7 / 58
7 ジュリアスさん
しおりを挟む
「ミヅキ、これ、お土産です」
「ジュリアスさん、いつもありがとうございます」
この世界に来てから10ヶ月。
私の聖女の能力もレベルマックス並になり、能力も安定して使えるようになった。その為、そろそろ─と、旅に出る準備が進められる事になった。
そして、10ヶ月にもなると、同行メンバーともそれなりに仲良くなって来た訳で──
第二騎士団所属のジュリアスさんは、休日で街へ出掛けた日は、必ず私にお土産を買って来てくれるようになった。「そんなに気を遣わなくても良いですよ?」と言えば「ミヅキは自由に外出できないから、せめて、美味しい物でもと思って…。それに、ミヅキが食べてくれないと、捨てるしかないから、受け取ってくれると嬉しい」なんて言われてしまえば、受け取るしかない。そして、一度受け取ると、もう断れなくなってしまったのだ。
ジュリアスさんは優しい。ただ……ジュリアスさんを見ると、航を思い出してしまう。
全く似てもいない2人なのに。その優しさや、眼差しが航と重なるのだ。もう吹っ切れた─と思っていたけど、そうでもなかったみたいで……。ジュリアスさんと話していると、胸がチクチクするのには、気付かないフリをしている。
そんな日々を過ごしていると、ある噂が私の耳に入って来た。
“聖女様とジュリアス様が、良い感じらしい”
“浄化の旅を終えた後、婚約するらしい”
「────有り得ないから!」
「何がだ?」
「ひぃ──って……ブラントさん、驚かさないで下さい」
驚いた私を見て笑っているブラントさん。
「えっと…私に何か用ですか?」
「あぁ、今日の朝の議会で、浄化の旅の日程が決まったから、知らせに来た」
ブラントさんから浄化の旅についてのアレコレを聞いてから1週間後に、私達は浄化の旅へと出立した。
同行メンバーは予定通り。
第二王子で魔道士のミリウスさん
第二騎士団所属のジュリアスさん
第一騎士団所属のバーナードさん
魔道士のネッドさん
魔道士のフラヴィアさん
第三騎士団所属兼私の護衛のジェナさん
後は、浄化ポイントである領の騎士達が、現地で合流する事になっている為、王城付きの騎士が同行する事はない。特に、浄化ポイントでも問題がなければ、私達だけで浄化をする事もある。
浄化の旅が始まり、最初の頃は手間取る事もあったけど、浄化を繰り返していくうちに、それにも慣れて来て、穢れが酷い場所でも比較的スムーズに浄化する事ができ、気持ちにも余裕が出るようになった。
旅に出て半年もすると、「予定より早く帰途に就けるかもしれない」と言う話にもなる程順調に進んでいた。勿論、瘴気があふれ魔獣や魔物と遭遇する事もあった。
ただ……同行メンバーの実力もかなりのモノだった上、アイルとフラムの影からの援助攻撃が、その見た目からは想像できない程の威力で………「あれ?誰がやっつけたの?」と、フラヴィアさんが不思議そうに呟く事も……多々あったりもした。
「ミヅキが浄化している時の姿は、本当に綺麗で……ついつい見惚れてしまうんだ」
「あ…ありがとうございます?」
「何故疑問系?」
ははっ─と、爽やかに笑うのはジュリアスさん。
今日も1日が終わり、後は寝るだけ─の前に、野営をしているテントから抜け出して夜空を見ていると、「横に座っても良いですか?」と、ジュリアスさんに声をかけられ、断る訳にもいかず「どうぞ」と返事をした後、2人で夜空を見ながら話をする事になってからの、今の言葉だった。
“綺麗”と言われて、喜ばない、恥ずかしくない訳がない。しかも、イケメンに。イケメンに対する印象が悪いだけであって、ジュリアスさんが嫌いと言う訳でもない…事もない?
「………」
ついつい、ジュリアスさんに目が…視線を向けてしまっているのは確かだ。まだ、恋とも呼べない程のモノだけど。まだ、ジュリアスさんからの優しさを素直に受け止められない自分がいるのは確かだ。
「ミヅキは旅が終わったらどうするの?」
旅が終わったら──
過去の聖女の話を聞く限りでは、元の世界へと還った聖女は1人も居ないそうだ。しかも、旅の同行メンバーの誰かと結婚していた。
ー“吊り橋効果じゃない?”と思ったりもするけどー
「私はまだ何も考えてません」
「そっか。なら………私との事を…考えてくれないかな?」
「え?」
その言葉に驚いてジュリアスさんに視線を向ければ、ジュリアスさんもまた、私の方を見ていて、その綺麗な青色の瞳に私の姿が映り込んでいた。
その姿は、私であって、私ではない私だ。
「私は……ミヅキとは、旅が終わった後も、一緒に居たいと思っているんだ。だから……今すぐにとは言わないから、少し、私との事を考えてみて欲しい」
「ジュリアスさん……分かり…ました。今すぐには無理ですけど……考えさせてもらいますね」
何て上から目線な返事なのか!?─と内心焦ったけど、対するジュリアスさんは「ありがとう」と言って、本当に嬉しそうに笑うだけだった。
「ジュリアスさん、いつもありがとうございます」
この世界に来てから10ヶ月。
私の聖女の能力もレベルマックス並になり、能力も安定して使えるようになった。その為、そろそろ─と、旅に出る準備が進められる事になった。
そして、10ヶ月にもなると、同行メンバーともそれなりに仲良くなって来た訳で──
第二騎士団所属のジュリアスさんは、休日で街へ出掛けた日は、必ず私にお土産を買って来てくれるようになった。「そんなに気を遣わなくても良いですよ?」と言えば「ミヅキは自由に外出できないから、せめて、美味しい物でもと思って…。それに、ミヅキが食べてくれないと、捨てるしかないから、受け取ってくれると嬉しい」なんて言われてしまえば、受け取るしかない。そして、一度受け取ると、もう断れなくなってしまったのだ。
ジュリアスさんは優しい。ただ……ジュリアスさんを見ると、航を思い出してしまう。
全く似てもいない2人なのに。その優しさや、眼差しが航と重なるのだ。もう吹っ切れた─と思っていたけど、そうでもなかったみたいで……。ジュリアスさんと話していると、胸がチクチクするのには、気付かないフリをしている。
そんな日々を過ごしていると、ある噂が私の耳に入って来た。
“聖女様とジュリアス様が、良い感じらしい”
“浄化の旅を終えた後、婚約するらしい”
「────有り得ないから!」
「何がだ?」
「ひぃ──って……ブラントさん、驚かさないで下さい」
驚いた私を見て笑っているブラントさん。
「えっと…私に何か用ですか?」
「あぁ、今日の朝の議会で、浄化の旅の日程が決まったから、知らせに来た」
ブラントさんから浄化の旅についてのアレコレを聞いてから1週間後に、私達は浄化の旅へと出立した。
同行メンバーは予定通り。
第二王子で魔道士のミリウスさん
第二騎士団所属のジュリアスさん
第一騎士団所属のバーナードさん
魔道士のネッドさん
魔道士のフラヴィアさん
第三騎士団所属兼私の護衛のジェナさん
後は、浄化ポイントである領の騎士達が、現地で合流する事になっている為、王城付きの騎士が同行する事はない。特に、浄化ポイントでも問題がなければ、私達だけで浄化をする事もある。
浄化の旅が始まり、最初の頃は手間取る事もあったけど、浄化を繰り返していくうちに、それにも慣れて来て、穢れが酷い場所でも比較的スムーズに浄化する事ができ、気持ちにも余裕が出るようになった。
旅に出て半年もすると、「予定より早く帰途に就けるかもしれない」と言う話にもなる程順調に進んでいた。勿論、瘴気があふれ魔獣や魔物と遭遇する事もあった。
ただ……同行メンバーの実力もかなりのモノだった上、アイルとフラムの影からの援助攻撃が、その見た目からは想像できない程の威力で………「あれ?誰がやっつけたの?」と、フラヴィアさんが不思議そうに呟く事も……多々あったりもした。
「ミヅキが浄化している時の姿は、本当に綺麗で……ついつい見惚れてしまうんだ」
「あ…ありがとうございます?」
「何故疑問系?」
ははっ─と、爽やかに笑うのはジュリアスさん。
今日も1日が終わり、後は寝るだけ─の前に、野営をしているテントから抜け出して夜空を見ていると、「横に座っても良いですか?」と、ジュリアスさんに声をかけられ、断る訳にもいかず「どうぞ」と返事をした後、2人で夜空を見ながら話をする事になってからの、今の言葉だった。
“綺麗”と言われて、喜ばない、恥ずかしくない訳がない。しかも、イケメンに。イケメンに対する印象が悪いだけであって、ジュリアスさんが嫌いと言う訳でもない…事もない?
「………」
ついつい、ジュリアスさんに目が…視線を向けてしまっているのは確かだ。まだ、恋とも呼べない程のモノだけど。まだ、ジュリアスさんからの優しさを素直に受け止められない自分がいるのは確かだ。
「ミヅキは旅が終わったらどうするの?」
旅が終わったら──
過去の聖女の話を聞く限りでは、元の世界へと還った聖女は1人も居ないそうだ。しかも、旅の同行メンバーの誰かと結婚していた。
ー“吊り橋効果じゃない?”と思ったりもするけどー
「私はまだ何も考えてません」
「そっか。なら………私との事を…考えてくれないかな?」
「え?」
その言葉に驚いてジュリアスさんに視線を向ければ、ジュリアスさんもまた、私の方を見ていて、その綺麗な青色の瞳に私の姿が映り込んでいた。
その姿は、私であって、私ではない私だ。
「私は……ミヅキとは、旅が終わった後も、一緒に居たいと思っているんだ。だから……今すぐにとは言わないから、少し、私との事を考えてみて欲しい」
「ジュリアスさん……分かり…ました。今すぐには無理ですけど……考えさせてもらいますね」
何て上から目線な返事なのか!?─と内心焦ったけど、対するジュリアスさんは「ありがとう」と言って、本当に嬉しそうに笑うだけだった。
104
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげますよ。私は疲れたので、やめさせてもらいます。
木山楽斗
恋愛
聖女であるシャルリナ・ラーファンは、その激務に嫌気が差していた。
朝早く起きて、日中必死に働いして、夜遅くに眠る。そんな大変な生活に、彼女は耐えられくなっていたのだ。
そんな彼女の元に、フェルムーナ・エルキアードという令嬢が訪ねて来た。彼女は、聖女になりたくて仕方ないらしい。
「そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげると言っているんです」
「なっ……正気ですか?」
「正気ですよ」
最初は懐疑的だったフェルムーナを何とか説得して、シャルリナは無事に聖女をやめることができた。
こうして、自由の身になったシャルリナは、穏やかな生活を謳歌するのだった。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる