脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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アスレチックの景品

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やがて最終関門を突破したリディアたちは、上級コースのゴール地点へとたどり着いた。
そこには拍手喝采のスタッフや観客たちが待ち受けており、リディアのチームが余裕すら感じる戦いぶりでクリアしたことに大いに盛り上がっていた。

「おめでとう! まさかスライムや羊さんを連れて、あんなに上手く攻略してしまうなんてね」と運営スタッフの一人がニコニコ顔で出迎える。
リディアは照れながらも、「メリーちゃんとタフィーちゃんのおかげです!」と胸を張った。

メリーちゃんは「メェ!」と尻尾を振り、タフィーちゃんはチョコレート色の身体をぷるんと揺らして応える。
その姿を微笑ましそうに見つめるスタッフが、「よろしければ、この景品を受け取ってもらえませんか?」と、何やら美しい織物をリディアに差し出した。

「これ…絨毯?」
リディアは不思議そうに手に取る。見ると、それは豪華な柄の布地に魔法の刺繍があしらわれた、まるでお伽噺に出てくるような絨毯だった。

「実は、上級コースをクリアした方々には、特別な景品を用意しているんです。これこそが――空飛ぶ絨毯です!」スタッフが小さくウインクしてみせる。

「そ、空飛ぶ絨毯?!」リディアは思わず目を丸くして、両手でしっかりとその織物を抱える。「こんなすごいもの、本当にいただいちゃっていいんですか?」

「ああ、もちろん。あなたたちのチームの活躍は、多くの参加者に勇気を与えました。メリーちゃんのふわもこ毛やタフィーちゃんのチョコ攻撃など、見ていて爽快でしたよ」とスタッフは笑みを浮かべる。「ぜひその絨毯を有効に使って、また素敵な冒険を続けてくださいね!」

リディアは高揚感で胸をいっぱいにして、メリーちゃんとタフィーちゃんを振り返る。「やったね、二人とも! 空を飛べるかもしれない絨毯だって! これからもっといろんな場所に楽々移動できちゃうかも!」

メリーちゃんは嬉しそうに「メェ!」と鳴き、タフィーちゃんもぷるぷると体を弾ませる。
「うん、そうだね。どんなふうに乗るのかはわからないけど、秘密基地に戻って試してみようか!」

帰りの道すがら、リディアはそわそわしながら何度も絨毯の刺繍を見つめ、「早く飛んでみたいなあ」と呟く。メリーちゃんとタフィーちゃんも、それぞれ楽しそうに合いの手を入れているかのようだ。なにしろ、空飛ぶ絨毯なんて夢のようなアイテム、リディアにとってはわくわくが止まらない。

こうして、上級コースの栄誉を勝ち取ったリディアたちは、新しい冒険の鍵ともいえる空飛ぶ絨毯を手にして、満足感と期待に満ち溢れたままアスレチックイベントを後にしたのだった。
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