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後編 影追い、戦う者たち編
45話 新しい朝
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鳴動器の崩壊と共に、異様な気配は霧散し、児珠神社にそして街にようやく静寂が訪れた。
朝の空気はひんやりと澄み、蝉時雨の喧騒はすっかり影を潜め、代わりに鈴虫やコオロギの音色がどこからか聞こえてくるようだ。
空はどこまでも高く、秋の気配が満ちている。路地裏ではあやかしの子供たちの影が再び濃くなり、妖精たちがキラキラと輝きながら飛び交っていた。
戦いの疲労は極限に達しており、彼らはそのまま喫茶エコーの二階やソファーで、泥のように眠り込んだ。
夜半、冷房の効きすぎた部屋で、月彦が寝返りを打つ。無意識にもふもふとした温かいものに顔を埋め、さらに深く眠りに落ちていった。
それは、いつの間にか獣化した狛犬の、もふもふの尻尾と柔らかな毛並みだった。
喫茶エコーのマスターの居住スペースで、乱れた神主の装束のまま月彦が目を覚ました。
「風呂に入りたい」
人間の姿に戻った着流し姿の狛犬はまだ眠っているようだ。
「猫のひげのお守りか……三毛猫ミーとやらのヒゲの力に感謝だな」
月彦は静かにつぶやいた。
あの小さなお守りが、確かに狛犬の心を支えていた。ありきたりだが、愛する者がいるというのは、やはり強いものだと、彼は改めて感じていた。
彼らの戦いを支え続けたマスターは、誰よりも早くカウンターに立っていた。朝ごはんの準備だ。
トースターにパンを入れ、フライパンを置いたコンロに火をつける、油をひいたそれにに卵を割って落とせば、じゅわーといい音が響く。寝起きの体が目覚めるような音と香りだ。
マスターにしては珍しく寝癖のついたままの髪でどこかぼんやりしているが、手だけはきっちりと動かし、たちまち人数分の朝ごはんを仕上げた。
「あとは、フルーツでも切ってだそうか」
喫茶店エコーに淹れたてのコーヒーとトーストしたパンの香りが満ちていく。
「皆さん、本当にありがとうございました。おかげさまで、風流市に本来の平穏が戻りつつあります。
これもひとえに、皆さんの尽力、特に、常に我々を支え、情報と場所を提供し続けてくださったマスターの縁の下の力持ちがあってこそです!」
虎二が月彦に代わって、深々とマスターに頭を下げた。猫社長やキツネママ、音吉も賛同の声を上げる。マスターは照れたように笑い、静かにコーヒーカップを磨いていた。
トーストとコーヒー、または紅茶、そして目玉焼きと言う簡単だが食欲そそる朝食が並べられたテーブル。
風流一座ベテラン三味線ひきのじいじは、変わらず仏頂面で席に着いたが、出された目玉焼きを見るや、目を輝かせた。
「ふん、この目玉焼きいいじゃねえか、俺の焼き方と同じだ。まあ、期待はしてなかったがな」
自分にはなにもねぇ、欲しいものもねぇ、行くところもねぇが口癖のじいじだが、目玉焼きの焼き加減には一言あるようだった。
そして、彼のストイックな生き様は案外と渋く格好良いのかもしれない。音吉は、そんなじいじの横顔を、まぶしそうに見つめていた。
キツネママは、ママが心配であさイチで押しかけて来た猫妖怪たちに声をかけた。
「みんな、無事で本当に良かったね。さぁ、明日からはまたスナックキツネも盛り上がるよ!」
そして、寝ぼけ眼の音吉にひらめいたように持ちかけた。
「ねえ、音吉ちゃん?うちのスナックで『花音』としてアルバイトしないかい?きっと大人気になるよ!」
その言葉を聞いた虎二が、「なっ……!?」とばかりに目をむき、コーヒーを吹き出しそうになる。月彦の侍従としての冷静さはどこへやら、珍しく感情を露わにした。
猫社長は、電卓を叩きながら目を輝かせている。「キツネママ、それは名案ですねぇ!『花音』のブロマイドは飛ぶように売れますよ!
あとは、うちの新店舗もようやく計画再開です。オープンの際は、チンドン屋さんに来てもらって、盛大に!」
風流一座が招かれ、チラシをまきながら賑やかに開店する様子が目に浮かぶ。
その話を聞きながら、団長は沈痛な面持ちで語り始めた。
「今回のことは、手っ取り早く人気を復活させようとした、私が悪かった。あの鳴動器に魅了されてしまったばかりに…………。」
彼の言葉には、心からの後悔がにじんでいた。
「これからは、地道にやっていこう。そして、音吉君の舞とクラリネット、アクロバティックなパフォーマンスも取り入れて、新時代のチンドン屋として再出発だ」
団長の言葉は、一座の新たな始まりを予感させた。音吉は、驚きながらも、少し誇らしげにクラリネットを握りしめた。
「そうですよ、団長さん、動画配信にも力を入れたらいい!」
猫社長も力強く言った。
ノリさんは、相変わらずマイペースにパンを頬張っている。
「ふぅ、やっぱ平和が一番だねぇ。ムーンフレアも海坊主も無事消えたようだしね!」
マスターは、そんな彼らを見守りながら、静かに語った。
「……風流市には、まだまだ乗り越えるべき課題が多い。キツネ横丁の復活も、その一つだ。
地道に、しかし着実に、この町を本来の姿に戻していくために、これからも皆さんの力が必要です」
食後、月彦は狛犬に静かに語りかけた。
「お前はこの後どうするんだ?」
「あっしですかい、これまで通り神社をお守りいたしますぜ。
掃除だってあっしにおまかせください」
そして狛犬はぐっと力を入れてこう言った。
「あっしはね、児珠神社に昔みたいに子供たちがたくさん来てにぎやかになって欲しいんですよ!」
月彦は、かすかな笑みを口元に浮かべた。
「お前に任せたら、掃除は絶対にいき届きませんよ。虎二と私で見張るしかないでしょうね」
「ってことは、神崎さん、ここに残ってくれるの?」
「はい、まだ私どもの神社関係者のごたごたは片付いていませんからね。
早くけりをつけて、倫敦留学に戻るつもりです。研究に一区切りつけたいのです。そして、卒業後は、またここに戻ることをお約束しましょう。虎二もそれでいいだろう?」
「もちろんでございます」
虎二は神妙な顔で頷いた。
数日後彼らはいったん倫敦に戻った。
例の内通者、そして彼を操るものを安心させるフェイクとして。
喫茶エコー、狛犬のアパートに、イギリスから、虎二が手配したとみられる、おしゃれな喫茶店から取り寄せた最高級の紅茶と菓子が届くことになる。
「そういや、コマさん新しいアパートの住み心地は?」
「まだそれほど住んでませんが、そうそう、ノリさん、マスター!ありがとやんした。あのテレビとやら!」
二人は引っ越し祝いにテレビを贈っていたのだ。
「部屋でシネマが見られるとは!おまけに総天然色でやんす」
狛犬は『テレビ』に夢中になり、かじりついてまるでテレビっ子のような生活だ。
ある画面が流れたとき、狛犬の目はくぎ付けになった。
子供たちが輪になって食卓を囲み、笑顔で食事を楽しんでいる。
「子ども食堂っていうんでやんすか……なるほど、子供たちが安心して食べられる場所なんでやんすね」
狛犬は鼻を鳴らしながらテレビの光をじっと見つめる。
ふと、児珠神社の境内を思い浮かべる。昔はもっと子供たちの遊び声が響いていたのだ。蝉取りに夢中になった小さな背中、ラジオ体操で元気いっぱいに跳ねる姿。
童が境内で海の童謡を歌い、あっしの耳に、楽しそうにサザエの貝殻を押し当ててきた日々。
あやかしの子狸たちのあのまん丸の瞳。
児珠神社は、子どもたちを守り、育む場所だった。だが、あの不穏な異変以来、子どもの足音は途絶えていた。
「もし、神社に食堂を作れば……きっと、神社もにぎやかになる!
いつかマスター、月彦に話してみるでやんすね!」
狛犬は新しい夢を胸にしまい、つぶやいた。
「ミーちゃん、応援しておくれ」
朝の空気はひんやりと澄み、蝉時雨の喧騒はすっかり影を潜め、代わりに鈴虫やコオロギの音色がどこからか聞こえてくるようだ。
空はどこまでも高く、秋の気配が満ちている。路地裏ではあやかしの子供たちの影が再び濃くなり、妖精たちがキラキラと輝きながら飛び交っていた。
戦いの疲労は極限に達しており、彼らはそのまま喫茶エコーの二階やソファーで、泥のように眠り込んだ。
夜半、冷房の効きすぎた部屋で、月彦が寝返りを打つ。無意識にもふもふとした温かいものに顔を埋め、さらに深く眠りに落ちていった。
それは、いつの間にか獣化した狛犬の、もふもふの尻尾と柔らかな毛並みだった。
喫茶エコーのマスターの居住スペースで、乱れた神主の装束のまま月彦が目を覚ました。
「風呂に入りたい」
人間の姿に戻った着流し姿の狛犬はまだ眠っているようだ。
「猫のひげのお守りか……三毛猫ミーとやらのヒゲの力に感謝だな」
月彦は静かにつぶやいた。
あの小さなお守りが、確かに狛犬の心を支えていた。ありきたりだが、愛する者がいるというのは、やはり強いものだと、彼は改めて感じていた。
彼らの戦いを支え続けたマスターは、誰よりも早くカウンターに立っていた。朝ごはんの準備だ。
トースターにパンを入れ、フライパンを置いたコンロに火をつける、油をひいたそれにに卵を割って落とせば、じゅわーといい音が響く。寝起きの体が目覚めるような音と香りだ。
マスターにしては珍しく寝癖のついたままの髪でどこかぼんやりしているが、手だけはきっちりと動かし、たちまち人数分の朝ごはんを仕上げた。
「あとは、フルーツでも切ってだそうか」
喫茶店エコーに淹れたてのコーヒーとトーストしたパンの香りが満ちていく。
「皆さん、本当にありがとうございました。おかげさまで、風流市に本来の平穏が戻りつつあります。
これもひとえに、皆さんの尽力、特に、常に我々を支え、情報と場所を提供し続けてくださったマスターの縁の下の力持ちがあってこそです!」
虎二が月彦に代わって、深々とマスターに頭を下げた。猫社長やキツネママ、音吉も賛同の声を上げる。マスターは照れたように笑い、静かにコーヒーカップを磨いていた。
トーストとコーヒー、または紅茶、そして目玉焼きと言う簡単だが食欲そそる朝食が並べられたテーブル。
風流一座ベテラン三味線ひきのじいじは、変わらず仏頂面で席に着いたが、出された目玉焼きを見るや、目を輝かせた。
「ふん、この目玉焼きいいじゃねえか、俺の焼き方と同じだ。まあ、期待はしてなかったがな」
自分にはなにもねぇ、欲しいものもねぇ、行くところもねぇが口癖のじいじだが、目玉焼きの焼き加減には一言あるようだった。
そして、彼のストイックな生き様は案外と渋く格好良いのかもしれない。音吉は、そんなじいじの横顔を、まぶしそうに見つめていた。
キツネママは、ママが心配であさイチで押しかけて来た猫妖怪たちに声をかけた。
「みんな、無事で本当に良かったね。さぁ、明日からはまたスナックキツネも盛り上がるよ!」
そして、寝ぼけ眼の音吉にひらめいたように持ちかけた。
「ねえ、音吉ちゃん?うちのスナックで『花音』としてアルバイトしないかい?きっと大人気になるよ!」
その言葉を聞いた虎二が、「なっ……!?」とばかりに目をむき、コーヒーを吹き出しそうになる。月彦の侍従としての冷静さはどこへやら、珍しく感情を露わにした。
猫社長は、電卓を叩きながら目を輝かせている。「キツネママ、それは名案ですねぇ!『花音』のブロマイドは飛ぶように売れますよ!
あとは、うちの新店舗もようやく計画再開です。オープンの際は、チンドン屋さんに来てもらって、盛大に!」
風流一座が招かれ、チラシをまきながら賑やかに開店する様子が目に浮かぶ。
その話を聞きながら、団長は沈痛な面持ちで語り始めた。
「今回のことは、手っ取り早く人気を復活させようとした、私が悪かった。あの鳴動器に魅了されてしまったばかりに…………。」
彼の言葉には、心からの後悔がにじんでいた。
「これからは、地道にやっていこう。そして、音吉君の舞とクラリネット、アクロバティックなパフォーマンスも取り入れて、新時代のチンドン屋として再出発だ」
団長の言葉は、一座の新たな始まりを予感させた。音吉は、驚きながらも、少し誇らしげにクラリネットを握りしめた。
「そうですよ、団長さん、動画配信にも力を入れたらいい!」
猫社長も力強く言った。
ノリさんは、相変わらずマイペースにパンを頬張っている。
「ふぅ、やっぱ平和が一番だねぇ。ムーンフレアも海坊主も無事消えたようだしね!」
マスターは、そんな彼らを見守りながら、静かに語った。
「……風流市には、まだまだ乗り越えるべき課題が多い。キツネ横丁の復活も、その一つだ。
地道に、しかし着実に、この町を本来の姿に戻していくために、これからも皆さんの力が必要です」
食後、月彦は狛犬に静かに語りかけた。
「お前はこの後どうするんだ?」
「あっしですかい、これまで通り神社をお守りいたしますぜ。
掃除だってあっしにおまかせください」
そして狛犬はぐっと力を入れてこう言った。
「あっしはね、児珠神社に昔みたいに子供たちがたくさん来てにぎやかになって欲しいんですよ!」
月彦は、かすかな笑みを口元に浮かべた。
「お前に任せたら、掃除は絶対にいき届きませんよ。虎二と私で見張るしかないでしょうね」
「ってことは、神崎さん、ここに残ってくれるの?」
「はい、まだ私どもの神社関係者のごたごたは片付いていませんからね。
早くけりをつけて、倫敦留学に戻るつもりです。研究に一区切りつけたいのです。そして、卒業後は、またここに戻ることをお約束しましょう。虎二もそれでいいだろう?」
「もちろんでございます」
虎二は神妙な顔で頷いた。
数日後彼らはいったん倫敦に戻った。
例の内通者、そして彼を操るものを安心させるフェイクとして。
喫茶エコー、狛犬のアパートに、イギリスから、虎二が手配したとみられる、おしゃれな喫茶店から取り寄せた最高級の紅茶と菓子が届くことになる。
「そういや、コマさん新しいアパートの住み心地は?」
「まだそれほど住んでませんが、そうそう、ノリさん、マスター!ありがとやんした。あのテレビとやら!」
二人は引っ越し祝いにテレビを贈っていたのだ。
「部屋でシネマが見られるとは!おまけに総天然色でやんす」
狛犬は『テレビ』に夢中になり、かじりついてまるでテレビっ子のような生活だ。
ある画面が流れたとき、狛犬の目はくぎ付けになった。
子供たちが輪になって食卓を囲み、笑顔で食事を楽しんでいる。
「子ども食堂っていうんでやんすか……なるほど、子供たちが安心して食べられる場所なんでやんすね」
狛犬は鼻を鳴らしながらテレビの光をじっと見つめる。
ふと、児珠神社の境内を思い浮かべる。昔はもっと子供たちの遊び声が響いていたのだ。蝉取りに夢中になった小さな背中、ラジオ体操で元気いっぱいに跳ねる姿。
童が境内で海の童謡を歌い、あっしの耳に、楽しそうにサザエの貝殻を押し当ててきた日々。
あやかしの子狸たちのあのまん丸の瞳。
児珠神社は、子どもたちを守り、育む場所だった。だが、あの不穏な異変以来、子どもの足音は途絶えていた。
「もし、神社に食堂を作れば……きっと、神社もにぎやかになる!
いつかマスター、月彦に話してみるでやんすね!」
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「ミーちゃん、応援しておくれ」
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