脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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スライムのブラッシング?

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リディアは秘密基地の一角で、いつものようにメリーちゃんのブラッシングをしていた。
ふわふわのピンク毛にブラシを通すたびに、メリーちゃんは「メェ♪」と嬉しそうに鼻先を揺らす。まるで髪をとかしてもらうお姫様のような表情だ。

「よし、メリーちゃんは今日もさらさらだね!」
リディアが満足そうに微笑んでいると、ふとした視線を感じて顔を上げる。そこにはタフィーちゃんが、じっとこちらを見つめていた。チョコレート色の体をぷるんと揺らし、まるで「ぼくもブラッシングしてほしい!」と言いたげだ。

「ん? タフィーちゃんも…磨きたいの?」
リディアは首をかしげながらタフィーちゃんの姿を眺める。メリーちゃんの毛を整えるのとはわけが違う。そもそもブラシがチョコスライムの体に通るのか、どんな素材が適切なのか、まったく見当がつかない。

「えーっと、どうやればいいんだろう? 普通のブラシだと、タフィーちゃんの体に傷をつけちゃわないかな?」
リディアはブラシを手のひらに乗せて考え込む。タフィーちゃんは目のように見える部分をぱちぱちと瞬かせて、ぷるるんと近づいてくる。その愛らしい仕草を見ていると、なんとかして喜ばせてあげたくなる。

「うーん、何か柔らかいスポンジみたいな道具なら… あ、メリーちゃん、ちょっと待ってね」
そう言ってリディアは、近くにあった道具箱を開けてゴソゴソ探る。綿菓子毛から取り出したり、以前に街で仕入れたお掃除道具やモップなどを取り出しては首をひねる。

「スポンジで磨く? それともゴム製のヘラとかのほうがいいのかな。タフィーちゃん、どっちがいいと思う?」
タフィーちゃんは答えられないので、軽く身体をぷるっと弾ませている。メリーちゃんは呑気に「メェ~」と横から鳴きつつ、リディアが迷うのを見守っていた。

「よし、試しにこれにしよう!」
リディアが選んだのは、やわらかなスポンジ生地でできたボディタオルのようなアイテム。水洗い用だが、チョコスライムを磨くなら、ゴシゴシはせずに優しく撫でるイメージだ。

「じゃあ、いくよ。痛かったら教えてね、タフィーちゃん!」
リディアはスポンジタオルを片手に、そっとタフィーちゃんの表面に当ててみる。はじめは弱く、やさしく丸を描くように滑らせると、チョコボディにちょっとしたツヤが出て、タフィーちゃんは「ぷるん!」と嬉しそうに身体を弾ませた。

「おっ、なんか気持ちよさそう? よかった…♪」
力加減を変えながら、リディアはゆっくりとタフィーちゃんの輪郭をなぞるようにスポンジを当て続ける。ときどき、ほんのり甘いチョコの香りが強くなる気がして、リディアはちょっと食べたくなってしまう衝動と闘う羽目になる。

「ん~、いい匂い。…あ、いやいや、食べたらダメだよね」
軽口を言いつつ、タフィーちゃんの上部までスポンジを動かしてみると、まるで丸みを帯びた頭を撫でられているように波打っている。タフィーちゃんは本当に気持ちよさそうだ。

「すごいすごい。メリーちゃんのときも楽しかったけど、タフィーちゃんを磨くのも面白いかも。ブラッシングじゃなくて…うーん、ポリッシング?」
リディアは思わず笑ってしまう。メリーちゃんは「メェ!」と声を出し、ふわふわの毛を揺らして賛成するようだ。

一通り撫で終わると、タフィーちゃんはさらに艶やかなチョコ色をまとい、なんだか誇らしげに見える。美味しそうな香りさえ増したようで、リディアはつい口元に小さな笑みを浮かべた。

「どう? タフィーちゃん、綺麗になったし気持ちよかった?」
「ぷるん!」と弾んだ返事が返ってきて、リディアは「よかった~!」と胸をなで下ろす。これでメリーちゃんとタフィーちゃん、両方のお世話が成功だ。

「今度はもっとちゃんとした道具をそろえてあげよう。柔らかいブラシとか、スライム専用のケアグッズとかあるかもしれないし!」
そう言ってリディアは、二匹の様子を微笑ましそうに眺めるのだった。秘密基地の日常は、今日も甘く優しく、ちょっぴり不思議に満ちている。
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