裏切られた聖女は、捨てられた悪役令嬢を拾いました。それが、何か?

みん

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17 異変

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昼間の明るい空でも見えるオーロラ。

「ファンタジー………」

あのオールデンさんの事だから、何かしでかすかも?なんて思ったりもしてたけど、ちゃんと祝福をしてくれたようで良かった。疑った自分が馬鹿だった。そりゃそうだよね。オールデンさんも、元は破壊神だったとしても、今はこの世界の創世神だし、喩え私がパレードに居なくても、あの6人もまた、浄化の旅で頑張っていたのは確かなんだから…。

「この祝福って、いつまで続くんだろう?」
「2、3日は続くと言われているらしいよ」
「ん?」

ポツリと呟いた言葉に返事をしたのはエステルちゃん─ではなく聖騎士の服を着た男の人だった。

「えっと……」
「あぁ、すみません。貴方の言葉がたまたま耳に入って……つい……私は、この領の神殿の騎士をしているノーランと言います。その子は…アランさんの子のエステル…ですよね?貴方は……」
「あ、私、1週間前にこの領に引っ越して来たチカと言います」
「1週間前…チカ…と言う事は、イシュメル様の縁者とか言ってた人が、貴方なんですね!?」
「縁者…ではないですけど、イシュメルさんの生家に住まわせてもらってます」

この聖騎士のノーランさんは、神官長であるマッテオさんの護衛を務める事もよくあるらしく、イシュメルさんの生家に女性が1人で住む事になった─と言う事も聞いていたらしい。しかも、何人かの聖騎士が、1日に朝昼夜の3回、見回りをしている─と言う事実を知ってしまった………。

「えー!?見回り!?そこまで!?そんな事までしてもらって……すみません!でも、大丈夫だと思うので!!」

ーウチには、完璧なセキュリティーの赤青緑が揃ってますから!!ー

とは言えないけど。

「そうはいかないんですよね。何と言っても大神官イシュメル様からも、“くれぐれも宜しく”と言われてるので。それに、治安の良い土地と言っても、やっぱり女性の独り暮らしと言うのは珍しいし、心配は心配だから」

そう言えば、この世界で女性の独り暮らしは殆ど無いと言ってたっけ?

「あー…お手数おかけして、申し訳ないです。でも、ありがとうございます」
「いえいえ。もし、何かあったらいつでも声を掛けて下さい」

フワリと爽やかに笑う………イケメンだった……。

ー異世界には、イケメンしかいないの?ー

ただ、その爽やかな笑顔には、嫌な感じはなかった。

「チカお姉ちゃん、お腹空いたー」
「はっ!そうだった!うん、パパとママのお店に行こう!あ、ノーランさん、ここで失礼しますね」
「はい。露店のある広場は人が多いから、気を付けて」






ノーランさんと別れてから、露店のある広場までやって来て、メイジーさんが用意してくれていたランチを貰って食べた。ナッツたっぷりのベーグルが美味しかった。エステルちゃんは、ハムとたまごを挟んだベーグルがお気に入りらしい。
広場のベンチに座り、ファンタジーなオーロラを見ながら、エステルちゃんと楽しいランチタイムを過ごした。





だから、私はこの時、王都や隣国で色んな事が起こっている事なんて知らなかったし、それに巻き込まれていくとは………予想だにしていなかった。










******


オーロラオールデン神の祝福が…現れなかった?」


パレードの日から5日後に、アルスティア領に帰って来たマッテオさんから聞かされたのは、“王都にオールデン神の祝福が現れなかった”と言う事だった。

ーあぁ……あのオールデンさんは……やりやがったんですね!?ー

楽しい、面白い事が好きな腹黒神を……舐めていた。
そして、何故かその話を聞いて喜び飛び回っているアイルとフラム。そんな2人を不思議そうな顔をして見ているトゥール。

「そう。それで……そこから、聖女が不在なのは、帰還したからではなく、別の理由があるんじゃないか─となってね…」

元の世界に帰還し、聖女不在のままパレードは予定通り行われ、パレード中は参道に集まった民衆からは歓声が上がり、強張った顔をしていた6人も、神殿に着く頃には笑顔も出ていた。

神殿では第二王子ミリウスが、オールデン神に報告をした後、感謝の意を捧げた───が、それから神殿から王城へと戻る間、空には何も現れなかった。

夜のパーティーの時間になっても、オールデン神の祝福が現れる事はなかったが──


『隣の領から来ましたが、そこではオールデン神の祝福が見れましたよ』

と、祝賀パレードは見ずに、夜のパーティーにだけ、王都の隣の領から来ていたとある伯爵の言葉に、王城に居た者達は驚いたそうだ。



「それから、パーティーは行われたけど、イシュメルをはじめ、私達神官長も呼び出しを食らって…」

『どうなっている!?』と国王は怒り叫び、『神官我々が知る由もありません。理由は、王家そちらにあるのでは?』と、イシュメルさんが一蹴すると、その場が凍り付いたらしい。
そんなピリピリした空気の中、動き出したのが──


王太子ルドヴィクさんだった。





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