
この領地から王都までは3日。その間、平民の私と、この女の子とは2人きりになるけど……
ー何事も無ければいいけどねー
と思いながら、私は迎えの馬車に乗り込んだ。
******
領地を出てから3日目のお昼頃、ようやく王都入りする事ができた。予定通りの時間だったようで、「お昼はルシエント様が用意してお待ちしているので、このまま指定された場所に向かいます。」と、御者の人に言われ、そのまま休む事なく馬車を走らせた。
そうして、王都入りしてから1時間程して辿り着いたのは───
「──────何で??」
まさかまさかの…………王城だった。
「ナディア嬢、よく来てくれたね!取り敢えず……お疲れ様。」
「────ありがとう…ございます…」
たっぷり間があったのは、許して下さい。ほんのささやかな……抗議の気持ちです。
「あー…王城だと緊張してる?」
「緊張は……してなくもありませんが、色々と騙されたような気分には…なっています。」
「ははっ─、君は本当に…ハッキリ言うね。普通の令嬢なら、喜ぶところだけど。」
確かに。イケメンに呼ばれて王城─令嬢達からすれば、憧れのシチュエーションなのかもしれないけど─
道中から、やっぱりね─な事の連続だった。
迎えに来てくれていた女の子─ネリー─は、ルシエント伯爵家の使用人で、予想通りの男爵令嬢だった。
このネリー、私が平民なのが気に食わなかったようだ。王都に来る途中で、2回ルシエント様が手配してくれていた宿に泊まったのだけど──「こちらが、ナディア様の泊まる部屋になります。」と案内されたのが、使用人部屋だった。まぁ、使用人部屋と言っても、平民からすれば広くて綺麗な部屋に変わりないから、私が普通の平民なら、その部屋が使用人部屋とは気付かなかっただろう。でも、私には前世の記憶があったから気付いたのだ。気付いたところで、使用人部屋であっても特に困る事もなかったから、私は素直にその部屋で過ごしたけど──
使用人としては、アウトだろう。
「何が?」
私が“助手の提案を、お受けします”と手紙を飛ばした日の夕方には、“ありがとう”と言うお礼の言葉と共に、これからの流れについて、簡単なスケジュールが書かれた返事がルシエント様から飛ばされて来た。
その、返事の早さに驚いたのは勿論の事、その手紙に書かれていたスケジュールには……更に驚かされた。
この国─モランドル王国は、1年が12ヶ月あり、季節が三つ─“翠の候”、“朱の候”、“白の候”─ある。そして、翠の候の季節から新年度が始まる為、学校もそれに合わせて3ヶ月後から新年度がスタートする。
そう。今から3ヶ月後に、ルシエント様が講師に着任すると共に、私も助手として学園へ─となる為
ーその1ヶ月前位には王都に行かないといけないかな?ー
なんて考えていたけれど───
“学園に行く迄にしなければならない事があるから、1週間後に迎えを遣るから、王都に移って来て欲しい。こちらでの住まいや生活については、こちらで全て用意するから、必要なモノだけ持って来てもらえれば良い。”
「1週間で王都に来い─なんて、聞いてない!」
「えっ!?ナディア、1週間後には王都に行くの!?何で?早過ぎない!?」
「ルシエント様からの手紙には、“しなければならない事があるから”としか書いてないから……」
ちなみに、城付きの魔道士になるリゼットは、就任の1週間前に、王城敷地内にある魔道士棟に引っ越し予定だ。
そのリゼットよりもはるかに早くに……私の方が先に王都に行く事になってしまった……。しかも、お迎え付き。
ーこれ、もう拒否権無いヤツだよね!?ー
いや、受けた以上、拒否なんてしないけど…何だか…上手い具合に転がされてるような…気もしなくもない。
侯爵令嬢だった頃は、もう少し上手く立ち回れていたけど…平民生活も長くなると、貴族特有の駆け引きなんかも忘れるようだ。
兎に角、この1週間で今の仕事の引き継ぎや身の周りの整理をしなければ─と、その日から忙しい日々を過ごす事となった。
******
「お迎えにあがりました。荷物は……これだけ…ですか?」
ルシエント様の手紙に書いてあった通り、1週間後に迎えの馬車がやって来た。
その中から私よりも若いだろう、使用人らしき女の子が出て来た。
そして、私の荷物が少し大き目の鞄が一つだけ─な事に、少し驚いた様子だった。
荷物なんて、貴重品と当面の着替えさえあれば問題無いし、必要なモノがあれば買えば良いから、荷物は必要最低限なモノしか用意をしなかったのだ。でも、これは、平民としては一般的な考えだ。ソレを驚く─と言う事は、この使用人らしき女の子は貴族の令嬢なのかもしれない。男爵や子爵などの爵位が低い家の令嬢が、高位爵位の家で使用人や侍女をしているのはよくある事だ。
この領地から王都までは3日。その間、平民の私と、この女の子とは2人きりになるけど……
ー何事も無ければいいけどねー
と思いながら、私は迎えの馬車に乗り込んだ。
******
領地を出てから3日目のお昼頃、ようやく王都入りする事ができた。予定通りの時間だったようで、「お昼はルシエント様が用意してお待ちしているので、このまま指定された場所に向かいます。」と、御者の人に言われ、そのまま休む事なく馬車を走らせた。
そうして、王都入りしてから1時間程して辿り着いたのは───
「──────何で??」
まさかまさかの…………王城だった。
「ナディア嬢、よく来てくれたね!取り敢えず……お疲れ様。」
「────ありがとう…ございます…」
たっぷり間があったのは、許して下さい。ほんのささやかな……抗議の気持ちです。
「あー…王城だと緊張してる?」
「緊張は……してなくもありませんが、色々と騙されたような気分には…なっています。」
「ははっ─、君は本当に…ハッキリ言うね。普通の令嬢なら、喜ぶところだけど。」
確かに。イケメンに呼ばれて王城─令嬢達からすれば、憧れのシチュエーションなのかもしれないけど─
道中から、やっぱりね─な事の連続だった。
迎えに来てくれていた女の子─ネリー─は、ルシエント伯爵家の使用人で、予想通りの男爵令嬢だった。
このネリー、私が平民なのが気に食わなかったようだ。王都に来る途中で、2回ルシエント様が手配してくれていた宿に泊まったのだけど──「こちらが、ナディア様の泊まる部屋になります。」と案内されたのが、使用人部屋だった。まぁ、使用人部屋と言っても、平民からすれば広くて綺麗な部屋に変わりないから、私が普通の平民なら、その部屋が使用人部屋とは気付かなかっただろう。でも、私には前世の記憶があったから気付いたのだ。気付いたところで、使用人部屋であっても特に困る事もなかったから、私は素直にその部屋で過ごしたけど──
使用人としては、アウトだろう。
88
あなたにおすすめの小説
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
【完結】もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
あまぞらりゅう
恋愛
キアラ・リグリーア伯爵令嬢は、同じ人生を繰り返していた。
彼女の最期はいつも処刑台の上。
それは婚約者のダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息の陰謀だった。
死んだら、また過去に戻ってくる。
その度に彼女は婚約者のことを激しく憎んで、もう愛さないと強く胸に誓っていた。
でも、何度回帰しても彼女は彼を愛してしまって、最後は必ず破滅を迎えてしまう。
キアラはもうダミアーノを愛したくなかったし、愛なんてものは信じていなかった。
――そして七回目の人生で、彼女は真実を知る。
★元サヤではありません!(ヒーローは別にいます!)
★不快になるような残酷な描写があります!
★他サイト様にも投稿しています!
[完結]私を巻き込まないで下さい
シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。
魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。
でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。
その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。
ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。
え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。
平凡で普通の生活がしたいの。
私を巻き込まないで下さい!
恋愛要素は、中盤以降から出てきます
9月28日 本編完結
10月4日 番外編完結
長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
【完結】金で買われた婚約者と壊れた魔力の器
miniko
恋愛
子爵家の令嬢であるメリッサは、公爵家嫡男のサミュエルと婚約している。
2人はお互いに一目惚れし、その仲を公爵家が認めて婚約が成立。
本当にあったシンデレラストーリーと噂されていた。
ところが、結婚を目前に控えたある日、サミュエルが隣国の聖女と恋に落ち、メリッサは捨てられてしまう。
社交界で嘲笑の対象となるメリッサだが、実はこの婚約には裏があって・・・
※全体的に設定に緩い部分が有りますが「仕方ないな」と広い心で許して頂けると有り難いです。
※恋が動き始めるまで、少々時間がかかります。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです
黄舞
恋愛
精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。
驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。
それなのに……。
「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」
私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。
「もし良かったら同行してくれないか?」
隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。
その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。
第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!
この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。
追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。
薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。
作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。
他サイトでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる