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31 ミヅキとチカ
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「ジョセリンさん、ごめんない」
「チカ様、謝らないで下さい。私なら大丈夫ですから。」
ルドヴィクさんの国王即位式の翌朝。
ルドヴィクさんから“午前中なら時間がある”との事で、朝も早い時間にジョセリンさんにアルスティア領から王都に転移して来てもらった。
そして、今から、イシュメルさんとジョセリンさんと私の3人は、ネッドさんの魔法陣で、ルドヴィクさんの執務室へと直接転移する。
「では、転移しますので、くれぐれも魔法陣からは外れないようにお願いします」
ネッドさんが声を掛けた後、魔法陣が展開して、私達はルドヴィクさんの執務室へと転移した。
「ネッド、ご苦労様」
「陛下、早速、時間を作っていただき、ありがとうございます。」
「いや。聖女に関してなら、早い方が助かるのは私の方だから。昼からのお茶会迄に聞いておきたかったからね。ところで……」
イシュメルさんとルドヴィクさんの挨拶が終わると、ルドヴィクさんが私達へと視線を向けた。
この部屋に居るのは、ルドヴィクさん、ネッドさん、イシュメルさん、ジョセリンさん、私と……ブラントさん。ブラントさんは想定外だったけど、王族だし第一騎士団の副団長もしているから、ルドヴィクさんの護衛と言う意味でも同席しているのかもしれない。ブラントさんなら、私も安心だ。
「あれ?君は……デストニアのマテウス殿の元婚約者ではなかったか?どうしてここに……?」
「殿下……今はもう国王陛下でございますね。お久し振りでございます。覚えていただいているとは…身に余る光栄に存じます。その質問につきましては、これから説明させていただきます」
ジョセリンさんのカーテシーは、とても綺麗だった。勿論、過去にも何度か目にした事はあるけど、カーテシーを見て綺麗だと思ったのは、これが初めてだ。しかも、これで18歳。“身に余る光栄”なんて、27歳の私でも使った事がない。公爵令嬢としてなのか、王妃教育の賜物なのか…田辺莉々には絶対無理な案件じゃないだろうか?
「分かった。事前に伝えていなかったが、私の叔父であり第一騎士団副団長のブラント=カールストン公爵の同席を認めてもらいたい。私が最も信頼している者であり、護衛も兼ねているから、聖女に関しての事も、叔父上とは共有しておきたいのだ。」
イシュメルさんがチラッと私に視線を向けて来た為、軽く頷くと、イシュメルさんが「大丈夫です」と答え、それからネッドさんも含めて6人全員が椅子に座り、先ずは、ジョセリンさんの話から始めた。
「国外追放されて……襲われた!?」
ジョセリンさんの話に、ルドヴィクさんとブラントさんは鬼のような形相になり、ネッドさんは眉間に皺を寄せている。
「襲われた辺りで気を失ってしまって覚えていないのですが、その時、ここに居るチカ様に助けていただいたのです。」
ルドヴィクさんとブラントさんから視線を向けられ、軽く頭を下げて答える。
「チカ─と言います。私の住んでいる近くでの事で、外が騒がしいと思って出て確認してみたら…それで、私、一応水属性の魔力持ちなので、何とか助ける事ができたと言う感じです。」
「そうなんだ…」
「………」
“そうなんだ”と言いながら、私を疑っているような目で見ているルドヴィクさん。ブラントさんに至っては無言のまま無表情で私を見ている。ネッドさんは、そんな2人を“失礼な!”と言う目で見ている。今日も安定のネッドさんだ。
「お2人が、私の事を疑いたくなる気持ちも分かります。魔力を持っているだけの平民の女が、偶然隣国の元公爵令嬢を助ける─なんて、都合の良い話ですから。」
「うん。本当にそうだね。疑ってしまって申し訳無いが……あまりにも都合が良過ぎるからね。何か裏があるのか?と思ってしまってね」
ニッコリ微笑むルドヴィクさん。微笑んでいるけど、その目はとても冷たい。年下なのに圧が凄い。流石は国王となった人と言うべきか?
「理不尽な扱いには慣れてますけどね?以前の方が、もっと酷かったですけどね?」
「は?何を──」
『ビジョン』
と呟けばキラキラと白い光に包まれた後、私はチカからミヅキの姿に変化した。
「「ミヅキ!?」」
「ミヅキ様!!!」
この姿に反応したのは、勿論ルドヴィクさんとブラントさん。と、ネッドさんも何故か震えながら反応している。
「お久し振りです。もう二度会う事は無いと思ってましたけど、どうしても隠しておけない事が起こってしまったので…不本意ですが、ここに来ました。」
意趣返しとして、私もニッコリ微笑む。
「あ…いや……その……本当に、ミヅキ?」
やたらと焦っているルドヴィクさんを見ると、少し溜飲が下がり『解除』と唱えて、もう一度チカの姿に戻り、何故ミヅキとチカと二つの姿を持っているのかを説明した。
「チカ様、謝らないで下さい。私なら大丈夫ですから。」
ルドヴィクさんの国王即位式の翌朝。
ルドヴィクさんから“午前中なら時間がある”との事で、朝も早い時間にジョセリンさんにアルスティア領から王都に転移して来てもらった。
そして、今から、イシュメルさんとジョセリンさんと私の3人は、ネッドさんの魔法陣で、ルドヴィクさんの執務室へと直接転移する。
「では、転移しますので、くれぐれも魔法陣からは外れないようにお願いします」
ネッドさんが声を掛けた後、魔法陣が展開して、私達はルドヴィクさんの執務室へと転移した。
「ネッド、ご苦労様」
「陛下、早速、時間を作っていただき、ありがとうございます。」
「いや。聖女に関してなら、早い方が助かるのは私の方だから。昼からのお茶会迄に聞いておきたかったからね。ところで……」
イシュメルさんとルドヴィクさんの挨拶が終わると、ルドヴィクさんが私達へと視線を向けた。
この部屋に居るのは、ルドヴィクさん、ネッドさん、イシュメルさん、ジョセリンさん、私と……ブラントさん。ブラントさんは想定外だったけど、王族だし第一騎士団の副団長もしているから、ルドヴィクさんの護衛と言う意味でも同席しているのかもしれない。ブラントさんなら、私も安心だ。
「あれ?君は……デストニアのマテウス殿の元婚約者ではなかったか?どうしてここに……?」
「殿下……今はもう国王陛下でございますね。お久し振りでございます。覚えていただいているとは…身に余る光栄に存じます。その質問につきましては、これから説明させていただきます」
ジョセリンさんのカーテシーは、とても綺麗だった。勿論、過去にも何度か目にした事はあるけど、カーテシーを見て綺麗だと思ったのは、これが初めてだ。しかも、これで18歳。“身に余る光栄”なんて、27歳の私でも使った事がない。公爵令嬢としてなのか、王妃教育の賜物なのか…田辺莉々には絶対無理な案件じゃないだろうか?
「分かった。事前に伝えていなかったが、私の叔父であり第一騎士団副団長のブラント=カールストン公爵の同席を認めてもらいたい。私が最も信頼している者であり、護衛も兼ねているから、聖女に関しての事も、叔父上とは共有しておきたいのだ。」
イシュメルさんがチラッと私に視線を向けて来た為、軽く頷くと、イシュメルさんが「大丈夫です」と答え、それからネッドさんも含めて6人全員が椅子に座り、先ずは、ジョセリンさんの話から始めた。
「国外追放されて……襲われた!?」
ジョセリンさんの話に、ルドヴィクさんとブラントさんは鬼のような形相になり、ネッドさんは眉間に皺を寄せている。
「襲われた辺りで気を失ってしまって覚えていないのですが、その時、ここに居るチカ様に助けていただいたのです。」
ルドヴィクさんとブラントさんから視線を向けられ、軽く頭を下げて答える。
「チカ─と言います。私の住んでいる近くでの事で、外が騒がしいと思って出て確認してみたら…それで、私、一応水属性の魔力持ちなので、何とか助ける事ができたと言う感じです。」
「そうなんだ…」
「………」
“そうなんだ”と言いながら、私を疑っているような目で見ているルドヴィクさん。ブラントさんに至っては無言のまま無表情で私を見ている。ネッドさんは、そんな2人を“失礼な!”と言う目で見ている。今日も安定のネッドさんだ。
「お2人が、私の事を疑いたくなる気持ちも分かります。魔力を持っているだけの平民の女が、偶然隣国の元公爵令嬢を助ける─なんて、都合の良い話ですから。」
「うん。本当にそうだね。疑ってしまって申し訳無いが……あまりにも都合が良過ぎるからね。何か裏があるのか?と思ってしまってね」
ニッコリ微笑むルドヴィクさん。微笑んでいるけど、その目はとても冷たい。年下なのに圧が凄い。流石は国王となった人と言うべきか?
「理不尽な扱いには慣れてますけどね?以前の方が、もっと酷かったですけどね?」
「は?何を──」
『ビジョン』
と呟けばキラキラと白い光に包まれた後、私はチカからミヅキの姿に変化した。
「「ミヅキ!?」」
「ミヅキ様!!!」
この姿に反応したのは、勿論ルドヴィクさんとブラントさん。と、ネッドさんも何故か震えながら反応している。
「お久し振りです。もう二度会う事は無いと思ってましたけど、どうしても隠しておけない事が起こってしまったので…不本意ですが、ここに来ました。」
意趣返しとして、私もニッコリ微笑む。
「あ…いや……その……本当に、ミヅキ?」
やたらと焦っているルドヴィクさんを見ると、少し溜飲が下がり『解除』と唱えて、もう一度チカの姿に戻り、何故ミヅキとチカと二つの姿を持っているのかを説明した。
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