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32 次なる獲物?
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「──と言う訳で、私はもともと、浄化が終われば王族や貴族の人達とは距離を置いて、王都からも離れたかったので、ある意味恨みはないし、今の生活にも満足しているんです」
「黒色の髪と瞳で18歳が聖女の理想像…確かに、ミヅキを初めて目にした時、すんなり受け入れられたが…それが理想の聖女だったからか…」
「それでも、王様……元王様は、私に魔力の持ち合わせがなくて、かなりがっかりだったみたいですけどね。それもまた、私の予想通りになる切っ掛けになったみたいで良かったですけど」
「ゔっ…、それは…謝るべきか喜ぶべきか……」
目の前のルドヴィクさんは、何とも言い様のない顔をしている。
「あの、本当に、謝罪は要りませんよ?ルドヴィクさんには、何かをされた事もありませんから。ただ…一緒に訓練をして旅をしたあの4人が、私の事を1番分かってくれてなかった事だけが…悲しかっただけですから。あ、“ルドヴィクさん”ではなくて、“国王陛下”でしたね。」
「いや……公の場では無理だろうけど“ルドヴィクさん”で良い。この国では、国王陛下より聖女ミヅキの方が、色々上だからね」
ー上とは何だろう?ー
首を傾げるのは私だけで、ネッドさんはコクコクと頷き、イシュメルさんとブラントさんは笑っている。
「あ、ブラントさん、今更ですけど、挨拶もなくお別れしてすみませんでした。ブラントさんには、まぁ…良くしてもらったので、最後の挨拶ぐらいはしたかったんですけど…」
唯一、表裏なく接してくれたブラントさん。
「そうだな。挨拶もなく居なくなって傷付いたりもしたが、気にするな。それに、最後ではなかったから許そう」
「スミマセンデシタ。アリガトウゴザイマス」
本当に、相変わらず私には黒い。その変わらない態度は喜ぶべき……なんだよね?
「取り敢えず、これからは、私の事はチカと呼んで下さい。因みに……27歳です。」
「「「「27歳!?」」」」
「はい、27歳になりましたね。」
「もしかして……元の世界に恋人や旦那が居たり──」
「続けて、その話をします。」
「「「え??」」」
ーこんな話はできればしたくない。したくないけどしなければいけない……後で覚えてなさい!ー
「ジョセリンさんにも……関係ある話なの」
と言えば、ジョセリンさんだけではなく、皆が更に驚いた顔をして私を見ている。軽く息を吐いた後、私は隣国の聖女リリとの関係の話をした。
「妊娠からの……婚約破棄……」
「はい。彼女─リリは妊娠したと言ったんです。それに、彼女は……23歳だった筈なんです。ジョセリンさん、彼女は…妊娠してませんでしたか?」
「いえ……妊娠なんて、していませんでした。それに、リリ様自身が、当時、自分は16歳だと仰って……その年齢を考慮して、殿下と私と一緒に学校に通う事になったんです。そこで…お2人は仲を深めて……」
ギュッと手を握りしめるジョセリンさん。あんなにも酷い仕打ちをされていても、まだその王太子に気持ちが残っているのかもしれない。
その学園生活がなければ、婚約破棄する事も無く、この即位式には王太子とジョセリンさんが参列していたのかもしれなかった。
「なら、予想ですけど、リリは妊娠していなかったと言う事でしょうね。私から婚約者だった航を奪い取る為の嘘だったのかもしれませんね」
妊娠が嘘だったとしても、そう言う行為があった事は事実な訳で、喩え妊娠していないと私が気付いていたとしても、航と結婚すると言う選択肢は無かっただろう。
「兎に角、あの聖女リリは、私の知っている田辺莉々23歳で間違いありません。それで……まぁ…あの王太子で、リリが納得していれば良いんですけど……私が気になるのは、納得していない場合です。昨日のパーティーで、リリは……他の男性の事を気にしている様子はありませんでしたか?」
「あ────……」
「……あったんですね………」
ーあの……クソ女!ー
コホン。失礼しました。
「なら、気を付けた方が良いですよ。より身分が上でお金を持ってそうで、よりイケメンが好きで、他人のモノでも平気で奪うような女ですから。更に、この世界での聖女の扱いが良いと言う事を、良いように理解してるだろうから、強引に近付いて来る可能性もありますから。その気にしている男性が、この国の人じゃなければ良いんですけど………」
と言い切った時、ルドヴィクさんが顔を引き攣らせている事に気付いた。
「まさか……この国の人なんですか?」
チラッとネッドさんに視線を向ければ、パッと目を輝かせた。
「僭越ながら、私から申し上げます。残念ながらこの国の者です。国王陛下とブラント様です。あの聖女擬きが特に視線を向けていたのはブラント様ですね。まさか、国王陛下を名前呼びするとは思いませんでしたが、名前を呼ばれた陛下が聖女擬きにチクリと言いましたけど、意に介さないと言ったところでしたね。それから、陛下の背後に居たブラント様を目に留めて、うっとりしていましたから、狙いがブラント様である事は間違いありませんね。結局、王太子マテウス様が間に入って挨拶もせずに去って行きましたから、ひょっとすれば、あの聖女擬きは、王太子の隙を突いて、ブラント様に今日、突撃して来る可能性はありますね。」
ー想像できて……恐ろしいー
「黒色の髪と瞳で18歳が聖女の理想像…確かに、ミヅキを初めて目にした時、すんなり受け入れられたが…それが理想の聖女だったからか…」
「それでも、王様……元王様は、私に魔力の持ち合わせがなくて、かなりがっかりだったみたいですけどね。それもまた、私の予想通りになる切っ掛けになったみたいで良かったですけど」
「ゔっ…、それは…謝るべきか喜ぶべきか……」
目の前のルドヴィクさんは、何とも言い様のない顔をしている。
「あの、本当に、謝罪は要りませんよ?ルドヴィクさんには、何かをされた事もありませんから。ただ…一緒に訓練をして旅をしたあの4人が、私の事を1番分かってくれてなかった事だけが…悲しかっただけですから。あ、“ルドヴィクさん”ではなくて、“国王陛下”でしたね。」
「いや……公の場では無理だろうけど“ルドヴィクさん”で良い。この国では、国王陛下より聖女ミヅキの方が、色々上だからね」
ー上とは何だろう?ー
首を傾げるのは私だけで、ネッドさんはコクコクと頷き、イシュメルさんとブラントさんは笑っている。
「あ、ブラントさん、今更ですけど、挨拶もなくお別れしてすみませんでした。ブラントさんには、まぁ…良くしてもらったので、最後の挨拶ぐらいはしたかったんですけど…」
唯一、表裏なく接してくれたブラントさん。
「そうだな。挨拶もなく居なくなって傷付いたりもしたが、気にするな。それに、最後ではなかったから許そう」
「スミマセンデシタ。アリガトウゴザイマス」
本当に、相変わらず私には黒い。その変わらない態度は喜ぶべき……なんだよね?
「取り敢えず、これからは、私の事はチカと呼んで下さい。因みに……27歳です。」
「「「「27歳!?」」」」
「はい、27歳になりましたね。」
「もしかして……元の世界に恋人や旦那が居たり──」
「続けて、その話をします。」
「「「え??」」」
ーこんな話はできればしたくない。したくないけどしなければいけない……後で覚えてなさい!ー
「ジョセリンさんにも……関係ある話なの」
と言えば、ジョセリンさんだけではなく、皆が更に驚いた顔をして私を見ている。軽く息を吐いた後、私は隣国の聖女リリとの関係の話をした。
「妊娠からの……婚約破棄……」
「はい。彼女─リリは妊娠したと言ったんです。それに、彼女は……23歳だった筈なんです。ジョセリンさん、彼女は…妊娠してませんでしたか?」
「いえ……妊娠なんて、していませんでした。それに、リリ様自身が、当時、自分は16歳だと仰って……その年齢を考慮して、殿下と私と一緒に学校に通う事になったんです。そこで…お2人は仲を深めて……」
ギュッと手を握りしめるジョセリンさん。あんなにも酷い仕打ちをされていても、まだその王太子に気持ちが残っているのかもしれない。
その学園生活がなければ、婚約破棄する事も無く、この即位式には王太子とジョセリンさんが参列していたのかもしれなかった。
「なら、予想ですけど、リリは妊娠していなかったと言う事でしょうね。私から婚約者だった航を奪い取る為の嘘だったのかもしれませんね」
妊娠が嘘だったとしても、そう言う行為があった事は事実な訳で、喩え妊娠していないと私が気付いていたとしても、航と結婚すると言う選択肢は無かっただろう。
「兎に角、あの聖女リリは、私の知っている田辺莉々23歳で間違いありません。それで……まぁ…あの王太子で、リリが納得していれば良いんですけど……私が気になるのは、納得していない場合です。昨日のパーティーで、リリは……他の男性の事を気にしている様子はありませんでしたか?」
「あ────……」
「……あったんですね………」
ーあの……クソ女!ー
コホン。失礼しました。
「なら、気を付けた方が良いですよ。より身分が上でお金を持ってそうで、よりイケメンが好きで、他人のモノでも平気で奪うような女ですから。更に、この世界での聖女の扱いが良いと言う事を、良いように理解してるだろうから、強引に近付いて来る可能性もありますから。その気にしている男性が、この国の人じゃなければ良いんですけど………」
と言い切った時、ルドヴィクさんが顔を引き攣らせている事に気付いた。
「まさか……この国の人なんですか?」
チラッとネッドさんに視線を向ければ、パッと目を輝かせた。
「僭越ながら、私から申し上げます。残念ながらこの国の者です。国王陛下とブラント様です。あの聖女擬きが特に視線を向けていたのはブラント様ですね。まさか、国王陛下を名前呼びするとは思いませんでしたが、名前を呼ばれた陛下が聖女擬きにチクリと言いましたけど、意に介さないと言ったところでしたね。それから、陛下の背後に居たブラント様を目に留めて、うっとりしていましたから、狙いがブラント様である事は間違いありませんね。結局、王太子マテウス様が間に入って挨拶もせずに去って行きましたから、ひょっとすれば、あの聖女擬きは、王太子の隙を突いて、ブラント様に今日、突撃して来る可能性はありますね。」
ー想像できて……恐ろしいー
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