曇り後、一等星

mogura

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曇り後、一等星

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(はぁ今日もか…)    と深くため息をつく。
「オヤジ」 (おい、酒買ってこい)
(いやいやいつも言うけど俺まだ19だってば)
〈いいから早く買ってこい!〉
毎日のように19の息子に罵声と暴力を浴びせ酒に溺れる日々の父親。そんな毎日に飽き飽きしそのうち自分のやりたいことすら忘れてしまうような色を忘れた日々。
(わーったよ。そのうちほんとに溺れてくれねぇかな)そうして今日もまた俺はクシャクシャになった紙切れを見つめながらコンビニへと足を運ぶ。
「店員」   (らっしゃっせぇ~)
(ここの店員対応雑で嫌なんだよな。)
「店員」お会計1点で798円になります。
会計を終えいつも通り4枚ばかりの硬貨をポケットへと押し入れる。
 (あれよしきじゃんこんな時間に買い物?いけないんだぁ笑)
このこはりこ。高校で知り合った。最初はとても悲しい目をする子だなと思った。だがここでこそよく笑うようになった。
「りこ」(久しぶりだねちょっと散歩付き合ってよ。)
りこは答えを聞く前に既に歩き出していた。
(ちょ、ちょっとまてって!)困った顔をしつつも俺はこの子の誘いを内心喜びながら背中を追いかけた。
(あれ、ここって)
「りこ」(そ!小さい頃よくここで遊んだじゃん!ここで潮風に吹かれながら夜空を眺めると結構気持ちいいんだよ?)
(ホントかー?)ここでも困ったような顔をしながら俺はりこの隣へ座った。
(確かに、風も吹いていて、何より星がよく見える。)
そういったのもつかの間
「りこ」(星、何個あるか数えてみない?)
突拍子もない提案にキョトンとした俺を横目にりこは星を数え始めた。
(1、2、8…)
1分ほど経っただろうか。突然に
「りこ」(あれ何個数えたっけ笑)
(ん?あぁ笑わかんなくなったんだね笑)当たり障りない返答でぼーっとしてたことを誤魔化す俺。
「りこ」(何個か分からないけど一等星見つけたんだ!)
(どこだ?最近視力落ちたから全然見えないや。)
「りこ」(ほら!ここ!)と
りこの目線の先には呆気にとられた顔。
(えーっと、え?あはは笑何言ってるの笑)
「りこ」(一等星じゃん!あの頃笑えない私を救ってくれた一等星!)
そう言って笑って見せた顔は4年前とは全く違い。街頭1つないこの街で何故だかとても明るく見えた。それこそ一等星のように。
(そんな大層なことはしてないよ)照れ隠しで濁す俺、それと対するかのように笑う一等星。
その瞬間に俺の見える世界に初めて色がついた。寄せては返す青色、鬱蒼としてるように見えた緑、月の明かりの反射した薄山吹色、見るもの全てに色が移り目に飛び込んでくる。飽き飽きしてたはずの日々の中に小さな希望が差した。
(なんか吹っ切れたわ!ありがとな)キョトンとしている顔を横目に俺もまた星を数え始める。
(1、2、6…あ、一等星みっけ!)

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