1 / 1
曇り後、一等星
しおりを挟む
(はぁ今日もか…) と深くため息をつく。
「オヤジ」 (おい、酒買ってこい)
(いやいやいつも言うけど俺まだ19だってば)
〈いいから早く買ってこい!〉
毎日のように19の息子に罵声と暴力を浴びせ酒に溺れる日々の父親。そんな毎日に飽き飽きしそのうち自分のやりたいことすら忘れてしまうような色を忘れた日々。
(わーったよ。そのうちほんとに溺れてくれねぇかな)そうして今日もまた俺はクシャクシャになった紙切れを見つめながらコンビニへと足を運ぶ。
「店員」 (らっしゃっせぇ~)
(ここの店員対応雑で嫌なんだよな。)
「店員」お会計1点で798円になります。
会計を終えいつも通り4枚ばかりの硬貨をポケットへと押し入れる。
(あれよしきじゃんこんな時間に買い物?いけないんだぁ笑)
このこはりこ。高校で知り合った。最初はとても悲しい目をする子だなと思った。だがここでこそよく笑うようになった。
「りこ」(久しぶりだねちょっと散歩付き合ってよ。)
りこは答えを聞く前に既に歩き出していた。
(ちょ、ちょっとまてって!)困った顔をしつつも俺はこの子の誘いを内心喜びながら背中を追いかけた。
(あれ、ここって)
「りこ」(そ!小さい頃よくここで遊んだじゃん!ここで潮風に吹かれながら夜空を眺めると結構気持ちいいんだよ?)
(ホントかー?)ここでも困ったような顔をしながら俺はりこの隣へ座った。
(確かに、風も吹いていて、何より星がよく見える。)
そういったのもつかの間
「りこ」(星、何個あるか数えてみない?)
突拍子もない提案にキョトンとした俺を横目にりこは星を数え始めた。
(1、2、8…)
1分ほど経っただろうか。突然に
「りこ」(あれ何個数えたっけ笑)
(ん?あぁ笑わかんなくなったんだね笑)当たり障りない返答でぼーっとしてたことを誤魔化す俺。
「りこ」(何個か分からないけど一等星見つけたんだ!)
(どこだ?最近視力落ちたから全然見えないや。)
「りこ」(ほら!ここ!)と
りこの目線の先には呆気にとられた顔。
(えーっと、え?あはは笑何言ってるの笑)
「りこ」(一等星じゃん!あの頃笑えない私を救ってくれた一等星!)
そう言って笑って見せた顔は4年前とは全く違い。街頭1つないこの街で何故だかとても明るく見えた。それこそ一等星のように。
(そんな大層なことはしてないよ)照れ隠しで濁す俺、それと対するかのように笑う一等星。
その瞬間に俺の見える世界に初めて色がついた。寄せては返す青色、鬱蒼としてるように見えた緑、月の明かりの反射した薄山吹色、見るもの全てに色が移り目に飛び込んでくる。飽き飽きしてたはずの日々の中に小さな希望が差した。
(なんか吹っ切れたわ!ありがとな)キョトンとしている顔を横目に俺もまた星を数え始める。
(1、2、6…あ、一等星みっけ!)
曇り後、一等星
「オヤジ」 (おい、酒買ってこい)
(いやいやいつも言うけど俺まだ19だってば)
〈いいから早く買ってこい!〉
毎日のように19の息子に罵声と暴力を浴びせ酒に溺れる日々の父親。そんな毎日に飽き飽きしそのうち自分のやりたいことすら忘れてしまうような色を忘れた日々。
(わーったよ。そのうちほんとに溺れてくれねぇかな)そうして今日もまた俺はクシャクシャになった紙切れを見つめながらコンビニへと足を運ぶ。
「店員」 (らっしゃっせぇ~)
(ここの店員対応雑で嫌なんだよな。)
「店員」お会計1点で798円になります。
会計を終えいつも通り4枚ばかりの硬貨をポケットへと押し入れる。
(あれよしきじゃんこんな時間に買い物?いけないんだぁ笑)
このこはりこ。高校で知り合った。最初はとても悲しい目をする子だなと思った。だがここでこそよく笑うようになった。
「りこ」(久しぶりだねちょっと散歩付き合ってよ。)
りこは答えを聞く前に既に歩き出していた。
(ちょ、ちょっとまてって!)困った顔をしつつも俺はこの子の誘いを内心喜びながら背中を追いかけた。
(あれ、ここって)
「りこ」(そ!小さい頃よくここで遊んだじゃん!ここで潮風に吹かれながら夜空を眺めると結構気持ちいいんだよ?)
(ホントかー?)ここでも困ったような顔をしながら俺はりこの隣へ座った。
(確かに、風も吹いていて、何より星がよく見える。)
そういったのもつかの間
「りこ」(星、何個あるか数えてみない?)
突拍子もない提案にキョトンとした俺を横目にりこは星を数え始めた。
(1、2、8…)
1分ほど経っただろうか。突然に
「りこ」(あれ何個数えたっけ笑)
(ん?あぁ笑わかんなくなったんだね笑)当たり障りない返答でぼーっとしてたことを誤魔化す俺。
「りこ」(何個か分からないけど一等星見つけたんだ!)
(どこだ?最近視力落ちたから全然見えないや。)
「りこ」(ほら!ここ!)と
りこの目線の先には呆気にとられた顔。
(えーっと、え?あはは笑何言ってるの笑)
「りこ」(一等星じゃん!あの頃笑えない私を救ってくれた一等星!)
そう言って笑って見せた顔は4年前とは全く違い。街頭1つないこの街で何故だかとても明るく見えた。それこそ一等星のように。
(そんな大層なことはしてないよ)照れ隠しで濁す俺、それと対するかのように笑う一等星。
その瞬間に俺の見える世界に初めて色がついた。寄せては返す青色、鬱蒼としてるように見えた緑、月の明かりの反射した薄山吹色、見るもの全てに色が移り目に飛び込んでくる。飽き飽きしてたはずの日々の中に小さな希望が差した。
(なんか吹っ切れたわ!ありがとな)キョトンとしている顔を横目に俺もまた星を数え始める。
(1、2、6…あ、一等星みっけ!)
曇り後、一等星
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
おにょれ王子め!
こもろう
恋愛
レティジアは公爵令嬢で、王子フリードの婚約者。しかし現在、フリードとの関係はこじれまくっている。
見た目は気が強そうだが実は泣き虫なレティジアは人知れず毎日涙を流し、フリードはなんだかイライラしている。
そんな二人の前に現れるのは……!
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
マリアの幸せな結婚
月樹《つき》
恋愛
花屋の一人娘マリアとパン屋の次男のサルバトーレは子供の頃から仲良しの幼馴染で、将来はマリアの家にサルバトーレが婿に入ると思われていた。
週末は花屋『マルゲリータ』でマリアの父の手伝いをしていたサルバトーレは、お見舞いの花を届けに行った先で、男爵家の娘アンジェラに出会う。
病気がちであまり外出のできないアンジェラは、頻繁に花の注文をし、サルバトーレを呼び寄せた。
そのうちアンジェラはサルバトーレとの結婚を夢見るようになって…。
この作品は他サイトにも投稿しております。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる