救国のBASIC

竹笛パンダ

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おっさん、お歳暮になる

天空の花園

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「ようこそ、我が世界『アルテシア』へ。わたしはこの世界を担当するアテナ。あなたがかぐや姫から紹介された『カイト』君でよかったかしら?」
「はい、その通りです。」と跪いて挨拶をした。
「あ、そういうのはいいの。あなたは私にとっては大切な人なんだから、楽にして頂戴。」
「はぁ、では遠慮なく。」
 僕は勧められるがまま庭園の椅子に腰かけた。しばらくすると妖精たちがかいがいしく、お茶や大量のお菓子を持って来て、僕をもてなし始めた。
「これもかぐやちゃんからいただいた、地球という世界の食べ物よ。どう?気に入ってもらえたかしら。」
 昭和の時代の駄菓子が大量にテーブルに上に並ぶ。ずいぶんと懐かしいものだ。
「それでね、あなたに聞きたいことがあるの。この道具、どうやって使うのかしら?」
 そう言ってラムネのビンを差し出した。
「ああ、これはですね、ラムネと言いまして中には飲み物が入っています。蓋をしてあるその部分をこうして押し込んで玉を落とします。そのまま注ごうとしても、このビー玉が邪魔なので、このへこんだところに引っかかるようにこうして向きを変えれば、中の飲み物を飲めるというわけですね。」
「例えばこのビンをアルテシアに持っていくと、そこの人たちはこのビンは使えないって言って捨ててしまうか、刃物や魔法で上の部分を切り取るかこわして、中身を取り出すでしょうね。」
「そうなのですか。」
「ええ、力こそ正義、それがこの世界。だからこのビンに込められた造形や工夫に思いを馳せることはない。彼等には不便なものとしか思えないのね。そう言う人達でも、生活魔法があれば便利に暮らしていけますので、不便な思いはしていないのです。」
「それはそれで、いいことではないでしょうか?」
「いいえ、あなたの世界では、不便なことを便利にしようと様々な道具や機械などが作らました。その結果、皆が豊かで幸せになったのでしょう?そして力のある者もそうでないものも等しく幸せであるような仕組みを作ったのでしょう。そういったものが、ここにはないのです。」
「はぁ、人々は幸せではないのですか?」
「ええ、力のある者は、武力や魔力を示せば思い通りになる。そういう人は仕事もあって、食べるものも手に入れ、豊かに暮らせるでしょう。一方で力のない種族は、隠れて生活しています。もちろん王都では強い王によって守られていますので、一部の人間族はここで商いをして暮らしているのですが……。」そう言って、ため息をつく。
「そういえば、あなたはこの世界で人間族に会いましたか?人間族は他の種族に比べて弱い存在ですので、ここでは集落をつくって森の中に住む希少種になっていますよ。」
「どうして隠れ住んでいるのですか?」
「力の強い種族の支配から逃れるためです。彼らは知恵もあり、独自のルールで争いごとを避け、平和に暮らしていますが、圧倒的に力で勝る他種族にはそんなことは関係ありませんから。」
 そう言いながら、アテナ様は再び深いため息をついた。この世界の秩序を変えようとしたこともあったのだろうか。しかし、力比べが秩序そのものになっている以上、強者の支配は必然なのかもしれない。
「人間族の知恵を取り入れられればもっと豊かになるのに、力のない彼らはここでは仕事もないの。そこであなたの知恵を貸してほしいのよ。あなたの仕事ぶりを拝見しましたので、ぜひそれを私の世界でやってほしいのです。今の話すら理解できるのはアルテシアではほんの数人程度なのですよ。」
 アテナ様は期待を込めたまなざしで僕を見ていた。
「あなたにはまず、シナール王国で、この国の仕組みを変えてほしいの。ここでは強者の争いが絶えないので、王はそのたびに力を示して治めているの。この国のあり方はそうではいけないと、王はわたくしの助言を求め、一人娘の婿に条件を出したのです。」
「どのようなお話なのですか?」
「この地を治める者は力にあらず。しかし力に抗うほどの知恵と勇気のある者を汝の娘婿とし、力はそれを守るものであること。そうバルちゃんが相談に来た時に啓示をしたのよ。ですから彼の娘は『運命の花嫁』と言われているの。あ、この地を治める英雄王のバルちゃんね、この国の王様しているのよ。」
「わかりました。まずは明日の試験に合格しないといけないですね。」
「ええ、でもあなたには難しいでしょう。なので、私が加護を与えて力を発揮できるようにしましょう。」
「では、ステータスを解禁するわね。」

 カイト Lv.3 人間族 アテナ神の眷属
 ステータス HP 60/300 MP  50/∞
 スキル アテナ神の加護 対物理結界、対魔法結界、状態異常無効の常時発動
    かぐや姫の加護(未発動) アイドル化 全種族を魅了する力
 プログラミング
 神聖魔法 ハイヒール キュア エリアハイヒール ホーリー
     リフレクト リバースリフレクト ホーリーフィールド

 かぐや姫の加護、アイドル化って、さすがアイドルオタク。全種族を魅了……って、これはこれで……後が怖い。俺様巡って全面戦争とか勃発?
「これで誰もあなたに手出しはできないわよ。私の加護は眠っているときや気絶しているときは発動しないのよ。それからちゃんと寿命で死ぬことにはなるからね。あとは、病気とけがは防げないの。いくら神様でも運命までは変えられないのよ。だから気を付けてね。」
「はい、ありがとうございます。これはまるで、伝説の魔人に匹敵するほどの力ですね。これほど大きな力をいただいたのですが、先ほど魔力切れになりまして、びっくりしたのですが。」
「あ、さっきまではMPは100しかなかったのよ。そしてプログラミングはね、普通よりもたくさんの魔力を使うのよ。だから∞にしておいたわよ。一晩休めば大丈夫だけど、それには大量の食べ物が必要よね。まぁ、あの宿なら大丈夫でしょ。ガゼルちゃんのところならね。」
「ガゼルさんをご存じで?」
「だってバルちゃんとガゼルちゃん、そして王妃のニコちゃんとガゼルの奥さんのサキちゃんは勇者パーティーで、この国が悪い奴に支配されていたのを救い、新しく国を作ったのだから。」と嬉しそうに話していた。
「それじゃ、明日の試験、頑張ってくださいね。攻撃は受けないけど、あなたの攻撃は普通の人間族なみだから、戦って勝とうとは思ってはだめよ。」
 そう言うと僕の足元に再び光の輪が現れる。
「神殿に来ればまたここに呼んであげるから、時々遊びに来なさいね。」

 気が付けば僕は神殿のアテナ像の前で跪いていた。
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